窃盗罪で起訴されるとどうなる?不起訴にする方法は?

最終更新日: 2024年01月25日

窃盗罪で起訴されるとどうなる?不起訴にする方法は?

  • 窃盗罪で起訴されることはあるのか
  • 窃盗罪で起訴されるとどうなるのか
  • 窃盗罪で起訴されないよう弁護士に動いてもらうことはできるのか

窃盗の理由として最も多いのが「生活費困窮」であり(平成21年犯罪白書より)、そのような状況に置かれた場合には、誰もが犯してしまう可能性のある犯罪の1つです。

生活事情から窃盗に手を出してしまった、出来心からつい万引きしてしまった、という軽い気持ちに起因する過ちであっても逮捕される可能性はあり、場合によっては起訴・有罪判決を受けることさえあります。

このような事態を回避する方法はないのでしょうか。

そこで今回は、窃盗罪と起訴の関係性・起訴を回避する方法・起訴を回避するための弁護士への依頼について解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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窃盗罪の起訴について基本を確認

まずは窃盗罪の起訴について以下の4つの観点から基本を解説します。

  • 起訴までの流れ
  • 起訴後の流れ
  • 初犯は起訴されない?
  • 起訴されると前科がつくのか

起訴までの流れ

窃盗を犯してしまった人が逮捕された場合、原則として身柄が拘束されてから48時間以内に警察での取り調べが行われ、検察官に身柄が引き渡されます(刑事訴訟法第203条)。なお、留置の必要性がないと判断されれば釈放されます。

検察官とは、検察庁に所属している国家公務員のひとつをさし、「公益の代表者」と呼ばれている職業です。裁判所に正当な法の適用を請求する立場にありますので、被疑者を起訴するかどうかの決定も、この検察官が行います。

検察官は、警察から被疑者の身柄の引き渡しを受けたあと取り調べを行い、24時間以内に勾留請求を行なうか否かを判断します。

勾留請求がなされるためには、刑事訴訟法60条に規定される一定の要件を満たす必要がありますが、窃盗事件においては、被疑者の逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合が多いため、勾留請求されることが多い傾向にあります。

勾留された場合、延長を含め最大20日間勾留されます。勾留期間中に検察官は、被疑者を起訴して裁判にかけるか、不起訴にするかの決定を行うことになります。

起訴後の流れ

1つ目は、起訴後の流れについて解説します。

窃盗罪で検察官から起訴されると裁判手続きへ移行し、有罪か無罪かを争います。このときの裁判手続きには、簡易的な略式手続と、正式な裁判である公判請求という2種類があります。

略式手続の場合、裁判所に出廷する必要はなく、後日、自宅に略式命令が届きます。初犯で、被害金額が高額でない場合には起訴されても略式手続きになる可能性が高いでしょう。

懲役が相当と見込まれる、程度の重い事件の場合は略式手続はできません。その場合は公判請求という手続きがとられ、いわゆる正式な裁判に移行し数か月かけて審理、判決がなされます。

初犯は起訴されない?

2つ目は、初犯は起訴されない?ということについて解説します。

初犯が起訴されないということはありません。起訴するかしないかを判断するのは検察官です。

刑事訴訟法248条には

「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」

と定められています。したがって、検察官がこれらの事情を総合的に判断した結果、起訴する必要性が低いと判断されない限り、初犯でも起訴されることになります。

起訴されると前科がつくのか

3つ目は、起訴されると前科がつくのかということについて解説します。

起訴とは、訴えを起こして裁判手続きに移行することを指します。そのため、起訴された段階ではまだ前科がつくとは言えません。しかし日本では、検察官が被疑者を起訴する場合、その時点で証拠が十分に揃っていることが多く、起訴された時点で99.9%に近い確立で有罪判決が出されています。

有罪が確定すれば、刑法第235条に定められるとおり「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の刑が科されますので、執行猶予の有無にかかわらず前科がつくことになります。

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窃盗罪での起訴を回避するために必要なのは「示談」

窃盗罪での起訴を回避するために必要なのは「示談」という観点から3つ解説します。

  • 示談の意味
  • 示談が成立しているとなぜ起訴を回避できるのか
  • 示談の進め方

1つずつ見ていきましょう。

示談の意味

1つ目は、示談の意味についての解説です。

示談は、加害者と被害者との間で事件解決の合意をすることを指します。一般的には、謝罪や示談金の内容などを盛り込んだ「示談書」を作成します。示談書の条件に双方が同意すれば示談成立となります。

