離婚慰謝料を徹底解説!請求できるケース・できないケースも詳しく紹介!

最終更新日: 2024年01月21日

  • 離婚の慰謝料の目安はどれくらい
  • 離婚で慰謝料を請求できないケースはあるのだろうか?
  • 離婚で慰謝料の判断要素を知っておきたい

離婚を考える方にとって気になるのは、慰謝料ではないでしょうか。

「婚姻期間中に受けた精神的な苦痛を慰謝料として受け取りたい」
「配偶者の不貞行為をきっかけに離婚をした場合どの位の慰謝料額を請求できるのか」
「慰謝料額を決める要素や不払いを防ぐためにどのような手続きを踏む必要があるのか」

離婚手続きを進めるときにこのような悩みを抱える方は少なくありません。

本記事では、離婚時の慰謝料について、離婚に詳しい専門弁護士が、慰謝料の目安・請求できるケースとできないケース・金額を決める要素・請求時の主な流れを詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚の慰謝料の目安は離婚の原因で大きく異なる
  • 離婚の原因が自分側にもある場合は慰謝料を請求できない可能性もある
  • 離婚で慰謝料を決める要素は「暴力行為」「精神的な苦痛」「婚姻期間」「生活影響」 「子どもの有無」「年収」などがある

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚慰謝料の目安

離婚慰謝料とは、配偶者の一方の不貞行為や暴力などによって精神的な苦痛を受けた方が離婚するときに請求できるお金のことです。

離婚慰謝料の目安は、離婚の原因によって大きく異なります。配偶者の不貞行為によるものであれば数十万円〜300万円が相場でしょう。

他にも、暴力やモラハラ・性行為の拒否(セックスレス)・一方的な離婚などによっても慰謝料を請求できます。しかし、被害者の状況や事例はさまざまです。そのため、個々の事案内容によっては慰謝料額が大きく増減することもあるでしょう。

また、当事者間で円満に協議が成立する場合は、慰謝料額も柔軟に決めやすく、相場となる金額よりも高めの慰謝料を受け取れる場合もあります。

離婚で慰謝料を請求できるケースとできないケース

離婚慰謝料は、状況によって請求できるケースとできないケースがあります。それぞれを具体的に説明していきます。

  • 請求できるケース
  • 請求できないケース

請求できるケース

離婚で慰謝料を請求できるケースとは、配偶者が不貞行為を働いた(不倫していた)・日常的に暴力やモラハラがあった・正当な理由なく生活費を渡さない・長期間にわたり別居をしていた、などの悪意の遺棄があった場合です。

確実に慰謝料を請求するためには、離婚を切り出す前に有効な証拠(診断書やボイスレコーダーによる音声記録・写真など)を集めておくとともに、離婚に詳しい専門弁護士への相談も検討する必要があります。

弁護士であれば客観的な証拠を元に手続きを進められますし、慰謝料不払いを防ぐためのアドバイスなども受けられます。

請求できないケース

離婚で慰謝料を請求できないケースは、たとえば、夫婦間の単なる性格の不一致、自分自身に離婚の原因がある場合(自身が不貞行為を働いた場合)などです。

近年では、配偶者の親族との不仲や信仰する宗教などが原因で離婚する事例もあります。しかし、それが直接の離婚原因であることを証明できずに慰謝料を請求できないケースも往々にしてあるようです。

ただし、モラハラによる精神的苦痛があった場合や、婚姻関係が破綻するような原因となった不法行為があった場合には、慰謝料を請求できる可能性はあります。

まずは弁護士と相談して、慰謝料を請求できる可能性やその根拠を客観的に判断してもらうことが大切です。

離婚の慰謝料を決める6つの要素

離婚で慰謝料額を決めるときは何を元にするのでしょうか?ここでは、離婚慰謝料に関わる主な要素として、以下6点を説明していきます。

  • 暴力行為の有無
  • 被害者の精神的な苦痛
  • 婚姻期間
  • 離婚後の生活影響
  • 子どもの有無
  • 年収

暴力行為の有無

1つ目の要素は、暴力行為の有無です。

離婚で慰謝料額を決定するときには、暴力行為の有無が争点の1つになります。

この場合、暴力行為の有無を立証する責任は、慰謝料を請求する被害者側にあることに留意が必要です。

時間が経過すれば怪我は治癒してしまうため、スマートフォンやボイスレコーダーを活用して証拠保全をしておきましょう。

たとえば、暴力行為を受けた直後の負傷部位の写真や暴力行為の状況の録音は有効です。医師による診断書の作成なども含め、積極的な証拠集めを意識する必要があります。

被害者の精神的な苦痛

2つ目の要素は、被害者の精神的な苦痛です。

離婚による慰謝料額は、婚姻期間中に有責配偶者によってどの程度の精神的苦痛を与えられたかが大きく考慮されるでしょう。

不倫による不貞行為があった場合はもちろん、日常的な暴力やモラハラ・正当な理由もなく長期間にわたり生活費を渡さない・病気の配偶者を自宅に置き去りにして別居する、などといった悪意の遺棄などは、慰謝料額を増やせる可能性があります。

また、通院履歴や診断書などを用意することで、精神的な苦痛があったことを客観的に主張できます。

婚姻期間

3つ目の要素は、婚姻期間です。

夫婦間にどの程度の婚姻期間(同居期間・別居期間)があったのかも慰謝料額の算定要素として考慮されます。

一般的に、婚姻期間が長ければ長いほど離婚による精神的苦痛は大きくなるといわれており、短期間で離婚した場合より慰謝料額は高く設定される傾向があります。

ただし、短期間で離婚をした場合であっても前述したような暴力やモラハラなどによる被害を受けていたケースでは、高額の慰謝料の請求も可能です。

離婚後の生活影響

4つ目の要素は、離婚後の生活への影響です。

慰謝料額の決定に当たっては、無責配偶者の離婚後の生活にどのような影響があるかという点も考慮されます。

たとえば、これまで専業主婦(主夫)として家庭を支えてきた場合や、離婚後に子どもを引き取って育てていくケースなどでは、経済事情などを考慮した上でより高額な慰謝料を請求できる可能性が高いです。

