離婚裁判で負ける理由は?敗訴後の流れ・対策ポイントも詳しく紹介
2024年12月28日
- 離婚裁判を検討している。裁判で負けてしまうケースについて詳しく知りたい。
- 離婚裁判で負けてしまったら、判決に従うしかないのだろうか?負けた後の対応について知りたい。
- 離婚裁判で負けないためのポイントがあれば教えて欲しい。
協議や調停でも離婚問題の解決が図れなかった場合は、離婚裁判(離婚訴訟)で解決を図れます。
ただし、裁判で離婚を決める以上、原告・被告のいずれかが勝訴または敗訴する可能性があります。
そこで今回は、離婚裁判に実績豊富な専門弁護士が、離婚裁判で負ける理由、負ける理由を作らないためのポイント等について詳しく解説しましょう。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚裁判で負ける理由として、法定離婚事由に該当しない、証拠不十分等があげられる
- 離婚裁判で負けても、一定の期間内に控訴は可能
- 離婚裁判を行う前に専門弁護士と相談し、負けないための対応を検討しよう
離婚裁判で負ける理由
離婚裁判で負けるケースには様々な理由が想定されます。裁判で認められる離婚事由は法律で制限されています。
また、離婚原因に関する十分な証拠がなければ、敗訴してしまう可能性が高いです。
法定離婚事由に当てはまらない
離婚裁判を行うには、離婚の原因が民法で定められた法定離婚事由に該当しなければいけません。
法定離婚事由は次の5つです(民法第770条)。
- 配偶者に不貞行為があった:配偶者が不倫相手と性行為を行った場合
- 配偶者から悪意で遺棄された:正当な理由がなく、家族に生活費を与えない等
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由がある:DVやモラハラ、セックスレス等で夫婦関係が破綻している場合
上記4つの法定離婚事由に該当しなくとも、離婚したい原因が「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認められれば、勝訴する可能性はあります。
たとえば、夫婦の性格の不一致が原因で離婚裁判を起こしただけでは、法定離婚事由に該当しません。
しかし、性格の不一致のため長期間別居していた場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる場合があります。
証拠が不十分
離婚の原因に関する証拠が不十分である場合、裁判で負ける可能性が高いです。
配偶者の不倫が原因で離婚を進める場合、離婚の他に慰謝料請求も望むならば、次のような証拠の提出が求められます。
- 配偶者と不倫相手の性行為の画像や動画
- 配偶者と不倫相手の性行為が推認できる画像や動画
- 配偶者の所持している妊娠や出産、中絶に関する証明書 等
性行為が推認できる証拠としては、配偶者・不倫相手が2人で、ラブホテルや不倫相手宅に出入りする現場の画像や動画があげられます。
裁判官から「不貞行為の動かし難い証拠だ。」と認められるような、証拠の提出が必要です。有力な証拠となるのは、やはり性行為の有無が確認できる画像・動画・書類となります。
画像・動画に関しては、一般人による撮影はかなり難しいので、探偵社に撮影を依頼した方がよいでしょう。
有責配偶者からの請求
有責配偶者(離婚する原因をつくった配偶者)からの訴えは、原則として認められません。
有責配偶者である事実を隠して訴訟提起しても、後日、不貞行為等をしていた事実が明らかになる場合もあるでしょう。
この場合、相手方が離婚を望んでいなければ、裁判所から訴えを却下されてしまう可能性が高いです。
条件が認められない
離婚裁判で離婚が認められそうでも、裁判で提示した条件(慰謝料・養育費・財産分与等)が認められない可能性はあります。
たとえば、不倫が原因で離婚する場合、慰謝料相場は100〜300万円です。多くの裁判では相場の範囲内で慰謝料請求が認められています。
しかし、慰謝料請求の金額を1,000万円にした場合は、「とても今回のケースに見合った金額といえない。」と判断される可能性が高いです。
慰謝料請求の金額を1,000万円と主張するだけの証拠の提出(例:不倫が非常に長期間にわたった、DVも行われていた等を裏付ける証拠)が求められます。
離婚裁判で負けた後の流れ
離婚裁判で敗訴した場合でも、いろいろな方法で離婚問題の解決が図れます。
敗訴したら「控訴」「再度の訴訟提起」「相手との交渉」を検討してみましょう。
控訴
離婚裁判で言い渡された判決に不満があるときは、判決書の送達を受けた日の翌日から14日までに、控訴を行いましょう。
控訴を希望するならば、まず控訴状を一審のあった家庭裁判所に提出する必要があります。更に控訴後50日以内に「控訴理由書」を高等裁判所へ提出しましょう。
控訴理由書を期限内に提出しなければ、高等裁判所で新たな主張を取り上げないおそれもあります。
なお、控訴審の第1回期日が開催されるまでに、控訴してから3か月くらいかかるケースもあります。
再度離婚訴訟を提起
離婚裁判の判決後の事情変更を理由に、再び訴訟を提起できる可能性があります。
離婚裁判で敗訴が確定すると、同じ離婚理由で再度裁判は提起できません。
ただし、離婚は認められなくとも夫婦の一方が家を出るケースや、またはすでに別居しているなら敗訴後も別居状態が続くケースもあるでしょう。
