盗撮で自首するメリットは?逮捕・報道の回避や不起訴の可能性について解説

最終更新日: 2024年10月29日

盗撮で自首するメリットは?逮捕・報道の回避や不起訴の可能性について解説

盗撮は犯罪であり、もちろん許される行為ではありません。
しかし、盗撮をしてしまい、いつ逮捕されるのか、家族や職場にバレてしまうのではないかと不安になり、自首を考える人もいらっしゃるでしょう。

今回は、盗撮事件の弁護を多く取り扱う弁護士が、盗撮事件における自首について、メリットやデメリットを詳細に説明をいたします。

刑事事件に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

弁護士 南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部卒業
京都大学法科大学院卒業
大阪市内の総合法律事務所勤務
当事務所入所

詳しくはこちら

盗撮で自首しなければどうなるの?

まずは、盗撮行為をした後、自首をしなければどうなるのか、考えてみましょう。

  • 盗撮が捜査機関に発覚する場合
  • 盗撮が発覚した場合に起きること

盗撮が捜査機関に発覚する場合

盗撮事件では現行犯逮捕されるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は、盗撮事件において後日逮捕されることも少なくはありません。

たとえば、次のような場合には、事件が捜査機関に発覚し、犯人として特定される可能性が高いでしょう。

防犯カメラが存在する

まずは、防犯カメラが存在する場合です。

犯行の様子・態様や、犯行をした人物の顔や服装などが映像として記録されていることが想定されます。

犯行時刻や逃走経路も映っている場合、交通ICカードの利用履歴などによって、犯人を特定することは比較的容易といえます。

物的証拠を残している

犯行発覚を恐れて焦った盗撮犯人が、スマホや財布、鞄などを落としていってしまいことも、しばしばあります。

上記のような物的証拠を残してしまった場合、これらの証拠から犯行が発覚し、後日逮捕につながる可能性があります。

目撃情報がある

盗撮した犯人が、被害者や目撃者と面識があったり、顔見知りであった場合には,被害者や目撃者からの通報によって、犯行が発覚する可能性があるでしょう。

盗撮が発覚した場合に起きること

では、捜査機関に、盗撮が発覚した場合、どのようなことが起きるでしょうか。

まず想定されるのは、後日の逮捕です。
証拠を確保し、犯人を特定した警察によって、ある日突然逮捕される可能性があります。

この後日逮捕の可能性があることから、盗撮をしてしまった人たちは、不安を抱えながら生活を続けなければならない状態になります。

また、警察が、自宅や職場にやってくる可能性もあります。
自宅や職場を捜査対象とされた場合には、家族や職場の同僚らに犯行が発覚してしまう可能性があるのです。

盗撮事件で自首をする4つのメリット

盗撮事件で自首をする4つのメリットここまで、盗撮が発覚する流れや、盗撮が発覚した場合に起きる事態について説明いたしました。

では、自首をすれば、どのようなメリットがあるのでしょうか。

自首をするメリット
  1. 逮捕を回避できる可能性が高まる
  2. 不安な生活から解放される
  3. 最終的な処分に影響を与える(不起訴の可能性)
  4. 報道を回避できる可能性が高まる

逮捕を回避できる可能性が高まる

自首をすることで逮捕を回避できる可能性が高まります。

そもそも、何らかの罪を犯したからといって、必ずしも逮捕されるわけではありません。
逮捕には、刑事訴訟法199条2項に定められた要件があり、この要件を充足しなければ、逮捕は認められません。

具体的には、「被疑者が逃亡するおそれ」、「罪証を隠滅するおそれ」(刑事訴訟規則143条の3)が逮捕の要件とされています。

自首は、自ら進んで捜査機関に自身の犯罪を打ち明ける行為ですから、「逃亡のおそれ」が乏しい(もしくは,おそれがない)と評価される可能性が高く、結果として、逮捕を回避できることにつながるのです。

不安な生活から解放される

冒頭でもお伝えしたとおり、盗撮に限らず罪を犯した人は、いつバレるのだろうか、いつ逮捕されるのだろうかとビクビクとしながら暮らさなければなりません。

自首をして、正直に罪を告白し犯行を認めることで、ビクビクした生活から解放され、心の負担は軽減されるでしょう。

また、逮捕回避の可能性が高く、在宅での取調べが続きますから、そう言った意味でも不安な生活からは解放されるでしょう。

最終的な処分に影響を与える(不起訴の可能性)

これまで、「自首」という言葉を用いて説明をしてきましたが、「自首」には、法律上の自首と、そうではない自首が存在します。

法律上の自首は、単に警察に出頭して罪を告白するだけでは成立しない場合があり、この記事では割愛いたしますが、いくつかの要件を満たす必要があります。

刑法42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を軽減することができる。」と規定しています。

つまり、法律上の自首が成立した場合、最終的な刑に影響を与える可能性があることが法律上も認められています。

では、法律上の「自首」には当たらない自首の場合は、どうでしょうか。
この場合も、捜査機関は、犯人が自ら罪を認め、捜査機関に出向いたことを有利に事情として評価し、最終的な処分に影響を与える可能性があるといえます。

たとえば、盗撮事件の初犯の場合、示談などができなければ基本的には罰金刑となりますが、自首をすることで有利な判断がなされる場合も多く、示談ができていない場合でも、その他の事情次第では、不起訴を獲得できることもあります。

報道を回避できる可能性が高まる

逮捕された場合、実名報道がなされてしまうおそれがあります。
他方、在宅で捜査が進んだ場合には、盗撮事件において実名報道される可能性は低いといえます。

盗撮で自首をするデメリットは?

