刑事事件の流れとは?一般的な流れ・裁判の流れ・重要なポイントも解説
最終更新日: 2023年09月13日
- 刑事事件で逮捕されると、どのように手続きが進むのか
- 刑事裁判まで進むと有罪になってしまうのか、どのように対応すべきか
- 刑事事件で弁護士が担う役割を知りたい
刑事事件で逮捕されると、送検、勾留、起訴、刑事裁判へと着実に手続きが進められていきます。
被疑者本人が取り調べに黙秘や非協力的な対応をとれば、立場が不利になるので、なるべく早期に弁護士を立て、今後の対応を話し合いたいものです
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、刑事事件の一般的な流れ、刑事裁判はどのように進められるのか等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 勾留されてしまうと最長20日間は自宅に戻れない
- 被疑者が真摯に謝罪し、弁護士が有効な弁護活動を行えば、不起訴となる可能性もある
- 検察官によって起訴され刑事裁判が行われても、弁護士は被告人が執行猶予や減刑となるよう、全力を尽くす
刑事事件の一般的な流れ
刑事事件で逮捕された人は「被疑者」となり、捜査機関(警察・検察)が刑事手続きを進めていきます。
手続きを進める過程で、被疑者は早期に釈放されたり、不起訴処分となったりする場合もあります。
ここでは被疑者となった場合の一般的な流れを見ていきましょう。
逮捕
逮捕された被疑者は、警察が留置の必要を判断したならば、警察署の留置施設・拘置所に留置されてしまいます。
もしも被疑者が逮捕前に弁護士と相談し、弁護を依頼(私選弁護人)している場合、逮捕直後からでも、弁護士と面会し対応を協議できます。
弁護士は逮捕の経緯を確認しつつ、警察側に早期の釈放を主張します。主張が通れば在宅捜査となるケースもあります。この場合、被疑者が在宅している状態で捜査は継続されます。
送検
警察は逮捕・留置した被疑者を48時間以内に、関係書類・証拠物と共に検察官へ送ります(身柄送検)。
一方、被疑者が在宅捜査となっているならば捜査書類のみを移します(書類送検)。
なお、書類送検された場合、検察官から何回か任意の呼び出しがあります。
その場合は、素直に呼び出しに応じて、捜査へ協力した方がよいでしょう。
勾留請求
身柄送検の場合、検察官は被疑者を警察の留置施設・拘置所に引き続き拘束する必要がある、と判断したら「勾留請求」を裁判所に請求します。
勾留請求は、被疑者が送検されてから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に行わなければいけません。
一方、検察官が勾留する必要はないと判断したなら、被疑者は釈放され任意捜査となります。
勾留
被疑者を勾留する期間は最長20日間です。勾留が認められれば勾留請求した日から原則10日間、被疑者の身柄が拘束されます。
更に検察官の請求によって、勾留期間をさらに10日間延長することが可能です。勾留期間中、警察官や検察官は、被疑者から詳しい事情聴取や実況見分を行います。
起訴・不起訴
警察が集めた様々な証拠と証言を総合的に考慮し、検察官が起訴するか不起訴処分にするかを判断します。
不起訴処分となった場合、捜査機関は捜査を終了し、刑事裁判が開かれることもありません。また、被疑者に前科も付かず、被疑者が逮捕・勾留されているならばすぐに釈放され、元の日常生活に戻ることができるでしょう。
弁護士は捜査機関への働きかけだけでなく、被害者との交渉を行い、示談成立を目指します。
また検察官は、以下の状況を考慮し、不起訴処分を認める可能性もあります。
- 被疑者は真摯に反省している
- 被害者と示談が成立した
- 被疑者は捜査へ積極的に協力している
- 軽微な犯罪だった
一方、検察官が起訴を決めた場合は、刑事裁判が開かれます。
裁判
刑事裁判は基本的に公開の法廷で行われます。刑事裁判で被疑者は「被告人」と呼ばれます。
裁判所は公判廷で検察官や被告人・弁護人の主張を聴いたうえで、証拠を調べて審理した後、被告人に対し刑罰を科すべきかどうか判断します。
判決
