窃盗で自首をするメリットや事例を専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月21日

窃盗で自首をするメリットや事例を専門弁護士が解説

  • 窃盗事件を起こしたが自首したほうがいいのか
  • 窃盗事件で自首するメリットはあるのか
  • 窃盗事件で自首する場合に相談するとよい弁護士選びのポイントは

窃盗罪は現行犯逮捕だけではなく、防犯カメラの映像・目撃情報・現場に残されていた犯人の所持品といった証拠品などから後日逮捕される場合が多くあります。
窃盗が発覚すると警察の事情聴取や取調べが行われ、捜査機関は逮捕・起訴あるいは刑事裁判で有罪立証のための証拠固めを行います。

窃盗事件では、捜査が開始される前に自発的に犯罪の申告である自首をすると、逮捕を回避できたり、逮捕された場合でも被害者との示談交渉が成立していれば不起訴になったりする可能性があります。

そこで今回は、多くの窃盗事件を解決に導いてきた実績のある刑事事件専門の弁護士が、窃盗事件を起こしてしまった場合に、自首したほうがいいのか、自首をすることのメリットや法的知識、また弁護士が自首に際してどのようなことができるのかについて解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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窃盗で自首する前に知っておくべき基礎知識

窃盗とは他人の財物を盗む行為です。窃盗事件を起こして逮捕されるのは、現行犯逮捕・後日逮捕・緊急逮捕の3つのケースです。後日逮捕は防犯カメラの映像・目撃情報・遺留品の証拠物などの状況により発覚し逮捕されます。

しかし、犯罪が発覚する前に自首をすることで逮捕を免れたり刑の減刑を受けられたりするのです。ここでは、窃盗事件を起こしてしまった場合の基礎知識について解説します。

  • 窃盗をしたときに適用される法律とは
  • 窃盗事件の示談とは

1つずつ解説します。

窃盗をしたときに適用される法律とは

1つ目は、窃盗したときに適用される法律についてです。

窃盗を起こした場合には窃盗罪が適用されます。

窃盗罪が成立すると、刑法第235条により10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。窃盗行為が常習化し、過去10年以内に窃盗で3回以上、懲役6か月以上の刑の執行を受けた、またはその執行の免除を受けたことがある場合は常習累犯窃盗として刑罰が重くなり、3年以上の有期懲役が科せられます。

窃盗には、空き巣やATM破りなどの侵入盗・自動車盗や自転車盗などの乗り物盗・ひったくりや置引きなどの非侵入盗などがありますが、どれも窃盗罪として刑罰は同じです。窃盗罪は7年で公訴時効となり、この時期をすぎると刑事訴訟第250条により検察官による公訴ができなくなります。

窃盗事件の示談とは

2つ目は、窃盗事件の示談についてです。

窃盗で逮捕された被疑者を起訴するか不起訴にするかの決め手として検察官が重要視するのが、示談の有無です。示談が成立している場合、窃盗事件は不起訴になる可能性が高まります。

示談金自体は法律上で定められたものではなく、金額が決められているわけでもないため、被害者の交渉により決定されます。多くの場合、盗品の賠償金額に迷惑料が含まれた金額が相場として設定されています。

迷惑料は、単純な万引きや置引き事件の場合2万円から3万円が通常ですが、被害金額が大きかったり、捜査のために店が開けられず時間を要した場合などは、20万から30万の迷惑料を請求されることもあります。

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窃盗で自首をするメリットは?

窃盗事件を多く扱ってきた専門の弁護士だからこそ知っている自首をするメリットは以下の2つです。

  • 逮捕されない可能性が高まる
  • 不起訴処分を受けられる可能性が高まる

1つずつ解説します。

逮捕されない可能性が高まる

自首をするメリットの1つ目は、逮捕されない可能性が高まることです。

捜査機関の取調べに対して、容疑を否認すると逮捕や勾留されやすくなります。逮捕と同時に刑事手続きが始まり、原則10日から最長23日間は勾留されて身柄を拘束されます。勾留は自由を奪われ、留置場での生活を余儀なくされ、有罪が確定したわけではないのに刑務所に入所したような状況におかれます。その間、仕事を失ったり家族や知人に知られることになります。

ですが、自首することで逮捕や勾留を回避する可能性が高まります。

不起訴処分を受けられる可能性が高まる

自首をするメリットの2つ目は、不起訴処分を受けられる可能性が高まることです。

被害の程度や犯行の悪質性にもよりますが、自首は本人が反省をしていることを示すため、場合よっては不起訴処分を受けられる可能性が高まります。自首をすることで、刑法42条にある条文「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」により刑が減刑される可能性もあります。

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窃盗で自首するときは弁護士に相談

ここでは、窃盗事件で自首するときに依頼された弁護士が実際にできることについて解説します。

  • 自首への同行
  • 逮捕されない方法を教えてくれる

1つずつ解説します。

自首への同行

窃盗事件で自首をするときに弁護士ができることの1つ目は、自首への同行です。

窃盗事件を起こした後に弁護士が警察まで同行できます。本人が1人で警察に出頭するとなると不安も大きくなるでしょうが、あらかじめ弁護士に同行依頼をしておけば、弁護士から警察へ密に連絡をとり、逮捕を避けるように要請することも可能です。