盗撮で自首をするデメリットは?では、盗撮で自首をすることにデメリットはないのでしょうか。

自首をするデメリット
  1. 周囲の人に事件を知られる可能性がある
  2. 警察に事件が発覚してしまう

周囲の人に事件を知られる可能性がある

捜査機関に出向き、自身の罪を申告した場合、逮捕を回避できる可能性は高まります。
ただし、自宅に戻る際に、家族や上司などの身柄引受人を求められることが原則であり、これによって、周囲の人に事件が発覚してしまうこともあり得ます。

なお、自首に弁護士が同行する場合には、同行した弁護士が、身柄引受人となることもあり得ます。

警察に事件が発覚してしまう

もちろん自首をするので、警察に事件が発覚してしまうことは当然です。

ただ、たとえば、携帯電話のデータを復元することなどで、自分が思っていた以上の犯罪が成立してしまうことも、否定はできません。

また、上記のとおり、自首をしたとしても「刑を減刑することができる」と定められているので、自首をしても絶対に不起訴になるわけではなく、罰金刑などの前科が課されるこおそれもあるのです。

盗撮の自首は弁護士に相談を

盗撮の自首は弁護士に相談をこれまで、自首のメリットやデメリットについて説明をしてきました。

では、自首について、弁護士に相談をするべきなのでしょうか。
自首は、弁護士がいなくとも、自分で警察に出頭すれば可能です。
しかし、以下の理由から、自首について悩んでいる場合には、弁護士に相談することが望ましいです。

自首の判断や方針を検討できる

上記のとおり、自首にはメリットのみならず、デメリットも存在します。

たとえば、本人は盗撮をしたと思っていても、厳密に事案を分析すれば、特に犯罪行為には該当しないようなケースもあります。
そういった場合には、自首をする必要はないでしょう。

他方、自首を考えたとしても、周囲の人に影響が及ぶのか、前科がつく可能性があるのか等を考えると、なかなか踏ん切りがつかないという相談もよく耳にします。
こういったケースでは、冷静かつ客観的に、弁護士からアドバイスを受けることで,気持ちの整理ができ、自首を決断できることもあるでしょう。また、家族や職場への説明など事前の準備を進めやすくなります。

そういった意味で、自首をすべき事案なのか否か、自首をする場合のタイミングや事前準備などのアドバイスを受けるためにも、弁護士への相談は重要と考えます。

捜査機関への適切な説明や対応が可能

また、いざ自首をするとしても、警察にどのように連絡して、どのような説明をすればよいのか、何をどこまで話せばいいのか、当日はどんなことを聞かれるのか等、不安は尽きないでしょう。

自首について、弁護士に相談・依頼することで、警察への連絡窓口となってもらい、当日も自首に同行してもらうことが可能です。

取調べ自体に同席することは基本的にできませんが、弁護士を同行して自首することで、精神的な安定を得られるのみならず、事実上、身柄拘束をされにくいとのメリットもあるでしょう。

盗撮の自首事例のご紹介

盗撮の自首事例のご紹介最後に、盗撮の自首の事例を2つご紹介いたします。

  • 身柄拘束を回避し示談によって不起訴となった事例
  • 被害者が特定されなかったものの自首が評価され不起訴となった事例

身柄拘束を回避し示談によって不起訴となった事例

自首によって身柄拘束を回避した事案です。

弁護士が相談を受けた時点では捜査機関に犯人も犯行自体も発覚している可能性が極めて高い事案でした。

ただ、相談者のところには直接警察からの連絡が来ておらず、相談者は不安な日々を過ごしていました。

そこで、相談者との協議のうえ、自首をするとの方針を決定し、弁護士が警察署に同行しました。
厳しい取調べを受けたようですが、当日に自宅に戻ることができ身柄を拘束されることはありませんでした。

後日、被害者との間で示談が成立し、最終的には自首をしたことも評価され、検事は不起訴処分(起訴猶予)との判断をしました。

被害者が特定されなかったものの自首が評価され不起訴となった事例

最後まで被害者が特定されなかった事案です。

盗撮事件においては、被害者と示談することが不起訴処分獲得のための重要な要素ですが、この件では、捜査機関は最後まで被害者を特定することができませんでした。
そのため、弁護士としても示談をすることが、不可能でした。

通常であれば、示談ができなければ、被害回復ができていないとの評価により罰金刑が科されることも想定されます。

被疑者が自首をしたことと、再犯防止のための努力を続けていることを検察官にアピールした結果、最終的には不起訴処分(起訴猶予)を得ることができました。

まとめ

今回は盗撮事件の自首についてお話ししましたが、いかがだったでしょうか。

できる限り早く自首をすることで身柄拘束を避ける可能性が高まり、精神的にも落ち着いた生活を取り戻すことも可能です。

自首について悩んでいる場合には、早めに弁護士にご相談ください。

刑事事件に強い弁護士はこちら

盗撮のコラムをもっと読む

※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。