覚せい剤事件に精通した弁護士へ|逮捕後すぐ・夜間も対応、即日接見

最終更新日: 2025年12月04日

覚せい剤取締法違反の容疑でご家族が逮捕されてしまった、あるいはご自身が警察から連絡を受けている状況でしたら、一刻も早く弁護士に相談することが非常に重要です。この先の勾留や起訴、そして最終的な判決に至るまでの道のりは、まさに時間との勝負になります。特に、逮捕から72時間は、その後の人生を大きく左右する決定的な期間となることをご認識ください。

覚せい剤事件で逮捕された後の刑事手続きの流れ、弁護士が介入することでどのようなメリット(早期の身柄解放や執行猶予付き判決の獲得など)が得られるのか、そして、数ある法律事務所の中から本当に信頼できる弁護士をどのように選べば良いのかを、具体的なケースを交えながら詳しくご説明します。ご自身の、あるいは大切なご家族の人生を守るために、今すぐ適切な行動を起こすきっかけとしていただければ幸いです。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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目次

覚せい剤で逮捕されたら|今すぐ弁護士に相談すべき3つの理由

ご家族が覚せい剤事件で逮捕された、あるいはご自身が警察から連絡を受けている状況では、一刻も早く弁護士にご相談いただくことが何よりも重要です。覚せい剤事件は、その後の人生を大きく左右する可能性があり、特に逮捕直後の72時間は、その後の勾留、起訴、そして最終的な判決にまで影響を及ぼす非常に重要な期間、「ゴールデンタイム」となるからです。

この緊迫した状況で、弁護士が迅速に介入することで、取り調べにおける不利な供述調書の作成を回避し、早期の身柄解放、さらには不起訴処分の可能性を高められるなど、多くのメリットがあります。警察や検察は必ずしも被疑者の利益を代弁するわけではありません。ご自身の権利を守り、最大限有利な結果を得るためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。

このセクションでは、弁護士に依頼することで得られる具体的な3つのメリットとして、「不利な供述調書の回避」「早期の身柄解放」「不起訴処分の可能性向上」についてご紹介し、次の項目でそれぞれを詳しく解説していきます。

逮捕後72時間が勝負!即日接見で今後の人生が変わる

逮捕されてから72時間は、今後の刑事手続きの流れを決定づけると言っても過言ではない、極めて重要な時間です。この短期間に、警察による集中的な取り調べが行われ、被疑者の供述に基づいて調書が作成されます。その後、事件は検察官に送致され、検察官は被疑者の勾留を請求するかどうかを判断します。もし勾留が決定されると、身体拘束が長期化する可能性が高まります。

この間に弁護士が「即日接見」を行うことは、被疑者にとって非常に大きな意味を持ちます。逮捕直後の被疑者は、外部との連絡が一切遮断され、精神的に孤立し、極度の不安に晒されています。このような状況で、唯一外部と自由に連絡が取れる存在である弁護士が接見することで、被疑者は法的なアドバイスを受けられるだけでなく、精神的な支えも得られます。黙秘権や供述調書への署名拒否権など、被疑者が持つ権利を正確に理解し、取り調べにどう対応すべきかを具体的に知ることができます。

弁護士による迅速な介入は、勾留の回避や不起訴処分の獲得に向けた第一歩となります。この72時間で適切な対応が取れれば、その後の刑事手続きが被疑者にとって有利に進む可能性が大きく高まるのです。逆に、この初期対応を誤ると、長期間の身体拘束や厳しい処罰を受けるリスクが高まってしまうため、弁護士への相談は「今すぐ」が鉄則です。

不利な供述調書を作成されるリスクを回避できる

逮捕直後の取り調べは、被疑者にとって非常に過酷なものです。精神的に動揺し、混乱している中で、警察官から長時間にわたる質問を受け続けるため、冷静な判断が難しくなります。こうした状況下では、警察官の誘導的な質問に乗ってしまい、事実とは異なる内容や、ご自身にとって不利になるような内容の供述をしてしまうリスクが非常に高いです。一度作成され、署名・押印してしまった供述調書は、後にその内容を覆すことが極めて困難になります。これは、裁判において有力な証拠として扱われるため、その後の刑事手続き全体に決定的な影響を及ぼすことになります。

