器物損壊で不起訴になるには?示談の流れと弁護士に相談するメリット

2026年02月06日

器物損壊で不起訴になるには?示談の流れと弁護士に相談するメリット

器物損壊事件を起こしてしまい、今後の手続きや刑事罰に不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご自身の行為が犯罪にあたるのか、警察から連絡が来たらどうすれば良いのか、前科がついてしまうのかなど、さまざまな疑問や悩みを抱えていることと思います。特に、就職や将来への影響を考えると、何としても不起訴処分を獲得したいと強く願うのは当然です。

器物損壊罪は、被害者からの告訴がなければ起訴されない「親告罪」という特殊な性質を持っています。そのため、被害者との間で示談を成立させ、告訴を取り下げてもらうことが不起訴処分を獲得するための最も重要な鍵となります。

本記事では、器物損壊事件で不起訴を目指すために不可欠な示談の具体的な流れ、示談金の相場、そして専門家である弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。この記事が、皆さまの不安を解消し、具体的な解決への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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器物損壊で不起訴を目指すなら被害者との示談成立が最重要

器物損壊事件において、刑事処分として不起訴を獲得するためには、被害者との示談成立が何よりも重要です。

器物損壊罪は刑法第261条に定められており、他人の物を損壊したり、その効用を害したりする行為を指しますが、この犯罪は「親告罪」という特別な性質を持っています。親告罪とは、被害者からの告訴がなければ検察官が被疑者を起訴できない犯罪のことです。

したがって、被害者との示談が成立し、被害者が告訴を取り下げてくれれば、検察官は法的に起訴することができなくなり、確実に不起訴処分となります。これは加害者にとって前科がつくことを回避できる最も確実な方法です。

また、たとえ被害者が告訴を取り下げてくれなかったとしても、示談が成立している事実は非常に重要です。示談交渉を通じて被害弁償が行われ、加害者が心から反省し、被害の回復に努めたという事実は、検察官が起訴・不起訴を判断する上での有力な情状となります。検察官が「今回は起訴するまでもない」と判断すれば、「起訴猶予」という形で不起訴処分となり、やはり前科がつくことを回避できます。このように、示談は不起訴処分を獲得するための鍵となるのです。

そもそも器物損壊罪とは?

器物損壊罪は、刑法第261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊し、又は傷害した者」が処罰の対象となります。ここでの「損壊」とは、物理的に物を破壊することだけを指すわけではありません。物の効用を害する一切の行為が該当し、非常に広い意味で解釈されます。

例えば、食器に放尿する行為は、物理的に壊れていなくても衛生上使用できなくなり、効用が害されるため器物損壊罪にあたります。また、他人の車のタイヤを隠してしまい、車を運転できなくすることも、一時的に車の効用を害したとみなされ、器物損壊罪が成立する可能性があります。その他にも、建物への落書き、衣服へのインクの塗布、データやプログラムの消去なども「損壊」に含まれることがあります。

器物損壊罪について、詳しくは以下の記事も参考にしてください。

放尿行為も器物損壊? 器物損壊罪とは

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成立要件と罰則

器物損壊罪が成立するためには、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。

①他人の所有物であること:壊された物が、加害者以外の人物の所有物である必要があります。自分の物を壊しても器物損壊罪にはあたりません。ただし、差し押さえられた自分の物など、例外的に他人の物とみなされるケースもあります。

②損壊または傷害する行為があること:前述の通り、物理的な破壊だけでなく、物の効用を害する行為全般がこれにあたります。

③加害者に故意があること:最も重要な要件の一つが「故意」です。加害者が、その物を損壊する意図や、損壊しても構わないという認識を持っていた場合にのみ罪が成立します。誤って物を壊してしまった、いわゆる「過失」による行為では器物損壊罪にはなりません。例えば、道を歩いていてうっかり他人の植木鉢を倒して割ってしまった場合は、器物損壊罪には問われません。

これらの要件を満たした場合、器物損壊罪の罰則は刑法第261条に基づき「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」に処せられます。

