ネットの誹謗中傷を削除したい!方法・問われる罪・ポイントも詳しく紹介
最終更新日: 2024年11月14日
- ネットで誹謗中傷を受けて困っている。悪質な投稿を速やかに削除したい。
- ネットの投稿を削除するには、どのような方法をとればよいのだろう?
- ネットで他人を誹謗中傷したが、もしも自分の身元がバレたらどのような責任を問われるのだろう?
ネット上には、匿名で自由に書き込みできるSNSや掲示板サイト等が豊富に存在します。そのため、個人や法人を誹謗中傷する投稿が後を絶ちません。
誹謗中傷された側は、何とか悪質な投稿を削除してもらいたいものです。
そこで今回は、ネットの誹謗中傷トラブルに対応してきた専門弁護士が、悪質な投稿を削除するための方法、悪質な投稿者が誹謗中傷で問われる罪等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- ネットでの悪質な投稿を削除するには、投稿者とやり取りしたり、サイト管理者に削除を依頼したりする方法等がある
- 誹謗中傷の投稿をした者は、被害者から刑事告訴や損害賠償請求を受ける可能性がある
- 誹謗中傷の投稿を削除する場合、弁護士のサポートを得れば手続きが円滑に進む
誹謗中傷をネットから削除する方法
SNSやブログ、掲示板サイトに自分の誹謗中傷が投稿されたら、いろいろな方法で削除が可能です。一つの削除方法がうまくいかなくても、他の方法で削除を試みましょう。
投稿者と直接やり取りする
SNSやブログで誹謗中傷を受けたら、それらのサービスに用意されているメッセージ機能を利用し、投稿者に削除要請が可能です。
削除を要請するときは、なるべく感情的にならず、投稿内容が誹謗中傷である理由を告げ、投稿者に対応してもらいましょう。
ただし、被害者が削除を要請しても、投稿者に無視されたり激高されて誹謗中傷が更に酷くなったりするおそれもあります。
そのため、投稿者の対応によっては、「警察や弁護士への相談を検討する。」とメッセージに記載しておけば、問題となっている投稿が削除される可能性が高まるでしょう。
サイト管理者に削除依頼する
SNSやブログ、掲示板サイトの管理者(管理会社)に削除依頼が可能です。
サイトによっては、権利侵害(誹謗中傷)に関するガイドラインが掲示されている場合が多いです。
そこに削除依頼の手順の説明や、報告する「フォーム」等が用意されています。管理者(管理会社)が指定した方法で削除依頼を行いましょう。
ただし、サイト管理者(管理会社)が依頼に応じない場合は、別の方法で削除を試みます。
また、サイト上でそもそも管理者(管理会社)が明記されていない、サイトをみても削除依頼方法がよくわからない等の場合、被害者だけで対応するのは困難です。
その場合、ネットの誹謗中傷の交渉・訴訟に精通した弁護士へ相談し、対応を協議しましょう。
裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる
サイト管理者(管理会社)に依頼しても、誹謗中傷の投稿を削除しない場合、裁判所に投稿の削除の仮処分を申し立てる方法です。
裁判所は削除の必要性があると判断したら、サイト管理者側に仮の削除命令を下します。この削除命令に管理者側が応じる可能性は高いです。
ただし、仮処分を申し立てるには、様々な書類や証拠物の提出が必要なので、スムーズに手続きが進むよう弁護士のサポートを受けましょう。
ネットの誹謗中傷で問われる罪
プロバイダ責任制限法に規定されている発信者情報開示請求や、発信者情報開示命令の手続きを行えば、誹謗中傷した投稿者の身元(氏名や住所等)を特定できます。
身元が判明した投稿者は被害者から刑事告訴されたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
名誉毀損罪
SNSやブログ、掲示板サイト等で公然と個人や法人の事実を摘示し、社会的評価を低下させる投稿を行えば、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
ネット上で示された事実が、証拠によって真偽を確認できるなら、事実の摘示に該当します。
つまり、名誉毀損となる投稿は、その内容が真実かどうかを問わず、具体的な事実内容を示したか否かで判断されるのです。
次のような投稿が名誉毀損となります。
- 「〇〇商社の〇〇〇〇部長は、部下〇〇〇〇へのセクハラ行為をお金で解決した」
- 「〇〇高校の〇〇〇〇教諭は生徒の教育に厳しいくせに、教諭本人は日ごろから未成年者を買春し、いかがわしい行為をしている」
- 「有名人〇〇〇〇は、親が〇〇大学に大金を渡し、裏口入学した」
名誉毀損罪は親告罪なので、被害者本人や代理人(弁護士)が警察等に刑事告訴しなければ、投稿者は検察官から起訴されません。
しかし、被害者側からの刑事告訴後に起訴され、刑事裁判で有罪判決を受けると「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
投稿者(被告人)は最悪の場合、刑事施設に収容されてしまうおそれがあります。
侮辱罪
SNSやブログ、掲示板サイト等で事実を摘示せずに公然と、個人や法人を侮辱すれば、侮辱罪に問われる可能性があります。
たとえば、個人や法人に対し「人間のクズ」「ダメ人間」「ブラック企業」等と投稿した場合は侮辱罪に当たります。
こちらも親告罪なので、被害者側が警察等に刑事告訴しなければ、投稿者は検察官から起訴されません。
しかし、刑事告訴後に起訴され、刑事裁判で有罪判決を受ければ「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
侮辱罪でも、最悪の場合は懲役刑や禁錮刑を受けるおそれがあるので注意しましょう。
不法行為による損害賠償