弁護士が接見を行うことで、このリスクを大きく回避することができます。弁護士は、被疑者に対して、黙秘権(話したくないことを話す必要はない権利)や、署名押印拒否権(供述調書の内容に間違いや不満があれば署名や押印を拒否できる権利)といった重要な権利を具体的に説明します。さらに、取り調べにおいてどのように警察官と向き合い、どのような態度で対応すべきか、具体的なアドバイスを提供します。

このような弁護士による事前の情報提供と対策指導は、被疑者が意図せず不利な証拠を作成されることを防ぐ上で非常に重要です。初期段階での適切な対応が、その後の弁護活動をスムーズに進め、最終的な処分の軽減に繋がるための基盤となるのです。

早期の身柄解放(勾留回避)や不起訴処分の可能性が高まる

覚せい剤事件で逮捕された場合、弁護士の活動は、早期の身柄解放、さらには不起訴処分の獲得に向けて極めて重要な役割を果たします。逮捕直後から弁護士が介入することで、検察官や裁判官に対し、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを客観的な証拠を基に積極的に主張します。例えば、被疑者が定職に就いていること、安定した住居があること、家族が身元引受人となり監督を誓約していることなどを具体的に示し、勾留請求や勾留決定を阻止するよう求めます。

もし勾留されてしまったとしても、弁護士は勾留決定に対する準抗告(不服申し立て)を行うなどして、被疑者の身柄を早期に解放できるよう尽力します。また、薬物事件は被害者がいないケースが多いですが、弁護士は再犯防止に向けた具体的な取り組みが始まっていることを示すことも重要です。例えば、薬物依存の専門医療機関での治療を開始する意向があることや、自助グループへの参加を検討していることなどを証拠として提出し、検察官に起訴の必要性がないと判断させ、不起訴処分(起訴猶予)の獲得を目指します。

これらの活動を通じて、弁護士は被疑者の状況を詳細に把握し、その後の人生を見据えた具体的な再犯防止策を提示することで、検察官や裁判官に「社会内で更生できる」と判断してもらうための環境を整えます。結果として、身体拘束の長期化を防ぎ、社会生活への早期復帰、そして前科をつけずに事件を解決できる可能性を大きく高めることができるのです。

覚せい剤事件の逮捕から刑事裁判までの流れと弁護活動

覚せい剤事件で逮捕されてしまうと、その後の人生を大きく左右する刑事手続きが始まります。この手続きは複雑で、逮捕から最終的な判決が下されるまで、いくつかの段階を経て進行します。ご自身やご家族が今どの段階にいるのか、これから何が起こるのかを知ることは、不安を軽減し、適切な対応を取る上で非常に重要です。

ここでは、覚せい剤事件における刑事手続きの全体像を時系列に沿ってご紹介します。具体的には、逮捕直後の72時間、続く勾留期間、そして起訴・不起訴の決定から刑事裁判に至るまでの各段階を解説します。それぞれのフェーズで被疑者がどのような状況に置かれ、弁護士がどのような弁護活動を展開するのかを簡潔に説明します。これにより、今後の見通しを立て、弁護士と共に最善の道を検討するための第一歩としてください。

逮捕直後(~72時間):取調べへの対応と勾留阻止

覚せい剤事件で逮捕されると、警察署に連行され、まずは最長48時間の警察官による取調べが始まります。その後、事件が検察官に送致され、検察官による取調べが続き、逮捕から72時間以内に勾留請求をするかどうかが判断されます。この逮捕直後の72時間は、その後の身柄拘束の期間や最終的な処分を大きく左右する非常に重要な期間です。

この期間において、弁護士がまず最初に行うのが「初回接見」です。弁護士は被疑者と面会し、黙秘権や供述調書への署名押印拒否権といった重要な権利を伝え、取調べに対する具体的な心構えや対応方法をアドバイスします。警察官や検察官の質問の意図を理解し、誘導に乗らないよう指導することで、不利な供述調書が作成されることを防ぎます。

また、弁護士は検察官に対して、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを具体的に主張する意見書を提出したり、直接面談を行ったりするなどして、勾留請求をしないよう強く求めます。この早期の弁護活動が、身柄拘束の長期化を防ぎ、被疑者が社会生活への復帰をいち早く目指すための重要な第一歩となるのです。

勾留期間(最大20日間):身柄解放と不起訴に向けた活動

もし検察官の勾留請求が裁判官に認められてしまうと、被疑者は原則として10日間、最長で20日間にわたって警察署の留置施設や拘置所で身柄を拘束されます。この勾留期間は、取調べがさらに本格化し、検察官が起訴・不起訴の判断を下すための証拠収集が進められる期間です。

