刑事事件を起こした場合に自首するメリットは?成立要件・流れを弁護士が解説
最終更新日: 2023年03月27日
- 刑事事件を起こした場合に自首するメリットは何か?
- 自首が成立する要件とは何か?
- 自首の流れはどのようなものか?
刑事事件を起こした場合、自首すべきかどうか迷っている人もいることでしょう。自首するにしても、事前に弁護士に相談し、自首後の取り調べの対応などについてアドバイスを受け、そのあとで自首に付き添ってもらいたいと考えている人もいるかも知れません。
そこで今回は、刑事事件に精通している専門の弁護士が、刑事事件を起こした場合に自首するメリット・自首が成立する要件・自首の流れなどについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 自首は反省悔悟と更生の意欲の表れと評価される
- 刑事事件で自首をすることで逮捕回避や不起訴にできる可能性がある
- まずは刑事事件の対応実績が豊富な弁護士に相談することが大切
刑事事件における「自首」とは?
刑事事件における「自首」とはどういうことでしょうか。
自首とは、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し、訴追を含む処分を求めることです。犯罪事実が発覚していない場合と、犯罪事実は発覚しているが犯人が誰であるかが発覚していない場合の双方を含みます。
また、自首が認められた場合は刑の軽減につながる可能性があることが刑法42条に記されています。
刑法42条1項「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
2項「告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねるときも、前項と同様とする。」(刑法42条)。
刑事事件で自首が成立する要件
刑事事件で自首が成立する要件について4つ解説します。
- 自発的に犯罪事実を申告する
- 自分から刑事処分を求める
- 捜査機関に対して申告する
- 犯人発覚前に申告する
1つずつ解説します。
自発的に犯罪事実を申告する
1つ目は、自発的に犯罪事実を申告することについてです。
自首は、自ら進んで自発的に行う必要があります。したがって、他人に代わりに出頭して犯罪事実を申告してもらってもそれは自首とはなりません。
また、申告の内容が犯罪事実の重要部分を隠すものであったり、虚偽の事実を申告するものであったり、自己の責任を否定しようとするものであるときは、自首には当たりません。
自分から刑事処分を求める
2つ目は、自分から刑事処分を求めることについてです。
申告の内容が大まかであったとしても、当該事件の内容の具体性や事案の性質、捜査の進展状況などを考慮して、捜査機関が自首したものの申告の内容とおおむね合致し、刑事処分を望んでいると判断した場合は、自首の成立を認めてよいとされています。
捜査機関に対して申告する
3つ目は、捜査機関に対して申告することについてです。
自首は、検察官や警察官などの捜査機関に対して書面又は口頭でしなければなりません(刑事訴訟法245条・241条)。 口頭ではなく、電報・ファクシミリ・電子メール等による自首も有効とされていますが、口頭以外の場合は、捜査機関がいつでも犯人を逮捕できる状態にあることが必要とされています。
犯人発覚前に申告する
4つ目は、犯人発覚前に申告することについてです。
「発覚」とは、犯罪事実及び犯人が明らかになることをいいます。 犯人の所在が不明で、犯罪事実及び犯人が誰であるかは分かっている場合は含まれません。
発覚前に自首のために警察署に行ったものの、担当警察官の不在などによってすぐに申告できず、その間に犯罪事実が発覚する場合もあります。そのような場合、犯罪事実が発覚する前に捜査機関に出頭して申告しようとしていたことが認められれば、自首の成立が認められる可能性もあります。
刑事事件で自首するメリット
刑事事件で自首するメリットについて3つ解説します。
- 逮捕回避の可能性がある
- 報道されるリスクが下がる
- 不起訴・減刑の可能性が高まる
1つずつ解説します。
逮捕回避の可能性がある
1つ目は、逮捕回避の可能性があることについてです。
自首は、犯人が捜査機関に対し自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めることです。
被疑者が刑事事件を犯し、その犯罪事実について自首する覚悟ができた場合、弁護士同行のもと捜査機関に出頭すれば、事件の罪質や内容によっては、逮捕を回避できる可能性があります。
