大麻で逮捕されたら?罰金相場と会社にバレないための初動対応
最終更新日: 2025年11月25日
近年、大麻による検挙者数は増加傾向にあり、誰にとっても無縁とは言えない犯罪となりつつあります。万が一、大麻取締法違反で逮捕されてしまった場合、どのような罰則が科されるのか、罰金の相場はどのくらいなのか、そしてその後の刑事手続きがどのように進むのかについて、この記事では詳しく解説します。特に、逮捕の事実が会社に知られて解雇されるといった事態を避けるための具体的な初動対応に焦点を当て、弁護士に相談することの重要性についても詳しくご説明します。逮捕という予期せぬ事態に直面し、将来への不安を抱えている方々が、少しでも安心して対応できるよう、必要な知識を提供いたします。
大麻で逮捕された場合の罰則|所持・使用でどう違う?
大麻に関わる行為は、大麻取締法によって厳しく規制されています。一言で「大麻事件」といっても、その行為態様によって科される罰則は大きく異なります。ここでは、具体的にどのような行為が処罰の対象となり、それぞれにどの程度の刑罰が定められているのかを詳しく解説します。また、2024年12月から施行される改正法により、これまで処罰対象外だった「使用」についても罰則が設けられる点も説明します。
大麻取締法違反となる主な行為と罰則
大麻取締法では、大麻の取り扱いを免許制とし、免許を持たない者による栽培、輸出入、所持、譲渡・譲受を禁止しています。これらの禁止行為は刑事罰の対象となり、違反行為の種類によって科される法定刑が異なります。この後の項目でそれぞれの行為について詳しく見ていきますが、まずは全体像として、どのような行為が規制対象となるのかを理解しておきましょう。
大麻の所持・譲渡・譲受
大麻事件で最も多く検挙されるのが「所持」です。これは、自己使用目的で少量の大麻を持っている場合が典型例です。また、他人から大麻を譲り受ける「譲受」や、他人に譲り渡す「譲渡」も、大麻取締法で禁止されています。
これらの行為は、大麻取締法第24条第1項により、「5年以下の懲役」という法定刑が定められています。営利目的がない場合でも懲役刑の対象となるため、安易な気持ちで大麻に手を出してしまうと、非常に重い代償を払うことになります。
大麻の栽培・輸出入
大麻の「栽培」、海外からの「輸入」、海外への「輸出」は、単純な所持よりもさらに悪質な行為と見なされ、より重い罰則が科されます。
これらの行為に適用される法定刑は、大麻取締法第24条第2項により「7年以下の懲役」と規定されています。栽培とは、大麻草を発芽させて育てる行為を指し、大麻の種を所持しているだけでは直ちに栽培には該当しません。しかし、発芽すれば栽培行為と見なされます。
また、輸出入は国際的な薬物犯罪として特に厳しく取り締まられ、日本の法律だけでなく国際法上の問題にも発展する可能性があります。
大麻の使用(2024年12月以降の法改正後)
これまで大麻取締法には、大麻の「使用」自体を直接罰する規定がありませんでした。これは、伝統的な麻農家が大麻草を加工する過程で微量の大麻成分を吸引してしまう可能性などを考慮した背景があったとされています。
しかし、2024年12月に施行される改正大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律)により、この状況が大きく変わります。改正法では、新たに大麻の「使用罪」が設けられ、大麻を使用する行為が犯罪となります。新設される使用罪の法定刑は「7年以下の懲役」です。
この法改正により、今後は尿検査などで大麻成分が検出された場合も刑事手続きの対象となる可能性があり、大麻事件の捜査や裁判に与える影響は非常に大きいと考えられます。大麻の使用は、これまで以上に厳しく取り締まられることになりますので、注意が必要です。
「営利目的」があると罰則はさらに重くなる
大麻の所持や栽培、譲渡などの行為に「営利目的」、つまり販売して利益を得る目的があった場合、科される罰則は大幅に加重されます。営利目的の有無は、量刑に極めて大きな影響を与える要素です。
例えば、単純な所持の法定刑が「5年以下の懲役」であるのに対し、営利目的所持の場合は「7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」となります。さらに、栽培や輸出入に営利目的があった場合は、それぞれ「10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」と、より重い罰則が科されます。
営利目的と判断されるケースとしては、所持している大麻の量が個人で消費するにはあまりにも多すぎる場合(数十グラム以上)、小分けにされたパケが多数見つかる、大麻の売買に関する取引履歴(SNSのやり取りや口座の入出金記録など)がある、といった状況が挙げられます。たとえ初犯であっても、営利目的が認定されれば実刑判決となる可能性が非常に高くなります。
大麻事件の罰金相場はいくら?