勾留が決定された場合でも、弁護士はただ手をこまねいているわけではありません。勾留決定に対する不服申し立てである「準抗告」を裁判所に行い、勾留の理由がないことや必要性がないことを主張し、身柄の早期解放を目指します。同時に、検察官が起訴・不起訴を判断する最終期限に向けて、不起訴処分を獲得するための活動を本格化させます。

具体的には、被疑者本人の深い反省の意を示す謝罪文の作成を指導したり、ご家族に今後の監督を誓約する身元引受書や陳述書を作成してもらったりします。さらに、薬物依存からの脱却に向けた具体的な治療計画を立て、専門医療機関への通院や自助グループへの参加などを証拠として提示します。これらの有利な情状証拠を早期に収集し、検察官に提出することで、起訴の必要性がないと判断させ、不起訴処分の獲得を目指すのです。

起訴・不起訴の決定:起訴されても保釈を目指す

勾留期間が満了するまでに、検察官は集められた証拠と弁護士の意見書などに基づいて、「起訴」または「不起訴」のいずれかの判断を下します。不起訴処分となれば、事件はそこで終了となり、被疑者は前科が付くことなく社会生活に戻ることができます。これは弁護活動における最大の目標の一つです。

一方で、検察官が「起訴」の判断を下した場合(公判請求された場合)、刑事裁判が開かれることになります。この時点からは、被疑者は「被告人」と呼ばれるようになり、弁護活動の舞台は裁判所へと移ります。起訴されても、弁護士の役割は決して終わりではありません。

起訴された直後、弁護士は速やかに「保釈」を請求します。保釈とは、一定の保証金を納めることを条件に、裁判が始まるまでの間、一時的に被告人の身柄を解放してもらう制度です。被告人が社会生活に戻り、裁判の準備を落ち着いて進められるように、弁護士は裁判所に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことなどを具体的に主張し、保釈を認めるよう働きかけます。

刑事裁判:執行猶予付き判決・減刑の獲得

起訴され、保釈が認められなかった場合、被告人は身柄を拘束されたまま刑事裁判を受けることになります。覚せい剤事件の刑事裁判では、多くのケースで、覚せい剤を使用したことや所持していたことといった「起訴事実そのもの」については争わないことがほとんどです。その代わり、いかに有利な情状を主張して刑を軽くするか、特に実刑を回避し執行猶予付き判決を獲得できるかが弁護活動の焦点となります。

弁護士は法廷において、被告人本人の深い反省の情、ご家族による今後の監督体制の構築、そして薬物依存からの脱却に向けた具体的な取り組み(専門的な治療プログラムへの参加、自助グループへの継続的な出席など)を証拠に基づいて説得力のある形で裁判官に伝えます。これらの事情は、被告人が再犯に及ぶ可能性が低いと判断される重要な要素となるためです。

弁護士の綿密な準備と主張によって、裁判官の理解を得られれば、実刑判決を回避し、「執行猶予付き判決」や「減刑」といった、被告人にとって有利な結果を獲得できる可能性が高まります。執行猶予付き判決は、直ちに刑務所に収容されることを免れ、社会内で更生を目指すための大きなチャンスとなります。

【罪状別】覚せい剤取締法違反の刑罰と量刑相場

覚せい剤取締法違反は、単に覚せい剤を使用したという事実だけでなく、どのような行為の態様であったかによって適用される罪名や科される刑罰が大きく異なります。例えば、覚せい剤を「使用」したのか、「所持」していたのか、「他人に譲渡」したのか、あるいは「譲り受けた」のかによって、その法的評価は変わってきます。

さらに、これらの行為に「営利目的」があったかどうかも、刑罰の重さを判断する上で極めて重要な要素となります。営利目的がある場合は、個人の使用目的と比べて社会に覚せい剤を拡散させる悪質性が高いため、刑罰が格段に重くなる傾向にあります。

このセクションでは、覚せい剤取締法違反の主な罪状である「使用」「所持」「譲渡・譲受」について、それぞれの法定刑と、実際の裁判で言い渡されることの多い量刑の相場を具体的に解説していきます。また、「営利目的」が加わった場合の刑罰の厳しさについても詳しくご説明します。