示談はあくまでも当事者の合意による民事的解決であるため、示談が成立したとしても刑事事件として起訴される可能性は残ります。

もっとも、民事的に解決しており、被害者が刑事処分を求めないことを示談書において表明している場合には、起訴を回避できる可能性が高まります。

示談が成立しているとなぜ起訴を回避できるのか

2つ目は、示談が成立しているとなぜ起訴を回避できるのか、についての解説です。

刑事訴訟法248条には

「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」

と定められています。

つまり、起訴前に示談が成立した事実を検察官が考慮することによって「犯罪後の情況により訴追を必要としない」と判断される動機付けが強くなり、被疑者が起訴を免れる可能性が高まります。

示談の進め方

3つ目は、示談の進め方についてを解説します。

示談は、被害者に謝罪の意思を伝えた上で、示談金の額などの示談条件について交渉する必要があります。提示の条件で合意すれば示談成立となり、加害者と被害者の双方が示談書に署名捺印して完了となります。

こうして流れだけ見ると簡単なように思えますが、加害者本人が示談交渉を進めるには、決して低くないハードルが待ち構えています。

まず、被害者の一般的な感情を考えると、被害者は加害者からの連絡など受けたくありません。被害者の大切なものを奪い取った加害者本人が急いで示談を進めようとする行為は、それだけで不誠実な印象をも与えてしまいます。また、多くの場合、加害者本人が示談交渉をしようとしても、そもそも連絡先すら教えてもらえません。

次に、示談書に記載する精算条項を正しく作成する必要性についてです。

たとえば示談金の相場がわからずに安い金額を提示してしまうと、解決に至らないどころか新たな争いの火種にもなるかもしれません。また、弁護士を通さないことで、被害者から法外な示談金を請求されるケースなども見受けられます。

弁護士なしでの示談をようやく成立させたとしても、あくまで当事者間の約束でしかないため、その後に被害者から刑事告訴される可能性も残ります。後々になって、被害者が「その場はやむなくサインせざるを得なかった、強制的にサインさせられた」などと言いだす可能性もないとは言えません。

このような可能性を加味し専門の弁護士が対応することによって、それぞれが同意した状況や、示談書の内容も担保されるためちゃぶ台返しの危険性は格段に低くなります。

その他にも、示談に強い弁護士であれば、謝罪文の書き方なども指導してくれますので、誠実な気持ちをしっかりと被害者に伝え、よりよい形でスムーズに示談を進めたい場合は、あらかじめ弁護士に相談することがおすすめです。

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窃盗罪での起訴を回避するには弁護士への依頼がおすすめ

窃盗罪で起訴されることを回避するには、まずは示談を確実に成立させる必要があります。前述のとおり、加害者本人から被害者への示談交渉は非常にハードルが高いものです。

示談には被害者の想いによりそい、真摯な謝罪の意思をしっかりと伝えることが必要不可欠です。謝罪文を作成するにしても、一つの誤字のせいで適当な謝罪と受け取られかねません。

被害者に連絡すら取れない状況が続けば気持ちに余裕がなくなり、示談交渉にも焦りがにじんでしまいます。交渉を急げば急ぐほど、被害者からは前科をつけたくないだけで反省してないと誤解され、悪循環にはまってしまいます。

そういった事態を回避するためにも、示談交渉に強く、謝罪文や示談書の書き方まで指導してくれる弁護士を選ぶとよいでしょう。

まとめ

今回は、窃盗罪と起訴の関係性や起訴を回避する方法、起訴を回避するための弁護士への依頼について解説しました。

窃盗罪は誰でも犯してしまう可能性のある犯罪です。生活苦からついやってしまった。というケースが最も多いのが窃盗ですが、一時の気の迷いから逮捕されてしまい有罪判決が確定して前科がついてしまえば、なおさら生活は苦しくなっていくことは想像に難くありません。

なによりも犯罪に手を染めてはいけないことが重要ですが、それでも万が一、窃盗を犯してしまった場合には、その状況を冷静に受け止め、今後の人生を台無しにしないためにも早めに弁護士に相談し、迅速に対応するようにしましょう。

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