離婚訴訟の流れ・費用・期間を徹底解説|法定離婚原因・弁護士の必要性まで

最終更新日: 2026年06月23日

離婚訴訟に備える!流れ・書類・費用・訴えられた場合の対策も紹介

調停でも解決できなかった場合、最終手段となるのが離婚訴訟(裁判離婚)です。

ただし、離婚訴訟を提起するには「法定離婚原因」という法律上の条件を満たす必要があります。

本記事では、離婚訴訟を起こせる5つの条件・提起から判決までの流れ・かかる費用と期間の目安・弁護士に依頼すべき理由を、離婚問題に実績のある弁護士が詳しく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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離婚訴訟とは

離婚訴訟とは調停離婚が不成立だった場合、裁判で離婚問題を解決する方法です。

裁判所で離婚問題を解決したいからといって、いきなり訴訟提起はできません。まず「夫婦関係調整調停(離婚)」を経る必要があります(調停前置主義)。

訴訟提起は、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所で行わなければなりません。

離婚訴訟を提起できるのは、法定されている次のケースのみです(民法第770条)。

離婚訴訟を起こせる「法定離婚原因」5つ(民法770条)

離婚訴訟(離婚裁判)は、相手が離婚を拒否していても提起できますが、誰でも自由に申し立てられるわけではありません。

民法770条に定められた「法定離婚原因」のいずれかに該当することが必要です。

法定離婚原因に当てはまらない場合、裁判所は離婚の請求を認めません。離婚訴訟を検討する前に、自分のケースが下記のどれに該当するかを弁護士と確認しておきましょう。

不貞行為(民法770条1項1号)

配偶者が自らの意思で、配偶者以外の異性と性的関係を持ったことをいいます。法定離婚原因のなかで最も多く主張されるものです。

立証するには、不貞行為の存在を示す証拠(ホテルの入退室記録、LINE・メールのやり取り、探偵の調査報告書など)が必要です。「怪しい」だけでは認められません。

悪意の遺棄(民法770条1項2号)

正当な理由なく同居・協力・扶助の義務を一方的に放棄することです。たとえば、生活費を入れずに家を出て行った、正当な理由なく長期間別居を続けているなどのケースが該当します。

なお、DV・モラハラから逃れるための別居は「悪意の遺棄」にはあたらないと判断されるのが通常です。

配偶者の生死が3年以上不明(民法770条1項3号)

配偶者の生死が3年以上明らかでない場合です。行方不明と生死不明は意味が異なり、生存の可能性が完全に不明であることが必要です。

単に「連絡が取れない」「居場所がわからない」だけでは、生死不明とは認められないケースがあります。

強度の精神病かつ回復の見込みがない(民法770条1項4号)

配偶者が重篤な精神疾患にかかり、回復の見込みがないと医師に判断されている場合です。ただし、裁判所はこの原因による離婚請求には慎重で、病者の今後の生活保障についても考慮します。

診断書・主治医の意見書などの医療記録が重要な証拠となります。

その他婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)

上記4つに当てはまらない場合でも、婚姻関係が実質的に破綻していると認められれば、離婚が認められることがあります。

具体的には、以下のようなケースが該当しやすいとされています。

  • 長期間の別居(目安として3~5年以上)
  • 配偶者からのDV・モラハラ
  • 性格・価値観の根本的な不一致による関係破綻
  • 宗教活動・ギャンブル・浪費など家庭生活を著しく害する行為

ただし、有責配偶者(離婚原因を作った側)からの請求は、原則として認められません。

離婚訴訟を提起する流れ

調停不成立となった場合、家庭裁判所に離婚訴訟の提起が可能です。訴訟に必要な書類を収集し、迅速に手続きを進めましょう。

前もって弁護士に代理人を依頼すれば、尋問期日の出頭を除き、ほとんどすべての裁判手続きを任せられます。

離婚訴訟の提起〜判決が言い渡されるまで、1年以上かかる可能性があります。長期間を要するケースも念頭におき、訴訟を提起しましょう。

訴状提出

離婚訴訟を提起する場合、まず訴状を作成します。訴状の用紙には、原告の個人情報(本籍・住所・氏名・送達場所等の届出)、被告の個人情報(本籍・住所・氏名)等を記載します。

また、「請求及び申立ての趣旨」「請求の原因等」欄に、正確な事実の記載が必要です。

収入印紙を貼る欄もあるので、忘れずに貼付しましょう。訴状の他に提出する書類も添付し、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所窓口に申し込みます。

