離婚の決意はどうしたらできる?よくある理由や行動・決意したらすべきことを解説
最終更新日: 2023年09月29日
- どのような理由で離婚を決意した人が多いのだろう?
- 離婚を決意した場合にみられる行動は、男女で違いがあるのだろうか?
- 離婚を決意したとき、事前に何を準備しておくべきか?
夫婦の一方または双方が離婚を決意する理由は様々ですが、離婚を成立させたいならばそれなりの準備が必要となります。
また、配偶者が離婚を目指している場合、どのような行動をとる傾向があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚を決意する理由、離婚を決意した人に見られる行動、離婚を決意した後に行うべき準備等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 夫婦が離婚を決意する理由としては性格の不一致や暴力、モラハラ等が挙げられる
- 離婚を決意するときに見られる行動として、夫の場合は不自然に優しくなる、妻の場合は貯金をはじめる等がある
- 離婚を決意した後は親権や財産分与のための準備等を行う
離婚を決意する理由
夫婦の離婚の動機について、最高裁判所事務総局の集計「第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別」によれば、「性格の不一致」という理由が圧倒的1位となっています。
こちらでは、離婚を決意する主な理由について解説します。
性格の不一致
離婚する動機として「性格が合わない」という理由が、夫婦ともに最も多くなっています。
離婚調停等の申立人(夫または妻)が明示した動機で、申立総数57,062件のうち、25,278件(全体の44%以上)を占めています。
ただし、離婚理由を複数挙げる方も多く、申立人すべてが「性格が合わない」という理由だけで離婚を決めたわけではありません。
なお、夫婦別で性格の不一致を理由に挙げた件数・割合は下表の通りです。
申立理由 | 夫 | 妻 | 計 |
「性格が合わない」 | 9,127件 (60.1%) | 16,151件 (38.6%) | 25,278件 (44.3%) |
総数 | 15,176件 | 41,886 | 57,062件 |
モラハラ
「精神的に虐待する(モラハラ)」という理由が「性格が合わない」に次いで多く、申立総数57,062件のうち、14,209件(全体の約25%)となっています。
精神的な虐待(モラハラ)とは主に次のような行為が挙げられます。
- 「ダメ亭主ね!もう少し給料があがるように働いたら!」
- 「女のくせに口答えばかりしやがって馬鹿野郎」
- 「不潔、きもい、あっちいけ!」等
なお、夫婦別で精神的な虐待を理由に挙げた件数・割合は下表の通りです。
申立理由 | 夫 | 妻 | 計 |
「精神的に虐待する」 | 3,234件 (21.3%) | 10,975件 (26.2%) | 14,209件 (24.9%) |
総数 | 15,176件 | 41,886 | 57,062件 |
経済的DV
「生活費を渡さない」という理由が12,877件(全体の22%以上)となっています。
たとえば夫婦の一方が収入をすべて管理しており、全く生活費を渡さなかったり、明らかに不足する額しか家計に入れなかったりする場合が該当します。
妻が離婚を決意する理由として「性格が合わない」に次いで高い割合です。
なお、夫婦別で金銭問題を理由に挙げた件数・割合は下表の通りです。
申立理由 | 夫 | 妻 | 計 |
「生活費を渡さない」 | 711件 (4.7%) | 12,166件 (29.0%) | 12,877件 (22.6%) |
総数 | 15,176件 | 41,886 | 57,062件 |
暴力
「暴力を振るう」という理由が9,214件(全体の約16%)となっています。
婚姻を継続できないような深刻な理由の一つで、配偶者を殴る、蹴る、物を投げつける等の行為の他、自分の承諾も無しに、無理やり性交に及ぶ行為も性暴力です。
なお、夫婦別で暴力を理由に挙げた件数・割合は下表の通りです。
申立理由 | 夫 | 妻 | 計 |
「生活費を渡さない」 | 1,353件 (8.9%) | 7,861件 (18.8%) | 9,214件 (16.1%) |
総数 | 15,176件 | 41,886 | 57,062件 |
異性関係
「異性関係」という理由が7,434件(全体の約13%)となっています。
異性関係には浮気相手と不貞行為をしたケースや、他に好きな人ができ交際したいので別れたいといったケースも想定されます。
なお、夫婦別で異性関係を理由に挙げた件数・割合は下表の通りです。
申立理由 | 夫 | 妻 | 計 |
「異性関係」 | 1,779件 (11.7%) | 5,655件 (13,5%) | 7,434件 (13.0%) |
総数 | 15,176件 | 41,886 | 57,062件 |
離婚を決意するときに見られる行動
夫婦のいずれかが離婚を決意した場合、行動や心境の変化があると言われています。
こちらでは、男女によってそれぞれ異なる変化について解説します。
家族に優しくなる
離婚を決意した夫に該当する行動や心境の変化といわれています。
たとえば次のような理由で家族に優しくなる傾向があります。
- 子どもの親権を得たいがため、子どもによい印象を持ってもらおうと尽力する
- 離婚を妻に切り出したいので、妻にも優しく接する
子どもとのコミュニケーション量が増えるのは、子どもに好印象を与えるための方法です。
また、以前は全く行おうとしなかった子どもが観たい映画や遊びたい遊園地等に連れていく、ケーキを買ってくる等の行動も同様と考えられます。
妻に対しては穏便に離婚を進めようと、機嫌をうかがいながら、相談するタイミングを見計らっているため、ソフトな対応をとっているのかもしれません。