親告罪であることの重要性

器物損壊罪は「親告罪」に分類される犯罪であり、この点が事件解決において極めて重要です。親告罪とは、被害者からの告訴がなければ検察官が公訴(起訴)を提起できない犯罪のことを指します。つまり、被害者が「加害者を罰してほしい」と正式に告訴しなければ、刑事裁判になることはありません

この特性がなぜ重要かというと、示談交渉を通じて被害者と合意に至り被害者が告訴を取り下げることに同意すれば、検察官は法的に事件を起訴できなくなるからです。

示談しない場合のリスク|逮捕・起訴の可能性

被害者との示談交渉を行わなかった場合、加害者は複数の深刻なリスクに直面することになります。まず、被害者が警察に被害届や告訴状を提出することで、警察による捜査が本格的に始まり、加害者が逮捕・勾留される可能性が高まります。逮捕されると、警察署の留置施設などで身柄を拘束され、日常生活から切り離されてしまいます。

勾留が決定すれば、身柄拘束はさらに長期間に及び、職場や学校に事件が知られてしまうリスクが非常に高まります。その結果、会社を解雇されたり、学校を退学させられたりといった、社会生活上の深刻な不利益を被る可能性があります。刑事事件が発覚することによる精神的負担も計り知れません。

さらに、示談が成立していない状況では、検察官は加害者が自身の行為を反省していない、あるいは被害の回復に努めていないと判断する可能性が高くなります。この場合、検察官は加害者を起訴する判断を下しやすくなります

起訴されれば刑事裁判を受けることになり、有罪判決を受ければ前科がつくことになります。前科は就職や転職、海外渡航などに大きな影響を及ぼし、その後の人生において様々な場面で不利益を被る可能性があります。これらのリスクを避けるためにも、示談交渉は極めて重要なのです。

器物損壊で逮捕されるケースやその後の流れについては、こちらの記事で解説しています。

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器物損壊事件の示談の流れを4ステップで解説

器物損壊事件を起こしてしまい、被害者との示談交渉を進めなければならないという状況は、非常に心労を伴うものです。特に、刑事事件の経験がない方にとっては、どのように交渉を進めていけば良いのか、何から手をつけて良いのか分からず、大きな不安を感じるかもしれません。加害者の方がご自身で交渉を進めることは非常に困難であり、通常は弁護士を介して行うことが一般的です。弁護士は、被害者の感情に配慮しつつ、法的な知識に基づいた適切な交渉を行うことで、円滑な示談成立を目指します。

このセクションでは、器物損壊事件における示談交渉の具体的なプロセスを4つのステップに分けて詳しく解説していきます。これらのステップを理解することで、示談交渉の全体像を把握し、不起訴処分獲得に向けた具体的な行動を起こすきっかけにしていただければ幸いです。

ステップ1:弁護士を通じて被害者に謝罪と連絡

示談交渉の最初の、そして最も重要なステップは、被害者の方への誠意ある謝罪と、交渉に向けた連絡をすることです。しかし、事件直後の被害者の方は、加害者に対して強い怒りや恐怖心を抱いていることがほとんどです。そのため、加害者ご自身が直接連絡を取ろうとしても、感情的になりやすく、拒絶されてしまうケースが少なくありません。場合によっては、連絡自体が更なる被害感情を煽り、事態を悪化させてしまうリスクもあります。

また、そもそも警察や検察といった捜査機関は、加害者に対して被害者の連絡先を教えることはありません。個人情報保護の観点から、加害者自身が被害者の情報を得ることは極めて難しいのが現状ですこのような状況で、中立的な第三者である弁護士が代理人として被害者の方に連絡を取ることで、状況は大きく変わります。

弁護士が間に入ることで、被害者の方も冷静に話を聞く態勢になりやすく、謝罪の意を伝え、交渉のテーブルについてもらえる可能性が格段に高まります。弁護士は、加害者の反省の気持ちを真摯に伝え、被害者の方の感情に配慮しながら、示談交渉の糸口を探る重要な役割を担います。