家庭裁判所が訴状を受け取れば、第1回口頭弁論の期日を指定し、原告・被告双方に通知されます(被告には訴状も送達される)。

訴状の提出から1か月後くらいに、第1回口頭弁論の期日を設定するケースがほとんどです。

答弁書提出

訴状の提出後、原告は第1回口頭弁論の期日を待つだけです。一方、被告は答弁書を提出すれば期日に出席しなくても、第1回目口頭弁論の期日に限り被告側の言い分を主張したものとして扱われます。

答弁書の内容は自由に記載できます。

  • 原告と事実の認識が異なる→被告の意見・反論を答弁書に記載
  • 答弁書を詳細に作成するのが難しい→簡単に裁判で争う意思があると記載するだけでもよい

答弁書の提出期日は第1回口頭弁論期日の1~2週間前に設定されるので、期限内に必ず提出しましょう。

なお、答弁書を提出せず無断で口頭弁論の期日に欠席すれば、被告側はかなり不利な立場になる可能性があるため注意が必要です。

尋問

複数回の口頭弁論の期日を経た後、原告・被告への尋問(本人尋問)が行われます。

尋問とは、口頭弁論の期日で出そろった証拠・争点をもとに、原告・被告本人が代理人(弁護士)や裁判官からの質問に答える手続きです。

尋問では、原告・被告がそれぞれ主張したい事実の立証を行い、事実・証拠の信ぴょう性を述べなければなりません。

尋問では、まず原告側の弁護士が原告に質問(主尋問)後、被告側の弁護士が原告に質問(反対尋問)を行います。

原告の尋問が終わると、被告側の弁護士が被告に質問(主尋問)後、原告側の弁護士が被告に質問(反対尋問)を行います。

裁判官が原告・被告に質問(補充尋問)する場合もあるので、誠実に返答しましょう。

通常、前もって原告・被告それぞれの主張をまとめた「陳述書」を作成し、裁判所に提出しておきます。

判決

原告・被告双方の主張・立証から裁判官が事実認定できる状態になった場合、裁判官が原告の離婚請求を認容または棄却する判決を言い渡します。

裁判官が必要に応じ、判決前に原告・被告へ和解案を提示する場合もあるでしょう。和解案に双方が合意しない場合、判決により離婚問題を解決します。

判決が言い渡されるのは、口頭弁論の終結から概ね1か月後です。判決の詳しい理由は「判決書」に記載されており、判決が言い渡された日の数日〜2週間後、原告・被告に送られます。

控訴

原告・被告が判決に納得できない場合は、判決書の送達を受けた日の翌日から14日以内に控訴が可能です。

控訴するときは、まず控訴状を一審の家庭裁判所に提出しなければなりません。控訴後は、50日以内に「控訴理由書」を高等裁判所に提出します。

控訴理由書を期限内に提出しない場合、控訴しても新たな主張を取り上げてくれない可能性があります。

控訴審の第1回期日は、控訴後3か月くらいになる場合もあるでしょう。

離婚届提出

離婚訴訟で和解または離婚を認容する判決が下り、原告・被告双方が控訴する意思がない場合、和解成立または判決確定の日から10日以内に、市区町村役場へ離婚届を提出しなければなりません。

離婚届を提出するときは、他に次の書類も提出します。

  • 和解調書の謄本
  • 判決書の謄本と確定証明書原本

基本的に離婚訴訟の原告が離婚届を提出します(10日を経過しても原告から届出されないときは、被告からの届出も可能)。

離婚訴訟にかかる期間の目安

離婚訴訟は調停と異なり、判決まで平均1〜2年かかるのが一般的です。争点が多い・相手が主張を変えるなどの事情があれば、2〜3年以上に及ぶこともあります。

第一審で終わらず控訴・上告となれば、さらに年単位で期間が延びます。早期解決を目指すうえで、弁護士への早期相談が重要です。

離婚裁判の期間が長引く原因・短縮のポイント・各ステップ別の目安については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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離婚訴訟に必要な書類

離婚訴訟のときに必要な書類は、基本的に次の通りです。

  • 訴状(2部):家庭裁判所窓口またはホームページで取得
  • 夫婦の戸籍謄本とコピー:戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得(1通450円)
  • 年金分割のための情報通知書とコピー:訴訟で年金分割を求めるときに必要。年金事務所で請求
  • 収入に関する証明書:源泉徴収票や預金通帳等の証拠書類のコピー(2部)

