夫の暴力に耐え続ける必要はない!DVからの早期離婚徹底ガイド!

最終更新日: 2023年07月04日

  • 夫の暴力・DVに我慢ができず離婚したい
  • 夫の暴力・DVによる離婚は可能なのか?
  • 夫の暴力・DVから逃れるための離婚の進め方を知りたい

夫から暴力を振るわれたり、心に傷が残るような暴言・望んでいない性交を強要されたりして心身ともに疲弊している人は少なくありません。

このような状況をいつまでも我慢していたら、心身ともに壊れてしまうことも考えられます。そのため「離婚」を視野に入れて考えることも1つの選択肢になるでしょう。

そこで今回は、夫の暴力・DVが離婚原因として成り立つ理由・種類・事例を紹介します。また、暴力・DVを犯す夫の特徴・離婚を考えたときに取るべき行動についてついても解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 夫の暴力・DVで離婚を考えているなら「身体的暴力・DV」「精神的暴力・DV」「性的暴力・DV」「経済的暴力・DV」に該当しているかチェック
  • 夫の暴力・DVをきっかけに離婚する方法は、協議。協議で合意できなければ調停などが必要
  • 夫の暴力・DVで離婚を進めるには、「住む場所を確保する」「公的機関の支援を確認する」「専門家に相談する」の3つが大切

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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夫の暴力は離婚原因の1つ

夫の暴力・DVは、離婚原因の1つになります。

そもそも離婚は、お互いが合意していれば、どのような理由であっても可能です。しかし、夫の暴力・DVの場合、そもそも話し合いが難しく、相手の理解を得られる可能性は低いため、合意は難しい傾向にあります。

当事者間で合意できない場合は、裁判上で離婚をすることになります。裁判上の離婚の場合は、法律で離婚原因が以下の通り定められています。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

出典:民法 | e-GOV法令検索

夫の暴力・DVは、上記の離婚原因の「配偶者から悪意で遺棄されたとき。」「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当する可能性が高いといえるでしょう。

離婚原因になる暴力・DVの種類と事例

夫の暴力・DVは目に見える「傷」として残るものだけではありません。心の傷であったり、自立を阻まれることも一種の「暴力」として捉えることができるのです。ここでは、暴力・DVの種類と事例を以下の4点について解説します。

  • 身体的暴力・DV
  • 精神的暴力・DV
  • 性的暴力・DV
  • 経済的暴力・DV

1つずつ見ていきましょう。

身体的暴力・DV

暴力・DVの種類と事例の1つ目は、身体的暴力・DVです。

身体的暴力・DVとは、相手を殴る・蹴るなどの「有形力の行使」です。物理的に攻撃を加えることは、有形力の行使になります。有形力の行使は、刑法第204条「傷害」・第208条「暴行」に該当する違法行為であり、処罰の対象となるものです。

なお、身体的暴力・DVには、以下のような事例があります。

  • 髪の毛を引っ張って部屋中を引きずり回された
  • 首に巻いたスカーフをきつく絞められた
  • ベルトで鞭(むち)のようにして何度も叩かれた
  • 胸ぐらを掴んで壁に何度も打ち付けられた
  • 刃物を振り回されてケガをした

これらの行為は命の危険に及ぶ可能性もあるため、早急に対応する必要があります。

出典:刑法 | e-Gov法令検索

精神的暴力・DV

暴力・DVの種類と事例の2つ目は、精神的暴力・DVです。

精神的暴力・DVとは、言動等によって相手の心に傷を残すような行為をいいます。精神的な暴力を受けた結果、「心的外傷後ストレス障害」(PTSD)に至るようなことがあれば、刑法上の傷害に該当する「精神障害」と認定される場合もあります。

外見上の傷はなくても、刑法204条の傷害罪として処罰される可能性があるのです。

精神的暴力・DVには、以下のような事例があります。

・「お前は何をしてもダメだ」と毎日のように言われる

  • 「誰とも一切連絡を取るな」と言われ自由を奪われる
  • 相手の欠点に対して、延々と説教をする
  • 宅配業者と話していると「浮気しているだろう」としつこく疑ってくる
  • ケンカになると「お前の実家に火をつける」などと脅される