ステップ2:示談金の算定と交渉

被害者の方との連絡が取れ、示談交渉の段階に進んだら、次に焦点となるのは示談金の算定と交渉です。示談金は、主に「被害弁償(財産的損害)」と「慰謝料(精神的損害)」の2つの要素で構成されます。被害弁償とは、壊してしまった物の修理費用や、同じ品質のものを買い替えるための費用など、実際に発生した財産的な損害を補償するものです。これに対し、慰謝料は、物を壊されたことによって被害者の方が受けた精神的な苦痛に対する賠償金を指します。

弁護士は、これらの示談金について、過去の類似事件の裁判例や示談例を参考にしつつ、今回の事件の具体的な状況を総合的に考慮して、法的に妥当な金額を算定します。考慮される要素としては、損壊された物の価値、犯行の態様や悪質性、被害者の方の処罰感情の強さ、加害者側の反省の度合いなどが挙げられます。

感情的になりやすい金銭交渉においても、弁護士が冷静かつ客観的な視点で交渉を行うことで、適正な金額での合意形成を目指します。

器物損壊の示談金相場の詳細・事例についてはこちらの記事でも解説しています。

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ステップ3:示談書の作成と締結

被害者の方との間で示談金額や条件について合意に達したら、次にその合意内容を「示談書」として書面に残すことが極めて重要です。口約束だけでは、後になって「言った」「言わない」といったトラブルの原因となったり、合意内容が曖昧になったりするリスクがあります。そのため、必ず法的に有効な示談書を作成し、双方で締結する必要があります。

示談書には、具体的に以下の必須条項を盛り込むことが一般的です。第一に合意した「示談金額と支払方法」を明記します。第二に、器物損壊罪が親告罪であることを踏まえ、被害者が加害者に対する告訴を取り下げる」、または「今後告訴しない」という意思表示を示す「告訴取下条項」を必ず含めます。第三に、被害者が加害者の行為を許し、刑事処罰を求めない意思を示す「宥恕(ゆうじょ)条項」も重要です。

これにより、検察官が不起訴処分を判断する上で非常に有利な材料となります。さらに、示談書に記載された以上の請求を今後一切行わないことを確認する「清算条項」や、示談の内容や事件について第三者に口外しないことを約束する「守秘義務条項」なども盛り込むことで、将来的な紛争を防止します。弁護士は、これらの条項を漏れなく、かつ法的に有効な形で記載した示談書を作成し、双方の署名・捺印をもって正式に締結します。

ステップ4:示談書を捜査機関に提出し不起訴を求める

被害者の方との間で示談が成立し、示談書の作成・締結、そして示談金の支払いといった全てのプロセスが完了したら、その最終的な証拠として示談書の写しを警察や検察庁といった捜査機関に提出します。この提出は、単に書類を渡すだけでなく、不起訴処分を獲得するための非常に重要な活動となります。

弁護士は、示談書の写しに加えて、被害者の方が「告訴を取り下げた」旨の書類や、「加害者を許し、刑事処罰を求めない」旨を記載した意見書を添付し、検察官に提出します。

この意見書では、示談が成立し、被害者の方の損害が十分に回復されており、かつ加害者が深く反省していることなどを詳細に説明し、あえて加害者を起訴する必要がないことを強く主張します。特に器物損壊罪は親告罪であるため、告訴が取り下げられれば検察官は法的に起訴することができません。

また、告訴が取り下げられなかった場合でも、示談が成立している事実は、検察官が起訴猶予という不起訴処分を判断する上で極めて有利な情状となりますこのように、弁護士が提出する示談書と意見書は、不起訴処分の獲得を確実なものにするための決定的な要素となるのです。