離婚訴訟に必要な費用

離婚訴訟を提起するとき、家庭裁判所に裁判費用(申立手数料・予納郵券)を納付しなければなりません。

裁判費用は申し立てる側(原告)が支払います。最終的に裁判費用を誰が負担するかは、裁判で決定されます。

一般的に敗訴した側が負担しますが、裁判所が負担割合を決めた場合、負担割合に応じて双方が費用を支払うことになります。

弁護士を代理人する場合は弁護士費用も必要です。弁護士費用は高額になることもあるので注意しましょう。

申立手数料

家庭裁判所に申立手数料を収入印紙で支払います。

申立手数料をいくら支払うかは、担当弁護士や訴訟提起を行う家庭裁判所に確認しましょう。

通常、離婚のみの判決を求める場合は約1万3,000円、財産分与や慰謝料・親権等の判決を求める場合は約2万円分の収入印紙が必要です。収入印紙は訴状に貼り付けて提出しましょう。

申立て費用

内訳

収入印紙代

離婚のみ

13,000円

財産分与

+1,200円

面会交流

+1,200円

養育費

1人につき+1,200円

慰謝料

訴額10万円~1億円の場合:1,000円~32万円

郵便切手代

約6,000円

戸籍謄本

450円

 

収入印紙を購入できる場所は、郵便局や法務局の他、市区町村役場やコンビニ等です。収入印紙の額面は1円〜10万円まであります。コンビニでは200円の収入印紙しか購入できない場合が多いです。

1,000円や1万円のようなまとまった額面を購入するのであれば、郵便局や法務局、市区町村役場を利用しましょう。

予納郵券

予納郵券はいわゆる「郵便切手」で、裁判所から申立人(原告)と被告に、郵便物を送付するための料金分として納めます。

納める郵便切手は約6,000円分です。こちらも訴状を提出する家庭裁判所に確認して準備しましょう。

弁護士費用

弁護士費用は、法律事務所が自由に設定可能です。かかる費用は、主に「着手金」「成功報酬」「日当」の3つです。

  • 着手金:弁護士との契約のときに必ず支払う費用。約33万円〜66万円
  • 成功報酬:勝訴判決や和解したときに弁護士に支払う費用。約11万円〜55万円
  • 日当:弁護士が裁判等で時間的な拘束を受けた場合に発生する費用。1日約3万円〜5万円

成功報酬は法律事務所によっては「経済的利益の〇%」という形で決めているところもあります。

弁護士費用は、裁判の長期化により増加する場合もある点に注意が必要です。たとえば、日当は裁判期日に弁護士が出廷する日数分だけ費用が加算されます。

たとえば、裁判期日に6回出廷すれば、約18〜30万円かかるでしょう。ただし、法律事務所の中には「〇回までなら日当無料」としているところもあります。

離婚訴訟について弁護士と相談するとき、追加費用を負担する条件もよく聞いてから、契約しましょう。

申立手数料・弁護士費用の詳細な内訳や、費用を抑える方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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離婚訴訟を有利に進めるために弁護士が必要な理由

離婚訴訟は本人が自分で手続きを行うこと(本人訴訟)も制度上は可能ですが、実際には弁護士なしで対応することは非常に困難です。

法定離婚原因の立証活動

「離婚したい」という気持ちだけでは訴訟は認められません。法定離婚原因があることを、裁判所が納得できる証拠で証明する必要があります。

弁護士は証拠の収集方法・保全の手続き・証人尋問の準備など、立証活動全般をサポートします。

財産分与・慰謝料・親権の請求漏れを防ぐ

離婚訴訟では、財産分与・慰謝料・親権・養育費・年金分割など複数の争点が同時に発生します。

弁護士がいなければ、請求できるはずの財産分与が漏れたり、慰謝料が低額になったりするリスクがあります。一度確定した判決・和解の条件を後から変更することは原則できません。

和解交渉による早期解決

離婚訴訟では、裁判官から和解を勧められる(和解勧試)ケースが多く、判決まで至らず和解で終わることも少なくありません。

弁護士が交渉することで、依頼者にとって有利な条件での和解を実現しやすくなります。また、和解は判決と同じ法的効力を持ちます。

精神的・時間的負担の軽減

離婚訴訟は長期にわたる手続きです。準備書面の作成、期日への出頭(弁護士代理の場合は尋問期日以外は不要)、相手方との交渉など、本人に課される負担は相当なものになります。

