強要罪で逮捕されたらどうなる?問われる罪・流れ・すべきことを徹底解説!

最終更新日: 2024年01月30日

強要で逮捕されたらどうなる?問われる罪・流れ・すべきことを徹底解説!

  • 強要で逮捕されたら何の罪に問われるのだろう
  • 強要で逮捕された後の流れを知りたい
  • 強要で逮捕されてしまったら何をすべきだろう

脅迫罪や恐喝罪などはよくニュースなどで耳にするものの、強要罪についてあまり耳馴染みがない、と感じる方も多いかもしれません。しかし、クレームやパワハラなども強要罪となる可能性もあり、あなたの身近にある犯罪の一つです。

そのため、強要で逮捕されたら何の罪に問われるのか、どのような状況が強要になるのかなどを知っておき、逮捕された場合に備えて、何をすべきかを頭に入れておくことが重要です。

そこで本記事では、専門弁護士が強要で問われる罪・逮捕される可能性が高い状況・逮捕後の流れ・すべきことについて解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 強要事件では強要罪に問われる可能性がある
  • 強要で逮捕された後の流れは取り調べ→送致・勾留→起訴(不起訴)→刑事裁判
  • 家族が強要で逮捕されたらすぐに専門弁護士に相談

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

強要罪で逮捕されて問われる罪

まずは強要で逮捕されて問われる罪として、以下を解説します。

  • 強要罪
  • 脅迫罪との違い

強要罪

強要罪は、刑法223条に規定されている犯罪です。生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加えることを告知して、脅迫や暴行によって義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害すること、と説明されています。

平成26年に起こった事件では、ボウリング場の店員に接客態度が悪い、と数人がかりでクレームをつけて土下座させるというものでした。逮捕された男性は強要罪で実刑判決を受けています。

刑法223条では、親族に対して同じことを行った場合でも、強要罪が成立する旨の記載があります。

(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

出典:刑法 | e-GOV法令検索

脅迫罪との違い

強要罪は、脅迫罪とよく似ています。

脅迫罪は刑法222条第1項に規定されています。親族に対しての脅迫について記載があることも、強要罪と同様です。

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

出典:刑法 | e-GOV法令検索

では何が違うのかというと、「義務のないことを行わせる」・「権利の行使を妨害する」という強要行為の有無です。強要をさせるために脅迫をした、という事実があると、強要罪となります。

脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役、または30万円以下の罰金です。強要罪の法定刑は3年以下の懲役で罰金刑はなく、脅迫罪よりも重い犯罪です。

似た名前の犯罪で恐喝罪がありますが、こちらは刑法249条第1項で「人を恐喝して財物を交付させた」という記述があり、金品を目的としているものであると規定されています。

恐喝罪の法定刑は懲役10年以下と、強要罪よりも重いものです。

(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

出典:刑法 | e-GOV法令検索

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強要罪で逮捕の可能性が高い状況

強要で逮捕の可能性が高い状況として、以下4点を解説します。

  • 生命に害を与えた
  • 身体に害を与えた
  • 名誉に害を与えた
  • 財産に害を与えた

生命に害を与えた

1つ目の状況は、生命に害を与えたことです。

「生命に害を与える」行動について、口頭や文章、態度いずれも含まれます。

たとえば、刃物を突きつけて強要をしたり、インターネット上の書き込みで「殺すぞ」という発言をしたりすると、強要罪となる可能性が高くなるでしょう。

特にインターネット上の書き込みや、パワハラなどは、これに該当する恐れがありますので、注意してください。

身体に害を与えた

2つ目の状況は、身体に害を与えたことです。

殴ったり蹴ったり、突き飛ばしたりすることはもちろん、契約書などの書類に無理やり押印させるために腕を掴んだ、髪の毛を引っ張って強要したなども身体の害に当たります。

実際に暴行を加えなくても、暴行を加えるそぶりを見せて、相手に義務ではないことをさせるのも同様です。

パワハラやいじめで、暴行のそぶりをしたり、実際に暴行が行われたりした場合は、これに類する行動となる可能性があります。

名誉に害を与えた

3つ目は、名誉に害を与えたことです。

前述したボウリング場での土下座強要事件は、まさにこのパターンです。具体的には土下座させるぞ、職場にバラすぞなどという発言が挙げられます。口頭・文章などは問われません。