精神的暴力・DVは、はじめのうちは直接的な命の危険がないこともあり、我慢してしまう傾向がありますが、長い年月を経て精神的に病んでしまう可能性があります。

性的暴力・DV

暴力・DVの種類と事例の3つ目は、性的暴力・DVです。

性的暴力・DVとは、性的行為を強要したり、中絶を強要したり、避妊に協力してくれないことをいいます。性的暴力・DVは夫婦間であっても適用されます。

夫婦だからという理由で、性行為を強要したり、暴行・脅迫することは、刑法第177条の「強制性交等罪」に該当し罰せられる可能性があるのです。

性的暴力・DVには、以下のような事例があります。

  • 子どもができたら「堕ろせ」と言ってお腹を叩いてきた
  • 性交を拒否すると、暴力を振るってきた
  • いやいや性交をしていたら、相手に伝わって裸のまま殴る・蹴るなどの暴行をされた
  • 性癖が異常で、拒んでも強要してきた
  • 自分が付けたくない避妊具を使ってくれない

経済的暴力・DV

暴力・DVの種類と事例の4つ目は、経済的暴力・DVです。

経済的暴力・DVとは、必要な生活費を渡してもらえない・買い物をするときに必ず伺いを立てないといけない・ギャンブルや趣味にお金を使い込まれてしまう、など「金銭的な自由」を奪う行為をいいます。

経済的に相手を追い詰めて支配するため、経済的なダメージだけではなく、精神的にもダメージを受けるのです。

経済的暴力・DVは、民法第752条「同居、協力及び扶助の義務」に反する行為です。

経済的暴力・DVには、以下のような事例があります。

  • 生活費をもらうときに土下座を強要される
  • レシート・家計簿を執拗にチェックされる
  • 相手の勝手な理由で浪費される
  • 生活費が足りなくなり、内緒で借金する必要が出てくる
  • 「これが普通」と思い込まされるため、被害が表面化せず長年の支配が続く

出典:民法 | e-GOV法令検索

離婚すべき暴力・DV夫の5つの特徴

暴力やDVは目に見えない形で起こる場合もあるため、暴力・DV夫の特徴を理解しておく必要があります。ここでは、離婚したほうがよい暴力・DV夫の5つの特徴を解説します。

  • 外面がよい
  • 自分が正しいと思っている
  • 束縛する
  • 感情がコントロールできない
  • 自分に自信がない

1つずつ見ていきましょう。

外面がよい

離婚したほうがよい暴力・DV夫の5つの特徴の1つ目は、外面がよいことです。

暴力・DV夫は、「人からよく思われたい」と考えている人が少なくありません。そのため「いい人」に見えるように振舞ったり、世間体を気にしたりする傾向があります。

特に職場や近所の人には、そのように接する傾向が高く、家庭内で暴力・DVをしていると妻が訴えても、信じてもらえないこともあるでしょう。暴力・DV夫は「二面性」がある場合が少なくありません。

自分が正しいと思っている

離婚したほうがよい暴力・DV夫の5つの特徴の2つ目は、自分が正しいと思っていることです。

「自分の価値観が正しい」と思い込んでいることがあり、それを相手に強要してくる場合があります。夫は、妻が夫に逆らうことで、「男性優位が侵害された」と感じると、暴力・暴言によって、妻をコントロールしようとします。

このような暴力・暴言は、薬物・アルコール依存症などの病気に起因することもありますが、戦前の「家父長制度」「男尊女卑」の考え方が今でも根付いていたり、ジェンダーと呼ばれる「性別役割分業」の考え方が根底になっていたりすることも、問題といわれています。

束縛する

離婚したほうがよい暴力・DV夫の5つの特徴の3つ目は、束縛することです。

嫉妬深いなどの理由で束縛が激しくなる傾向があるのも、暴力・DV夫の特徴です。たとえば、過去に付き合った恋人の人数や、どのような付き合いだったのかを執拗に確認してきたり、チャットやメールの返信が少しでも遅れると怒り出したりします。また、妻の携帯をチェックしたがる傾向もあります。

暴力・DV夫は、妻を自分のもののようにして、全てをコントロールしたがるのです。

感情をコントロールできない

離婚したほうがよい暴力・DV夫の5つの特徴の4つ目は、感情がコントロールできないことです。

暴力・DV夫は、キレやすい傾向があります。会話をしている中で、夫が考えていることに異を唱えると、怒り出してしまうことも少なくありません。また、話の内容をつかめずに、何度も聞き返していると突然キレることもあります。