SNSやブログ、掲示板サイト等で誹謗中傷され、個人や法人に損害が生じれば、投稿者は不法行為責任を問われる可能性があります。
民法では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています(民法第709条)。
刑事責任を問う法的措置ではなく、金銭賠償で誹謗中傷による損害の解決を模索します。まずは被害者と投稿者(加害者)の話し合いで、和解を目指すのが一般的です。
ただし、和解不成立の場合、被害者が裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、解決を図ることになるでしょう。
賠償金額(慰謝料額)は、悪質な投稿が名誉毀損に当たるなら10〜50万円程度(法人50〜100万円程度)、侮辱に当たるならば1〜10万円程度が想定されます。
ただし、誹謗中傷により被害者が深刻な損害を受けていた場合、賠償金額が数百万円に上るケースもあります。
財産以外の損害の賠償
投稿者はネット上での誹謗中傷により名誉感情を侵害された被害者から、投稿者は損害賠償請求を受けるおそれがあります。
民法では「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」と規定しています(民法第710条)。
被害者は次のような権利を侵害されたと主張し、投稿者に対し不法行為を追及する可能性もあるのです。
- 肖像権侵害:無許可で他人の顔や容姿等を撮影し、SNSやブログ、掲示板サイト等に使用・公表する行為
- プライバシー侵害:無許可で他人の私生活の情報(氏名や詳細な住所、電話番号、メールアドレス等)を、ネット上に投稿する行為
名誉感情の侵害に関する賠償金額(慰謝料額)は、概ね10〜50万円程度が想定されます。
誹謗中傷をネットから削除するときのポイント
SNSやブログ、掲示板サイト等で自分が誹謗中傷されている事実を確認したら、慌てずに対応し、投稿の削除や拡散防止に努めましょう。
こちらでは、誹謗中傷の投稿を削除するポイントについて説明します。
ガイドラインの確認
自分が誹謗中傷されているサイトをよく確認し、掲載されているガイドラインをみてみましょう。
次のような項目を探し、投稿の削除の手順や方法を把握します。
- 「投稿削除の方法」
- 「もしも誹謗中傷を受けたら」
- 「違法な投稿の報告」 等
サイト管理者(管理会社)が明記した所定の方法に従い削除依頼をします。
たとえば、サイト内に運営会社の電話番号やメールアドレスが掲載されていても、所定のフォームからの依頼でなければ、削除に対応しない場合があるので注意しましょう。
なお、被害者本人だけではなく、代理人(弁護士)からの依頼も可能です。
もしも削除依頼をして、サイト側や投稿者とトラブルにならないか不安ならば、弁護士に任せた方が無難です。
冷静な対応
自分が誹謗中傷されていれば誰でも動揺してしまいます。
投稿者とメッセージ等で直接やり取りすれば、誹謗中傷の削除要求も感情的になるかもしれません。
これでは被害者と投稿者(加害者)の対立が激化し、投稿が削除されないばかりか、更に悪質な投稿が行われるおそれもあります。
一方、投稿した側も自分では正当な批判と思っていたのに、誹謗中傷されたと指摘を受け困惑してしまう場合があるでしょう。
被害者と投稿者が直接話し合い、和解するのが難しいならば、なるべく早く弁護士に相談し、今後の対応を協議した方がよいです。
弁護士への依頼
誹謗中傷を受けたとする被害者も、誹謗中傷した(または誹謗中傷したと指摘された)投稿者も、弁護士に相談しアドバイスを受けてみましょう。
被害者の場合
ネット上で誹謗中傷を受けたら、ネットの法的トラブルに詳しい弁護士へ相談します。
ネットの法律問題に精通した弁護士なら、削除の手順や方法やその後の措置を熟知しています。
まずは、誹謗中傷の内容や投稿されたサイトの報告、今後どうしたいのかを弁護士に伝えましょう。
弁護士は主に次のような説明や提案を行います。
- 投稿されている内容が誹謗中傷に当たるのか
- 誹謗中傷した投稿の証拠保存
- 悪質な投稿を削除する手順
- 投稿削除と並行して進める手続(例:発信者情報開示請求等)
- 投稿者への法的措置(損害賠償請求、刑事告訴)の提案 等
弁護士に依頼すれば、投稿者やサイト管理者への投稿削除依頼から、法的措置まで全てを任せられます。
投稿者(加害者)の場合
誹謗中傷した、または誹謗中傷したと指摘されている投稿者も、弁護士と相談し今後の対応を協議します。
まず弁護士に、誹謗中傷の投稿または誹謗中傷との誤解を招いた投稿の経緯や、自分の希望を伝えましょう。
ヒアリング後、弁護士は次のようなアドバイスを行います。
- 投稿されている内容が誹謗中傷に当たるのか
- 誹謗中傷を否認するときは被害者側への反論の方法
- 誹謗中傷を認めているときは被害者と和解(示談)交渉を目指す方法
- 被害者から損害賠償請求されたときの対応
- 刑事告訴されたときに弁護士がとる対応 等
弁護士に代理人を依頼すれば、被害者と和解(示談)交渉を任せられます。
和解が成立すれば、再び誹謗中傷する投稿を行わない限り、被害者から損害賠償請求訴訟を提起されたり、刑事告訴されたりするおそれもありません。
誹謗中傷をネットから削除したいなら当事務所にご相談を
今回はネットの誹謗中傷問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、悪質な投稿を削除するための方法やポイント等について詳しく解説しました。
投稿を削除するには、法的な知識が必要な場合もあります。被害者本人だけで対応が難しいなら、速やかに弁護士へ相談しましょう。
弁護士のアドバイスやサポートを受けて、誹謗中傷に関するトラブルの早期解決を目指しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。