覚せい剤の使用・所持

覚せい剤を「使用」したり「所持」していたりした場合の法定刑は、覚せい剤取締法によって「10年以下の懲役」と定められています。これは、単純な使用や個人の消費を目的とした所持であっても、非常に重い刑罰が科される可能性があることを意味しています。

しかし、実際の裁判では、初犯で非営利目的の単純な使用や所持の場合、多くは実刑ではなく執行猶予付きの判決となる傾向にあります。具体的には、「懲役1年6月、執行猶予3年」といった量刑が相場となることが多いです。これは、反省の態度や再犯防止に向けた意欲などが考慮されるためです。

ただし、この量刑相場はあくまで目安です。覚せい剤の所持量が非常に多い場合や、使用・所持の態様が悪質であると判断されるケースでは、初犯であっても執行猶予が付かずに、刑務所に収容される実刑判決が言い渡されるリスクも十分にあります。ご自身の状況がこれに該当しないか、弁護士にご相談ください。

覚せい剤の譲渡・譲受

覚せい剤を「譲渡」(売り渡す行為)したり、「譲受」(買い受ける行為)したりした場合も、法定刑は使用・所持と同じく「10年以下の懲役」と定められています。しかし、覚せい剤の譲渡・譲受は、覚せい剤が社会に流通し、蔓延することに直接的に繋がる行為であるため、単純な使用や所持よりも悪質性が高いと判断され、より重く処罰される傾向にあります。

特に、対価を得て覚せい剤を販売するようなケースは、営利目的犯として扱われる可能性が非常に高く、後述するように刑罰が格段に重くなります。たとえ友人・知人など仲間内で無償または実費で覚せい剤を分け与えたり、譲り受けたりした場合であっても、これは「譲渡」「譲受」にあたり、刑事罰の対象となります。

量刑の傾向としては、使用・所持の初犯が執行猶予付きの判決となることが多いのに対し、譲渡・譲受の場合は、たとえ初犯であっても実刑判決となる可能性が高まります。具体的な刑の重さは、譲渡・譲受した量、回数、動機、対価の有無など、様々な要素によって変動しますので、専門の弁護士に相談し、見通しを立てることが重要です。

営利目的がある場合の刑罰

覚せい剤の所持、譲渡、譲受、製造、輸入、輸出といった行為に「営利目的」が付加されると、その刑罰は格段に重くなります。これは、営利目的の行為が覚せい剤の供給源となり、より広範囲に薬物を拡散させる危険性が高いためです。例えば、営利目的で覚せい剤を「所持」したり「譲渡」「譲受」したりした場合は、「1年以上の有期懲役」となり、法定刑の下限が引き上げられます。

さらに、営利目的で覚せい剤を「輸入」したり「製造」したりした場合には、最も重い部類に入り、「無期または3年以上の懲役」という極めて厳しい法定刑が定められています。これに加えて、「500万円以下の罰金」が併科される可能性もあります。このように、営利目的がある場合は、懲役刑だけでなく罰金刑も加わる「ダブルパンチ」となることが多いのです。

どのような場合に「営利目的」と認定されるかというと、例えば、多量の覚せい剤を所持していた場合、覚せい剤を小分けにするための器具(チャック付きの小袋など)や計量器を一緒に所持していた場合、携帯電話の履歴から販売を示唆するやり取りが見つかった場合などが挙げられます。弁護士は、これらの状況証拠に対して、本当に営利目的があったのかどうか、綿密な弁護活動を行います。

初犯でも実刑?執行猶予を獲得するためのポイント

覚せい剤事件で逮捕された方が最も不安に感じるのは、「実刑になって刑務所に入ることになるのか、それとも執行猶予がついて社会生活を続けられるのか」という点ではないでしょうか。非営利目的の覚せい剤の単純所持や使用の初犯であれば、多くの場合、執行猶予付きの判決が言い渡される可能性が高いといえます。

しかし、執行猶予は決して自動的に得られるものではありません。執行猶予付き判決を勝ち取るためには、逮捕直後からの適切な弁護活動と、裁判官を納得させるための具体的な努力が必要です。このセクションでは、初犯の場合の量刑の相場、再犯の場合の厳しさ、そして執行猶予を獲得するために弁護士がどのような活動をするのかを詳しく解説していきます。

初犯の場合の量刑相場

非営利目的で覚せい剤を使用・所持した初犯の場合、多くのケースで「懲役1年6月、執行猶予3年」という判決が言い渡されることが標準的な量刑相場です。これは、刑務所に収容されず、社会内で生活しながら更生を目指す機会が与えられる判決を意味します。