器物損壊事件を弁護士に相談・依頼する5つのメリット

器物損壊事件を起こしてしまい、警察からの連絡を受けている状況では、どうしたら良いか分からず不安な気持ちでいっぱいになるのは当然です。不慣れな刑事事件への対応を一人で進めることは、状況をさらに悪化させてしまうリスクがあります。専門知識と経験を持つ弁護士に依頼することは、そうしたリスクを回避し、最善の解決を目指す上で非常に有効な手段となります。

このセクションでは、弁護士に相談・依頼することで得られる具体的なメリットを5つご紹介します。円滑な示談交渉や早期の身柄解放、そして何よりも不安な状況を乗り越え、不起訴処分を獲得するために、弁護士がどのようにサポートしてくれるのかを詳しく見ていきましょう。

メリット1:被害者との示談交渉を円滑に進められる

器物損壊事件において、不起訴処分を目指す上で最も重要となるのが被害者との示談交渉です。しかし、被害者の方からすると、加害者本人との直接の接触は避けたいと考えることがほとんどです。怒りや恐怖心から、加害者からの連絡を拒否されたり、そもそも警察が被害者の連絡先を教えてくれなかったりするため、加害者自身で示談交渉を進めるのは極めて困難です。

ここで弁護士が介入する最大のメリットは、被害者との間に中立的な立場として入ることで、交渉を円滑に進められる点にあります。弁護士が代理人となることで、被害者の警戒心も和らぎ、冷静に話し合いのテーブルについてもらえる可能性が高まります。

弁護士は、刑事事件における示談交渉の豊富な経験と法的な知識に基づき、感情的になりがちな交渉を論理的に進めます。これにより、被害者にとっても加害者にとっても納得のいく適切な金額での示談を早期に成立させることが期待できます。

メリット2:逮捕・勾留からの早期釈放が期待できる

もし器物損壊事件で逮捕・勾留されてしまった場合、弁護士は早期の身柄解放に向けて迅速に行動します。逮捕直後から被疑者と接見(面会)し、事件の状況や取り調べの対応について具体的にアドバイスを行うとともに、今後の見通しを説明します。

そして、逃亡のおそれがないことや証拠隠滅のおそれがないことなど、身柄拘束の必要性がない点を検察官や裁判官に強く主張します。例えば、被害者との示談交渉に着手していることや、家族が身元引受人となることを記載した意見書を提出するなど、具体的な材料を示して働きかけます。勾留請求の却下を求めたり、勾留決定に対する準抗告といった法的手続きを適切に行うことで、不必要な長期の身柄拘束を防ぎ、早期の釈放を目指します。これにより、社会生活への影響を最小限に抑えることが可能になります。

メリット3:取り調べの対応を助言し、不利な状況を防ぐ

警察や検察による取り調べは、被疑者にとって非常に精神的な負担が大きく、また不利な状況に陥りやすい場面です。弁護士は、取り調べを受ける前に被疑者の権利(黙秘権や供述調書への署名押印拒否権など)を丁寧に説明し、これらの権利を適切に行使できるよう具体的なアドバイスを行います。これにより、捜査官の誘導に乗ってしまい、事実と異なる内容や自分に不利な内容の供述調書が作成されるのを防ぐことができます。

弁護士との事前の打ち合わせによって、どのような質問が想定されるか、それに対してどのように受け答えすべきかなどを準備できます。これにより、被疑者は精神的に落ち着いて取り調べに臨むことができ、不必要な不安や混乱を軽減することができます。弁護士の存在は、取り調べにおける被疑者の強力な味方となるのです。

メリット4:家族や職場に知られずに解決できる可能性が高まる

器物損壊事件が家族や職場に知られることを最も心配されている方も多いのではないでしょうか。事件が周囲に発覚する最大の原因は、逮捕・勾留による長期の身柄拘束です。会社や学校を長期間欠席せざるを得なくなり、そこから事件が明るみに出ることが少なくありません。

弁護士に依頼し、早期の身柄解放に向けた活動を行ってもらうことで、無断欠勤などを防ぎ、事件が知られるリスクを大幅に低減できます。さらに、弁護士が迅速に被害者との示談交渉を進め、事件を早期に不起訴処分で終結させることができれば、刑事裁判に発展して事件が公になることを回避できます。これにより、事件が周囲に知られずに解決できる可能性が高まり、平穏な社会生活を守ることにつながります。

