なかなか来ない器物損壊罪の警察からの呼び出し

最終更新日: 2021年07月08日

器物損壊罪の捜査期間

逮捕、勾留された場合

被疑者が逮捕、勾留された場合、捜査には法律上の時間制限があります。

具体的には、逮捕から48時間以内に警察官は検察官へ事件を送致する必要があります。そして、事件送致を受けた検察官は、被疑者の勾留を請求するときは、24時間以内に裁判官に勾留を請求する必要があります。

裁判官が10日間の勾留を決定したときは、原則として10日の間に検察官は捜査を尽くし、起訴処分とするか不起訴処分とするかの判断をする必要があります。

もっとも、10日間の間に捜査を終えることが困難な場合には、検察官は最大10日間の勾留期間の延長を裁判官に求めることができます。

以上のとおり、被疑者が逮捕、勾留をされたときには、捜査期間には、最大23日という時間制限がありますので、警察も検察も身柄拘束をしない在宅事件よりも身柄事件を優先的に捜査することになります。

なお、後にご説明しますが、器物損壊事件では被害者との示談成立が非常に重要です。被害者との示談交渉の時間を十分に確保するためには、弁護士の活動によって早期に釈放を実現し、次の在宅捜査に切り替えてもらうことが必要となります。

在宅捜査の場合

被疑者を逮捕、勾留をしない在宅捜査の場合には法律上は捜査期間に制限がありません。

もちろん、速やかに捜査はすべきではありますが、先に説明しましたとおり、在宅事件よりも法律上の時間制限のある身柄事件の捜査が優先されることから、在宅事件の捜査は後回しになりがちです。

スムーズに捜査が進めば、最初の取り調べから1,2か月以内には検察へ書類送検となり、書類送検から1,2か月以内に被疑者は検察へ呼び出されることになります。

ところが、実際には、警察から検察へ書類送検されるまでに半年や1年もかかることがしばしば見られます。

このように捜査期間が長期になってしまう原因は、多くは捜査機関が他の事件で極めて多忙なことにありますが、稀に、単に捜査担当者が事件放置していたというケースもあります。

酷い場合には、時効間際になって引き継いだ捜査担当者が事件放置に気が付き、急いで事件処理をするというケースもあります。

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器物損壊罪の取り調べで聞かれること

器物損壊事件の取調べではどのようなことを聞かれるのでしょうか。

まず、どんな事件にも共通することですが、被疑者の身上関係、つまり生まれ、学

歴、家族構成、職歴、犯罪歴、資産、借金などについて取調べが行われます。

そして、事件については、犯行当日の行動、犯行の動機、犯行態様、犯行後の行動について、細かく事情聴取がなされます。

器物損壊罪は故意犯のみを処罰しており、過失犯については処罰していないことから、故意の犯行でないときには、間違っても故意犯と認定されるような供述調書が作成されないよう気を付ける必要があります。

以上のことは専ら警察署での取調べで聞かれることです。その後の検事の取調べでは、事実関係に争いのない事件では、警察署で作成された供述調書を踏まえて、簡単に事実確認をされ、再犯防止のためにどのようなことを考えているかなどについても聞かれることが多くあります。

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器物損壊罪の起訴、不起訴の判断

初犯の場合

初犯の場合であっても、加害者と被害者との間で示談が成立していないときは、原則として起訴処分となります。

もっとも、損壊の程度が非常に軽微な場合で加害者に反省が見られる場合には、被害者と示談が成立していなくとも不起訴処分となる可能性がありますし、場合によっては警察において微罪処分として処理されるケースもあるでしょう。

他方、器物損壊罪は被害者の告訴がなければ起訴することができない親告罪ですから、被害者と示談が成立している場合には、不起訴処分となります。また、被害届の取下げとなれば、書類送検されずに終結する可能性もあります。

ただし、起訴された後に被害者と示談が成立しても起訴の取下げにはなりませんので、起訴処分となる前に示談を成立させる必要があります。

前科がある場合

器物損壊罪に限らず前科がある場合には、被害者と示談が成立していなければ、起訴処分となる可能性は一層高くなります。

もっとも、器物損壊罪は親告罪ですから、前科があったとしても被害者と示談が成立していれば起訴処分となることはありません。

器物損壊罪の量刑(罰金の相場)

初犯の場合には、略式手続で罰金10万円から30万円となる可能性が高いです。罰金の金額は必ずしも被害金額に比例するわけではなく、犯行動機や犯行態様など諸般の事情を考慮して決定されます。

他方、初犯であっても犯行が悪質な場合には略式手続で罰金ではなく、正式な裁判(公判)となり執行猶予付きで懲役6か月から1年ほどの判決となりこともあります。

器物損壊事件の弁護は弁護士にご相談ください。

親告罪である器物損壊罪では、不起訴処分としてもらうためには、被害者と示談が成立していることが決定的に重要です。

そして、先ほどご説明しましたとり、被疑者が逮捕、勾留されているときは、時間制限がありますが、この時間制限がない方が、被害者とじっくりと示談交渉をすること

ができます。

そのため、逮捕、勾留されているケースについては、弁護士の活動によって、まずは早期に釈放を実現し、在宅捜査に切り替えてもらうことが重要となります。

器物損壊事件の被疑者となった場合には、できる限り早期に刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

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