置き引きで自首すべき状況とは?メリット・デメリットや弁護士の活動も解説

最終更新日: 2024年11月15日

  • 置き引きをしてしまい後悔している、どのような行動をとればよいのだろう
  • 置き引きをしてしまったので自首したいが、自分だけでは勇気が出ない
  • 置き引きで自首した場合、弁護士はどのような対応をとるのか

置き引きとは、他人が目を離したすきに他人の物を持ち去る、または他人の忘れ物・落とし物を持ち去る犯罪です。

置き引きで逮捕され有罪になれば、最悪の場合は懲役刑に処される可能性もあります。いつ逮捕されてしまうか怯え続けるよりも、自首した方がよいです。

そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、置き引きで自首すべき状況、自首するメリット、弁護士に期待できる活動内容等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 置き引きでは現行犯で逮捕されなくても、時間が経ってから逮捕される可能性がある
  • 置き引きで自首をすれば、逮捕回避や不起訴処分等が期待できる
  • 弁護士は自首した依頼者のために、自首同行や示談交渉等に尽力する

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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自首と出頭の違いとは?

「自首」と「出頭」は、どちらも警察に出向く行為ですが、法律上の意味や取り扱いに違いがあります。犯罪を申告する際に刑が軽くなる場合がある「自首」に対し、「出頭」は捜査機関の呼び出しに応じる行為です。

自首として扱われるケース

「自首」とは、犯罪を犯した本人が自ら警察や検察に出向き、罪を申告することを指します。

自首として認められるためには、罪がまだ警察に発覚していない段階で自主的に出頭し、自分の犯した罪を申し出る必要があります。

例えば、置き引きなどを行った後、罪の意識から自ら警察に名乗り出た場合は「自首」にあたります。ただし、罪がすでに捜査中で特定されている場合は「自首」とは見なされません。

出頭として扱われるケース

「出頭」とは、警察や検察などから呼び出しを受けた際に指定された場所へ出向くことを意味します。

呼び出しに応じて警察などに行く行為であり、罪を認めることとは異なります。例えば、参考人として警察に呼ばれた場合や、容疑者として取り調べのために出頭を求められた場合は、これに該当します。

また、出頭した場合でも、自首と同等に扱われて刑が軽減される訳ではありません。

置き引きで自首すべき状況

置き引きをすると、「遺失物等横領罪(刑法第254条)」または「窃盗罪(刑法第235条)」で逮捕される可能性があります。

たとえ置き引きの現行犯で逮捕されなくても、後になってから逮捕される場合もあります。逃げ切れると考えず、自首を検討すべきです。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

被害届を出された

置き引きの被害者は、警察に被害届を提出する可能性があります。被害届とは、警察に犯罪被害の事実を申告する方法です。

被害者が警察署に行くと、警察官から置き引き被害の状況や現場はどこか、被害の年月日・時間等を詳しく聴かれます。聴取後に警察官が被害届を作成します。

被害届を出して「事件性あり」と警察が判断したならば、捜査が開始されます。

防犯カメラから特定されそう

警察が捜査を開始すると、置き引きの現場付近の防犯カメラをチェックするでしょう。

防犯カメラに置き引きの犯行の一部始終や、自分の顔が映っていた場合、犯人として特定される可能性があります。

また、自分が置き引きをした現場近くの駐車場等に自家用車を駐車していたときは、車種や自動車登録番号標(ナンバープレート)が防犯カメラで確認されることも多いです。

その場合は自分の氏名・住所がすぐに判明し、逮捕は時間の問題となるでしょう。

警察から事情聴取されそう

被害者が被害届を出した、警察が捜査を開始したという事実は、もちろん置き引きした本人には伝わりません。

置き引きは時間が経ってからも逮捕される可能性があり、警察からいつ事情聴取(取り調べ)を受けるのかと、不安に苛まれる日々が続くでしょう。

それよりも、事情聴取を受ける前に自首し、真摯に反省して捜査へ協力する旨を伝える方がよいのです。

なお、事情聴取(取り調べ)とは、警察から任意に出頭を求められた者、または逮捕・勾留された被疑者から、置き引きの事情や状況を聞き取る方法です(刑事訴訟法第198条第1項)。

出典:刑事訴訟法|e-GOV法令検索|法務省

置き引きで自首するメリット

置き引きを後悔し、逮捕に怯えているよりもいち早く自首した方が、本人にとってのメリットが大きいです。

自首をすれば、逮捕そのものを回避できる場合や、逮捕されても不起訴処分になる場合等、本人のペナルティが最低限に抑えられる可能性が高くなります。

逮捕回避

置き引きした本人が自首した場合、捜査機関は「逮捕の必要性はない」と判断するかもしれません。

逮捕されるのは、置き引きした犯人が逃亡や罪証隠滅を図るおそれがあると判断された場合です(刑事訴訟規則第143条の3)。

逮捕を回避できれば、警察の留置施設・拘置所で拘束されずに済みます。

ただし、逮捕されなくても置き引きした罪が免責されたわけではなく、本人が在宅のままで刑事手続きは進められていきます(在宅捜査)。

出典:刑事訴訟規則 | 裁判所

不起訴処分

自首をしたという事情が考慮され、不起訴処分になる可能性もあります。

刑事手続きが進んでいくと、検察官は最終的に起訴するか、不起訴にするかを決めます。

不起訴処分になれば、捜査機関による捜査は終了し、刑事裁判が行われず、置き引きをした本人は通常の生活に戻れるでしょう。

もちろん自首したからといって必ず不起訴になるわけではなく、その後の真摯な反省、捜査への協力等も踏まえて、不起訴とするか否かが判断されます。

減刑

自首したにもかかわらず、検察官に起訴され刑事裁判が行われる事態となっても、減刑される可能性があります。

裁判官が執行猶予判決(刑法第25条)を下す情状の1つとして、自首が考慮されるかもしれません。

有罪判決の場合、判決内容は、実刑判決か執行猶予判決のどちらかになります。

実刑判決になれば、一定期間にわたり刑務所へ収容されて、自分の犯した罪を反省しなければいけません。

しかし、執行猶予判決になれば、有罪判決による刑の執行を一定期間猶予(1年〜5年)され、その期間内に再び罪を犯さなければ刑罰権が消滅します。刑務所に入る必要もなくなります。

