DV夫と離婚するには?進め方と注意点を弁護士が解説
最終更新日: 2025年07月03日
配偶者からの暴力(DV)は、深刻な人権侵害であり、法律上も明確な離婚原因として認められています。
継続的に暴力や精神的虐待を受けている場合、速やかに安全を確保し、離婚に向けた準備を始めることが重要です。
本記事では、DV夫と離婚するための具体的なステップ、注意点、弁護士に依頼するメリットなどを整理しながら、実際の事例を交えて解説します。
DVは法的に認められた離婚理由
民法770条1項5号において、「婚姻を継続し難い重大な事由」があれば、裁判上の離婚が認められるとされています。
配偶者からの身体的・精神的暴力はこの「重大な事由」に該当し、離婚理由として十分に成立します。
DVには以下のような種類があります:
- 殴る・蹴るなどの身体的暴力
- 怒鳴る・長時間無視するなどの精神的暴力
- 家計管理の放棄や金銭制限などの経済的暴力
- 外出や交友関係の制限などの社会的隔離
- 性行為を強要するなど性的なもの
このような暴力が継続している場合、離婚を検討することは正当かつ合理的な判断といえます。
離婚を進める前に確認すべきこと
身の安全の確保が最優先
暴力の程度が深刻な場合は、まず身の安全を最優先に行動する必要があります。
一時的な避難先として、実家やシェルター、信頼できる第三者宅を利用することが考えられます。緊急性が高い場合は、迷わず警察に相談してください。
また、自治体の「配偶者暴力相談支援センター」や女性相談センターも避難・支援の窓口として機能しています。
DVの証拠を収集する
離婚手続きや慰謝料請求に備え、DVの事実を立証できる証拠を確保しておくことが望ましいです。
主な証拠としては以下のようなものが挙げられます:
- 暴力を受けた際の写真
- 医師の診断書
- 暴言などの録音データ
- LINEやメールでのやり取り
- 相談記録(警察・支援センターなど)
証拠の有無によって、後の法的手続きの進行が大きく左右されることがあります。
離婚の進め方
DVを理由とする離婚の進行方法は、通常以下のようなステップとなります。
法律相談を受ける
まずは弁護士に相談し、今後の対応方針を確認します。
証拠の整理や接近禁止命令の申立ても視野に入ります。
協議離婚を検討する
相手との直接交渉が困難な場合は、弁護士を介した代理交渉が基本となります。
調停離婚へ移行
協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所に調停を申し立てます。
DV案件では、相手と顔を合わせずに調停が行える配慮も可能です。
裁判離婚に進むことも
調停でも解決しない場合は、裁判に移行します。
DVの証拠が認められれば、離婚が認められる可能性は高いです。
弁護士に依頼するメリット
DVを理由に離婚したいと思っても、「何から始めればいいの?」「相手が怖くて動けない…」と悩む方は少なくありません。そんなときに頼れるのが弁護士です。
弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
相手と直接やり取りしなくて済む
暴力をふるう相手と話すのは、精神的にもとてもつらいことです。
弁護士が代わりにやり取りしてくれるので、顔を合わせずに手続きを進められます。
法的な手続きをしっかりサポートしてもらえる
離婚にはいろんな手続きや書類がつきもの。
弁護士なら、どのタイミングで何をすべきかを的確にアドバイスしてくれます。調停や裁判になったときも安心です。
慰謝料や財産分与など、お金の面でも有利に交渉できる
DVがあった場合、慰謝料を請求できる可能性もあります。
相手が拒否しても、法的根拠に基づいて交渉してくれるので、しっかり権利を主張できます。
子どものことまで考えて動いてくれる
親権や養育費など、子どもがいる場合はもっと複雑になります。
ご自身とお子さんの将来を見据えた対応をしてくれるのも大きなポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q: DVの証拠がなくても離婚は可能ですか?
物的な証拠がない場合でも、状況証拠や本人の供述から判断されるケースもあります。
早期に相談することで、収集できる証拠を明確にできます。
Q:夫が弁護士を立ててきたらどうすればいいですか?
自身も弁護士を立てることで、対等な立場で交渉・調停に臨むことが可能です。
専門家を通じて冷静かつ適切に対応することが重要です。
Q:離婚後の生活が不安です。支援はありますか?
公的支援制度(母子家庭手当、生活保護、公営住宅等)が活用できます。
必要に応じて、弁護士や福祉窓口に相談してください。
Q:子どもの親権はどうなりますか?
DV加害者が親権を得ることは極めて難しく、被害者側に親権が認められるケースが一般的です。
Q:警察にはいつ相談すべきですか?
暴力行為が継続している、または命の危険を感じる場合は、すぐに110番通報してください。
保護命令や避難の支援につながることもあります。
まとめ
DVは重大な人権侵害であり、被害者が自らを守る行動をとることは正当な権利です
身の安全を最優先に行動し、証拠を確保しつつ、信頼できる専門家に相談することで、安全かつ法的に適切な形で離婚へ進むことができます。
「もう限界」と感じたときが、新たな一歩を踏み出すタイミングです。
早めの相談が、安心できる未来につながります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。