別居期間が長期間継続したら、再び離婚裁判の提起が可能です。再度離婚裁判を行うならば、調停からはじめるのではなく、離婚裁判から開始できる場合もあります。
時間をおいて交渉を進める
判決後に時間をおけば、再び相手と交渉の機会が訪れる可能性もあります。
たとえ離婚裁判に敗訴したとしても、相手と無理やり同居する必要はありません。
婚姻関係は継続しているので、相手に「婚姻費用分与請求」が可能です。すでに請求しているならば、相手に今後も婚姻費用の支払いを継続してもらいましょう。
婚姻関係が解消されない以上、別居していても互いに生活費等、婚姻費用分担を行う必要があります。つまり、収入の低い側から収入の高い側に、生活費等の請求が可能となるわけです。
離婚に反対する側が婚姻費用を支払う側だった場合、別居している側の生活費等の負担は、これまで通り必要となります。
離婚を拒否している側は、長期間の婚姻費用の負担に耐え切れなくなる場合もあるでしょう。
金銭的負担に耐えかねた相手は、離婚の交渉に応じたり、逆に相手側から交渉を申し込んできたりするかもしれません。
離婚裁判で負ける理由を作らないためのポイント
離婚裁判は、離婚するか否かを争うだけの場ではありません。離婚の決定は夫婦の合意でできますが、離婚条件に折り合いがつかない場合は、交渉や調停のような話し合いを重視し、解決を図っていく方法もあります。
柔軟に離婚のための対策を講じていけば、離婚が成立する可能性は高まります。
協議離婚や調停離婚で成立させる
夫婦の協議や調停の段階で和解する努力を行いましょう。
相手が離婚に一定の理解はあるものの、離婚条件に不満があって、話し合いが難航しているケースもあります。
その場合は、夫婦で離婚に合意した後、残っている離婚条件の問題について、調停による解決を図ることも可能です。
- 財産分与の割合に合意できない→財産分与請求調停
- 養育費の支給額や支給期間に合意できない→養育費請求調停
- 慰謝料の金額に合意できない→慰謝料請求調停
- 年金分割の割合に合意できない→年金分割の割合を定める調停
離婚調停の場合でも、離婚に合意はできるが、条件の中で互いに譲れない部分があるならば、離婚に合意してから個別の問題を交渉や調停で解決できます。
譲歩する
夫婦の協議や調停で大幅に譲歩する姿勢も、離婚問題を解決するポイントです。
たとえば、相手が離婚に一定の理解はあるものの、財産分与の割合に不満で、和解にまで至らない場合もあります。
財産分与が問題となっている場合、離婚裁判では共有財産を正確に把握したうえで、夫婦それぞれの収入を考慮し、分与割合を決めていきます。
一方、協議の場合は自由に取り決めが可能なので、離婚を最優先に考えるならば、相手に共有財産の全部を譲る方法も可能です。
大幅な譲歩を申し出れば、相手も歩み寄り和解を図れることでしょう。
高めの慰謝料を提示する
離婚の原因をつくった有責配偶者は、基本的に離婚裁判の提起が認められません。
しかし、有責配偶者からの協議の申し出や、離婚調停の申立ては可能です。相手が慰謝料請求の金額に不満を示している場合、高めの慰謝料を提示するのもよい方法です。
慰謝料請求の適正な金額がたとえ300万円でも、更に上乗せし500万円とすれば、相手も離婚に同意する可能性が高まります。
別居する
離婚裁判を行う前に、相手の同意を得て別居しましょう。
離婚したい側が有責配偶者でない場合、別居期間が5年以上経過すると、裁判官が「もはや婚姻関係の修復は困難」と判断し、裁判で離婚が認められる可能性もあります。
ただし、有責配偶者からの離婚請求が認められるのは、非常に困難です。
離婚請求が認められる条件として、次の3つ全てに該当しなければいけません。
- 有責配偶者が10年前後別居している
- 夫婦の間に未成熟子がいない
- 離婚が著しく社会正義に反するといえるような特段の事情もない
弁護士にアドバイスをもらう
どうしても離婚したい場合は、専門の弁護士に相談してみましょう。
弁護士は相談者の事情や夫婦の状態をヒアリングし、次のようなアドバイスを行います。
- 協議や調停で解決するメリット
- 裁判離婚を提起できる条件が揃っているか
- 協議や調停、裁判で有利にたつポイント
- 一定の譲歩を検討する必要性
- 敗訴後の対処法について 等
相談するうちに「弁護士を代理人にすれば、離婚できる可能性が高まる。」と感じたら、弁護士に代理人を依頼してみましょう。
弁護士が代理人になると、協議では依頼者の交渉役として相手の説得に努め、調停・裁判では依頼者の代わりに説得力のある主張を行います。
弁護士のサポートにより、離婚成立の可能性は高まることでしょう。
離婚裁判で負ける理由が気になるなら春田法律事務所まで
今回は裁判で離婚問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、離婚裁判で負けないためのポイント等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は、離婚裁判を得意とする事務所です。まずは弁護士と離婚裁判で負けないための準備、対応方法等について話し合いを行いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。