暴力・DV夫は、感情の起伏が激しく自分でコントロールできないため、暴力的な言動を抑えることが難しいとされます。暴力・DVをしてしまったと自覚すると、急に優しくなりますが、基本的にはまた同じことが繰り返される傾向があります。

自分に自信がない

離婚したほうがよい暴力・DV夫の5つの特徴の5つ目は、自分に自信がないことです。

自信のない暴力・DV夫は、他人に対して自分の力を誇示したがる傾向があります。そのため、妻からダメ出しを受けると感情的になり怒鳴りつけたり、気が済むまで説教をしたりして相手を追い込んでしまうのです。

暴力・DVは基本的に特定の女性(この場合は妻)に対して向けられます。それは、妻に自分を認めてほしいという承認欲求の現れともいえます。

暴力・DVで離婚を考えたときに取るべき行動

夫からの暴力・DVにいつまでも耐えていると身の安全が確保できず、安心して暮らすことが難しい状況が続くおそれがあります。状況によっては、「離婚」を視野に入れて動き出すことも必要です。

ここでは、暴力・DVで離婚を考えたときに取るべき行動を、以下の3点について解説します。

  • 証拠を残す
  • 身の安全を確保する
  • 弁護士に相談する

1つずつ見ていきましょう。

証拠を残す

暴力・DVで離婚を考えたときに取るべき行動の1つ目は、証拠を残すことです。

暴力・DVを受けたら、証拠を残しましょう。たとえば、暴力をふるわれてケガをしたら、医者に診断書を発行してもらうことが大事です。できれば暴力・暴言を録画や録音して記録を保存しておくとよいです。

もし、そのような対応が難しければ、日記やメモを残しておくこともおすすめです。具体性があるほうがよりよい証拠となるため、「いつ」「誰が」「どこで」「どのように」したのかを記しておきましょう。

暴力・DV夫は、体裁を気にするため、簡単に離婚に同意してくれない可能性があります。そのときは、裁判上の離婚となるため、夫婦生活が破綻した証拠が必要です。

身の安全を確保する

暴力・DVで離婚を考えたときに取るべき行動の2つ目は、身の安全を確保することです。

暴力・DVは、命に危険が及ぶ可能性があります。危険から逃れるためには、別居して夫との距離を保つことが必要です。夫との距離を取ることで双方が冷静になれる場合もありますし、離婚の準備もしやすくなるでしょう。

また、裁判所に対して「保護命令」の申立てを行うことも1つの手段です。保護命令とは、加害者が被害者やその子どもに近づかないようにしてもらうものです。これは、「DV防止法の保護命令制度」に基づく決定となるため、法的な効力があります。

出典:保護命令 | 内閣府男女共同参画局

弁護士に相談する

暴力・DVで離婚を考えたときに取るべき行動の3つ目は、弁護士に相談することです。暴力・DVが原因の離婚は、話し合いでまとめることは難しい場合が少なくありません。

夫は自分が正しいと思っていることが多く、世間体を気にして離婚をしたがらない傾向があります。また、離婚を切り出すことで激情し、暴力・DVがひどくなる可能性もあります。

まずは、離婚を切り出す前に、弁護士に相談することがおすすめです。弁護士に相談すれば、裁判所への保護命令申立てを代理で行ってもらえたり、離婚に向けてどのように手続きを進めていくかなどを詳しく教えてもらえたりします。

さらに、離婚調停になった場合は当日同行してアドバイスがもらえますし、裁判になっても代理で出席してもらえます。夫と顔を合わせて直接話すことなく離婚の話を進められるのです。

調停や裁判になったときに、証拠を出して主張していくことは個人では難しいため、弁護士に相談することがおすすめです。

まとめ

今回は、離婚専門の弁護士が、夫の暴力・DVが離婚原因として成り立つ理由・種類・事例を紹介しました。また、暴力・DVを犯す夫の特徴・離婚を考えたときに取るべき行動についても解説してきました。

夫の暴力・DVに耐える必要はありません。暴力・DVは心身が傷ついてしまい、命に危険が及ぶこともあります。暴力・DVを自覚をした時点で行動をはじめることがおすすめです。まずは身の安全を確保することからはじめ、冷静に考えられる環境を作りましょう。

夫の暴力・DVで弁護士に相談することで、夫の暴力・DVから逃れられ、離婚までの道のりを寄り添いながら、解決へと導いてもらえます。

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