盗撮で証拠がない場合も逮捕、起訴されるのか?

盗撮で証拠がない場合も逮捕、起訴されるのか?

2019年12月03日

1 はじめに

盗撮行為を疑われたが証拠がない場合や、盗撮行為をした後に証拠となるデータを消してしまったといった場合も、逮捕され、裁判にかけられるのでしょうか。
このような弁護士への相談はよくありますので、以下ご説明します。

2 盗撮行為はどのような犯罪となるのか

まずは盗撮行為がどのような法律に違反するのか見てみましょう。
盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反となる場合が多いですが、更衣室やトイレでの盗撮行為は、都道府県によっては条例で規定しておらず刑法の建造物侵入罪として検挙、処罰されています。また、住宅の敷地内に立ち入って風呂場を盗撮行為したような場合は刑法の住居侵入罪となります。

このように同じ行為であっても、都道府県によっては懲役や罰金の重さが軽い建造物侵入罪・住居侵入罪となるのは不均衡ですから、各都道府県で屋内での盗撮行為についても迷惑防止条例に規定する改正作業が進められています。

3 盗撮の立証にはどのような証拠が使われるのか

⑴ 動画、画像のデータ

盗撮行為にはスマートフォンや小型カメラが利用されます。そのため、スマートフォンや小型カメラで撮影した画像、動画のデータはもちろん盗撮の証拠となります。

犯行後に削除したとしても多くの場合、警察で復元されますが、初期化されてしまった場合には復元は困難となります。

なお、家宅捜索で自宅から押収されたパソコンやUSBメモリなどに過去の盗撮のデータがあれば、それらは余罪の証拠となります。

⑵ 防犯カメラの映像

被疑者が盗撮行為をしている行動が防犯カメラに映っていれば、防犯カメラ映像が盗撮の証拠になります。コンビニや書店など店内での盗撮行為の場合にはこのような防犯カメラの映像も証拠となることが多くあります。

⑶ 目撃者の供述

被疑者が盗撮行為をしているのを目撃した人がいれば、その方が特に嘘をつく動機もなければ、視認状況や記憶の鮮明さに問題がなければ十分な盗撮の証拠となります。

4 盗撮の証拠がない場合も逮捕されるのか

盗撮事件では、私人による現行犯逮捕や、パトロール中の警察官による現行犯逮捕がよくあるケースですが、現場から逃走した後、逮捕状が出て後日、通常逮捕されるケースもよくあります。
現行犯逮捕の場合は、犯行を現認されていますし、その場でスマートフォンやカメラなどの盗撮に使用された物も保全されますので証拠は十分です。

他方、現場から逃走した場合には、盗撮したデータを削除したり、盗撮行為に使用したスマートフォンやカメラを廃棄したり初期化してしまうケースがあります。
単に削除しただけであれば復元できる可能性がありますが、廃棄、初期化された場合には盗撮のデータを得ることは困難です。このような場合、逮捕状が出て後日、通常逮捕されたとしても、証拠が不十分なため起訴することは困難でしょう。

5 盗撮の証拠がないと起訴されないのか

⑴ 被害届が出ている場合

例えば、被害者である女性がエスカレーターに乗っている際に足に何かが当たった気がしたので振り返ると男性が真後ろに立っていたので、盗撮行為したのではないかと問いただしたものの、加害者が否認しているようなケースがあります。
この場合、警察は携帯電話の解析、犯行を映しているかもしれない防犯カメラの調査をします。もっとも、結局何も証拠が出てこなかった場合には、それで捜査は打ち切りになる可能性が高いでしょう。

⑵ 被害者が盗撮行為に気付いていなかった場合

被害者は盗撮行為に気づいていなかったけれども、防犯カメラに映っているかもしれないし、誰かに見られていた気もするから自首をしたいという弁護士への相談がよくあります。
この場合、盗撮をした画像や動画のデータが残っていれば警察は捜査をするでしょう。

他方、盗撮に使用したスマートフォンやカメラを廃棄してしまったという場合や初期化してしまったという場合には、目撃者や防犯カメラの映像などの証拠がない限り、起訴することは困難です。
そのため、捜査を開始しないケースも多いですが、被疑者の取り調べをして検察庁へ送致はするというケースもあります(事件送致はされても裁判になる可能性は低いでしょう)。

6 最後に

以上、盗撮の証拠がない場合にも逮捕や起訴をされるのかについてご説明しました。
各事件の状況によって、盗撮の証拠が出てくるのかどうかや、逮捕・起訴などのその後の流れは異なってきます。
そのため、盗撮行為をしてしまったという方は、刑事事件の知識経験が豊富な弁護士にできる限り早期に相談をすることをお勧めします。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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