離婚に必要な手続きとは?しないデメリット・進めるポイントも解説
最終更新日: 2023年09月29日
- 夫婦で話し合い離婚は成立したが、離婚後に必要な手続きを知りたい
- 離婚に必要な手続きをしないと、何か不利益を受けるのだろうか?
- 離婚手続きをすすめるとき、行った方がよい対策には何があるだろう?
離婚が成立しても、それに伴う手続きは非常に多く存在します。自分の事情に合わせ、滞りなく手続きを進めていきましょう。
うっかり手続きを忘れてしまうと、後々想定外のトラブルに発展する可能性があります。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚が成立したら必要な手続き、手続きをしなかった場合の注意点等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚が成立したら離婚届や住民票異動届、連帯保証人の解除等、様々な手続きが必要
- 離婚に伴う手続きを行わないと、年金が満足に受け取れない事態や、元配偶者の借金返済までしなければいけない事態になり得る
- 夫婦の離婚に関する手続き内容は、公正証書にすると安心
離婚に必要な11個の手続きを解説
離婚が成立すればお互い一安心かもしれません。しかし、速やかに離婚後の手続きを進める必要があります。
こちらでは、離婚に伴う届出や様々な変更手続きを解説します。
離婚届
離婚の話し合いが成立した夫婦、そして調停・裁判で離婚が決定した夫婦も、届出人の本籍地または所在地の市区町村役場に、離婚届を提出しなければいけません。
なお、協議離婚のときは随時、調停・裁判離婚のときは確定した日から10日以内が期限となります。
離婚がどのように成立(または決定)したかで提出書類は異なります。
- 協議離婚:離婚届(成年の証人2名の署名)、届出人の本人確認書類(例:運転免許証、パスポート等)
- 判決離婚:離婚届、判決の謄本および確定証明書(各1通)
- 調停離婚:離婚届、調停調書の謄本(1通)
- 審判離婚:離婚届、審判書の謄本および確定証明書(各1通)
出典:離婚届 | 法務省
住民票異動届
離婚のとき、住居を変更したら、通常の引越しと同様に住民票を異動しなければいけません。
市区町村外から引っ越した場合は転入届、市区町村内での引越しは転居届、市区町村外に引っ越す場合は転出届を、市区町村役場に提出します。
- 転入届:引越し先に住み始めた日から14日以内に提出、転出証明書および届出人の本人確認書類(例:運転免許証、パスポート等)を提示
- 転居届:引越した日から14日以内に提出、届出人の本人確認書類を提示
- 転出届:引越し予定日の約14日前に提出、届出人の本人確認書類を提示
世帯主変更届
離婚時に世帯主の変更があった場合、届出をしなければいけません。
変更のあった日から14日以内に市区町村役場へ、世帯変更届および本人確認書類を提示して手続きをします。
国民健康保険
離婚をして国民健康保険に加入する人、国民健康保険の被保険者で姓の変わった人が市区町村役場に届け出を行います。
14日以内に、国民健康保険に加入する人は健康保険等資格喪失証明書と本人確認書類を、姓が変わった人は変更前の保険証を持参しましょう。
自分が勤務先の社会保険へ入っている場合や、もともと国民健康保険に加入していた場合は、手続き不要です。
年金に関する手続き
自分が配偶者の扶養となっていた場合、国民年金への切り替え手続きが必要です。
14日以内に、次の書類を市区町村役場に提出します。
- 個人番号または基礎年金番号の確認できる書類
- 本人確認書類
- 扶養から外れた日がわかる書類(健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書等)
自分が勤務先の厚生年金へ入っている場合や、もともと国民年金に加入していた場合は、手続き不要です。
なお、年金に関しては次のような制度もあります。
婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割し、それぞれ自分の年金にできる「年金分割」も行えます。
年金分割は次の2種類です。
- 合意分割:当事者間の合意等で按分割合を定めたとき、婚姻期間等の保険料納付記録を当事者間で分割する方法
- 3号分割:離婚等をしたとき、被扶養者等からの請求で、第2号被保険者の厚生年金保険の保険料納付記録を、強制的に1/2で分割する方法
年金分割の手続きは原則として、離婚をした日の翌日から2年以内に行います。
主に次のような書類を年金事務所に提出する必要があります。
- 年金分割のための情報提供請求書
- 標準報酬改定請求書
- 年金分割の合意書
- 戸籍謄本(1か月以内に請求したもの)
- 請求者の基礎年金番号通知書または年金手帳
- 個人番号カード 等
名義変更
財産分与のときに自動車等を取得した場合、名義変更手続きを行います。
自動車の名義変更手続きを例にあげると以下の通りです。
手続きは新所有者(自分)の管轄地域の陸運局(軽自動車検査協会)で、主に次の書類を提出します。
