離婚理由別の慰謝料を解説!請求できないケース・ポイントも詳しく紹介
最終更新日: 2025年01月23日
- 離婚で慰謝料請求ができるか知りたい
- どのような理由なら慰謝料をもらえるのだろうか
- 自分の離婚ケースではどのぐらい慰謝料を請求できるのだろう
離婚の慰謝料は数十万円から数百万円が相場です。しかし、理由や状況によって金額に幅があり、すべてのケースで受け取れるわけではありません。
適切な慰謝料をスムーズに受け取るためには、離婚理由別の慰謝料についてのポイントを押さえておくことが大切です。
そこで今回は、離婚理由別の慰謝料相場や、請求できないケース、注意すべきポイントを解説します。スムーズな話し合いと適切な慰謝料請求を実現するために、参考にしてください。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚慰謝料は理由により50~300万円程度と幅がある
- 不貞行為やDVなど具体的理由や証拠が慰謝料額に大きく影響する
- 弁護士相談を活用し冷静に対応することで交渉を有利に進められる
離婚理由別の慰謝料相場
離婚の慰謝料は、一般的に数十万円から数百万円が相場とされていますが、離婚原因や状況によって大きく増減します。
不貞行為や暴力などの具体的な理由によって金額が変動するため、相場を把握しておくことが大切です。
ここでは、離婚理由別の慰謝料相場を紹介します。
不貞行為
不貞行為(不倫)による慰謝料の相場は、一般的に100~300万円程度とされています。
しかし、離婚の慰謝料額は一律に決まるわけではなく、個別の事情により金額は大きく異なります。
慰謝料の額を決める主な要因は、不貞行為の回数や期間・不貞に至った経緯などです。
たとえば、一度だけの不倫と数年間にわたる継続的な不倫との慰謝料額が同額になることは、通常ありません。
また、不貞行為が発覚したときに相手がどういう態度をとったか・当時の夫婦の関係はどうだったのか、なども大きな影響を与えます。
離婚の慰謝料の金額は、詳細な事情を考慮して、適切な額が決まります。
DV・モラハラ
DV(家庭内暴力)やモラハラ(モラルハラスメント)を理由に離婚した場合、慰謝料を請求できる可能性があります。その場合の慰謝料は、一般的に50~300万円程度が相場です。
ただし、金額はモラハラがどういう状況だったのか・証拠があるのか・どのくらい暴力を受けたのか、などによって大きく異なることがあります。
たとえば、身体的暴力が何度も繰り返されている場合や精神的苦痛が深刻な場合は、慰謝料が高くなるでしょう。
一方で、一度だけの軽い暴力や十分な証拠がない場合は、金額が低くなる可能性があります。
モラハラに関しては、精神的苦痛の程度や深刻さや、それを立証できる具体的な証拠の有無・内容によって金額は変わってきます。
DVやモラハラの場合、慰謝料の額は個別の状況により変わるため、法律の専門家にアドバイスしてもらうことが大切です。
悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、配偶者が家庭を放置し、生活費を渡さない、連絡をとらなくなるなどの行為のことです。このような場合の慰謝料は、50万円~300万円程度が相場ですが、事情によって金額が大きく異なることもあります。
遺棄行為が長期間にわたって継続したり、相手を経済的・精神的に追いつめたりした場合は、慰謝料は高くなる傾向があります。一方、遺棄行為が短期間で、十分な証拠がない場合は、金額は低くなるでしょう。
配偶者が悪意の遺棄を行っていたことを証明するためには、十分な証拠が必要です。遺棄行為について詳細な記録や証人の確保が、慰謝料を高くするために必要です。
慰謝料の金額は個々のケースで異なるので、法律の専門家に相談し、適切に対応する必要があります。
性行為の拒否
性行為の拒否が離婚原因となる場合があります。この場合、一般的に慰謝料の相場は0~100万円です。
性行為の拒否が長期間にわたって続いたり、一方的に拒絶されて精神的な苦痛を受けたりした場合に、慰謝料の請求ができる可能性があります。
ただし、性行為の拒否が一時的だけだったり、他の重大な原因により拒否した場合は、慰謝料の金額が低くなります。
また、性行為の拒否以外に原因がある場合、慰謝料請求が認められない場合もあるでしょう。
性行為の拒否に関しては、その行為だけでなく、背景にある事情も総合的に考慮されます。
性行為の拒否を証明するのが難しいのであれば、専門家に相談した方がよいでしょう。
慰謝料に影響する離婚理由
離婚により精神的苦痛を受けた場合は、民法第709条・710条に基づき慰謝料を請求できることがあります。
民法第709条は不法行為による損害賠償を、第710条は身体や名誉・自由の侵害による賠償責任の規定です。