裁判所は慎重に審理した後、「実刑判決」「執行猶予付き判決」「無罪判決」のいずれかを言い渡します。
- 実刑判決:裁判官から命じられた期間刑務所へ収容される
- 執行猶予付き判決:執行猶予期間中(1年〜5年)、被告人は通常の社会生活を送り、執行猶予の期間を無事に経過すれば、裁判官からの刑の言い渡しの効力は無効となる
- 無罪判決:被告事件が罪とならない判決
上訴手続
第一審の判決に不服がある被告人は、高等裁判所に控訴できます。さらに、高等裁判所の判決に不服があるならば、最高裁判所に上告が可能です。
控訴・上告するかどうかは弁護士とよく相談して判断しましょう。
刑の執行
被告人が控訴・上告をしないならば、判決に従い刑へ服します。
実刑判決ならば被告人は刑務所へ収容され、執行猶予付き判決ならば執行猶予の期間を無事に経過するよう、通常の社会生活を送っていきます。
刑事事件の裁判の流れ
ここでは、刑事事件の裁判の流れを解説していきます。
- 冒頭手続き
- 証拠調べ手続
- 弁論手続
- 判決の宣告
冒頭手続き
刑事裁判が開かれ、まず裁判官が被告人へ氏名・生年月日・住所・本籍・職業等を尋ね、本人確認をします(人定質問)。
次いで検察官が起訴状を読み上げ、刑事裁判の審理対象を明示します(起訴状朗読)。その後、被告人・弁護人側が起訴された罪を認めるか、それとも争うかを明らかにします(罪状認否)。
証拠調べ手続
検察官が証拠によって、証明しようとする事実を明らかにする手続が行われます(冒頭陳述)。なお、ケースによっては弁護人の冒頭陳述が行われる場合もあるでしょう。
検察官、被告人・弁護人がそれぞれ証拠を提出し、法廷で取り調べをします。
提出される証拠は主に次の通りです。
- 書証(供述調書、実況見物調書等)
- 物証(凶器、指紋等)
なお、証人や被告人への尋問も行われます。
弁論手続
検察官が証拠調べによる立証を終え、明らかとなった事実がまとめられます。被告人の処罰や量刑に関して、たとえば「被告人を懲役〇〇年に処するのが相当である」等と、検察官が求める刑罰を述べます(論告・求刑)。
弁護人は証拠調べによる立証を終え、明らかとなった事実をまとめます。被告人の処罰・量刑等について、たとえば「被告人に対し、執行猶予付き判決を求める」等と、弁護人が被告人の弁護を行います(弁論)。
最後に被告人が、事件に関する意見を述べます(最終意見陳述)。
判決の言い渡し
法廷での審理が終わったら、裁判所が被告人に対し判決を言い渡します。
- 被告人が罪を犯したのは間違いないと考えられる場合:有罪判決
- 被告人が罪を犯した確信が持てない場合:無罪判決
たとえ有罪判決になっても一律で実刑判決となるわけではなく、様々な事情を考慮し、執行猶予付き判決が言い渡される可能性もあります。
刑事事件の流れの中で重要な弁護士の存在
弁護士は被疑者を弁護する中で、いろいろな対応を行います。まずは被疑者の早期釈放を捜査機関に働きかけます。
逮捕直後なら被疑者が逃走・証拠隠滅するおそれはないと警察に主張し、在宅捜査にするよう求めます。もしも検察に身柄送検された場合、勾留は不要であると検察官へ主張します。
その他、被害者と示談交渉を行います。示談が成立すれば不起訴処分になる可能性も高くなります。被害者が合意できるであろう条件内容・示談金額を提案し、弁護士が示談に向けて最大限の努力を行います。
被害者が納得すれば合意書を作成し、被疑者(加害者)と被害者が合意書に署名・押印し、示談を成立させます。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、刑事事件の一般的な手順、刑事裁判はどのように進められるのか、弁護士に期待される対応等について詳しく解説しました。
早くから弁護士に弁護を依頼すれば、速やかに不起訴・減刑となるための活動を開始します。
ただし、弁護士が弁護活動を行うだけでは、被疑者にとってよい結果は得られません。
被疑者の真摯な反省と、誠心誠意の被害者への謝罪、捜査へ積極的に協力する姿勢を示していく必要があります。
刑事事件で逮捕されたら、速やかに弁護士へ相談し、最善の対応策について話し合ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。