出典:刑事訴訟規則 | 裁判所

精神的な不安がなくなる

置き引きをした本人は、警察からいつ逮捕されるかわからない、という精神的な不安から解放されるでしょう。

被害届の有無や警察の捜査状況が、ホームページ等で開示されるような仕組みはなく、捜査が行われているのか、どの段階まで進んでいるかについては、置き引きをした本人は全くわかりません。

置き引きの被疑者として、逮捕されるのが数日後なのか、それとも1か月以上先なのか、予測が付かない状態に置かれ続けるのです。

そのように逮捕に怯え続けるよりは、自首して反省の意を示した方が、はるかに心も穏やかになります。

置き引きで自首するデメリット

自首をすると、自らの罪についての捜査が正式に開始される可能性が高くなります。自首の目的は逮捕を回避したり、処罰を軽減することにありますが、そのためには、過去の罪を正直に捜査機関に告白する必要があります。

処罰される可能性がある

自首をすることで、その行動がきっかけとなり捜査が進むことになります。

そのため、最終的には起訴され前科がつく可能性も高まります。

即日逮捕や周囲への影響

自首をした当日に逮捕される可能性もあります。特に重大事件である場合には、いかに自首をして逃亡の可能性が高いとはいえ、その場で逮捕されてしまうこともあります。

その結果、家族など周囲の人にも急な対応が求められる可能性があります。

置き引きで自首に関わる弁護士の活動

置き引きを後悔したとしても、本人がいきなり自首するのではなく、まず弁護士に相談した方がよいでしょう。

弁護士は自首してからの刑事手続きの流れや、不起訴・減刑が期待できる弁護活動について説明します。

相談

自首の前に相談する弁護士は、誰でもよいというわけではありません。刑事事件の実績が豊富で、連絡も取り易い法律事務所を選ぶべきです。

相談先を決める方法は、まず法律事務所のホームページを確認しましょう。

  • 刑事事件の相談実績が明記されている
  • 置き引きをはじめとした刑事事件に関する話題が掲載されている
  • 相談は24時間365日受付可能である
  • 電話やメールをはじめLINE等、連絡方法が数多く用意されている

以上の内容がホームページ内で確認できれば、安心して相談が可能です。

相談日時に法律事務所を訪問し、弁護士から自首のための段取りや注意点を聴いて、自首する日を決めましょう。

自首同行

置き引きした本人が希望すれば、弁護士は自首に同行します。自首の準備を整えたうえで、弁護士はまず警察署の担当者に連絡します。

連絡時に出頭日時を調整し、時間通りに弁護士と警察署へ自首しましょう。

自首のとき、本人が緊張していても、弁護士が同行しているので、本人に代わり警察官へ置き引きの経緯を説明します。

逮捕回避

自首したときは、逮捕回避(在宅捜査)のため、「意見書」を弁護士から捜査機関に提出してもらえます。

意見書には次のような内容が記載されるでしょう。

  • 逃亡のおそれがない(住所が定まっている、家族と同居している、定職に就いている等の事情を指摘)
  • 罪証隠滅のおそれがない(証拠改ざんのおそれがない、被疑者が罪を認めている等の事情を指摘)

主張が認められれば逮捕・勾留されずに、自首した本人は自宅にいながら、捜査が進められていきます。

ただし、当面逮捕を回避できたからといって、逮捕される可能性が全くなくなったわけではありません。裁判で有罪となってしまう可能性もあるのです。

そのため、安心せずに今後のことを弁護士とよく話し合い、どんな対応をとっていくか、検討する必要があります。

示談交渉

置き引きの被害者が判明しているときは、弁護士に示談交渉に取り掛かってもらいましょう。

被害者は、置き引きした本人と交渉をしたくないかもしれません。しかし、弁護士であれば交渉に応じる可能性があります。

弁護士は被害者の被害状況や心情を考慮し、示談条件や示談金額を提示します。

もちろん、持ち去った財物そのものや、同等の物品・金額を返還するだけでは、被害者は納得しないかもしれません。

弁護士は被害者との交渉を進めながら、置き引きした本人とも話し合いつつ、和解に持ち込むための努力を行います。

被害者が示談内容に合意したときは、合意書を取り交わし示談が成立します。

示談が成立すると、検察官は被害者が被害届等を取り下げた事情も踏まえ、不起訴処分の判断を下す可能性があります。

まとめ

今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、置き引きした本人が自首するメリット、自首のとき弁護士を立てる有効性等について詳しく解説しました。

自首をするだけではなく、置き引きを真摯に反省し、被害者へ謝罪しつつ、問題解決へ積極的に努力する必要があります。

自首を決意したときは、まず弁護士と相談し、自首の段取りやその後の対応の仕方を冷静に検討しましょう。

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