不倫がばれたら直接謝罪すべき?正しい対処法を専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月07日

不倫がばれたら直接謝罪すべき?正しい対処法を専門弁護士が解説

やっぱり相手の配偶者に謝罪はすべき?
不倫相手に謝罪はさせるべき?

不倫問題に遭遇した方のなかにはこのように悩む方もおられるでしょう。不倫の被害者であれば、真摯に謝罪をしてもらいたいと思うのが当然です。しかし、謝罪を受けて気持ちが落ち着く方もおられますが、形式的な謝罪により精神的苦痛が増大してしまったという方もおられます。

謝罪をする側も、直接謝罪をすることで、相手方から反感をかってしまう可能性もあるのではないか…と不安に思うこともあるでしょう。

今回は不倫問題を数百件解決してきた専門弁護士が不倫問題とは切っても切れない謝罪について解説いたします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不倫発覚時の謝罪方法

まずは謝罪方法についてです。謝罪の方法としては、直接の謝罪や手紙での謝罪があります。順番に見ていきましょう。

  • 直接会って謝罪
  • 手紙での謝罪

直接会って謝罪

直接会って謝罪をすることで誠意が伝わり、被害者の気持ちが落ち着き、結果的に慰謝料請求がなされない場合もあります。一方で加害者の態度が気に入らず一層被害者の怒りが増してしまう可能性もあります。

また、加害者が示談書を用意してくることがあります。不倫をした手前、サインを拒否することができず、高額な慰謝料を支払う内容の示談書にサインをしてしまったというケースは非常に多くあります。

このように直接謝罪は上手くいけば良い解決につながりますが、失敗すると更に紛争を大きくする可能性があり、ハイリスク・ハイリターンの謝罪方法といえます。

手紙での謝罪

次に手紙による謝罪です。

その場で臨機応変な対応を求められる直接謝罪とは異なり、手紙の場合、表現や内容についてじっくりと考える余裕があります。

一方で謝罪文を作成してことがある方は多くはありませんので、上手く気持ちや考えを文章に表現できないという方も多いでしょう。その結果、表面的、誠意がないと思われてしまいかねない内容になる可能性があります。

なお、謝罪文は証拠として残りますので、不倫の期間や内容について記載があれば、後に裁判でその点を撤回することはできなくなります。もし不倫の事実や内容を争う予定があるのであれば、この点に留意する必要があります。

不倫発覚時の謝罪のメリット

続いては謝罪のメリットについてです。慰謝料を請求する側、慰謝料を請求される側、それぞれのメリットについてご説明します。

請求をする側

まずは被害者、つまり慰謝料を請求する側の謝罪のメリットについてです。

不倫の証拠を残す

謝罪をするということは不倫を認めたことになりますので、不倫の証拠を得ることができます。

謝罪の際には事実を素直に認めていても、後に高額な慰謝料を請求されると分かると「言っていない」「知らない」等、しらを切られてしまう可能性もあります。そのため、謝罪を受ける際は謝罪の内容を書面にしてもらうか、少なくとも録音はしておくべきです。

不倫をされた際のその他の証拠については、以下の記事もご参照ください。

一応のケジメをつけやすい

謝罪に心からの反省の意を感じられた時には、被害者としては問題が完全に解決できたことにはならなくとも、一応のケジメはつけやすいでしょう。

加害者とのやりとりは、精神的な負担となります。様々な感情が交錯するのは当然のことですが、気持ちの整理をつけることに一役買うこともあります。

不倫の再発防止に一定の効果がある

不倫をしたのに被害者に謝罪をすることがなければ、不倫をしても大事にはならないと思ってしまうかもしれません。

きちんと謝罪をさせることで、罪の意識を持たせ、反省させることで、不倫の再発防止に一定の効果を期待することができます。

請求をされる側

次は加害者である請求をされる側のメリットについてです。

慰謝料請求をされない可能性

先ほどもご説明しましたが、謝罪によって誠意が伝わると、被害者は二度と不倫をしないことを約束させるにとどめ、慰謝料請求をしないことがあります。

誠意が伝わるかどうかは被害者の考え方、捉え方や謝罪する方の態度、謝罪内容によりますので、慰謝料請求をしない結果が得られるかどうかはわかりません。

また、かえって被害者を怒らせてしまうリスクもありますので、その点も考慮した上で、謝罪をすべきか、謝罪の方法をどうするかについて検討しなければなりません。

慰謝料の減額要素となる可能性

謝罪をしたものの慰謝料請求をされる、慰謝料請求が取り下げられないことが普通です。もっとも、きちんと謝罪をしたことは裁判になった場合には慰謝料の減額要素として考慮される可能性があります。

もっとも、大幅に減額されるものではありませんので、謝罪をしたから低額で済むということではありません。

不倫発覚時の謝罪のデメリット

続いては、謝罪のデメリットについてです。慰謝料を請求する側、慰謝料を請求される側、それぞれのデメリットについてご説明します。

請求をする側

まずは請求をする側のデメリットについてです。

かえって精神的苦痛が増大する可能性

謝罪文がテンプレートのような様式で簡潔な文章の場合、「本当に反省しているのか」と怒りが増します。

逆に、不倫の経緯が事細かに書かれていた場合も、知らなかった事実が新たに露見することで、精神的苦痛が増す可能性があります。

さらに配偶者から聞いていた事実とは異なったものが書いてある場合もあるかもしれません。そのことで、もやもやとした気持ちを抱える事となります。

このように、謝罪をさせることでかえって精神的苦痛が増す可能性があります。

警戒して不倫を認めない可能性

謝罪を求められた加害者は自分の発言一つが不倫の証拠となるのではないかと警戒することがあります。その結果、謝罪を拒否されたり、面談をしても曖昧な発言しかしないということがあります。