大麻事件で有罪となった場合、懲役刑だけでなく罰金刑が科されることがあります。しかし、どのような場合に罰金が科され、その相場はどの程度なのかは、事件の内容によって大きく異なります。ここでは、大麻事件における罰金の扱いやおおよその相場について、初犯の場合と営利目的がある場合に分けて解説します。
初犯の単純所持では罰金刑にならないことが多い
自己使用目的での単純所持の初犯の場合、判決は懲役刑の執行猶予付きとなることが大半であり、罰金刑が科されるケースは非常に少ないです。大麻取締法における単純所持の法定刑は「5年以下の懲役」と定められており、罰金刑の選択肢が元々ありません。このため、交通違反のように略式請求による罰金で事件が終了することはないのです。つまり、初犯であっても必ず公開の法廷で刑事裁判を受ける必要があります。
営利目的の場合は懲役刑と罰金刑が併科される可能性
大麻事件で営利目的が認定された場合、懲役刑に加えて罰金刑が併科(両方が科されること)される可能性が極めて高くなります。例えば、営利目的所持の法定刑は「7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」と定められています。この規定に基づき、裁判所は懲役刑の言い渡しと同時に、罰金刑も言い渡すことができるのです。
罰金額は、大麻の不正な売買によって得た利益の規模や、取引量などに応じて判断されますが、数十万円から数百万円に及ぶ可能性もあります。営利目的の有無は、単純な所持とは異なり、社会に対する悪影響が大きいと判断されるため、裁判所も厳しい姿勢で臨みます。このため、営利目的の有無が量刑に決定的な影響を与え、初犯であっても実刑となる可能性が高まります。
大麻で逮捕された後の流れ|逮捕から判決まで
大麻事件で警察に逮捕されると、日本の刑事訴訟法に基づいた一連の手続きが開始されます。逮捕から始まり、起訴・不起訴の決定、そして刑事裁判へと進む各段階には、厳格な時間制限が設けられています。これらのプロセスを事前に理解しておくことは、ご自身の置かれた状況を正確に把握し、適切な防御活動を行う上で非常に重要です。ここでは、大麻で逮捕されてから判決が下されるまでの流れを、時系列に沿って具体的に解説します。
①逮捕・警察での取り調べ(最大48時間)
大麻取締法違反で逮捕された場合、まず警察官に身柄を拘束されます。逮捕後、警察は被疑者を警察署の留置場に留め置き、主に事件の経緯、大麻の入手ルート、使用状況などについて取り調べを行います。この取り調べには、警察官が被疑者を尋問し、供述調書を作成する過程も含まれます。
刑事訴訟法によって、警察は被疑者を逮捕してから48時間以内に、釈放するか、または事件を検察官に送致(送検)するかを決定しなければならないという厳格な時間制限があります。この間、たとえ家族であっても面会が許可されないことが多いですが、弁護士であればいつでも接見(面会)することが可能です。当番弁護士制度を利用するなどして、この段階からすぐに弁護士を呼ぶ権利がありますので、自身の権利をしっかりと理解しておくことが大切です。
②検察への送致・検察での取り調べ(最大24時間)
警察が事件を検察官に送致すると、被疑者の身柄は検察庁へと移送されます。検察官は、警察から送致された事件資料を検討し、被疑者の身柄拘束を継続する必要があるかどうかを判断します。この際、検察官も被疑者に対して独自の取り調べを行うのが一般的です。検察官は、警察からの送致を受けてから24時間以内に、釈放するか、あるいは裁判官に対して「勾留請求」を行うかを決定しなければなりません。
この段階での検察官の判断は、その後の刑事手続きに大きな影響を与えます。もし検察官が逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断すれば、裁判官に勾留を請求し、身柄拘束の継続を求めることになります。
③勾留(原則10日間、延長で最大20日間)
検察官の勾留請求が裁判官に認められた場合、被疑者はさらに身柄を拘束されることになります。この勾留期間は、原則として請求から10日間です。勾留中は警察署の留置場に戻され、引き続き警察官や検察官による取り調べが行われることが多く、精神的・肉体的に大きな負担となります。