裁判官は、この量刑を決定するにあたり、覚せい剤の所持量、使用期間、犯行の態様、本人の反省の度合い、更生への意欲、家族の協力体制といった様々な要素を総合的に考慮します。特に、薬物依存から脱却しようとする具体的な行動が見られるかどうかが重要なポイントとなります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、所持量が非常に多かったり、使用期間が長く常習性が認められたりする場合には、初犯であっても執行猶予が付かずに実刑判決となるリスクも十分にあります。

再犯の場合(特に執行猶予期間中の再犯)

覚せい剤事件の再犯は、初犯と比較して格段に厳しい結果を招くことになります。執行猶予期間が満了した後に再び覚せい剤事件を起こしてしまった場合(累犯)でも、法律上は再び執行猶予を付けることが可能ではありますが、そのハードルは非常に高く、実刑判決となる可能性が初犯に比べて飛躍的に高まります。裁判所は、過去の判決を活かせなかったことを重く見なすためです。

そして最も深刻なケースが、執行猶予期間中に再度覚せい剤事件を起こしてしまった場合です。この場合、原則として再び執行猶予を付けることは法律で禁じられています。前の事件で言い渡された執行猶予が取り消されるだけでなく、今回の事件で言い渡される懲役刑と、前の事件で猶予されていた刑期が合算され、長期間にわたる服役を余儀なくされます。これはまさに「ダブルパンチ」と呼ぶべき状況で、刑務所から出た後の社会復帰も極めて困難になることを覚悟しなければなりません。

執行猶予を獲得するために弁護士ができること

初犯の事件で執行猶予付き判決を、また再犯の事件でも可能な限り軽い刑罰を獲得するために、弁護士は多岐にわたる弁護活動を行います。まず、被疑者・被告人本人の深い反省の情を具体的に裁判官に示すことが重要です。弁護士は、反省文の作成指導を行い、法廷では家族などを情状証人として尋問することで、本人の更生への意欲を強くアピールします。

次に、再犯防止のための具体的な環境を整備し、それを証拠として提示します。例えば、身元引受人となる家族の存在を明確にし、家族による監督体制を構築します。その証として、家族には身元引受書や陳述書を作成してもらい、裁判所に提出します。さらに、薬物依存からの脱却に向けた具体的な行動を示すことも不可欠です。専門医療機関への通院や入院、またはダルク(DARC)などの自助グループへの参加を開始し、それらの事実を証明する資料を裁判所に提出します。

弁護士は、これらの有利な情状証拠を収集し、裁判官に説得力のある弁論を展開します。検察官の主張に対して反論し、本人の薬物依存という病気への向き合い方、具体的な更生計画、家族の協力体制などを踏まえて、なぜ執行猶予が適切なのかを論理的に訴えかけるのです。これらの活動を通じて、裁判官が「この被疑者は社会内で更生できる」と判断できるように働きかけ、実刑判決を回避し、執行猶予付き判決や減刑を目指します。

覚せい剤事件に精通した「本当に頼れる」弁護士の選び方

覚せい剤事件は、その特殊な性質から、どのような弁護士でも対応できるわけではありません。刑事事件の中でも薬物事犯は、捜査の手法や裁判での争点が非常に独特であり、これらを熟知した専門性と経験が、事件の結果を大きく左右します。逮捕直後の72時間、そしてその後の勾留期間、さらに裁判に至るまで、各段階で的確な判断と行動が求められます。

覚せい剤事件においては、弁護士が単に法律知識があるだけでなく、薬物依存という病理への理解や、再犯防止に向けた社会復帰支援のネットワークを持っているかどうかも非常に重要になります。本当に頼れる弁護士を見つけるためには、「即応性」「実績」「費用の明確さ」「更生支援体制」という4つの具体的なチェックポイントがあります。

これらの要素を兼ね備えた弁護士を選ぶことが、被疑者やご家族にとって、最善の結果を導き出すための第一歩となるでしょう。

【最重要】即日・夜間・土日祝日も対応しているか

弁護士選びにおいて、対応のスピードと柔軟性は最も重要な要素の一つです。覚せい剤事件での逮捕は、曜日や時間帯に関係なく突然行われます。会社が休みの日や夜間に逮捕された場合、「営業時間内にしか対応しない」法律事務所では、逮捕後72時間という極めて重要な時間内に弁護士が被疑者と接見し、適切な助言を与えることができません。

