置き引きで捕まる確率はどれくらい?問われる罪・すべきことも解説
最終更新日: 2023年09月13日
- 置き引きをして逮捕される可能性はあるのだろうか
- 置き引きをして逮捕されてしまったら、重い罪になるのだろうか
- 逮捕が怖い、誰かに相談したいがどうすればよいのだろうか
置き引きとは、所有者が置いていった荷物を、こっそり持ち去る行為を指します。
不特定多数の人々が行き交う場所(駅構内、飲食店、公園、公衆トイレの中等)で、起きやすい犯罪です。
置き引きで窃盗罪に問われると、最悪の場合は最高10年の懲役刑に処される可能性があります。誰も見ていないからと他人の物を持ち去れば、取り返しのつかない事態になるでしょう。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、置き引きで逮捕される確率、置き引きをして問われる罪等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 置き引きをすると遺失物等横領罪、窃盗罪で逮捕される可能性がある
- 置き引きを行った場合、被害者による取り押さえられたり、警察官から現行犯逮捕されたりするおそれがある
- 置き引きをして後悔したら、まずは弁護士に相談して今後の対応を検討した方がよい
置き引きで捕まる確率と問われる罪
たまたま忘れ物を発見し、「誰からも目撃されていないから捕まらないだろう。」と置き引きをしてはいけません。
置き引きで逮捕される確率は意外に高く、問われる刑罰によっては懲役刑となるおそれもあります。
捕まる確率
置き引きで逮捕された場合、「遺失物等横領罪」または「窃盗罪」になる可能性があります。遺失物等横領罪と窃盗罪とでは、捕まる確率(検挙率)にかなりの差が出ています。
遺失物等横領罪
遺失物等横領罪とは、他人の意思に基づかず、他人の占有から離れた物を自分の物として、自己の支配下に置く罪です。
他人がうっかり落としたり、忘れてしまったりした財布等をそのまま持ち去ったケースがあげられます。
遺失物等横領罪は2021年(令和3年)の認知件数11,746件のうち、検挙件数はなんと9,056件と、検挙率が77.1%に達し高い割合となっています。
なお、検挙とは、警察や検察等の捜査機関が、犯罪の容疑者を特定し、刑事事件として処理した、という意味です。
窃盗罪
窃盗罪とは、他人の財物を故意に持ち去ったり、無断で使用したりする罪です。置き引きをはじめ、万引きやスリ、空き巣、ひったくり等の幅広い犯罪行為が窃盗罪に該当します。
窃盗罪は2021年(令和3年)の認知件数381,769件のうち、検挙件数は161,016件と検挙率が42.2%の割合になっています。
問われる罪
こちらでは、置き引きで遺失物等横領罪または窃盗罪に問われた場合、どのような重い刑が科せられるのかをみていきましょう。
遺失物等横領罪
他人の忘れ物を見つけ、持ち去る行為が該当します。遺失物等横領罪で有罪となった場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処されます(刑法第254条)。
持ち去った本人に罪悪感はあまりないかもしれませんが、最長1年の懲役刑を受ける可能性があります。落とし物・忘れ物は、交番や警察署へ届けるようにしましょう。
窃盗罪
他人の油断や、他人の目が届かない時間等を利用し、物を盗取した行為が該当します。窃盗罪で有罪となった場合、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます(刑法第235条)。
最悪の場合、最長10年の懲役刑が成立するケースも想定されます。なお、3年を超える懲役刑となる場合、執行猶予すら付かない事態となります。
執行猶予とは、有罪判決による刑の執行を一定期間先送りし、その期間に犯罪を起こさなければ、刑が免除されるという制度です。
なるべく重い刑を避け、不起訴(検察官が置き引きした者を刑事裁判にかけない処分)もしくは、有罪となっても執行猶予を得るためには、何らかの対策が求められます。