さらに、捜査が不十分であるなどの「やむを得ない事由」があると検察官が判断した場合、裁判官に対し勾留の延長を請求することができます。この延長が認められると、勾留期間はさらに最大10日間延長され、逮捕から数えると合計で最大23日間(警察での48時間、検察での24時間、勾留の原則10日間、延長最大10日間)もの長期間、身柄を拘束される可能性があります。
これほど長期間の身柄拘束は、会社に無断欠勤として認識され、逮捕の事実が会社に発覚する大きな原因となり得ます。そのため、勾留を阻止し、早期の身柄解放を目指すことが、会社への発覚を防ぐ上で極めて重要になります。
④起訴・不起訴の決定
勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を刑事裁判にかけるかどうか(起訴)、あるいはかけないかどうか(不起訴)を最終的に決定します。この検察官の判断は、被疑者の人生を左右する極めて重要なものです。
「起訴」とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけることを裁判所に求める手続きです。起訴には、正式な裁判を求める「公判請求」と、簡易な手続きで罰金刑を求める「略式請求」がありますが、大麻の単純所持事件の場合、略式請求で済まされることはほとんどありません。そのため、起訴されれば公開の法廷で裁判を受けることになります。
一方、「不起訴」となれば、被疑者に前科がつくことはなく、事件はその時点で終了し、即時に釈放されます。社会生活への影響を最小限に抑えるためには、不起訴処分を獲得することが弁護活動の最も重要な目標の一つとなります。
⑤刑事裁判・判決
検察官に公判請求(起訴)された場合、被疑者は「被告人」となり、刑事裁判を受けることになります。起訴から通常、約1ヶ月から2ヶ月後に第一回の公判が開かれ、法廷で事件の審理が行われます。大麻の単純所持など、事実関係を被告人が認めているような事件では、通常1回から2回の公判で結審し、その後判決が言い渡されるという一般的なスケジュールで進行します。
裁判では、検察官が被告人の有罪を立証し、弁護人が被告人の有利な事情を主張します。最終的に裁判官が、証拠や双方の主張を総合的に判断し、有罪か無罪か、そして有罪であればどのような刑罰を科すかを決定します。
判決には、実際に刑務所に収監される「実刑判決」、一定期間問題なく過ごせば刑の執行が免除される「執行猶予付き判決」、そして犯罪事実が認められない場合の「無罪判決」があります。特に大麻事件の初犯では、執行猶予付き判決を獲得することが弁護活動の重要な目標となります。
【重要】会社にバレないための初動対応|解雇を避けるには
大麻での逮捕は、刑事罰そのものだけでなく、社会生活への影響、特に会社からの解雇という深刻な結果を招きかねません。しかし、逮捕直後から迅速かつ適切に対応することで、会社に知られることなく事件を解決し、職場復帰を果たせる可能性は十分にあります。このセクションでは、なぜ会社にバレてしまうのか、その原因を分析し、解雇を避けるために逮捕直後に行うべき最も重要な初動対応について解説します。
大麻での逮捕が会社にバレる3つの原因
逮捕の事実が会社に知られてしまう経路は、主に3つ考えられます。これらの原因を理解することは、効果的な対策を立てるための第一歩です。ここでは、会社に発覚する典型的な3つの原因として「長期の身柄拘束による無断欠勤」「実名報道」「職場への捜査」を挙げ、それぞれがどのような状況で発生するのかを概説します。
原因1:長期の身柄拘束による無断欠勤
会社に逮捕が発覚する最も一般的な原因は、長期の身柄拘束による欠勤です。警察に逮捕され、検察官による勾留が決定されると、最大で23日間もの間、身柄が拘束される可能性があります。この間、本人から会社へ自由に連絡を取ることは非常に困難であり、「無断欠勤」の状態が続いてしまいます。多くの会社の就業規則には、無断欠勤が一定期間続いた場合に解雇できる旨の規定が含まれており、これが解雇につながる直接的なリスクとなります。したがって、会社からの解雇を回避するためには、いかに早く身柄の拘束を解き、職場に復帰するかが極めて重要になります。