この72時間という限られた時間は、その後の勾留や起訴、そして最終的な判決にまで影響を及ぼす「ゴールデンタイム」です。夜間や土日祝日でも電話相談を受け付け、依頼があればすぐに警察署へ向かい接見してくれる「即日接見」が可能な体制を整えているかどうかは、覚せい剤事件の弁護を依頼する弁護士を選ぶ上で必須条件となります。

被疑者が外部との連絡を一切遮断され、孤立無援の状態にある中で、いち早く駆けつけ、法的権利を伝え、精神的な支えとなる弁護士の存在は、その後の人生を左右するほど大きな意味を持ちます。

薬物事件の解決実績が豊富か

薬物事件、特に覚せい剤事件では、弁護士の専門性と解決実績が極めて重要です。覚せい剤事件の捜査には、尿検査や家宅捜索、所持品の差押えなど、特有の手続きが多く存在します。これらの手続きが適法に行われたか、証拠収集に問題はなかったかなどを争うためには、薬物事件に特化した専門的な知識と豊富な経験が不可欠です。

弁護士を選ぶ際には、法律事務所のウェブサイトなどで、薬物事件における具体的な解決実績が公開されているかを確認することをおすすめします。例えば、「覚せい剤の使用で逮捕されたが不起訴処分を獲得した」「営利目的の所持で起訴されたが執行猶予を獲得した」といった実績は、その弁護士が実際にどのような結果を出してきたのかを示す重要な指標となります。

解決実績が豊富であればあるほど、その弁護士は薬物事件特有の事案処理に慣れており、被疑者にとって最善の結果を導き出すための戦略を立てる能力が高いと判断できるでしょう。

費用体系が明確で、事前に見積もりを提示してくれるか

覚せい剤事件で家族が逮捕され、弁護士に依頼しようとする際、費用面での不安は非常に大きいものです。逮捕されたばかりの状況で、「最終的にいくらかかるのか分からない」という状態では、精神的な負担がさらに増してしまいます。

信頼できる弁護士や法律事務所は、依頼を受ける前に、相談料、着手金、報酬金、実費といった費用体系を非常に分かりやすく説明してくれます。そして、事件の見通しに基づいて、総額がいくらになるのかを明確に記した見積もりを、書面で提示してくれるのが一般的です。これにより、費用に関する不安を解消し、安心して弁護活動を任せることができます。

もし、相談時に費用体系の説明が不明瞭であったり、見積もりの提示を渋ったりする法律事務所があれば、トラブルを避けるためにも、依頼は避けるべきでしょう。事前に明確な費用説明と見積もりを提供してくれることは、弁護士の誠実さと透明性を示す重要な判断基準となります。

覚せい剤事件の弁護士費用について

覚せい剤事件で弁護士に依頼する際にかかる費用は、決して安価なものではありません。しかし、逮捕されたご本人やご家族にとって、弁護士に依頼することは、早期の身柄解放による失職の回避や、執行猶予の獲得による刑務所収容の回避など、多くのメリットをもたらします。これらのメリットは、ご本人のその後の人生を大きく左右するものであり、費用は将来への重要な投資と考えることができます。

このセクションでは、弁護士費用の内訳、具体的な相場、そして費用を少しでも抑えるためのポイントについて、詳しく解説していきます。

弁護士費用の内訳(相談料・着手金・報酬金)

弁護士費用は、主に「相談料」「着手金」「報酬金」「実費」という4つの要素で構成されています。それぞれの費目がどのような性質を持つのかを理解することは、弁護士費用全体を把握する上で非常に重要です。

まず、「相談料」は、正式な依頼をする前に法律相談を行う際に発生する費用です。多くの事務所では初回相談を無料で提供しているところもあります。「着手金」は、弁護士に事件を依頼した時点で最初に支払う費用で、事件の結果にかかわらず原則として返金されません。事件に着手するための対価として支払われるものです。「報酬金」は、事件が不起訴処分や執行猶予付き判決など、依頼者にとって有利な結果で終了した場合に、その成功の対価として支払われる費用です。

そして「実費」は、交通費、郵便代、証拠書類の謄写費用、鑑定費用など、弁護活動を進める上で実際にかかった経費を指します。これらの費用は、弁護活動の状況に応じて発生し、依頼者が負担するのが一般的です。