当然そのような加害者の態度に接すると怒りが増すことになります。

請求をされる側

次に請求をされる側のデメリットについてです。

かえって要求が増す可能性

被害者が納得する謝罪は難しいものです。そのため、一度面談をして謝罪をしたのに、納得がいかないから再度の面談を求められたり、謝罪文を渡したのに、書き直しを求められることがあります。

これではいつまで経っても解決にいたりません。早期解決のために謝罪をしたのにこうなっては本末転倒です。謝罪をするか否かを判断する際には、このような事態も考慮する必要があります。

相手方の主張を認めたと判断される可能性

謝罪は不倫を認めたものとして裁判でも扱われます。脅迫されて謝罪をさせられたという証拠がない限り、不倫を認めたことになるのです。

もし不倫の事実がないという場合には、謝罪するべきではありませんし、結果として相手を傷つけたことについて謝罪する場合にも不倫を認めたと捉えられないよう、言葉選びには慎重になる必要があります。

謝罪の有無が慰謝料を増減させた判例

さて、ここでは謝罪の有無が慰謝料を増減させた判例について見てみましょう。ただし、謝罪だけでなく婚姻期間や不倫期間など諸々の事情を考慮して慰謝料金額が決まりますので、謝罪したことが幾ら増額、減額されたのかはわかりません。

減額させた判例

まずは、謝罪したことが慰謝料の減額事由として評価された判例です。

判例1:岡山地裁H19.3.1、東京地裁H19.5.28
裁判での尋問の際に、謝罪したという事案です。いずれも減額事由として考慮されています。
判例2:東京地裁H23.2.24
不倫行為が行われるまでの期間が比較的短い期間であったこと、陳謝していることをも考慮され、減額事由とされています。
判例3:東京地裁H24.3.29
当初から自任し、謝罪の意を表明しているとして減額事由として考慮されています。

増額させた判例

次に、謝罪をしなかったことが慰謝料の増額事由として評価された判例です。

判例1:東京地裁H20.10.8、東京地裁H22.3.4
謝罪をしていない事を増額事由としています。
判例2:東京地裁H22.3.25、東京地裁H25.8.20
自らの不倫の事実を否認する態度にでて、精神的苦痛を増大させたとして増額事由としています。

不倫問題で謝罪すべきでないケース

被害者から謝罪を求められても謝罪をすべきではないケースもあります。そのようなケースについていくつか見ていきましょう。

不倫が事実無根の場合

加害者が不倫をしていると思い違いをしており、不倫の事実がないにもかかわらず、謝罪を求めてくるケースもあります。

不倫が事実無根の場合は、謝罪すべきではありません。謝罪をしては。不倫をしたことを認めることになってしまい法的責任を問われてしまいます。不倫は誤解であることを説明しましょう。

既婚者であることを知らなかった場合

近年では、マッチングアプリで知り合い、不倫相手が既婚者である事実を隠して交際を続けているケースもあります。

既婚者とは知らなかったときは慰謝料を支払う義務はありません。謝罪をすると自身の責任を認めたと思われるかもしれませんので、既婚者であることを知らず、独身であると思い込んでいたということを証拠とともに被害者に提示しましょう。例えばLINEのやりとり等です。

ただし、それでは被害者が納得しないこともありますから、既婚者とは知らなかったものの、結果的に不倫になってしまったことについて、その限りで謝罪することは検討の余地があります。

結婚生活が破綻していると聞かされていた場合

不倫相手から結婚生活が破綻していると聞かされていて、これを信じていた場合には、慰謝料の支払義務が否定されることがあります。

この場合に謝罪をすると自身の責任を認めたと思われるかもしれませんので、謝罪はすべきではありません。

ただし、結婚生活が破綻しているという不倫相手の言い分を鵜呑みにし、事実を確認しなかった場合は責任を問われる可能性もあります。

また、結果的に不倫になってしまったことについて、その限りで謝罪をすることは検討の余地があります。

証拠がなさそうな場合

被害者が証拠をもっていないかもしれないという場合には、謝罪をせず、不倫を否定する方針も考えられます。

この場合、被害者が証拠をもっていた場合には、不倫を否定したことが慰謝料の増額事由となりえますので、そのリスクを踏まえて、謝罪をすべきか否か検討する必要があります。

不倫の謝罪文でのテンプレートの使用は厳禁

インターネット上には、謝罪文のテンプレートが沢山掲載されていますが、テンプレートは参考にとどめ、ご自身のお考え、思いを交えてオリジナルのものを作成しましょう。

謝罪文を書いたことが無いという方は多いと思われますので、テンプレートに頼りたくなるお気持ちはわかります。しかし、丸写しは、表面的な文章になり、その場を乗り切る為に適当に書いていると思われ被害者の感情を逆なでしかねません。

まとめ

以上、不倫問題における謝罪について解説しました。謝罪をすべきか、謝罪をさせるべきか悩んだときは、不倫問題の専門弁護士に一度ご相談されることをお勧めします。電話やLINEでご連絡いただけば、無料相談をしていただけます。

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