【暴行罪】初犯で逮捕されたらどうなる?弁護士が流れと対処法を解説
2025年11月28日

「ついカッとなって手を出してしまい、警察に暴行で捕まってしまった」「初めてのことで、この先どうなるのか不安でたまらない」——。
暴行事件で逮捕された方やご家族は、非常に大きな不安を抱えていることでしょう。特に初犯の場合、「本当に逮捕されるのか」「刑罰はどのくらいなのか」「前科がついてしまうのか」など、先が見えず不安が尽きないはずです。
ここでは、暴行罪で初めて逮捕された場合の流れと、有利な処分を得るためのポイントを、弁護士がわかりやすく解説します。
初犯でも暴行罪で「逮捕」されることはある?
「初犯だから逮捕されない」とは限りません。
暴行罪(刑法208条)の法定刑は「二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」と定められています。比較的軽い犯罪とされていますが、状況によっては逮捕される可能性があります。
現行犯逮捕と通常逮捕の違い
現行犯逮捕
暴行行為の最中や直後に身柄を確保されるケースです。この場合、初犯かどうかは関係なく逮捕されます。
通常逮捕(後日逮捕)
裁判官が発行した逮捕状に基づき、警察官が後日逮捕するものです。通常逮捕が認められるのは、「罪を犯したと疑うに足る相当な理由」に加えて、「逃亡のおそれ」または「証拠隠滅のおそれ」がある場合です。
初犯と逮捕の可能性
初犯の場合、逃亡や証拠隠滅の可能性が低いと判断されやすく、通常逮捕されるケースは比較的少ない傾向にあります。
ただし、被害者の処罰感情が強く、暴行の態様が悪質であったり、住居が定まっていなかったりする場合には、初犯でも逮捕される可能性があります。
逮捕後の刑事手続きの流れと「初犯」の影響
逮捕後の手続きは、一般的に以下のような流れで進みます。
警察での取調べと検察への送致(48時間以内)
逮捕後48時間以内に、警察は事件と身柄を検察官に送ります。
勾留の決定と捜査(最大20日間)
検察官は送致を受けて24時間以内に、被疑者を釈放するか、勾留請求を行うかを判断します。裁判官が勾留を認めた場合、まず10日間、勾留が延長された場合は最長20日間の身柄拘束が続きます。
検察官の処分決定(起訴・不起訴)
勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するか、不起訴にするかを決定します。
暴行罪の初犯で科される刑罰と実刑の可能性
暴行罪で有罪となった場合、法定刑は「二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
初犯で多い処分
暴行罪の初犯では、不起訴または罰金刑(略式起訴)で終わるケースもしばしばあります。
不起訴(前科なし)
被害者が軽傷で、示談が成立している場合など。
罰金刑(前科あり)
暴行の程度が軽くない、または示談が成立していない場合など。罰金の相場は10万〜30万円程度です。
実刑(懲役刑)となるケース
初犯であっても、以下のような悪質な場合は正式裁判となり、執行猶予付き拘禁刑、まれに実刑となることもあります。
- 暴行の態様が悪質または執拗
- 動機が悪質
- 被害者が複数いる
- 示談が成立していない
初犯で前科を避けるために重要なポイント
初犯で社会復帰を目指すためには、逮捕直後から迅速で的確な弁護活動を行うことが非常に重要です。
弁護士への早期相談・依頼
何よりもまず、すぐに弁護士へ相談することが大切です。
弁護士は以下のような活動で、早期釈放や不起訴を目指します。
接見(面会)
逮捕直後から唯一、制限なく面会でき、取調べのアドバイスや精神的サポートを行います。
身柄解放活動
逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張し、釈放を求めます。必要に応じて裁判官に意見書を提出します。
示談交渉
被害者への謝罪や賠償を通じて示談成立を目指し、不起訴の可能性を高めます。
反省と再発防止の姿勢を示す
事件の原因を真摯に反省し、再発防止のための行動(生活環境の改善や専門機関の利用など)を具体的に示すことも重要です。
よくある状況と対応例
例:居酒屋で口論になり、相手の肩を押して逮捕された男性(30代・会社員)
同僚との飲み会の帰り、隣の席の客と口論になり、思わず相手の肩を強く押してしまったケースです。
通報を受けた警察に現行犯逮捕されました。
翌日に弁護士が接見し、本人が深く反省していること、社会的にも安定した生活を送っていることを示す資料を提出。さらに被害者に対し、謝罪文を渡し、慰謝料を支払い示談が成立しました。
検察官は「被害が軽く、示談も成立している」として不起訴処分と判断。前科がつかず、数日後に釈放されました。
例:通行トラブルで口論の末に相手を突き飛ばした男性(40代・会社員)
車のすれ違い時にトラブルとなり、相手と言い争いになって胸を押したところ、相手が転倒してしまいました。
その場で警察を呼ばれ、暴行の疑いで現行犯逮捕。翌日から勾留され、10日間身柄が拘束されました。
弁護士が早期に被害者との示談交渉に入り、慰謝料を支払って示談を成立させました。さらに、本人が勤務先を通じて反省文を提出したことで、検察は「社会的制裁を受けており再犯の可能性も低い」と判断。
結果、不起訴処分となり、前科はつかずに事件が終了しました。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問(FAQ)
Q:初犯でも逮捕されることはありますか?
はい。初犯であっても現行犯の場合や、被害者の感情が強い場合などには逮捕されることがあります。
Q:暴行罪で不起訴になれば前科はつきませんか?
不起訴処分であれば、前科にはなりません。
Q:示談ができないと前科がつきますか?
必ずしもそうとは限りませんが、示談が成立しない場合、罰金刑など前科がつく可能性は高くなります。
Q:勾留はどのくらい続きますか?
最長で20日間(当初10日+延長10日)ですが、弁護士の活動によって短縮や釈放が認められる場合もあります。
Q:被害者が被害届を取り下げれば、すぐ釈放されますか?
被害届の取り下げは重要な要素ですが、最終的な判断は警察や検察が行います。ただし、示談成立とあわせて釈放につながるケースは多いです。
まとめ
このように、暴行罪の初犯であっても逮捕される可能性はありますが、早期の対応次第で不起訴や罰金刑にとどめることができます。
手続きを理解し、冷静にできる限り早く専門家の助言を受けることが重要です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





