窃盗での逮捕が家族に与える影響は?最小限にするための対策

最終更新日: 2025年09月25日

窃盗での逮捕が家族に与える影響は?最小限にするための対策

家族が窃盗事件を起こした場合、その影響は本人だけでなく、家族全員に及びます。

学校や職場、近所との関係が悪化することや、子供の進学・就職への悪影響、経済的な負担、精神的なダメージなど、生活全般に深刻な変化が生じることも少なくありません。

しかし、早い段階で弁護士に相談することで、家族への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

この記事では、窃盗事件が家族に与える具体的な影響と、取るべき対策、弁護士のサポート内容をわかりやすく解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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窃盗事件が家族に及ぼす影響

家族が窃盗事件を起こした場合、その影響は予想以上に広範囲に及びます。

直接的な刑事処分だけでなく、社会的立場、経済状況、家庭内の関係にまで大きな変化が生じる可能性があります。

社会的影響

まず深刻なのが、周囲からの信用低下です。逮捕の事実や事件内容が職場や近所、子供の学校に伝われば、長年築いてきた信頼関係が一気に崩れることがあります。

特に、実名報道やインターネット記事に名前や住所が掲載された場合、半永久的に情報が残り続けるため、将来的にも転職や引っ越し、進学時の調査などで影響が及ぶおそれがあります。

過去の事例では、地域社会での孤立を避けるため、引っ越しや転校を余儀なくされた家族も少なくありません。

経済的影響

事件対応には多くの場合、示談金や賠償金、弁護士費用が必要です。

数万円から数十万円の示談金が発生することもあれば、裁判になればさらに費用がかさみます。本人が逮捕により職を失えば、世帯収入が急減し、住宅ローンや学費の支払いが困難になる家庭もあります。

特に生活の大黒柱が事件を起こした場合、短期間で経済的に追い詰められるケースもあります。

精神的影響

突然の警察からの連絡や逮捕の知らせは、家族に大きな精神的ショックを与えます。怒りや悲しみ、恥ずかしさ、将来への不安が重なり、家族関係がぎくしゃくすることもあります。

中には、うつ症状や不眠、食欲不振など、心身に不調をきたす家族もいます。周囲の視線や噂話が心理的負担となり、人間関係を避けるようになるケースもあります。

法的影響

原則として、家族が本人の犯行に関与していなければ刑事責任を問われることはありません。

ただし、証拠隠滅や逃亡を手助けした場合は、家族も罪に問われる可能性があります。さらに、本人が支払えない場合、被害弁償を家族が立て替えることは珍しくありません。こうした場合、家計への影響は避けられません。

よくある状況と対応例

例1:夫がスーパーで万引きし逮捕されたケース

夕方、スーパーから警察に通報があり、夫が生活用品をレジを通さず持ち出そうとして現行犯逮捕されました。警察からの突然の連絡に妻は動揺し、「子供や近所に知られたら…」という不安が頭をよぎりました。

妻はすぐに弁護士へ相談。弁護士はその日のうちに夫と接見し、動機や経緯を確認。本人も窃盗の事実を認めて反省し捜査に協力することを誓約していること、妻も身柄引受人として本人の監督を捜査機関に約束する旨の身柄引受書を作成の上、捜査機関に意見書を提出したところ早期釈放。初犯で被害額が少額だったため、店舗側と示談交渉を開始しました。

数日後、謝罪文と被害弁償金を提示し、示談成立。報道は避けられ、不起訴処分となりました。

例2:社会人の娘が職場で窃盗し逮捕されたケース

会社のロッカーから同僚の財布を盗んだとして、社会人の娘が同僚の通報で警察に逮捕されました。母親は「職場や取引先に知れたら一生の傷になる」と強い不安を感じました。

逮捕翌日に弁護士へ依頼。弁護士は接見で娘から事情を聴取し、金銭的なトラブルや職場でのストレスが背景にあったことを確認。被害者への謝罪と全額弁償を提案し、弁護士が間に入って直接交渉しました。

また、勾留延長を防ぎ早期の身柄解放を求めるための申立てを行い、逮捕から4日後に釈放が認められました。その後の裁判では反省文や更生計画書を提出し、執行猶予付き判決となりました。

 

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

弁護士に依頼するメリット

報道回避の交渉

事件の内容や被害者の意向によっては、実名報道を避けられる場合があります。弁護士はマスコミ対応や警察への要請を通じ、プライバシーを守るための働きかけを行います。

示談交渉による刑事処分軽減

被害者と示談が成立すると、不起訴や執行猶予など、刑事処分が軽くなる可能性が高まります。弁護士は被害者との連絡や条件交渉を代理し、感情的な対立を避けながら解決を図ります。

早期釈放

弁護士は接見を通じて事実関係を確認し、勾留延長を防ぐための申立てを行います。これにより、家族が早く日常生活に戻れる可能性があります。

家族への精神的支援

事件の流れや今後の見通しをわかりやすく説明してもらえることで、不安や混乱が和らぎます。刑事事件は初めてという家族にとって、心理的な支えは非常に大きいものです。

プライバシー保護

外部に知られない形で手続きを進める工夫や助言も受けられます。たとえば職場や学校への説明方法、近隣への対応方法などのサポートも可能です。

弁護士費用の基本知識

刑事事件の弁護士費用は、事務所や案件内容によって異なります。主な項目は次の通りです。

  • 相談料:初回無料の事務所も多く、30分5,000円程度が相場です。
  • 着手金:事件対応を開始するための費用で、示談交渉や裁判ごとに設定されます。
  • 報酬金:事件解決後、成果に応じて支払う費用。不起訴や刑の軽減などが該当します。
  • 実費:交通費や郵送料、書類取得費などの諸経費です。

支払い方法は一括払いが基本ですが、分割払いに応じる事務所もあります。契約前に総額や支払い条件を必ず確認しましょう。

家族ができるサポート

窃盗事件は本人だけでなく家族にも深い影響を及ぼしますが、家族が積極的にサポートすることで、精神的な安定や更生への道筋が早まることがあります。

まず大切なのは、正確な情報収集です。警察や弁護士から事件の経過や今後の手続きについて説明を受け、誤った情報や噂に惑わされないようにします。

被害弁償や謝罪文の作成に協力することも、示談成立や刑事処分の軽減につながります。金銭的な負担は大きいですが、長期的に見れば家族の生活再建を早める投資になります。

また、再犯防止の支援として、生活環境や人間関係の見直し、必要に応じたカウンセリングや治療の手配も有効です。本人が再び社会でやり直せるよう、冷静かつ長期的な視点で関わることが求められます。

よくある質問(FAQ)

Q.家族が窃盗で逮捕されたら、住所や名前は必ず報道されますか?

必ずではありませんが、重大事件や常習性がある場合は報道される可能性があります。弁護士の介入で回避できる場合もあります。

Q.家族が逮捕されたら、家族まで罪に問われますか?

通常は問われませんが、証拠隠滅や犯人隠避に関与した場合は処罰対象になります。

Q.子供の学校や進学に影響はありますか?

学校内で噂が広がったり、推薦入試や就職活動で不利になる場合があります。

Q.示談金は家族が払う必要がありますか?

本人が支払えない場合、家族が立て替えるケースが多いです。

まとめ

窃盗事件は、本人だけでなく家族にも大きな影響を与えます。早期に弁護士へ相談し、適切な対応を取ることで、家族の生活や将来を守ることが可能です。

法律事務所は秘密厳守で相談できるので、迷わず行動に移すことが大切です。

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