離婚調停での不利な発言を解説!行動・相談先・防ぐ方法も詳しく紹介

2024年12月28日

離婚調停での不利な発言を解説!行動・相談先・防ぐ方法も詳しく紹介

  • 離婚調停を申し立てた。調停期日に出席するとき注意すべき点を教えてほしい。
  • 離婚調停に出席中に、やめた方がよい行動を知りたい。
  • 離婚調停の前に、専門弁護士と相談した方がよいだろうか?

離婚調停は夫婦の協議がうまくいかなかった場合に、家庭裁判所に場所を移し和解を目指す解決方法です。

調停では裁判官と調停委員が仲立ちをしますが、軽率な発言をすれば、不利になることもあります。

そこで今回は数多くの離婚調停に携わってきた専門弁護士が、離婚調停で不利となるのはどのような発言・行動なのか、不利となる事態を防ぐ方法等について詳しく解説しましょう。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 調停で相手の悪口や矛盾したことをいうと不利になる
  • 調停期日に出席を拒否したり、調停が成立していない状態で子を連れ去ったりすると、非常に不利になる
  • 調停で不利にならないよう、専門弁護士と相談し対応方法を検討しよう

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚調停で不利になる発言とは

離婚調停を申し立てた場合、2週間程度で申立人と相手方に「呼出状」が届きます。

呼出状で指定された調停期日に出席し、調停委員の事情聴取を受けなけれなりません。事情聴取のときは、軽率な発言に注意しましょう。

悪口・批判

調停期日に出席した場合、調停委員の前で相手の悪口をいうのはやめましょう。

感情的な発言をすると「これ以上、夫婦間の和解は進められない」と判断されてしまうおそれがあります。

次のような点について発言するとき、冷静に言葉を選ぶ必要があります。

  • 相手との離婚を決意した原因の説明:相手の不倫やDV・モラハラ等に言及
  • 相手の責任を裏付ける主張や証拠の提示
  • 調停でどのような離婚条件を望むか:親権を得たい・慰謝料を請求したい等

相手について語るときに強いストレスを感じる場合は、別の方法を検討した方がよいです。

矛盾した発言

調停の場で発言するときは、一貫した主張を心がけましょう。

希望する離婚条件が、調停委員の事情聴取中に二転三転すると、相手との条件調整に難航してしまいます。

希望する離婚条件をしっかりと決めたうえで、矛盾した発言を避けて、主張する必要があります。

固執した発言

一貫した主張は大切ですが、状況に応じて柔軟な対応も必要です。

たとえば、共有財産を配分する「財産分与」の割合の件で、夫婦が揉めているケースを考えてみましょう。

  • 申立人→パート従業員で収入が不安定であり、共有財産の7割を希望している
  • 相手→正社員で高所得者だが、財産分与の割合は2分の1ずつ分けるのが一般的なので、共有財産の5割を希望している

財産分与の割合に双方が固執すれば、和解が成立せず、調停不成立となってしまいます。

調停成立を目指したいのであれば、たとえば、双方が1割ずつ譲歩し、申立人6割・相手4割で歩み寄る姿勢が求められます。

他の異性との交際がわかる発言

調停期日に誤解を招くような発言は避けましょう。

当初は夫婦の性格の不一致で調停を申し立てたにも関わらず、他の異性との交際をほのめかす発言は要注意です。

調停委員から、実際に交際の事実はあるものと判断されてしまう可能性があります。

他の異性との不倫をしていると認められた場合、慰謝料請求を受けたり、裁判で解決するときの法定離婚事由となったりするおそれがあります。

軽率な発言は避け、調停で和解したい旨を誠実に主張する姿勢が大切です。

離婚調停で発言以外の不利になる行動

調停期日での軽率な発言だけではなく、調停中は軽率な行動も避ける必要があります。

調停での話し合いに納得できないからといって、出席を拒否したり、調停の行き詰まりに苛立ち子を連れ去ったりしてはいけません。

調停を欠席する

調停期日には、原則として夫婦双方が出席しなければなりません。

調停の流れは、夫婦が1人ずつ調停室に入り、調停委員が交互に事情聴取する方法が取られます。

しかし、調停期日に調停相手と会うのが嫌で出席を拒否したいと思う場合もあるでしょう。

無断欠席をしてもペナルティはありませんが、裁判官や調停委員の心証は悪くなり、調停で不利な立場となってしまうかもしれません。

2〜3回続けて無断欠席すると、満足に話し合いができない状態になり、調停不成立となる場合もあります。

やむを得ない理由があって出席できないときは、家庭裁判所へ事前に欠席する旨を伝えましょう。次回の期日には出席する旨を伝えれば、調停期日は次回以降に持ち越しとなります。