原因2:実名報道
被疑者の氏名や職業がニュースなどで報道されることにより、会社に知られてしまうケースも考えられます。全ての事件が報道されるわけではありませんが、公務員や上場企業の社員など、社会的影響が大きいと判断される場合や、事件そのものが社会的な関心を集めるような場合では、実名報道されるリスクが高まります。一度報道されてしまうと、インターネットなどを通じて情報が瞬く間に拡散するため、会社に知られることを完全に防ぐのは極めて困難です。弁護士を通じて警察や報道機関に対し、実名報道を控えるよう働きかける活動も可能ですが、その効果は確実ではありません。
原因3:職場への家宅捜索や聞き込み
大麻事件の捜査が、被疑者の職場にまで及ぶこともあります。例えば、職場で大麻の譲渡や譲受が行われた疑いがある場合や、同じ職場に関係者がいる可能性がある場合などです。このような場合、警察が会社のロッカーなどを家宅捜索したり、同僚に対して聞き込み捜査を行ったりすることがあります。捜査が職場に及べば、逮捕の事実が会社の関係者に直接伝わってしまうため、会社に知られることを避けるのは非常に難しくなります。
会社にバレる前に行うべき2つのこと
会社に逮捕の事実が知られてしまうと、その後の対応が非常に難しくなります。そのため、解雇のリスクを最小限に抑えるためには、逮捕の事態が発生したら直ちに、そして積極的に行動を起こすことが求められます。具体的には、「弁護士への接見依頼」と「早期の身柄解放」という2つの行動が重要です。これらは互いに深く関連しており、この後の項目でそれぞれの重要性と、どのように効果を発揮するのかを具体的に解説していきます。
1. 逮捕後すぐに弁護士に接見を依頼する
逮捕直後に行うべき最も重要な行動の一つは、弁護士に接見(面会)を依頼することです。逮捕されてから最初の72時間以内は、たとえ家族であっても被疑者との面会が許可されないことがほとんどですが、弁護士は時間や回数の制限なく、誰にも立ち会われることなく被疑者と接見できます。弁護士が接見することで、取り調べに対する適切な対応策、今後の刑事手続きの見通し、そして会社に逮捕の事実がバレないための具体的な戦略について、直接アドバイスを受けられます。家族が代わりに弁護士を探し、速やかに接見を依頼することも可能です。
2. 早期の身柄解放を目指す(在宅事件・勾留阻止)
会社に逮捕の事実がバレる最大のリスクは、長期にわたる身柄拘束による無断欠勤です。このリスクを回避するためには、弁護士が速やかに身柄解放に向けた活動を行うことが不可欠です。弁護士は、被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを示す意見書などを検察官や裁判官に提出し、勾留請求をしないよう、または勾留請求を却下するよう働きかけます。これにより、勾留されることなく事件が「在宅事件」に切り替わり、逮捕後数日で釈放される可能性があります。早期に釈放されて会社に出勤できるようになれば、無断欠勤を避けることができ、解雇のリスクを大幅に低減できます。
初犯なら実刑にならない?執行猶予の可能性
大麻事件で起訴されてしまった場合、特に初犯の方は「刑務所に入らなければならないのか」という点に大きな不安を抱くでしょう。日本の刑事裁判では、有罪判決であっても直ちに刑務所に収監される「実刑判決」と、一定期間問題なく過ごせば刑の執行が免除される「執行猶予付き判決」があります。
ここでは、大麻事件の初犯における執行猶予の可能性と、その判断を左右するポイントについて解説します。適切な弁護活動と本人の反省の態度次第で、実刑を回避し、社会生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
大麻の初犯は執行猶予付き判決が多い
結論として、営利目的がなく、自己使用目的での大麻所持の初犯であれば、多くのケースで執行猶予付き判決が言い渡される傾向にあります。たとえば、「懲役6月、執行猶予2年」といった判決が典型的です。
