判決は懲役何年? 暴行罪の罪の重さ(量刑)
最終更新日: 2021年07月08日
罰金か懲役かは、暴行の程度が重要
暴行罪に該当する暴力行為にも様々な程度があります。
被害者の胸倉をつかむ程度の軽微な暴力行為から、被害者の髪の毛を掴んで顔面を数回殴るような、たまたま怪我をしなかったものの傷害罪になってもおかしくない強度の暴力行為まで様々です。
もちろん検察官、裁判所が罰金刑か懲役刑かを判断するにあたっては加害者の前科の有無も考慮されます。
もっとも、加害者に複数の前科があったとしても、足を軽く1回蹴った程度の暴行であれば罰金刑となる可能性が高いでしょう。
他方、初犯であったとしても、被害者を押し倒して馬乗りになって10分くらいその状態で押さえつけたというような執拗な暴行であれば懲役刑となる可能性は十分あります。
暴行罪で略式起訴され罰金刑になる場合
暴行罪の罰金刑の相場
暴行罪の罰金刑は1万円以上30万円以下ですが、ほとんどは10万円、20万円で、10万円以下や30万円となるケースは少数派です。
被害者の胸倉を掴んで引っ張る、顔面を拳骨で1回殴るという程度の暴行であれば罰金10万円が相場です。
被害者を押し倒す、顔面を拳骨で数回殴るという程度の暴行になると罰金20万円が相場です。
もっとも、処罰を決めるにあたっては、暴力行為の経緯や加害者の前科など様々な事情が考慮されますので、上記のような暴力行為であれば、必ずその金額の罰金刑になるというわけではありません。
罰金を払えない場合はどうなるのか
罰金は10万円から30万円であり、小さくない金額ですから、支払うように言われても、加害者に納めるお金が無いということがあります。
事前に検察官に相談することで多少、納付までの期間に猶予をつくることは可能なようですが、分割払いはできません。
法律上は罰金を払えない場合は、1日あたり5000円で換算して罰金金額になるまでの日数、労役留置場に入れられることになります。
もっとも、労役留置場に入れられるケースは少なく、検察官の取り調べの際に罰金を払えない旨を伝えると、罰金刑ではなく、懲役刑を選択されることが多いようです。
暴行罪で刑務所に行くのか? 執行猶予はつくのか? 刑期は?
暴行罪では罰金刑ではなく、懲役刑となる場合であっても、ほとんどは執行猶予がつきます。
もっとも、執行猶予中の犯行や、加害者に前科が相当数ある場合には実刑判決になる可能性が高くなります。
実刑判決になる場合には、刑期は6か月から1年ほどになるケースが多く見られます。
暴行罪の刑事裁判の流れ
起訴から裁判期日までの流れ
在宅起訴となると裁判所から加害者の自宅に起訴状が届きます。逮捕・勾留されている間に起訴処分となったときは、留置場で起訴状を受け取ります。
そして、起訴処分から2週間ほどで刑事裁判に提出する証拠書類が検察官から弁護士に開示されますので、弁護士において裁判の方針を立てて被告人と打合せをします。
第1回の裁判期日は起訴処分から概ね1月後に指定されます。
第1回裁判期日の流れ
冒頭に被告人は証言台の前に立つよう裁判官から指示があります。その後、検察官が起訴状を読み上げますのでそれを聞きます。
起訴状の朗読の後、裁判官から被告人に対して、黙秘権についての説明があり、それを受けて、検察官が朗読した起訴事実に何か誤りがあるかどうか裁判官から尋ねられます。特に誤りがなければ「間違いありません。」と答えます。
以上の手続きが終わると被告人は席に戻るよう裁判官から指示があります。
次に、検察官が証明しようとする事実の説明を行い(冒頭陳述)、裁判に提出する証拠の説明を行います。単純な事件であれば10分ほどでその説明は終わります。
検察官の証拠提出が終わると次は、弁護人の立証活動です。示談書を証拠として提出したり、情状酌量を求める証人を請求したりします。
情状証人がある場合は、まず弁護人から質問し、次いで検察官が質問し、最後に裁判官が質問します。
情状証人の証人尋問が終わると最後に、被告人本人の質問があります。こちらも質問をする順番は情状証人と同じです。
被告人質問が終わると、検察官が「懲役〇年が相当」という意見とその理由を述べ(論告)、次いで弁護人が情状酌量を求める意見を述べます(弁論)。
論告、弁論が終わると、被告人は再度証言台の前に立つよう裁判官から指示をされ、最後に何か言っておきたいこと(反省の弁など)を簡単に述べて、審理は終結します。
このように犯行を認めている単純な暴行事件であれば、通常、第1回裁判で審理は終結します。
判決期日
第1回裁判の2週間後くらいに判決期日が指定されます。
判決期日は、判決内容とその理由について裁判官から告げられるだけですので10分ほどで終わります。
そして、2週間が経過すると判決は確定し、事件終了となります。
暴行罪で罰金になると前科がつきます
以上、暴行罪の罪の重さ、量刑についてご説明しました。
暴行罪は比較的軽微な犯罪ですから、起訴されたとしても罰金刑となるケースが多いですし、軽微な暴行であれば不起訴処分(起訴猶予)となるケースも多くあります。
もっとも、罰金刑であっても前科がつきます。被害者との間で示談が成立していれば起訴されない可能性が高くなります。
暴行事件の被疑者として警察に逮捕された、被害者と示談交渉をしたいというときは、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。