本人は欠席するが調停を進めたいという場合は、弁護士に代理人として出席してもらうなど、別の方法を検討しましょう。

相手への直接連絡

相手に直接連絡し離婚を話し合う方法は避けた方がよいです。

調停期日は1か月に1回程度開かれるのが一般的です。ある程度時間があいてしまうので、調停外で相手に直接連絡を取り、話し合いたいと思うこともあるでしょう。

しかし、相手から調停外の話し合いを拒否される可能性があるだけでなく、たとえ相手が話し合いに応じても、合意に至るような進展があるとは限りません。

相手への連絡が執拗に話し合いを持ちかけたと取られると、ストーカー規制法違反や迷惑行為防止条例違反等に問われるおそれもあります。

子どもを連れ去る

子の親権をどちらが持つかで揉めている場合、子を連れ去るような軽率な行動は厳禁です。

調停で親権をどちらにするか夫婦双方が譲らず、苛立って子を連れ去っても、話し合いで有利にはなりません。

たとえ子の親でも、強引な連れ去り方をすれば、刑事事件に発展する可能性があります。

配偶者以外との交際

離婚調停を進めている最中に、配偶者以外の異性と交際している事実が発覚すると、非常に不利な立場となります。

次のような軽率な行動は控えましょう。

  • 交際相手をつくり、頻繁に自宅やラブホテルで性行為をしている
  • 交際相手と同棲を開始した

調停中であっても、まだ婚姻期間は継続しています。そのため、離婚の合意も得られない状況で、新たな異性との交際や同居をすれば、不倫(不貞行為)と判断されてしまう可能性があります。

不倫(不貞行為)に該当するか否かはケースバイケースで判断されますが、離婚調停が成立するまでは、配偶者以外との異性との交際や同居は避けましょう。

離婚調停での不利な発言が心配なときの相談先

離婚調停を行う前に、離婚に関する相談は様々な窓口で行えます。

主に「地方自体の相談窓口」「法テラス」「法律事務所」を利用してみましょう。

自治体

お住まいの市区町村役場の中には、離婚を含めた家庭の問題に関する相談窓口が設けられているところもあります。

相談窓口の担当者は、弁護士等が当番制で対応しているケースがほとんどです。

離婚調停を進めるときに注意しなければならない点について、有益なアドバイスが得られるでしょう。

地方自体の相談窓口の特徴は次の通りです。

  • 相談料:無料
  • 相談時間:30分程度
  • 担当者:弁護士等
  • 利用制限:住民なら誰でも相談可能
  • 相談方法:事前予約
  • 相談可能日:特定の曜日に限定されている場合が多い
  • 相談時間:開庁日以外は相談不可能
  • 相談回数:「〇か月に1回相談可能」と上限を設けている場合もある

相談は1人30分程度と短時間です。そのため、質問事項を事前にメモ書きして、時間内に有益なアドバイスが得られるよう工夫しましょう。

法テラス

正式名称は「日本司法支援センター」で、法務省所管の法人です(法テラスは通称)。

法テラスは離婚をはじめとした法律問題で悩む人たちが、より身近で法律相談を受けられるようにと設立された窓口です。47都道府県すべてに相談窓口が設けられています。

離婚調停をはじめとした様々な質問ができる相談窓口となっています。

なお、経済的に余裕のない相談者は「民事法律扶助制度」の利用が可能です。民事法律扶助制度を利用すれば、弁護士等の無料法律相談を受けられます。

法テラスの無料法律相談の特徴は次の通りです。

  • 相談料:無料
  • 相談時間:1回30分程度
  • 担当者:弁護士等
  • 利用制限:一定の収入・資産以下の人
  • 相談方法:事前予約
  • 相談回数:同一の問題につき、3回まで無料相談可

法テラスでも無料相談は可能ですが、相談時間は1回30分程度となっています。効率的に相談を進めていきましょう。

法律事務所

法律事務所でも、離婚調停に関する相談が可能です。初回相談を無料で利用できる事務所もあります。

法律事務所の法律相談の特徴は次の通りです。

  • 相談料:30分5,000円程度が相場(初回相談無料のところもある)
  • 担当者:弁護士等
  • 利用制限:誰でも利用可
  • 相談方法:事前予約
  • 相談回数:無制限