執行猶予付き判決とは、有罪判決ではあるものの、指定された執行猶予期間(この例では2年間)を問題なく過ごせば、実際に刑務所に収容されること(実刑)が免除される制度です。この期間中に再び犯罪を犯さなければ、刑の言い渡しは効力を失い、刑務所に行く必要はありません。ただし、執行猶予期間中に再度罪を犯すと、今回の刑と合わせて両方の刑に服することになるため、より一層の注意が必要です。
執行猶予になるか実刑になるかを分けるポイント
初犯であっても、必ず執行猶予が付くわけではありません。裁判官は、被告人の情状(事件に関する有利不利な事情)や犯行の悪質性、再犯の可能性などを総合的に考慮して、実刑にするか執行猶予にするかを判断します。
ここでは、その判断に大きく影響する3つの重要なポイントとして、「所持量の多少」「営利目的の有無」「反省の態度と再犯防止策の具体性」について具体的に解説します。
所持量の多少
所持していた大麻の量は、量刑を判断する上で非常に重要な要素となります。個人で消費するには明らかに多すぎる量(例えば数十グラム以上など)を所持していた場合、裁判所は潜在的な営利目的を疑ったり、薬物への依存度が非常に高いと判断したりする可能性が高まります。
このような場合、単なる自己使用とは見なされず、実刑判決のリスクが格段に高まります。逆に、ごく微量の大麻所持であれば、より有利な情状として考慮されやすく、執行猶予獲得の可能性が高まる傾向にあります。
営利目的の有無
これまでの見出しでも触れてきた通り、「営利目的」の有無は量刑に決定的な影響を与えます。たとえ初犯であっても、販売目的で大麻を所持・栽培していたと認定されれば、実刑判決となる可能性が非常に高くなります。
営利目的での行為は、社会全体への悪影響が大きいと判断されるため、裁判所は非常に厳しい態度で臨みます。営利目的の認定は、所持量が多い、パケ(小分け)にされている、取引をうかがわせる通信履歴がある、現金や電子マネーの取引履歴がある、といった客観的な証拠に基づいて行われます。
反省の態度と再犯防止策の具体性
被告人が事件について深く反省しているかどうか、そして二度と大麻に手を出さないための具体的な取り組みを行っているかは、執行猶予を獲得する上で極めて重要です。単に「反省しています」と述べるだけでなく、その反省を裏付ける客観的な行動が求められます。
具体的には、薬物依存からの脱却を目指して専門のクリニックに通院を開始する、自助グループに参加する、家族の監督を強化してもらう、大麻との関連を断ち切るために交友関係を見直す、といった具体的な再犯防止策を法廷で示すことが効果的です。これらの取り組みは、裁判官の心証を良くし、更生の意欲を伝える上で非常に有力な証拠となり、執行猶予獲得の可能性を高めます。
大麻事件を弁護士に相談する5つのメリット
大麻で逮捕されてしまった場合、刑事事件に精通した弁護士に依頼することは、被疑者や被告人にとって非常に多くの利益をもたらします。逮捕直後の混乱した状況において、法的な知識と経験を持つ専門家が味方になってくれることの価値は計り知れません。ここでは、大麻事件において弁護士に相談し、弁護活動を依頼することで得られる具体的な5つのメリットについて、詳しく解説します。
メリット1:早期釈放で会社にバレるリスクを低減できる
弁護士に依頼する最大のメリットの一つは、身柄の早期解放が期待できる点です。弁護士は逮捕直後から、勾留(こうりゅう)の必要がないことを検察官や裁判官に対して法的な観点から強力に主張します。その結果、勾留されずに在宅事件として捜査が進んだり、仮に勾留された場合でも勾留決定に対する不服申立て(準抗告)が認められて釈放されたりする可能性が高まります。
早期に釈放されれば、会社への無断欠勤状態を防ぎ、逮捕の事実が会社に発覚するリスクを大幅に低減できます。これにより、解雇などの不利益処分を回避し、日常生活や職場への影響を最小限に抑えることが可能になります。
メリット2:不起訴処分や執行猶予獲得の可能性が高まる
弁護士は、最終的な刑事処分を被疑者にとって最も有利なものにするための弁護活動を徹底的に行います。例えば、検察官に対して、被疑者が事件について深く反省していること、再犯防止のために具体的な取り組みをしていること、家族のサポート体制が整っていることなどを伝え、起訴しないよう(不起訴処分)積極的に働きかけます。不起訴処分となれば、前科が付くことなく事件は終了します。
