大麻事件での逮捕!勾留期間は何日!?
最終更新日: 2023年11月29日
- 大麻所持で逮捕されてしまった
- 大麻所持で逮捕された場合の勾留期間は何日になるのか
- 大麻所持の勾留期間中に家族ができることを教えてほしい
日本では大麻を所持する行為は犯罪であり、発覚すると逮捕されることがほとんどです。逮捕後72時間以内に勾留か釈放が決まり、勾留となった場合は長期的に身体的拘束を受ける可能性があります。
そのため、長期的な勾留を回避するには、被疑者の勾留が決まる前に早急に対策を取る必要があります。
そこで今回は、薬物事件を含む刑事事件を数百件解決してきた専門弁護士が、大麻所持で逮捕された場合の勾留期間を考える前に押さえたい基礎知識・逮捕の種類と勾留期間・勾留期間中に家族ができる弁護士への相談・依頼について解説します。
大麻事件で逮捕された場合の勾留期間を考える前の基礎知識
大麻所持で逮捕された場合の勾留期間を考える前の基礎知識として、以下の2つを解説します。
- まずは大麻に関する法律を理解する
- 大麻の所持が発覚したら逮捕が原則
1つずつ見ていきましょう。
まずは大麻に関する法律を理解する
1つ目の基礎知識として、まずは大麻に関する法律を解説します。大麻の所持は大麻取締法の違反に当たり、5年以下の懲役になります。また、大麻を他人に渡したり、もらったりする行為も犯罪です。
他には大麻の栽培や輸出・輸入を行うと、7年以下の懲役になります。営利目的の有無によって処罰が重くなるケースもあります。大麻は所持していると処罰を受けますが、使用しても罪には問われません。現在の法律では、大麻の所持のみが処罰対象になります。
以下、表に大麻取締法違反の罪での懲役をまとめています。
行動一覧 | 懲役(営利目的無し) | 懲役(営利目的有り) |
所持 | 5年以下 | 7年以下(※1) |
渡す・もらう | 5年以下 | 7年以下(※1) |
栽培 | 7年以下 | 10年以下(※2) |
輸出・輸入 | 7年以下 | 10年以下(※2) |
※1…事情によって、200万以下の罰金も科されることがあります。
※2…事情によって、300万以下の罰金も科されることがあります。
被害者に営利目的がある場合は懲役と罰金が併科される可能性があり、罪が重くなります。
大麻の所持が発覚したら逮捕が原則
2つ目の基礎知識として、大麻の所持が発覚したら逮捕が原則であることについて解説します。
大麻はもの自体のサイズが大きくないため、証拠隠滅しやすいといわれています。また、被疑者が密売人や仲間に捜査情報を漏らし、罪を逃れようとする傾向にあります。証拠隠滅や関係者と口裏合わせをする可能性が高い場合、捜査上必要として逮捕され、身柄が拘束されます。
そのため、家宅捜索といった捜査で大麻が出てきた場合は逮捕される可能性が高まります。一方で、逮捕されないケースの大半は、家宅捜査で大麻が出てこなかった場合です。仮に疑われても、大麻が見つからなかったときは逮捕することができません。
実際に、令和2年版犯罪白書(令和元年の統計。以下「犯罪白書」という)では、大麻事件の被疑者の中で62.6%が逮捕されているとあります。
大麻事件での逮捕の種類と勾留期間を流れとともに解説
大麻所持での逮捕の種類と勾留期間を、逮捕からの流れとともに以下の順番で解説します。
- 大麻所持での逮捕の種類は3つ
- 警察への連行・取調べ
- 検察庁へ送検・勾留
- 最大で10日間の勾留延長可能で勾留期間は最長23日間
- 検察による起訴・不起訴の決定
1つずつ見ていきましょう
大麻所持での逮捕の種類は3つ
1つ目は、逮捕です。大麻所持での逮捕の種類は以下の3つになります。
- 現行犯逮捕
- 後日逮捕(通常逮捕)
- 緊急逮捕
現行犯逮捕は、家宅捜索などの捜査で被疑者の自宅や車内などから大麻が出てきた際に行われる逮捕です。また、職務質問で大麻が出た場合も現行犯逮捕されます。現行犯逮捕の場合は逮捕状なしに、捜査機関だけでなく一般人も逮捕できます。
後日逮捕(通常逮捕)は、たとえば大麻の入っている鞄や財布などの持ち物を紛失や置き忘れた場合にその持ち物から持ち主が判明し、逮捕状の発付を得て被疑者を後日に逮捕するものです。
緊急逮捕は、逃亡や罪証隠滅の恐れがあり逮捕状を請求する余裕がない場合に行われます。緊急逮捕した場合には、その後速やかに逮捕状の発布を受ける必要があります。
警察の連行・取調べ
2つ目は、警察の連行・取調べです。