ここでは、慰謝料に影響する離婚理由について解説します。
不貞行為
不貞行為は、配偶者が他の異性と性的関係を持つことを意味し、夫婦の信頼関係を破綻させる行為です。
一方の配偶者の不貞行為が原因で夫婦の平穏な生活が侵害されると、もう一方の配偶者は精神的苦痛を受けるため、慰謝料を請求できる可能性があります。
民法第709条により、不貞行為が故意や過失による不法行為と認定されると、損害賠償の対象となります。
慰謝料の金額は、不貞行為の証拠やどのくらいの期間にわたって関係を継続したか、婚姻関係を破綻させる原因を作った配偶者と不貞行為の相手方の生活環境などにより変わってきます。
たとえば、長期間にわたって不貞行為があった場合や、不貞行為が家庭に深刻な精神的影響を与えた場合、慰謝料は高くなるでしょう。
慰謝料請求が認められるためには十分な証拠が必要であり、婚姻関係を破綻させる原因を作った配偶者の不貞行為を立証できる証拠を収集することが決め手です。
DV・モラハラ
DV(家庭内暴力)とは家庭内で配偶者から殴られたり蹴られたりという暴力を受けることで、慰謝料を請求できます。身体に物理的な暴力を加えるだけでなく、精神的な暴力であるモラハラもDVに該当します。
不法行為により精神的苦痛や身体的損害を受けた場合、被害にあった配偶者は、民法第709条・710条を根拠として慰謝料を請求できることがあります。
DVは、繰り返し暴力を振るわれることにより身体と精神に重大な影響を及ぼすので、慰謝料は高くなる傾向があります。
また、モラハラは精神的な支配や侮辱的な扱いをするケースが多く、これを原因とする精神的な被害も慰謝料請求の理由になります。
悪意の遺棄
民法第752条に、夫婦には同居義務・協力義務・扶助義務などがあることが定められています。
同居義務
夫婦が同じ住居に住む義務です。民法は夫婦が共同生活を営むことを前提としており、家庭生活の維持と安定のために定められています。
ただし、正当な理由があれば別居が認められることもあります。
協力義務
夫婦が互いに協力して家庭生活を営む義務です。家事や育児、収入を得るための活動など、お互いが家庭を維持するために助け合うことが求められます。
協力することで、円満な夫婦関係を築くことが目的です。
扶助義務
夫婦が互いに経済的・精神的に支え合う義務です。一方が病気や経済的困難に直面した場合、生活を支援する責任があります。この義務は、夫婦間の生活水準を同等に保つためのものです。
これらの義務が守られない場合、悪意の遺棄に該当します。悪意の遺棄は不法行為とされ、遺棄行為を受けた配偶者は、損害賠償請求が可能となる場合があります。
性行為の拒否
配偶者から正当な理由がないにも関わらず継続的に性交渉を拒否されると、精神的苦痛を受ける場合があるでしょう。
この状況になると夫婦間の信頼関係は失われ、離婚の原因になります。
また、拒否された配偶者は自分を否定されたような感覚に陥り、孤独感を感じ、精神的な苦痛を感じるでしょう。このような場合も、慰謝料の請求は可能となる場合があります。
離婚理由によっては慰謝料を請求できない
離婚理由によっては、慰謝料を請求できない場合があります。
一般的に、配偶者の行為が不法行為に該当しない場合や、双方の合意による離婚の場合、離婚の慰謝料の請求は難しいです。
慰謝料を請求できない離婚理由としては、以下の場合があります。
性格の不一致
性格の不一致が原因で婚姻関係が破綻した場合、一般的には、夫婦の一方に明確な責任はなく、慰謝料を請求することは困難です。
不貞行為や暴力、精神的な虐待など、法的に認められる離婚原因がある場合、慰謝料請求は認められます。
性格の不一致については、夫婦の一方が故意に相手を傷つけたり、明らかな過失を犯したりするわけではないので、慰謝料請求の根拠とはならないのです。
このような場合、夫婦が歩み寄り、スムーズに解決を図るために話し合うことが大切です。
離婚を検討している場合でも、感情的な対立を避け、冷静な対応をする必要があります。
健康上の問題
健康上の問題が原因で婚姻関係が破綻する場合があります。
たとえば、相手が重篤な病気や障害を抱えている場合、適切な心遣いやサポートが困難で、夫婦関係に亀裂が生じることがあります。
配偶者の病気が原因で生活レベルが低下し、精神的・肉体的な負担が大きくなる、夫婦間で意見の食い違いやコミュニケーション不足になるなどのケースもあるでしょう。
病気が原因で婚姻関係が破綻することはあるかもしれませんが、離婚して配偶者に慰謝料請求するのは法的には難しいでしょう。
ただし、病気が原因で生活が変化して、暴力や精神的な虐待を受けた場合は、離婚して慰謝料請求が認められるケースがあります。
家事・育児への不満
家事や育児についての不満が原因で離婚を決断するケースがあります。