置き引きで捕まる確率が高い状況
誰も見ていないからと、安易な気持ちで他人の物を持ち去った場合、いろいろな方法で逮捕されてしまう可能性があります。
被害者による取り押さえ
被害者が落とし物・忘れ物に気付き現場へ戻ってきたとき、ちょうど自分の物を持ち去る犯人と出くわした場合が考えられます。
持ち主が追いかけてきて取り押さえられた場合、盗んだ本人は警察官に引き渡されます。
警察による現行犯逮捕
「不審な行動をとっている者がいる」「何かトラブルを起こし、周囲の人に取り押さえられている者がいる」という通報が入ったり、その現場を目撃したりすれば、警察官が動きます。
逃走など無駄な抵抗をしても、警察官に取り囲まれ、なす術もなく現行犯逮捕されるでしょう。
後日逮捕
被害者や警察に気付かれず、他人の者を持ち去ったとしても、被害者本人が被害届を行い、警察が捜査を開始したら、後日逮捕されてしまう可能性があるので注意しましょう。
現在は監視カメラが至る所に設置され、置き引きした犯人を割り出し易くなっています。現行犯でなくとも、何日か後に警察官から逮捕されるケースもあるのです。
置き引きで捕まる確率が高いときにすべきこと
置き引きをした後、その犯行の一部始終が防犯カメラに記憶されているかもしれません。顔がしっかり映っていれば、犯人の特定は時間の問題です。
いつ逮捕されるかわからない恐怖に怯え続けるより、弁護士に相談し、自分の損失を最低限にする対応を検討した方がよいでしょう。
まずは弁護士に相談
置き引きをした本人は、まず弁護士に相談してみましょう。刑事事件に詳しい弁護士は、その後の対応を詳しく説明します。
ほとんどのケースでは自首を勧められ、警察署で取り調べを受けるときのポイント、弁護士が被害者と示談交渉をする活動等が提案されます。
弁護士は可能な限り、置き引きをした本人が不起訴または軽い罪にとどまるよう、弁護活動を行います。
弁護士選びはどうする?
知り合いに弁護士がいる人ならともかく、法律問題で弁護士と相談する機会すらなかった人がほとんどといえます。
弁護士は法律の知識に精通した専門家ですが、それぞれに得意分野があり、刑事事件を得意とする弁護士、離婚や家族問題を専門に扱う弁護士、特許訴訟に詳しい弁護士等もいます。
刑事裁判に強い弁護士を選びたいなら、まずは法律事務所のホームページを確認しましょう。
- 刑事事件の相談実績が明示されている
- 刑事事件の記事がホームページ内に数多く掲載されている
- 刑事事件の弁護活動の手順が詳しく示されている
以上の内容が確認できれば、刑事事件の弁護に豊富な実績がある法律事務所と言えます。
選んだ後は、速やかに弁護士と相談する日時を予約し、今後の話し合いを行いましょう。
弁護士の活動
置き引きをした本人と相談が済んだら、弁護士は本格的な活動を開始します。
主に次のような活動が考えられます。
- 置き引きをした本人の自首に同行
- 本人が逮捕されないよう警察・検察に働きかける
- 被害者が判明しているなら示談交渉
本人が自首したいなら弁護士も同行し、警察に事件の経緯を説明します。
また、本人が逃亡や証拠隠滅するおそれがなく、問題解決に協力する意志を告げ、逮捕の回避に尽力するでしょう。
さらに、被害者が判明しているなら、弁護士は示談交渉を進め、被害者から被害届を取り下げてもらうことも期待できます。
このような活動が実を結び、不起訴処分や減刑につながる可能性もあります。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、置き引きで捕まる可能性や罪の重さ、逮捕前の有効な対策等について詳しく解説しました。
置き引きは他人に暴力を振るい、ケガをさせるような犯罪ではありません。しかし、他人の財物を持ち去る卑劣な犯罪です。
置き引き行為を反省し、なるべく穏便な解決を目指したいなら、速やかに弁護士へ相談してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。