覚せい剤事件の弁護士費用の相場

覚せい剤事件の弁護士費用は、事件の難易度や弁護活動の内容によって大きく変動します。例えば、覚せい剤の単純な使用・所持で事実を認めている自白事件と、営利目的の所持や使用を否認している事件とでは、弁護活動にかかる労力や期間が異なるため、費用も変わってきます。

一般的な非営利目的の覚せい剤使用・所持の自白事件の場合、着手金として40万円から60万円程度、そして不起訴処分や執行猶予の獲得といった成果が出た場合の報酬金として40万円から60万円程度が相場となることが多いです。そのため、総額では80万円から120万円程度を見込んでおく必要があるでしょう。

これはあくまで目安であり、弁護士事務所や事件の具体的な状況によって異なるため、必ず依頼前に弁護士から明確な見積もりを取るようにしてください。特に、否認事件や営利目的が疑われる事件では、捜査や裁判の長期化が予想されるため、費用はさらに高額になる傾向があります。

費用を抑えるためのポイント(無料相談の活用など)

弁護士費用は決して少額ではありませんが、いくつかの工夫によって費用を抑えることが可能です。まず、多くの法律事務所では初回無料相談を実施しています。これを活用し、複数の事務所で相談することで、それぞれの事務所の費用体系や弁護士の対応を比較検討し、相見積もりを取ることができます。

また、契約前には、提示された費用の総額だけでなく、追加で発生する可能性のある費用(実費や出張費用など)についても詳しく確認し、不明な点は納得がいくまで質問することが重要です。費用体系が不明瞭な事務所や、見積もりの提示を渋る事務所は避けるべきでしょう。

経済的に困難な状況にある場合は、国の機関である「法テラス(日本司法支援センター)」の民事法律扶助制度の利用を検討するのも一つの方法です。法テラスでは、一定の資力要件を満たせば、弁護士費用の立替えや減免を受けることができます。ただし、法テラスを利用すると弁護士を自由に選べない場合がある、事件解決までに時間がかかることがあるなどの注意点も理解しておく必要があります。また、多くの事務所が分割払いに応じてくれる場合もあるため、費用について正直に相談してみることも大切ですいです。

覚せい剤事件に関するよくあるご質問

覚せい剤事件で逮捕されてしまった方や、そのご家族の方々は、多くの不安や疑問を抱えていらっしゃることと思います。ここでは、これまでに当事務所に寄せられたご相談の中から、特に頻繁にお尋ねいただく質問とその回答をまとめました。覚せい剤事件に関する疑問を解消し、今後の対応を考える上での一助となれば幸いです。

家族に知られずに事件を解決することはできますか?

ご家族に知られずに覚せい剤事件を解決したいというお気持ちは、非常によく理解できます。弁護士には守秘義務がありますので、弁護士がご家族に事件のことをお伝えすることは一切ありませんのでご安心ください。しかし、残念ながら、ご家族に一切知られることなく事件を解決することは、現実的には非常に難しいと言わざるを得ません。

逮捕されてしまうと、多くの場合、警察からご家族に連絡が入ります。また、身柄が拘束された被疑者を解放するためには、ご家族に「身元引受人」として協力していただく必要がほとんどです。具体的には、弁護士が「ご家族の監督のもとで生活させるから、逃亡や証拠隠滅の心配はない」という意見書を提出する際に、ご家族に署名や押印をお願いすることになります。そのため、ご家族の協力なしに身柄の早期解放を目指すのは極めて困難です。

完全に秘密にしたまま事件を進めるのはほぼ不可能ですが、弁護士はご家族への説明の仕方や今後の対応についてアドバイスを差し上げることができます。ご家族に知られることへの不安を少しでも軽減できるよう、まずは弁護士にご相談ください。

接見禁止とは何ですか?家族も面会できなくなるのでしょうか?