ただし、夫の場合、次第に妻との関係は淡白となっていく傾向が多いようです。離婚して他人になる決意をしたため、その心境の変化が態度に出始めている可能性があります。
貯金
離婚を決意した妻に該当する行動や心境の変化といわれています。
離婚すれば、経済的に自立して生活する必要が出てきます。
妻の場合、夫からの財産分与や慰謝料等に頼らず自分一人でも生きていけるよう、離婚を切り出す前から、コツコツ貯蓄を始めるのでしょう。
学習
こちらも妻にありがちな行動といえます。
離婚して自立するため専門資格をとり、就職に有利となるよう勉強をはじめるケースがあるようです。
特に現在は専業主婦(主夫)であったり、働いていてもパート従業員であったりしたら、より安定した収入を得るためのスキルの修得も大切な準備です。
運動
運動をするようになるのも、妻の行動や心境の変化と言われています。
ダイエットや筋トレを行い、心身に負担がかかる離婚を乗り越えて、新たな生活に自信を持って望みたいという、意識の高まりから生じる行動と考えられます。
離婚を決意したときにすべきこと
離婚を決意したら、いきなり配偶者に離婚を切り出すのではなく、いろいろと自分の方で配偶者に請求する費用等を決めておいた方がよいでしょう。
こちらでは、離婚を決意したら行うべき準備について解説します。
経済的自立
離婚を決意した人が仕事を持っているなら、離婚後も今まで通りに勤務先で仕事を継続していきます。
ただし、自分が専業主婦(または主夫)だった場合は、新たに就職先を探す必要が出てきます。
離婚前から自分にあった仕事の求人をチェックしておきましょう。専門の資格が必要な場合、できれば離婚前に取得しておくと安心です。
不動産リサーチ
離婚後に家を出るならば、すぐに新生活がはじめられるよう賃貸物件をチェックしておきましょう。
敷金や礼金、家賃・管理費は、賃貸物件の築年数や広さ・立地により大きく差が出てきます。自分の収入に見合った物件を何件か選んでおきましょう。
基本的に配偶者の同意を得れば、離婚の成立前から配偶者と別居して住み始めても構いません。なお、離婚後に実家へ戻る予定ならば住居の選定は不要です。
親権
子どもの親権をどちらが持つか、夫婦の話し合いで決定が可能です。
親権者をどちらにするか話し合いで決められない場合は、最終的に裁判で決定します。裁判では母親を親権者とする傾向が強いといわれています。
ただし、現在では夫婦の在り方も変化しており、一概に母親が親権者にふさわしいとは判断されません。
裁判官が親権者を決めるときは、主に次のような事情を考慮します。
- 子どもの世話をしてきた実績の大きさ
- 日常生活で子どもと共に過ごす時間の長さや、頻繁にコミュニケーションをとっているか
- 仕事をしていても育児に積極的だったか
- 休日には、積極的に子どもと触れ合ってきたのか 等
そのため、裁判所に訴訟を提起し、親権を決める事態になった場合も想定し、離婚前から子どもといっそう親密に接する努力を行いましょう。
財産分与の準備
夫婦で婚姻中に得た財産は財産分与の対象となります。
ただし、婚姻前から夫婦がそれぞれ所有していた財産は、原則として財産分与の対象外です。
そのため、婚姻中に得た財産とそうでない財産をなるべく早めに確認しておきましょう。
離婚を切り出した後、スムーズに相手へ財産分与の請求が可能です。
財産分与の割合は特に法律で決められていませんが、一般的に夫婦で1/2ずつ分配する形となります。
また、配偶者がもともと所有する財産でも、財産分与の対象となる場合もあります。
たとえば、配偶者が婚姻前に所有していた建物のリフォーム代を、自分が配偶者に代わり共有財産から支払った場合、その費用分も財産分与の対象に考慮されます。
婚姻中、自分が相手の財産の価値をあげる貢献もしたかどうかについて、忘れずに確認しておきましょう。
慰謝料請求の検討
離婚の原因をつくったのが配偶者なら慰謝料の請求も可能です。
ただし、根拠のない慰謝料の金額を相手に提示したら、強い反発を招くおそれがあります。
説得力のある金額を相手に主張するため、離婚前に法律の専門家である弁護士と話し合っておきましょう。
弁護士は夫婦の事情を考慮し、適正な慰謝料の金額を算定します。弁護士のサポートがあれば慰謝料の協議が有利に進められます。
養育費請求の検討
養育費は未成年の子どもが自立するまで支払っていく養育の費用です。親権の無い親が支払う側となります。
養育費は子どもの生活を維持する大切なお金なので、離婚前から慎重に請求する金額を考えておきましょう。
養育費の金額は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にします。
養育費が毎月どれくらいになるか、事例を挙げて算定すると次の通りです。
- 養育費を支払う親:夫(会社員、年収650万円)
- 受け取る親(親権者):妻(パート店員、年収160万円)
- 子ども(1人):10歳
→算定表を参考にすると約67,000円
事例では毎月約67,000円の支払いが目安となります。
専門弁護士への相談
離婚を決意した場合、まずは弁護士に相談した方がよいでしょう。
弁護士は離婚前に行うべき行動、離婚を切り出してから配偶者と決める内容等についてわかりやすく説明します。
また、離婚の話し合いに行き詰ったときは、弁護士に代理人を依頼すると、配偶者との交渉も任せられるので、有利に離婚の交渉を進められます。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚を決意したとき行うべき準備等について詳しく解説しました。
離婚を決意しても、いきなり配偶者へ離婚を切り出すのは避け、話し合いのための十分な準備を行いましょう。
離婚を決意したら、まずは弁護士に相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。