インターネット上での発言においても、名誉への害が成立する可能性があります。

財産に害を与えた

4つ目は、財産に害を与えたことです。

口頭や文章で相手を強要し、高額な商品を購入させる場合などが挙げられます。

たとえば「家に火をつけるぞ」「車を壊してやるぞ」など、相手の持ち物に被害を与える旨の発言・文書は、財産に害を与えることに含まれます。

パワハラやモラハラでも、上記のような発言が出ることがあるでしょう。

自分と相手の力関係を考えると拒否できないだろう、と考えて発言したことが、強要罪にあたるかもしれません。

このようなケースでは、罪の意識がないままに犯罪していると捉えられる可能性があるため、注意してください。

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強要罪で逮捕された後の流れ

強要で逮捕された後の流れについて、以下4点を解説します。

  • 取り調べ
  • 送致・勾留
  • 起訴・不起訴
  • 刑事裁判

取り調べ

1つ目は、取り調べです。

強要罪で逮捕されると、強要罪を実際に犯したのかどうかに関する取り調べが行われます。

取り調べとは、事件に関して対象者に供述を求めることです。

ここで被疑者が供述したことは供述調書に書き記されます。最終的に被疑者は署名押印をすることになります。基本的に、署名押印をした供述調書の内容は訂正できません。

そのため、取り調べのときに記憶違いがあったり、悪いように受け取られかねない発言をすると、裁判で非常に不利になるでしょう。

そこで、逮捕されたら取り調べに入る前に弁護士に依頼し、相談することをおすすめします。

本人にとっては何でもない発言でも、受け取り方によっては強要とみなされ、加害者の立場を悪くするかもしれません。

送致・勾留

2つ目は送致・勾留です。

送致とは、警察官が捜査した事件を検察官に引き継ぐことをいい、検察官送致とも呼ばれます。刑事事件では、最初の捜査を警察官が行い、送致後に検察官に捜査を渡し、起訴か不起訴かの判断を行います。

勾留とは、逮捕後に行われる身体拘束のことです。逮捕後の捜査期間は、最大72時間と決められており、その間に検察官に送致され身体拘束されます。

勾留は、基本10日間、最大で20日間の身体拘束があります。逮捕後の捜査期間と合わせると、最大で23日間の身体拘束を受けることになるでしょう。

起訴・不起訴

3つ目は、起訴・不起訴です。

検察官は最大20日間の勾留期間内に、起訴か不起訴かの判断をします。不起訴は検察官が裁判所に対して訴えを起こさない、と判断することです。

不起訴処分であれば、捜査は終結し、前科もつきません。不起訴に対し、検察官が捜査した内容を裁判所に審理してもらうように提起することを起訴と言い、刑事裁判へと続きます。

刑事裁判

4つ目は、刑事裁判です。

不起訴になればそこで捜査は終わりですが、起訴されると、裁判が始まります。

刑事事件の場合は、刑事裁判が行われます。刑事裁判では、被疑者が本当に事件を起こしたのか、起こしたとしたらどのような刑罰を与えるのが相当なのかを判断します。

刑事裁判では、起訴されれば有罪率は99%と、ほとんどが有罪です。不起訴になれば前科はつきませんので、まずは不起訴を獲得するのが重要です。

強要罪で逮捕されたらすべきこと

ここまで、強要で逮捕されたら問われる罪、逮捕される可能性が高い状況、逮捕後の流れについて解説しました。それでは、強要で逮捕されたら何をすべきでしょうか。ここからは、以下2点を挙げて解説します。

  • 弁護士への相談
  • 示談交渉

弁護士への相談

すべきことの1つ目は、弁護士への相談です。

強要罪で逮捕されたら、何よりもまず弁護士に相談すべきでしょう。強要罪は刑事事件ですので、逮捕されてから起訴・不起訴の決定まで、最大で23日間しかありません。

起訴までの時間を考えると、一刻も早く弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士は法律を扱う仕事ですが、すべての弁護士が刑事事件に精通しているわけではありません。弁護士には専門分野があります。

弁護士事務所のホームページには、その事務所が手がけた事件の実績を記載していることも多いでしょう。強要事件への対応実績が豊富な弁護士に相談すれば、早期解決につながりますので確認してみましょう。

示談交渉

すべきことの2つ目は、示談交渉です。

弁護士に相談の上、示談交渉を進めることが必要です。なぜなら、被害者と示談が成立している場合、勾留請求・起訴・不起訴などの処分を決定するうえで、有利に働きやすいからです。

強要罪は、事件の悪質性を考えると被害者側が示談交渉に応じてくれないケースが多々あります。

弁護士に依頼すれば、被疑者の代理人として行動することができます。

被害者側が本人と交渉するのは気が進まなくても、弁護士であればスムーズに交渉ができる可能性が高まるでしょう。

強要罪で逮捕される可能性があるなら今すぐ弁護士に相談を

本記事では強要で問われる罪・逮捕される状況・逮捕後の流れ・すべきことについて解説しました。

強要罪は、罰金刑がない懲役刑のみの重い犯罪です。あまり聞きなれない犯罪かもしれませんが、日常生活の中で犯してしまう可能性があります。

強要罪は刑事事件ですので、起訴されれば刑事裁判となります。

強要罪でお悩みの方はできる限り早く弁護士に相談し、適切な対応を取る必要があります。

強要罪の罪に問われそうなら、刑事事件の経験が豊富で交渉力の高い弁護士に今すぐ相談しましょう。

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