「接見禁止」とは、裁判官が「証拠隠滅のおそれがある」と判断した場合に、被疑者や被告人が弁護士以外の第三者と面会することや、手紙などのやり取りをすることを禁止する決定です。特に覚せい剤事件の場合、共犯者との口裏合わせや入手ルートの隠蔽を防ぐ目的で、接見禁止の決定が出されることが少なくありません。

この決定が出されてしまうと、ご家族であっても留置所や拘置所に面会に行くことはできなくなりますし、手紙のやり取りもできません。被疑者や被告人は外部との連絡手段を完全に絶たれてしまうため、精神的に非常に厳しい状況に置かれます。このような状況でも、弁護士だけは接見禁止の対象外とされており、いつでも自由に面会し、必要なアドバイスや励ましをすることができます。

接見禁止が付くと、弁護士が外部との唯一の窓口となります。ご家族からの伝言を伝えたり、必要な差し入れの手配をしたりと、被疑者や被告人の精神的な支えとなる重要な役割を担います。接見禁止が付いてしまった場合でも、弁護士は解除に向けた活動を行うことも可能ですので、まずはご相談ください。

尿検査で陽性反応が出たら、もう無罪は主張できませんか?

尿検査で覚せい剤の陽性反応が出た場合、科学的な鑑定結果を覆すことは極めて困難であり、現実的には「覚せい剤を使っていない」という無罪主張を貫くのは非常に難しいと言えます。尿検査は非常に高い精度を持っており、通常、その結果が間違っている可能性は低いと判断されます。

しかし、陽性反応が出たからといって、無罪の可能性がゼロになるわけではありません。弁護士は、まず尿の採取手続きが適法であったかどうかを徹底的に確認します。例えば、警察官が被疑者の同意を得ずに無理矢理採取した、令状がなかった、あるいは令状の範囲を逸脱した採取が行われたなどの場合は、証拠能力を争うことができます。また、鑑定の過程でミスがなかったか、鑑定機関の信頼性なども慎重に検証します。

ただし、これらの手続き上の問題で無罪を勝ち取るケースは稀です。多くの場合、尿検査の結果が陽性であれば、罪を認めた上で、なぜ覚せい剤を使用してしまったのか、反省の状況、更生に向けた具体的な取り組みなどを主張し、情状酌量を求める弁護方針に転換せざるを得ないのが実情です。弁護士は、たとえ有罪が避けられない状況でも、少しでも刑を軽くするための最善の弁護活動を行います。

一度執行猶予が付いても、また覚せい剤を使ってしまいました。実刑は免れませんか?

執行猶予期間中に再度覚せい剤を使用してしまった場合、刑事処分は非常に厳しくなります。法律上、執行猶予期間中に再び罪を犯し、懲役刑が言い渡される場合には、原則として再度執行猶予を付けることはできません。特別な事情がない限り、必ず実刑判決となり刑務所に収容されることになります。

さらに深刻なのは、以前の覚せい剤事件で付いていた執行猶予が取り消されてしまう点です。これにより、今回の事件で言い渡された懲役刑に加えて、前の事件で猶予されていた刑期も合算して服役しなければなりません。これはまさに「ダブルパンチ」と呼ばれ、非常に長期間にわたる刑務所生活を覚悟する必要が生じます。例えば、前回の執行猶予付き判決が「懲役1年6月、執行猶予3年」で、今回の再犯で「懲役1年」の判決が下された場合、合計で2年6ヶ月間刑務所に服役することになります。

このため、執行猶予期間中に再び覚せい剤に手を出してしまった場合は、実刑を免れることはほぼ不可能だと考えてください。この状況で弁護士ができることは、少しでも刑期を短くするために最大限の努力をすること、そして刑務所での生活を見据えた準備をすることになります。

まとめ:覚せい剤事件はスピードが命|一人で悩まず今すぐ弁護士にご相談を

覚せい剤事件において、逮捕後の初動対応がその後の人生を大きく左右するといっても過言ではありません。特に、逮捕から72時間という限られた期間内の弁護活動が、身柄拘束の長期化を防ぎ、最終的な処分を有利に進めるための「命綱」となります。

この期間に弁護士が介入することで、警察による不適切な取調べから被疑者を守り、不利な供述調書の作成を回避できます。また、弁護士が速やかに活動することで、早期の身柄解放(勾留回避)の可能性が高まり、仕事や家庭への影響を最小限に抑えることにも繋がります。さらに、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得に向けて、法的な専門知識に基づいた戦略的な弁護活動を展開することが可能になります。

もしご自身や大切なご家族が覚せい剤事件で逮捕されてしまったら、時間との戦いです。一人で抱え込まず、一刻も早く覚せい剤事件に精通した弁護士に相談することが、最善の結果へと繋がる唯一の道です。当事務所は、覚せい剤事件における豊富な解決実績と迅速な対応体制で、皆さまを全力でサポートいたします。まずはご相談ください。

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