逮捕後、警察署に連行され、司法警察職員による取調べや実況見分などの証拠収集が行われます。被疑者は逮捕から48時間、警察署で身柄拘束されることになります。。
検察庁へ送検・勾留
3つ目は、検察官へ送検・勾留です。
逮捕後48時間以内に検察庁へ事件が送られます。そして、24時間以内に検察官が裁判官に勾留を請求できます。裁判官が認めた場合は10日間の勾留が決定します。
最大で10日間の勾留延長可能で勾留期間は最長23日間
4つ目は、最大10日間の勾留延長も可能についてです。
勾留期間の10日間で捜査が終了しない場合は、検察官が裁判官に対して勾留延長を請求できます。裁判官が勾留延長を認めることで、勾留期間を最大10日間の延長することが可能になります。
その結果、被疑者は逮捕されてから最大23日間拘束されることもあり得ます。長期間身柄が拘束されることで日常生活に大きな影響を受けることは十分考えられます。
検察による起訴・不起訴の決定
5つ目は、検察による起訴・不起訴の決定です。
勾留後、検察官は捜査の結果に基づいて、その事件の起訴・不起訴を決定します。起訴する権限は検察官のみが持ちます。
嫌疑がない場合の不起訴はもちろんですが、嫌疑が十分でも、犯人の性格・年齢・境遇・犯罪の軽重および情状・犯罪後の情況を照らし合わせて、起訴する必要はないと判断した場合は起訴しないこと(起訴猶予)もあります。
犯罪白書によると令和元年の大麻取締法違反での起訴率は50.6%のため、約半数が起訴されていることが分かります。
大麻事件の勾留期間中に弁護士ができること
大麻所持の勾留期間中に弁護士ができることは、以下の3つです。
- 罪証隠滅や逃亡の恐れがないことを警察に説明して逮捕を回避
- 逮捕されても検察官・裁判官を説得して勾留を回避
- 勾留決定がなされた後は、準抗告(不服申立て)をして釈放を求める
1つずつ見ていきましょう。
罪証隠滅や逃亡の恐れがないことを警察官に説明して逮捕を回避
弁護士ができることの1つ目は、罪証隠滅や逃亡の恐れがないことを警察に説明して逮捕を回避することです。
弁護士は、警察官に被疑者を逮捕しないように求めることが可能です。警察官に面談を申し入れ、被疑者が事実関係を素直に認めていること・住居不定ではないこと・罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを伝え、被疑者を釈放するように訴えかけます。その結果、逮捕されずに在宅捜査になることがあります。
逮捕されても検察官・裁判官を説得して勾留を回避
弁護士ができることの2つ目は、逮捕されても検察官・裁判官を説得して勾留を回避することです。
被疑者から依頼を受けた弁護士は、検察官・裁判官に勾留が不要であることを説得してくれます。誓約書・身元引受書(身元引受人と同行の場合もあり)・意見書を提出します。その結果、検察官・裁判官は釈放を決定することもあります。被疑者が初犯で捜査に協力的な場合は、釈放してもらえることも期待できます。
勾留決定がなされた後は、準抗告(不服申立て)をして釈放を求める
弁護士ができることの3つ目は、勾留決定がなされた後は準抗告(不服申立て)をして、釈放を求めることです。
弁護士は、勾留決定がなされた場合に、その取消を求めて準抗告を申し立てることができます。勾留が長期化した場合、被疑者の生活に大きな影響が出ます。弁護士は、勾留期間を短縮するために弁護活動を進めます。
大麻所持による勾留期間中に家族ができるのは弁護士への相談・依頼
大麻所持で逮捕された人は、勾留までの最大72時間、家族と面会できません。
しかし、弁護士はこの間も被疑者と面会が可能です。被疑者の家族は弁護士に相談し、できる限り早く面会できるようにすることがおすすめです。
弁護士との早期面会が実現することで、被疑者は弁護士からアドバイスを受けられるため、取調べで冷静な対応ができます。
そのため、家族がまずすべきことは弁護士への相談です。弁護士は被疑者が不利になることを防ぎ、最大限サポートを行ってくれます。
まとめ
今回は、大麻所持で逮捕された場合の勾留期間を考える前の基礎知識・逮捕の種類と勾留期間・勾留期間中に家族ができる弁護士への相談・依頼について解説しました。
大麻所持で勾留された場合、逮捕されてから最大23日間身柄が拘束されるケースもあります。被疑者や家族は早期に弁護士に相談し、望む方向への解決が叶うようスピーディに行動を起こすことをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。