- 申請書
- 譲渡証明書(旧所有者の実印が必要)
- 旧所有者・新所有者の印鑑登録証明書(発行後3か月以内)
- 自動車検査証(車検証)
- 委任状(実印)
- 自動車保管場所証明書(発行後1か月以内のもの)
住所変更
自分が家を出る場合は、速やかにクレジットカード、キャッシュカード等の住所変更をします。
最近では金融機関等の窓口で手続きをしなくても、インターネットの「マイページ」から変更が可能です。
連帯保証人の解除
連帯保証人とは、主債務者(借金をした人)が借金を支払わないとき、主債務者の代わりに返済義務を負う人です。
自分が配偶者の連帯保証人となっている場合は、次のような方法で配偶者に連帯保証人を変更してもらいましょう。
- 連帯保証人の差し替え:離婚する自分の代わりに誰かを連帯保証人にたてる
- ローンの借り換え:現在ローンを組んでいる金融機関から、別の金融機関にローンを組み直し、連帯保証人から外れる
なお、ローンが残る自宅を売却する方法も、連帯保証人から解放される手段の一つです。
児童扶養手当・児童手当
児童扶養手当も児童手当も、児童が困窮しないように支給されるお金です。
児童育成手当は18歳に到達した年度末までの児童を養育していて、所得制限に該当し、父母が婚姻解消した場合等に利用できる手当です。
児童1人につき月額13,500円が支給されます。
申請するときはお住いの市区町村役場に次の書類を提出します。
- 申請書
- 申請者と児童の戸籍謄本:発行から1か月以内のもの
- 本人確認書類:マイナンバーカード等
- 預金通帳等
一方、児童手当は中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給される手当制度です。
児童年齢によって支給額が異なります(1人あたり)。
児童年齢 |
支給月額 |
3歳未満 |
一律15,000円 |
3歳〜小学校修了前 |
10,000円〜 |
中学生 |
一律10,000円 |
請求するときはお住いの市区町村役場に次の書類を提出します。
- 認定請求書
- 請求者の健康保険被保険者証
- 本人確認書類:マイナンバーカード等
- 預金通帳等
保育園申込
子どもを保育園へ預けて働く場合に必要です。
申込手続きの方法は、市区町村の窓口や入園(転園)先に問い合わせしましょう。
基本的に申込書や就労証明書等を準備します。
離婚報告
離婚時に会社に勤務しているならば、会社に離婚の報告をしましょう。
総務課等に報告すれば届出用紙を取得できます。必要事項を記入し提出すれば、扶養控除の変更手続き等は会社が行います。
離婚で手続きをしないデメリット
届出期限が明記されている手続きは、やはり期限内に提出した方がよいでしょう。
なお、年金分割は必ず行うべき手続きと言えませんが、本制度を利用しないと年金収入が減少してしまうので注意しなければいけません。
また、配偶者の連帯保証人となったまま、何年もこの状態を放置していると、離婚後にいきなり債権者(お金を貸した人)から、借金の一括返還請求を受ける恐れもあります。
離婚のときには自分を連帯保証人から外すよう、配偶者に働きかけましょう。
離婚手続きをすすめるときのポイント
離婚を進めるとき、地方自治体等への諸手続きを済ませるだけではなく、取り決めた内容(例:慰謝料や養育費の支払い等)が確実に履行されるよう対策を取った方がよいでしょう。
こちらでは、離婚手続きを安心して進めるためのポイントについて解説します。
公正証書の作成
離婚のときに取り決めた内容を公正証書で作成すれば、強力な証拠書類となります。
公正証書は公証人(公証作用を担う公務員)が作成する公文書で、原本は公証役場に保管され書類の破棄や改ざんのリスクもありません。
また、離婚公正証書へ金銭債務(慰謝料や養育費等)に関して、「強制執行認諾」の文言を定めておけば、支払う側に不履行があった場合、裁判手続を経ずに強制執行が可能です。
支払う側は強制執行をおそれ、離婚で取り決めた内容の誠実な履行に努めることでしょう。
弁護士への相談
離婚の話し合いを進める前に、弁護士と相談すれば有益なアドバイスが得られます。
弁護士は夫婦の事情を考慮し、どのように話し合いを行うのか、どのような手続きが今後必要になるのかをわかりやすく説明します。
また、離婚交渉に行き詰った場合、弁護士を代理人とすれば配偶者との交渉も任せられます。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚成立後の様々な手続き、離婚手続きを安心して進めるコツ等について詳しく解説しました。
離婚のときに必要な届出や手続きは多いものの、冷静に一つ一つ完了させていきましょう。
離婚手続きを円滑に進めたいなら、弁護士に相談し、アドバイスを受けてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にある「LINEで無料相談」のボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。