熟年離婚とは?原因やメリット・デメリット、手続きの流れを解説

最終更新日: 2024年09月06日

熟年離婚とは?原因やメリット・デメリット、手続きの流れを解説

人生100年時代と言われる現代、老後の生活設計は重要なテーマです。その中で近年増加傾向にあるのが「熟年離婚」です。

 

この記事では、熟年離婚の現状や原因、メリット・デメリット、そして具体的な手続きの流れまで詳しく解説していきます。

熟年離婚とは?

熟年離婚とは?

熟年離婚に定義はありませんが、一般的に結婚期間が20年以上経過した夫婦が離婚すること、または、50歳以上の夫婦が離婚することを指します

近年、熟年離婚は増加傾向にあり、社会現象としても注目されています。

熟年離婚の原因

熟年離婚の夫婦に限ったことではありませんが、離婚の原因として主に下記のような例が挙げられます。

夫婦関係の変化

子育ての終了

長年連れ添った夫婦でも、子育てが一段落すると夫婦間の会話が減り、互いの存在が希薄に感じてしまうことがあります。

特に、子供が独立した後の「空の巣症候群」に陥り、夫婦関係を見つめ直すきっかけとなるケースも少なくありません。

性格の不一致

若い頃は許容できていた価値観や生活習慣の違いも、年齢を重ねるにつれて許容できなくなることがあります。

長年の不満が蓄積し、熟年離婚に至るケースも少なくありません。

 

定年後は特に、家で一緒にいる時間が増え、ストレスになることがあります。

配偶者の浮気・不倫

長年の夫婦生活の中で、配偶者の浮気や不倫が発覚し、修復が不可能な状況に陥るケースもあります。

経済的な自立

女性の社会進出

近年、女性の社会進出が進み、経済的に自立する女性が増加しています。

経済的な不安が減ることで、我慢を強いられる結婚生活から抜け出し、自分らしく生きたいと考える女性が増えていると考えられます。

年金制度の充実

年金制度が充実してきたことで、離婚後も経済的にある程度の生活水準を維持できるようになったことも、熟年離婚を後押しする要因の一つと言えるでしょう。

生活価値観の違い

老後の過ごし方

定年退職後、自由な時間が増えることで、夫婦間の老後の過ごし方に対する価値観のずれが顕著になることがあります。

例えば、旅行や趣味を楽しみたいと考える一方で、自宅でゆっくり過ごしたいと考えるなど、価値観の相違が離婚理由となるケースも少なくありません。

介護問題

どちらかの親の介護が必要になった際、夫婦間で負担割合や介護に対する考え方が一致せず、対立が生じてしまうことがあります。

介護疲れやストレスが原因で、離婚を選択する夫婦もいます。

熟年離婚のメリット・デメリット

熟年離婚のメリット・デメリット

熟年離婚には、メリットとデメリットの両方が存在します。離婚前に、それぞれしっかりと理解しておくことが大切です。

メリット

新たな人生のスタート

長年連れ添った夫婦関係を解消することで、新たな人生をスタートさせることができます。

自分の時間や自由を手に入れ、趣味や旅行など、これまで我慢していたことに挑戦するチャンスが得られます。

経済的な自由

経済的に自立している場合、離婚によって経済的な自由を得ることができます。

自分の収入を自分のために使うことができ、経済的なストレスから解放される可能性があります。

精神的な解放

我慢やストレスの多い結婚生活から解放されることで、精神的な安定を得られる可能性があります。

自分らしく生きられる喜びを感じ、前向きな気持ちを取り戻せるかもしれません。

デメリット

財産分与の問題

長年の結婚生活で築き上げてきた財産は、原則として夫婦で平等に分与しなければなりません。

住宅ローンが残っている場合は、その支払いも考慮する必要があります。

生活費の不安定

離婚によって生活費が減少する可能性があります。特に、専業主婦として生活してきた場合は、経済的な自立が課題となります。

年金分割なども考慮し、生活設計をしっかりと立てる必要があります。

社会的な偏見

熟年離婚に対して、否定的な意見を持つ人もいます。

周囲の理解を得られない場合もあり、精神的な負担を感じてしまう可能性もあります。

熟年離婚の準備と流れ

熟年離婚の準備と流れ

熟年離婚は、感情的な問題だけでなく、財産分与や年金分割など、複雑な手続きを伴います。

円満に進めるためにも、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。

協議離婚の手続き

相談と協議

まずは夫婦でじっくりと話し合い、離婚について合意形成を図ることが重要です。

離婚の意思確認、財産分与、慰謝料、年金分割、親権、養育費など、重要な項目について話し合いましょう。

離婚条件の合意

離婚条件について合意に至ったら、書面に残しておくことが大切です。

口約束だけでは、後々トラブルになる可能性もあります。

公正証書を作成するのも有効な手段です。

離婚届の提出

離婚届に必要事項を記入し、夫婦双方が署名・押印した後、お住まいの市区町村役所に提出します。

離婚届が受理されれば、法的に離婚が成立します。

離婚調停のプロセス

離婚調停の申し立て

協議離婚で合意に至らない場合は、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。

調停委員を介して、離婚条件について話し合いを進めます。

調停の進行

調停委員は、夫婦双方の意見を聞きながら、合意点を見出すように調整を行います。

調停は、通常数回にわたって行われます。

離婚調停の成立

調停で離婚条件に合意した場合、調停調書が作成されます。

調停調書は、確定判決と同じ効力を持つため、離婚が成立します。

離婚裁判の場合

弁護士への相談

離婚調停でも合意に至らなかった場合は、離婚訴訟を起こすことができます。

離婚訴訟は、弁護士に依頼するのが一般的です。

裁判の準備

離婚訴訟を起こすには、訴状や証拠書類などを準備する必要があります。

弁護士と連携しながら、必要な準備を進めましょう。

裁判の進行

裁判では、双方の主張や証拠に基づいて、離婚の可否や条件が判断されます。

裁判の期間は、ケースによって異なりますが、数か月から半年以上と長期化するケースも少なくありません。

熟年離婚の重要なポイント

熟年離婚では、特に以下のポイントに注意する必要があります。

年金分割制度の理解

結婚期間中に配偶者が取得した厚生年金や共済年金は、原則として夫婦の共有財産とみなされます。

離婚時に、年金を分割する「年金分割制度」を利用することができます。

財産分与の交渉

財産分与では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンなどのマイナスの財産も対象となります。

財産分与の対象となる財産やその評価額、分与方法などについて、しっかりと話し合いましょう。

慰謝料の請求

配偶者の不貞行為や暴力など、離婚の原因が配偶者にある場合は、慰謝料を請求することができます

慰謝料の金額は、離婚原因や婚姻期間などを考慮して決定されます。

退職金や年金の扱い

退職金や年金も、財産分与の対象となる場合があります。

退職金の受け取り時期や年金の支払状況などを確認し、適切な取り決めをしておくことが大切です。

まとめ

熟年離婚は、人生の大きな転換期であり、経済的な問題や精神的なストレスを伴う可能性もあります。

離婚を検討する際は、感情的になるのではなく、冷静にメリットとデメリットを比較検討することが重要です。

専門家への相談

離婚問題に精通した弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、より有利な条件で離婚を進めることができます。

未来への準備

離婚後は、新たな人生が始まります。離婚前に、経済的な自立や生活設計、社会的なつながりなどをしっかりと準備しておくことが大切です。

 

春田法律事務所では、離婚に関するご相談を承っております。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。お客様の状況を詳しくお伺いし、適切なアドバイスをさせていただきます。

 

 

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