一方で、無責配偶者に収入があり自立した生活を送っている・養育すべき子どもがいない・現在の住宅にそのまま住み続けられるといったケースなどでは、離婚後の生活に及ぼす影響が少ないと判断されることもあります。

子どもの有無

5つ目の要素は、子どもの有無です。

自身が親権者となって子どもを育てていく場合には、養育費が必要となることから慰謝料の金額も高くなる傾向にあります。

また、子どもの数が多いほど離婚による精神的苦痛は大きくなると判断され、その分慰謝料額が増額されるケースもあります。

子どもの年齢も慰謝料額を決定するときに考慮される要素です。中学生・高校生などの年齢の高い子どもがいる場合は、その分慰謝料の金額が高く設定されることもあります。

年収

6つ目の要素は、年収です。

離婚の慰謝料は、配偶者双方の年収も1つの判断材料とされます。

一般的に、不倫などを原因とした慰謝料の相場は数十万円〜300万円といわれています。しかし、現実には有責配偶者が支払えない金額を請求しても回収し切れない可能性が高いです。

そのため、年収を考慮して金額が決定される傾向があります。結果として、有責配偶者の年収が高ければその分慰謝料が増額される可能性も高まり、相場よりも高い慰謝料を請求できる場合もあるのです。

離婚慰謝料を請求するまでの主な流れ

離婚慰謝料を請求するまでの主な流れとして、以下3点を説明します。

  • 相手との話し合い
  • 離婚調停
  • 離婚裁判

相手との話し合い

1つ目は、相手との話し合いです。

配偶者や不倫相手に慰謝料を請求する場合は、まず内容証明郵便で請求書を郵送し、それをきっかけとして金額・支払い方法などを協議するのが通例です。

交渉を急ぐ場合にはメールや電話などで協議することもできます。しかし、対応を拒絶されたり、双方が感情的になってトラブルとなる可能性があることから、内容証明郵便の利用がおすすめです。

話し合いがまとまり協議が成立した場合は、その内容を合意書にまとめて慰謝料の支払いを受けることになります。この場合、慰謝料の不払いなど合意事項の不履行を防ぐために、合意内容を公正証書にしておくことがおすすめです。

当事者間での話し合いや手続きが難しい場合は、弁護士を立てて協議していくことも検討したほうがよいです。

離婚調停

2つ目は、離婚調停です。

離婚調停は、家庭裁判所で調停委員の立合いのもとに協議を行うものです。当事者である夫婦だけで行う協議と異なり、中立的な立場である調停委員が間に入って協議を進めることが特徴です。

離婚調停では、離婚をするかどうかといった根本的な問題はもちろんのこと、慰謝料・財産分与・子どもの親権や養育費・離婚後の面会交流など、離婚に伴うさまざまな問題を協議できます。

当事者間同士の協議では、双方が感情的になってしまい話がなかなかまとまらないケースも珍しくはありません。円滑に離婚を進めるために離婚調停制度を活用することは、有効な手段としておすすめできます。

離婚裁判

3つ目は、離婚裁判です。

離婚裁判は、離婚することの是非、その条件などについて裁判官が一切の事情を考慮した上で決めるもので、離婚調停などで解決できない場合に行われます。

離婚裁判では、慰謝料請求の可否や金額・財産分与・年金分割の割合・子どもの親権者・養育費の金額や支払い方法・離婚後の面会交流など、さまざまな問題を決めてもらえます。

離婚裁判を行うためには、原則として離婚調停手続きを経ていることや(調停前置主義)、不貞行為・悪意の遺棄などの法定離婚事由が必要です。手間暇はかかりますが、それでも慰謝料の金額など夫婦間での協議で解決できなかった問題を裁判で決着できる意味は大きいでしょう

離婚慰謝料はいつまで請求できる?

離婚慰謝料の請求権は、原則として離婚が成立した後3年で時効により消滅します。この時効期間は、本人が損害(不貞行為の事実)と加害者(不倫相手)を知った時点からカウントされはじめます。

そのため、慰謝料請求権の時効の完成が迫っているときは、裁判所に対する慰謝料請求訴訟の提起・内容証明郵便の郵送・当事者間での書面による協議の同意など、時効の完成を先延ばしにできる手立てを早急に講じなければなりません。

ただし、これらの手続は煩雑な上に法律の知識も必要です。しかも、当事者間の協議では上手く話がまとまらないことも多いでしょう。慰謝料をきちんと請求して確保するためには、離婚に詳しい専門弁護士の力を借りた方がよいです。

離婚で慰謝料請求したいなら弁護士に相談を

本記事では、離婚での慰謝料の目安、請求できるケースとできないケース・金額を決めるための要素・請求の主な流れについて解説しました。

離婚原因ごとのおおよその慰謝料額の目安はありますが、具体的にどの程度の金額を請求できるかは事案によって大きく異なります。

当事者間で円満に協議が成立すれば相場以上の慰謝料額を受け取ることも可能です。しかし、双方が感情的になってしまい上手く話し合いができなかったり、一旦協議が成立しても実際に慰謝料を受け取れなかった、などのトラブル事例も珍しくはありません。

こうしたトラブルを防いで確実に慰謝料を受け取りたい・より高額な慰謝料を請求したいという場合は、迷うことなく離婚に詳しい専門弁護士へご相談ください。

離婚に強い弁護士はこちら

離婚のコラムをもっと読む