失踪した夫と離婚するには?手続き・費用・慰謝料を弁護士が解説
最終更新日: 2026年04月13日

ある日突然、夫が失踪してしまった場合、「離婚はできるのか」「今後の生活はどうなるのか」と不安になる方は多いでしょう。夫が不在であっても、適切な法的手続きを踏めば離婚することは可能です。
本記事では、失踪した夫と離婚するための具体的な方法や、慰謝料・財産分与の扱い、かかる費用などについて詳しく解説します。
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失踪した夫との離婚|まずは2つの方法を理解しよう
協議離婚や調停離婚は原則できない
日本の離婚の多くは、夫婦間の話し合いによる「協議離婚」です。しかし、夫が失踪している場合、話し合い自体ができないため協議離婚は不可能です。
また、裁判所を介した「調停離婚」も、相手が家庭裁判所に出頭する必要があるため、居場所がわからない状態では手続きを進めることができません。
選択肢は「離婚裁判」と「失踪宣告」
失踪した夫との婚姻関係を解消するための法的な選択肢は、大きく分けて「離婚裁判を起こす」方法と、「失踪宣告を利用する」方法の2つがあります。
それぞれの状況や失踪期間によって、どちらを選ぶべきかが変わってきます。
【方法1】離婚裁判で離婚を成立させる
裁判で離婚が認められるための3つの条件(法定離婚事由)
相手の同意なしに裁判で離婚を成立させるには、民法で定められた「法定離婚事由」に該当する必要があります。
夫の失踪の場合、以下のいずれかに当てはまる可能性が高いです。
悪意の遺棄
正当な理由もなく、同居・協力・扶助という夫婦の義務を放棄して家を出て行った場合、「悪意の遺棄」とみなされることがあります。
生活費を入れずに突然いなくなったケースなどがこれに該当します。
3年以上の生死不明
警察に捜索願を出しても見つからず、最後に連絡があった日から3年以上、生きているか死んでいるか全くわからない状態が続いている場合は、この条件で離婚請求が可能です。
その他婚姻を継続し難い重大な事由
失踪期間が3年未満であったり、生死不明とまでは言えなかったり(生きていることは確実だが居場所がわからない等)する場合でも、夫婦関係が完全に破綻していると認められれば、この事由で離婚が認められることがあります。
失踪した夫を相手取った離婚裁判の流れ
離婚訴訟の提起
まずは家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。通常、裁判の前に調停を経る必要がありますが(調停前置主義)、相手が行方不明の場合は例外としていきなり訴訟を起こすことができます。
公示送達の手続き
相手の居場所がわからないため、訴状を届けることができません。そこで「公示送達」という手続きを利用します。これは、裁判所の掲示板に「いつでも書類を渡します」という旨を一定期間掲示することで、法的に相手に書類が届いたとみなす制度です。
口頭弁論期日(離婚原因の主張・立証)
期日が来ても夫は出廷しないため、基本的には原告(妻)側の主張のみで審理が進みます。警察への行方不明者届の受理証明書や、親族からの陳述書など、夫が失踪していることを証明する証拠を提出します。
判決・離婚成立
裁判所が法定離婚事由を満たしていると判断すれば、離婚を認める判決が下されます。判決確定後、役所に判決書と離婚届を提出することで離婚が成立します。
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【方法2】失踪宣告で婚姻関係を解消する
失踪宣告とは?7年以上の失踪で「死亡」とみなす制度
失踪宣告とは、生死不明の状態が一定期間続いた人を、法律上「死亡したもの」とみなす制度です。
一般的な失踪(普通失踪)の場合、7年間の生死不明期間が必要です。
死亡とみなされるため、離婚ではなく「死別」という扱いになり、婚姻関係は終了します。
失踪宣告の手続きと流れ
家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行います。
裁判所による調査の後、官報や裁判所の掲示板で催告が行われ、一定期間内に夫から名乗り出がなければ失踪宣告がなされます。
その後、役所に届出をすることで手続きが完了します。
【比較】離婚裁判と失踪宣告、どちらを選ぶべき?
離婚裁判は、失踪期間が比較的短くても手続きを進められるのがメリットです。
一方、失踪宣告は7年待つ必要がありますが、夫が死亡した扱いになるため、妻は配偶者として夫の財産を相続できたり、遺族年金を受け取れたりする可能性があります。
離婚したいのか、それとも相続人としての権利を得たいのかによって選択すべき方法が異なります。
失踪した夫に請求できる?慰謝料・財産分与・養育費の問題
失踪(悪意の遺棄)に対する慰謝料請求
夫の失踪が悪意の遺棄などに該当する場合、離婚裁判の中で慰謝料を請求し、判決を得ることは可能です。
しかし、夫の居場所がわからない以上、実際に支払わせることは極めて困難です。
夫名義の財産分与の請求
夫名義の預貯金や不動産が残されている場合、離婚裁判と併せて財産分与を請求することができます。
夫の財産が特定できていれば、判決をもとに強制執行を行い、そこから回収することが可能です。
子どもの親権と養育費の確保
未成年の子どもがいる場合、裁判によって妻が単独で親権者となることができます。
養育費の請求も可能ですが、慰謝料同様、夫の給与や財産の差し押さえができない限り、実際の回収は難しいのが現実です。
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失踪した夫との離婚にかかる費用
裁判所に支払う実費(収入印紙・郵便切手代)
離婚訴訟を起こす場合、裁判所に納める収入印紙代(離婚のみの場合は1万3000円、慰謝料なども請求する場合は追加が必要)と、郵便切手代(数千円程度)がかかります。
公示送達や失踪宣告の場合も、それぞれ数千円から数万円程度の実費と官報公告費用が必要です。
弁護士に依頼する場合の費用相場
弁護士に依頼する場合、着手金として約30万〜50万円、離婚が成立した際の報酬金として約30万〜50万円程度が相場となります。
財産分与や慰謝料を獲得できた場合は、その経済的利益の10〜20%程度が加算されるのが一般的です。
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失踪した夫との離婚は弁護士に相談するべき3つの理由
状況に合った最適な離婚方法を提案してもらえる
失踪期間や残された財産、子どもの有無などによって、離婚裁判を選ぶべきか、失踪宣告を待つべきかは異なります。
法律の専門家である弁護士に相談することで、今後の生活にとって最も有利な選択肢を提案してもらえます。
複雑な裁判手続きや書類作成をすべて任せられる
相手が不在の中で裁判を進めるための「公示送達」の手続きや、失踪を証明するための証拠集めは、専門知識がないと非常に手間がかかります。
弁護士に依頼すれば、これらの煩雑な手続きをすべて代行してくれます。
財産調査や慰謝料請求を有利に進められる可能性がある
弁護士であれば、「弁護士会照会」という制度を使って夫の財産(銀行口座など)を調査できる場合があります。
これにより、本来回収が難しい財産分与や慰謝料を確保できる可能性が高まります。
まとめ
夫が失踪してしまった場合でも、「離婚裁判」や「失踪宣告」といった法的手続きを利用することで、婚姻関係を終わらせて新しい人生のスタートを切ることができます。
しかし、相手が不在のまま法的手続きを進めるには、専門的な知識と煩雑な手続きが必要です。
精神的な負担を減らし、財産分与などの権利をしっかり守るためにも、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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