相談料は30分5,000円程度ですが、相談時間は延長できる場合があります。最初から1時間の予約(1万円程度)を行うことも可能です。

弁護士は相談者の事情を聴いたうえで、次のアドバイスを行います。

  • 離婚調停の進め方
  • 離婚調停に出席する場合の心得:身だしなみに気を付ける、落ち着いて発言する等
  • 離婚調停で証拠を提出する必要性
  • 離婚調停が不成立となった場合の対応 等

弁護士と相談して「調停に臨むときは、この弁護士に代理人を任せたい」と思ったときは、そのまま委任契約を締結してもよいです。

離婚調停での不利な発言を防ぐ方法

離婚調停で不利な発言をしないために、調停前にしっかり主張をまとめることと、主張を裏付ける証拠の収集が必要です。

調停前に弁護士と委任契約を締結し、希望する離婚条件をまとめて伝えたうえで、依頼者の代わりに意見を述べてもらい、証拠の提出を任せるのもよい方法です。

冷静な対応

調停委員の事情聴取を受けるときは、冷静沈着に自分の主張を述べましょう。

相手に関することに話題が及ぶと、感情的になり激高したり、泣き出したりするおそれもあります。感情を何とか抑えて、調停委員の質問に答えましょう。

感情が高ぶり正常に意見を述べられるか不安なときは、弁護士が同席し、代わりに離婚条件を主張することも可能です。

また、当事者が調停期日に出席する必要がある場合を除き、代理人の弁護士だけが出席し、意見を述べることもできます。

裁判を意識した発言

離婚調停で離婚に合意できるとは限りません。そのため、裁判も意識した発言を行いましょう。

離婚したい理由が相手の不倫の場合は、不倫の証拠を提出したうえで、慰謝料を請求する正当性について主張します。

不倫は民法に明記された法定離婚事由の1つである「配偶者に不貞な行為があったとき」に該当します(民法770条)。

不倫の証拠を調停の段階から提出しておけば、調停不成立の場合、裁判離婚(離婚訴訟)での解決に役立ちます。

調停委員は提出された証拠で、不倫を十分証明できると判断すれば、次のように相手を説得するでしょう。

  • 動かし難い不倫の証拠が提出されている
  • たとえ和解に合意しなくとも、訴訟に進めば圧倒的に不利な立場となる

調停委員の説得を受けた相手は、和解に納得し、調停成立となる可能性があります。

出典:民法 | e-Gov法令検索

主張の根拠の提示

離婚調停で説得力のある主張を行いたいのであれば、できるだけ多くの証拠を収集し、提出しましょう。

相手のDVが原因で離婚調停を行う場合、次のような画像・動画や書面が有力な証拠となります。

  • 相手と配偶者以外の異性との性行為または性行為が推認できる画像や動画
  • 相手が所持していた妊娠や出産・中絶に関する証明書

性行為が推認できる画像や動画とは、相手と配偶者以外の異性の2人でラブホテルに出入りする画像や動画等が該当します。

ただし、画像や動画の撮影は非常に難しいので、探偵社に撮影を依頼した方がよいでしょう。その他にも、SNSやメール上の不倫に関するやりとり、ラブホテルのスタンプカード等も集めておきましょう。

弁護士への依頼

離婚調停を一人だけで進めていけるか不安な場合は、弁護士を代理人に立てましょう。

弁護士は次のような役割を担います。

  • 調停申立書や提出書類の作成や収集・申立手続きの代行
  • 調停期日の進め方や効果的な主張方法をアドバイス
  • 譲歩の内容に関するアドバイス
  • 調停期日に同席し依頼者の側に立ち主張、依頼者の代わりに出席も可能
  • 調停不成立の場合、離婚訴訟の提起の準備 等

弁護士を代理人にすれば弁護士費用として、約55〜130万円かかります。その分、スピーディかつ有利に問題解決を図れる可能性が高まるでしょう。

離婚調停での不利な発言が心配なら弁護士に相談を

今回は離婚調停に尽力してきた専門弁護士が、離婚調停で不利となる事態を防ぐポイント等について詳しく解説しました。

法律事務所の中には、初回相談を無料で提供している事務所もあります。まずは気軽に相談し、離婚調停に関する不安や悩みを打ち明けてみましょう。

離婚に強い弁護士はこちら

離婚のコラムをもっと読む

※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。