メリット5:不起訴処分の獲得や刑の軽減につながる

弁護士は、最終的な処分である「不起訴」や「刑の軽減」に向けて、多角的な弁護活動を行いますまず、迅速な示談成立を最優先に図り、親告罪である器物損壊罪においては、被害者からの告訴を取り下げてもらうことで確実に不起訴処分を獲得できるよう尽力します。仮に告訴の取り下げが得られなくても、示談成立と被害弁償の事実は、検察官が起訴・不起訴を判断する上で極めて有利な情状となります。

また、被疑者本人の反省を示す謝罪文や、再犯防止策(例えば、飲酒が原因であれば禁酒を誓うなど具体的な行動)を具体化し、それらを意見書として検察官に提出します。これらの説得的な弁護活動を通じて、検察官に「この加害者をあえて起訴する必要はない」と判断させ、不起訴処分(起訴猶予を含む)の獲得を目指します。万が一、起訴されてしまった場合でも、これらの有利な情状は裁判で考慮され、罰金刑で済んだり、執行猶予が付されたりと、刑が軽減されることにつながります。

器物損壊事件を弁護士に依頼するか迷っている方へ、こちらの記事も参考にしてください。

器物損壊について弁護士が必要なケースや費用について解説

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器物損壊の弁護士費用相場

弁護士に器物損壊事件の対応を依頼する際に発生する費用は、主に以下の項目で構成されます。法律事務所によって費用体系は異なりますが、一般的な相場と器物損壊事件の場合の目安をご紹介します。

まず、弁護士に法律相談を行う際に発生する「相談料」です。これは30分あたり5,000円から1万円程度が一般的ですが、初回相談を無料としている法律事務所も多く存在します。次に、弁護活動を正式に依頼する際に支払う「着手金」があります。これは事件の難易度や見込まれる弁護活動の量によって変動しますが、器物損壊事件の場合は30万円から50万円程が相場とされています。

事件が解決した際に、その結果に応じて支払うのが「報酬金(成功報酬)」です。不起訴処分を獲得した場合や、示談が成立した場合などに発生し、着手金と同程度30万円から50万円程度が目安となります。最後に、「実費・日当」として、交通費や印紙代、郵便費用といった実費や、弁護士が遠方に出張する場合に発生する日当などがかかります。

これらの費用は法律事務所や事件の状況によって大きく異なるため、依頼する前には必ず複数の事務所から見積もりを取り、費用の内訳と総額をしっかりと確認することが大切です。不明な点は遠慮なく質問し、納得した上で契約を進めるようにしましょう。

器物損壊と不起訴に関するよくある質問

器物損壊事件を起こしてしまい、不起訴処分を獲得するために、これまでの解説でおおよその流れや弁護士の必要性をご理解いただけたのではないでしょうか。

このセクションでは、器物損壊事件や不起訴処分に関して、多くの方が抱きがちな具体的な疑問について、Q&A形式でわかりやすくお答えします。本文で触れられなかった細かい点や、特に不安に感じる点について、簡潔に回答していきますので、ぜひ参考にしてください。

Q. 故意ではなく過失で物を壊してしまいました。罪になりますか?

器物損壊罪は、物を壊すという行為に対して「故意」があった場合にのみ成立する犯罪です。したがって、うっかりぶつかって物を壊してしまった、不注意で落としてしまったなど、「過失」によって他人の物を壊してしまった場合には、刑事上の器物損壊罪にはあたりません。この場合、警察に逮捕されたり、検察官から起訴されて前科がついたりすることはありませんのでご安心ください。

しかし、刑事責任は問われないとしても、壊してしまった物に対する「民事上の損害賠償責任」は発生します。これは、民法上の不法行為に基づき、被害者に対して壊した物の修理費用や買い替え費用などを賠償する義務があるということです。そのため、たとえ故意ではなかったとしても、相手方としっかりと話し合い、誠意をもって修理費などを支払う必要があります。