そのためには、弁護士には事前に犯した罪を打ち明けておくことや、犯行を裏づける証拠を持参することが大切です。逮捕されなければ在宅事件となります。
報道されるリスクが下がる
2つ目は、報道されるリスクが下がることについてです。
被疑者が自首し、逮捕を免れた場合には、事件・実名報道されるリスクが下がる場合もあります。
刑事事件が報道されやすいタイミングは、被疑者が逮捕された時点です。そして、事件が重大であればあるほど、報道される可能性は高くなります。
自首をしたことで捜査機関が報道関係者にリークせず、事件・実名が報道関係者に漏れなければ、報道されるリスクが下がります。
不起訴・減刑の可能性が高まる
3つ目は、不起訴・減刑の可能性が高まることについてです。
自首は、捜査機関によって事件が発覚される前に行われたのであれば、刑の減免事由となります(刑法42条・80条・93条・228条の3等)。
被疑者が自首した場合、検察官から見れば、自首は反省悔悟と更生の意欲の表れと評価できるため、同種の前科前歴があるなど、不起訴処分を不相当とする事情がない限り、不起訴処分になる可能性が高まります。
刑事事件における自首の流れ
刑事事件における自首の流れについて3つ解説します。
- 警察署へ行く
- 取り調べを受ける
- 逮捕・在宅事件が決定する
1つずつ解説します。
警察署へ行く
1つ目は、警察署へ行くことについてです。
自首する警察署は、どこの警察署でもよく、自宅近くの最寄りの警察署でも、事件を管轄する警察署でも、自分の行きやすい場所の警察署でかまいません。
自首したその日のうちに逮捕されることも考えられますので、家族への事前の連絡、現金や着替えといった最低限必要なものを準備する必要があるでしょう。
また、犯行で取得した物品(証拠物)があれば、犯罪事実の裏づけになりますから、持参して自首することが必要です。
取り調べを受ける
2つ目は、取り調べを受けることについてです。
被疑者が自首しても、即時逮捕されるわけではありません。
逮捕状を請求するのに必要な資料を揃えた上、裁判官の逮捕状の発付を得なければなりませんので、仮に自首した被疑者を逮捕する場合でも、それなりの時間が必要になります。
まず、自首を受けたときは警察が自首調書を作成します(犯罪捜査規範64条1項)。自首調書には、自首した本人の身上や事件の概要、自首した動機や理由などが記載されます。
その後に、自首した被疑者は、取調官から任意の取り調べを受けることになります。
逮捕・在宅事件が決定する
3つ目は、逮捕・在宅事件が決定することについてです。
自首した場合であっても、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合には、逮捕される可能性があります。
自首し捜査機関に立件された場合には、逮捕されて身柄事件となるか、逮捕されないで在宅事件となるかが決まります。
在宅事件では、捜査機関から出頭を求められた場合に、警察署や検察庁に出向き、任意の取り調べを受けることになります。
刑事事件での自首をするなら弁護士に相談することがおすすめ
刑事事件での自首をするなら弁護士に相談することがおすすめです。
誰しも、捜査機関に一人で出頭することには勇気がいるものです。その上、自首後の取り調べの対応や逮捕後の家族のことが思いやられ、気持ちの整理がつかない人もいることでしょう。弁護士に相談すれば、弁護士が自首に付き添ってくれます。
そして、弁護士に相談することによって、弁護士からは、逮捕後の取り調べについてアドバイスを受けられる他、残された家族との仲介の労をとってもらえ、釈放までの戦略を教えてもらうこともできます。
もし自首した本人が逮捕された場合には、家族の不安は計り知れないことでしょう。そのような場合、経験豊富な弁護士が対応することは家族にとっても精神的な支えになります。
まとめ
今回は、刑事事件に精通している専門の弁護士が、刑事事件を起こした場合に自首するメリット・自首が成立する要件・自首の流れなどについて解説しました。
刑事事件を起こした場合、自首することをためらい、自分一人では自首することに踏み切れないでいる人がいるかも知れません。
自首するにしても、残された家族のことが思いやられたり、自首後の取り調べに不安を感じているのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
自首することにより不起訴処分で終わったり、裁判での量刑が軽くなる可能性も高くなるので、まず専門の弁護士に相談しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。