逮捕されない方法を教えてくれる

窃盗事件で自首をするときに弁護士ができることの2つ目は、逮捕されない方法を教えることです。

窃盗事件を起こした後に自首をすることで、その後逮捕されない方法を弁護士が教えることができます。

たとえば万引きをして逃げてきたような場合、防犯カメラの映像から後日逮捕される可能性がでてきます。逮捕には罪証隠滅や逃亡の可能性などの要件が必要ですが、自首をして正直に犯行を供述すれば、これらの要件が否定される可能性が高まるのです。

このように、弁護士からは逮捕されない方法を教えられる場合があります。また、後日逮捕を回避するためにも、窃盗を起こした後は自首することをお勧めします。

窃盗の自首に強い弁護士の選び方

窃盗事件で自首に強い弁護士を選ぶときに押さえておくべきポイントは、以下の3つです。

  • 即日で動いてくれるか
  • コミュニケーションを欠かさないか
  • 粘り強い交渉で最後まで諦めないか

1つずつ解説します。

即日で動いてくれる

窃盗事件での自首に強い弁護士の選び方の1つ目は、即日で動いてくれるかということです。

窃盗事件では逮捕から勾留まで一刻一秒を争うので、何よりもスピードが重要になります。
自首をする場合においても、手遅れになる前に弁護士が即日に動いてくれるのか否かが、依頼を見極める上での大切なポイントとなります。

コミュニケーションを欠かさない

窃盗事件での自首に強い弁護士の選び方の2つ目は、コミュニケーションを欠かさないかということです。

自首をするにあたって、事前に自首の法的意味やその後の流れなどの詳細を説明してくれるといったコミュニケーションを欠かさない弁護士を選びましょう。

粘り強い交渉で最後まで諦めない

窃盗事件での自首に強い弁護士の選び方の3つ目は、粘り強い交渉で最後まで諦めないかということです。

自首をする場合においても、警察へ出頭するのが不安であったり被害者との間に様々な困難が待ち受けていたりすることもあります。こうした難しい状況の中でも、これまでの知見や経験を生かして最後まで諦めずに情熱を持って弁護活動を継続してくれるのかどうかが、何よりも一番大切なポイントとなるでしょう。

窃盗で自首すべき事件の実例

ここでは、自首する前に窃盗が発覚して弁護士に事件の依頼があった実例を紹介します。
発覚した理由は以下の2つの場合です。

  • 防犯カメラに映っていた
  • 目撃情報が寄せられた

1つずつ解説します。

事例1:防犯カメラに映っていた

自首する前に窃盗が発覚した事例の1つ目は、窃盗行為が防犯カメラに映っていた例です。

ある日、依頼者の携帯電話に警察から電話があり、半年前のショッピングモールでの件について話を聞きたいと言われました。依頼者は何のことか全くわからず、不安になったことから弁護士に依頼をしました。

後日、依頼者は弁護士と一緒に警察署に出向きました。防犯カメラの写真を見せられ、ヘルメットを万引きしたことを思い出したので、依頼者は正直に万引きをしたことを認めました。弁護士からは捜査協力をするので逮捕はしないよう警察に求め、在宅捜査としてもらうこととなりました。
弁護士から被害店に賠償の申し出をしましたが、既に会計処理は終わっているので賠償は必要ないという回答でした。

書類送検の後、担当検察官と協議した結果、贖罪寄付をすることで起訴猶予もしくは不起訴にしてもらえることとなりました。そこで、依頼者には10万円の贖罪寄付をしてもらい、その結果を弁護士から検察官に伝えました。その後、予定通り不起訴処分となり、本件は解決しました。

事例2:目撃情報が寄せられた

自首する前に窃盗が発覚した事例の2つ目は、目撃情報が寄せられた例です。

依頼者は過去に万引きを繰り返しており、執行猶予中の立場でした。ですがある日、スーパーで万引きをしてしまい、店外に出たところ店員に車のナンバーをメモされたような気がしました。そこで、後日逮捕されるのではないかと不安になり弁護士に依頼をしました。

弁護士と一緒に自首をしたところ、やはり被害届が出ていました。自首をしたことを考慮して逮捕はせずに在宅捜査にて進めてもらえることとなりました。執行猶予中のため、起訴されると実刑判決になる可能性が高いことから、起訴猶予を目指すこととしました。

まずは被害店との示談交渉をしましたが、商品代金の賠償こそ受けてくれましたが、示談には応じてもらえませんでした。
次に、再犯防止のため専門の医療機関を受診し、通院をしてもらいました。

そして、書類送検の後、主治医の意見書とともに起訴猶予を求める弁護士の意見書を担当検察官に提出したところ、今回に限って更生のチャンスをいただき、不起訴処分(起訴猶予)となり、本件は解決しました。

まとめ

今回は窃盗事件を起こしてしまった場合に、自首したほうがいいのか、自首をすることのメリットや法的知識、また弁護士が自首に際してどのようなことができるのかについて解説しました。

窃盗を犯してしまった場合でも、自首することで逮捕の回避、不起訴処分の獲得、また刑の減刑を受ける可能性が高まります。自首に詳しい弁護士に今後の見通しを丁寧に教えてもらうことをお勧めします。

また1人で自首するとなると不安も大きくなりますので、刑事事件で自首の実績・経験の多い専門の弁護士に相談してください。

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