Q. 被害額が少ない軽微な事件でも警察は動きますか?

たとえ被害額が数百円や数千円といった少額であったとしても、被害者が警察に被害届を提出すれば、警察は原則として捜査を開始します。犯罪の成否は、被害額の大小で決まるものではないからです。警察は被害者からの届出に基づき、犯罪の事実があれば捜査を行う義務があります。したがって、「これくらいなら大したことはないだろう」と安易に考えていると、後々思わぬ事態に発展する可能性もあります。

ただし、被害額の軽微さは、検察官が最終的に被疑者を起訴するかどうかを判断する際の、情状の一つとして考慮される可能性はあります。示談交渉においても、被害額が少なければ示談金も低額になりやすく、早期解決につながることもあります。しかし、被害額が少ないからといって警察が全く動かないということはありませんので、軽微な事件だと自己判断せずに、まずは専門家である弁護士に相談することが大切です。

Q. 示談が成立すれば必ず不起訴になりますか?

器物損壊罪は「親告罪」であるため、示談が成立し、示談書の中に「告訴の取り下げ」の条項が含まれていて、実際に被害者が告訴を取り下げた場合には、検察官は被疑者を起訴することが法的にできなくなります。この場合は、不起訴処分となりますので、前科がつく心配はありません。

一方で、何らかの理由で被害者の告訴の取り下げまでは得られなかった場合でも、示談が成立し、被害弁償が済んでいれば、検察官がその情状を酌んで「起訴猶予」という不起訴処分にする可能性が極めて高くなります。起訴猶予とは、罪を犯した事実はあるものの、さまざまな事情を考慮して検察官が起訴しないと判断する処分です。示談成立は、加害者の反省と被害回復の意思を示す有力な証拠となり、検察官の判断に大きな影響を与えます。

つまり、「必ず不起訴になる」とは言い切れないケースもゼロではありませんが、示談が成立することは、不起訴処分の獲得に向けて非常に強力な影響を与えることは間違いありません。不起訴を目指す上では、示談交渉の成立が最も重要だと言えるでしょう。

まとめ:器物損壊で不起訴を目指すなら、一日も早く弁護士に相談を

器物損壊事件を起こしてしまい、今後どうなるのか、逮捕されるのではないかと不安な気持ちで過ごされている方もいらっしゃるかもしれません。そのような不安を解消し、ご自身の未来を守るために最も重要なことは、被害者との示談交渉を速やかに、そして適切に進めることです。特に、器物損壊罪は「親告罪」であるため、被害者の方に告訴を取り下げていただくことができれば、確実に不起訴処分を獲得できます。

しかし、被害者の方との示談交渉は、加害者ご自身で行うことが極めて困難な場合がほとんどです。被害者の方は加害者に対して強い不信感や怒りを持っているため、直接連絡をしても話を聞いてもらえないことが多く、また、警察が被害者の方の連絡先を教えてくれることもありません。このような状況で、感情的にならず、法的な知識に基づいた冷静な交渉を進めるためには、刑事事件に精通した弁護士のサポートが不可欠です。

弁護士は、被害者の方との間に立って、真摯な謝罪の意を伝え、適正な示談金の算定と交渉を行い、最終的に法的に有効な示談書を締結するまでを一貫してサポートします。また、迅速に示談を成立させることで、逮捕や勾留を回避したり、万が一身柄を拘束されたとしても早期の釈放を実現したりする可能性も高まります。これにより、事件が職場や家族に知られるリスクを最小限に抑え、平穏な日常生活への早期復帰を目指すことができます。

器物損壊事件は、対応が早ければ早いほど、その後の展開が大きく変わる可能性のある事件です。不安を感じたら、まずは一人で抱え込まず、早期に刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください。弁護士はあなたの権利を守り、不起訴処分の獲得に向けて全力でサポートしてくれます。

 

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