特に、家事分担の偏りや育児についての考え方の不一致が続くと、夫婦仲が悪化して婚姻関係が破綻するケースがあります。
たとえば、妻だけが家事を負担したり、育児の責任を妻に押し付けていたりすると、深刻なストレスが蓄積して離婚へと発展するかもしれません。
ただし、家事や育児についての不満だけが原因で離婚する場合、相手方に離婚慰謝料を請求できる可能性は低いでしょう。
家事や育児についての不満は、夫婦間の価値観の相違や役割分担が異なることが原因で、法的には性格の不一致と同じように扱われます。
家庭内でのコミュニケーションや協力が不足していることに問題があり、離婚に至る前に夫婦間で話し合って解決することが大切です。
親族との関係悪化
親族との関係悪化が原因で離婚を考える場合もありますが、配偶者に直接的な有責行為がない場合、慰謝料の請求は難しいです。
親族と対立したりトラブルが続いたりすると、夫婦間にストレスや不満が生じ、夫婦関係が破綻するケースがあります。
たとえば、配偶者の親や親戚と仲が悪いことが原因で夫婦関係がぎくしゃくするケースです。
しかし、親族との関係悪化が離婚理由であっても、配偶者に対する有責行為が明らかでない限り、離婚の慰謝料請求することは難しくなります。
慰謝料請求が認められるのは、配偶者の不倫や暴力などの有責行為がある場合に限定されます。
親族との関係悪化だけでは慰謝料が認められることは基本ないでしょう。
婚姻関係を破綻させる原因を作った配偶者からの請求
婚姻関係を破綻させる原因を作った配偶者からの慰謝料請求は、認められない可能性が高いです。
一般的に、相手に不法行為があった場合に離婚の慰謝料請求が認められます。
自らが婚姻関係を破綻させた配偶者による請求は、原則として認められません。
たとえば、不倫や家庭内暴力を行なった配偶者が離婚を選択した場合、その配偶者からの慰謝料請求は不当とされます。
裁判所もこのような請求は却下する可能性が高いです。
離婚の慰謝料請求をスムーズに進めるポイント
離婚の慰謝料請求は精神的な負担が大きいため、スムーズに進めたいものです。
慰謝料請求を成功させるには、適切な証拠の収集や法的なアドバイスを受けることが欠かせません。
ここでは、離婚の慰謝料請求をスムーズに進めるためのポイントを紹介します。
理由の明確化
離婚の慰謝料請求を成功させるには、法的に認められる理由が必要です。
不貞行為や暴力など具体的事実を明確にし、これらの事実を証明できる証拠を揃えましょう。
証拠が不十分な場合、離婚の慰謝料請求が認められないことがあります。証拠になるのは、不貞行為を証明する写真や録音・メッセージのやり取り・医療証明書などです。
これらの証拠が揃っていれば、慰謝料額の決定によい影響を与える可能性があります。そのため、できるだけ詳細で確実な証拠を用意する必要があります。
離婚の慰謝料請求の手続きを進める場合、証拠を整理し、適切な法的手続きを踏むことが大切です。
冷静な対応
離婚の慰謝料請求は、冷静な対応が重要です。
感情的な発言や行動は交渉を難しくし、相手に悪い印象を与えるでしょう。
逆に、冷静に対応していると相手との話し合いをうまく進められ、より良い結果を導きやすくなります。
冷静に状況を見極められれば、法的なアドバイスを受け入れやすくなり、必要な証拠を確実に収集できます。
相手と交渉するときは、冷静に自分の考えを伝えることで、離婚の慰謝料請求を適切に進められるでしょう。
弁護士への相談
離婚の慰謝料請求をスムーズに進めるためには、弁護士へ相談することが大切です。
法律の専門家である弁護士は、離婚の慰謝料請求に関する手続きや交渉を適切にサポートします。
法的なアドバイスを受けると、離婚の慰謝料請求の正当な理由とは何か、どのような証拠をどのように収集し提示すべきかが明らかになり、交渉を有利に進めることも可能です。
また、弁護士は、感情的な対立を回避し、冷静に対応するための方法も提案するため、精神的な負担を減らせます。
離婚の慰謝料の金額や交渉の進め方など、自分で判断できない部分も、弁護士に相談すれば適切なアドバイスが可能です。
離婚理由別の慰謝料が気になるなら春田法律事務所まで
離婚の慰謝料は、原因によって金額が大きく変動します。浮気や暴力などの不法行為が原因の場合、慰謝料が高額になることが多いのですが、原因によっては慰謝料をもらえない場合もあります。
離婚理由別の慰謝料がいくらになるか気になる場合は、専門家のアドバイスを受けるとよいです。
春田法律事務所では、離婚に関する様々なケースに対応し、適切な慰謝料の請求をサポートしています。離婚理由別の慰謝料についてアドバイスを受けたい方は、お気軽にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。