弁護士に依頼することで、心身の余裕を保ちながら、自分の生活の立て直しに集中することができます。

離婚訴訟をされたらすべき対処法

離婚訴訟を提起された被告側である場合、まず家庭裁判所から送られてきた訴状(呼出状)を冷静に確認しましょう。

どのように対処すべきかわからない場合は、弁護士と相談し、対応の仕方を話し合った方がよいです。

答弁書への回答

被告には訴状と一緒に答弁書も送付されます。答弁書に記載する内容は次の通りです。

  • 被告の住所・氏名・送達場所の届出
  • 「請求の趣旨」に対する答弁:原告の請求を認めるか拒否するか
  • 「請求の原因」に対する答弁:原告の請求の原因を認めるか否か
  • 和解を希望するか否か

答弁書は慎重に作成する必要があります。記載方法がよくわからない場合、弁護士のアドバイスを受けながら作成しましょう。

家庭裁判所には答弁書正本(裁判所用)1通・副本(相手方用)1通、合計2通の提出が必要です。

裁判所への出頭

被告は、原則として呼出状に記載された日時に出頭します。

ただし、答弁書を提出すれば、第1回口頭弁論の期日に出席しなくとも、被告側の言い分を主張したものとして扱われます。

2回目以降の口頭弁論には、被告が出頭しなければなりません。

ただし、弁護士を代理人とした場合は、被告に代わり弁護士が出廷し、主張や証拠提出を行います。

被告本人は尋問期日を除き、裁判所に出頭する必要はありません。

弁護士への相談

訴状(呼出状)が届いたら、今後どのように対応していくかについて弁護士と相談しましょう。

弁護士は夫婦の現状や、訴状の内容を確認し、次のアドバイスを行います。

  • 訴状の内容に間違いや反論があるか
  • 離婚訴訟の流れ
  • 答弁書提出の重要性
  • 第2回以降の口頭弁論の期日での対応
  • 尋問で何を答えるか 等

相談を通じて「この弁護士に代理人を任せたい」と思うときは、そのまま委任契約を締結してもよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 弁護士なしで離婚訴訟はできますか?

A. 本人訴訟として制度上は可能です。ただし、準備書面の作成・証拠の整理・証人尋問への対応など、法律の専門知識が必要な場面が多く、不慣れな方には非常に困難です。また、相手が弁護士を立てている場合、交渉力・主張整理の面で著しく不利になるリスクがあります。

Q. 離婚訴訟で敗訴(請求棄却)になったらどうなりますか?

A. 控訴(高等裁判所)・上告(最高裁判所)を行うことができます。ただし、新たな証拠や法的主張がなければ逆転は難しいのが現実です。また、一度判決が確定した後に同一の事由で再度提訴することは、原則として認められません。

Q. 裁判中の生活費はどうなりますか?

A. 別居中でも婚姻関係が続く間は、収入の多い側に婚姻費用(生活費)の分担義務があります。

Q. 裁判中に相手と和解することはできますか?

A. できます。裁判官から和解を勧められるケース(和解勧試)は多く、判決まで至らずに和解で解決することも珍しくありません。和解が成立した場合は和解調書が作成され、判決と同じ法的効力を持ちます。期間・費用の節約にもつながります。

Q. 相手が行方不明で住所がわからない場合でも訴訟できますか?

A. できます。住所不明の相手に対しては「公示送達」という手続きを利用することで、訴状を相手に送達したものとみなして訴訟を進めることができます。ただし手続きに時間がかかるため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

まとめ

離婚訴訟は、協議・調停での解決が難しい場合の最終手段です。

提起するには不貞行為・悪意の遺棄・生死不明・強度の精神病・婚姻継続困難な重大事由のいずれかの法定離婚原因が必要で、証拠によって立証することが求められます。

期間は平均1〜2年、費用は弁護士費用を含めると100万円を超えるケースも少なくありません。財産分与・慰謝料・親権といった離婚条件を同時に有利に取り決めるためにも、早期の段階から弁護士に相談することが重要です。

「訴訟に踏み切るべきか」「訴えられてしまった」いずれの場合も、まずは無料相談でご状況をお聞かせください。

 

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