また、仮に起訴されてしまった場合でも、弁護士は裁判において、被告人に有利な事情(初犯であること、大麻の所持量が少量であること、再犯防止策を講じていること、など)を効果的に主張します。これにより、実刑判決を回避し、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが可能です。執行猶予期間中に問題なく過ごせば、刑務所に行く必要はなくなります。
メリット3:取り調べへの適切な対応方法がわかる
逮捕されると、警察官や検察官による連日の厳しい取り調べが行われます。この精神的に追い詰められる状況下で、焦りや不安から自分に不利な供述をしてしまうケースも少なくありません。弁護士は、被疑者が持つ黙秘権(むくひけん)をはじめとする重要な権利を守り、取り調べに対してどのように対応すべきかを具体的にアドバイスします。
弁護士は、どのような供述が将来の裁判でどのように影響するかを被疑者に分かりやすく説明し、不当な取り調べに対しては法的に抗議するなど、被疑者の正当な利益を守る「盾」としての役割を果たします。これにより、不適切な供述による不利益を回避し、公正な刑事手続きを保障することができます。
メリット4:家族や会社への対応を任せられる
逮捕された本人は、留置施設に身柄を拘束されているため、外部と自由に連絡を取ることができません。弁護士は、このような状況において、本人に代わって家族に事件の状況を説明し、今後の見通しや必要な手続きについて伝える重要な窓口となります。これにより、家族は不安な状況の中でも、冷静に対応するための情報を得ることができます。
さらに、弁護士は必要に応じて会社への対応も代行することが可能です。例えば、逮捕の事実を伏せたまま「体調不良」などを理由に欠勤の連絡を入れるといった、状況に応じた慎重な対応を依頼できます。これにより、会社に逮捕の事実が発覚するリスクを軽減し、職場での立場を守るためのサポートを受けることができます。
メリット5:薬物依存からの脱却をサポートしてもらえる
大麻事件における弁護活動は、単に刑事罰を軽くするだけにとどまりません。刑事事件に精通した弁護士は、薬物依存の治療プログラムや自助グループなどの専門機関と連携していることが多く、本人が大麻と決別し、健全な社会生活を送るための具体的な道筋を示すことができます。
こうした再犯防止に向けた積極的な取り組みは、裁判において被疑者に有利な情状(有利な事情)として考慮されるだけでなく、何よりも本人が薬物依存から脱却し、真の意味での社会復帰を果たす上で非常に重要です。弁護士は、法的なサポートだけでなく、更生に向けた多角的な支援を提供します。
まとめ|大麻で逮捕されたら、一人で悩まず弁護士へ相談を
本記事では、大麻取締法違反で逮捕されてしまった場合に直面する可能性のある刑事罰、罰金の相場、そしてその後の刑事手続きの流れについて詳しく解説しました。大麻での逮捕は、懲役刑などの刑事罰だけでなく、会社からの解雇や社会的な信用の失墜といった、その後の人生に大きな影響を及ぼす深刻な事態に繋がりかねません。
しかし、逮捕直後のできるだけ早い段階で弁護士に相談し、適切な初動対応をとることができれば、状況は大きく変わる可能性があります。弁護士は、身柄の早期解放を目指し、取り調べに対する適切なアドバイスを提供し、会社への連絡など社会生活を守るためのサポートを行います。これにより、長期の身柄拘束による会社への発覚を防ぎ、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得、ひいては解雇の回避といった良い結果に繋がる可能性が高まります。
もし、ご自身やご家族が大麻関連で逮捕されてしまった場合は、決して一人で抱え込まず、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に連絡することが、未来を守るための最善の策です。弁護士は、あなたの権利を守り、最も有利な解決策を共に探してくれる心強い味方となるでしょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。




