盗撮で逮捕されたら?その後の流れと解雇・前科のリスクを解説
2025年12月18日

もしご自身やご家族が盗撮の罪で逮捕されてしまったら、一体何が起こるのか、その後の刑事手続きはどのように進むのか、そしてどのようなリスクが待ち受けているのか、正確な情報を知り、適切な対応を考えることが重要です。
この記事では、盗撮事件で逮捕された後の警察の捜査から、検察官による起訴・不起訴の判断、そして裁判に至るまでの刑事手続きの全容を解説します。また、2023年7月に施行された「撮影罪」をはじめ、盗撮で問われる可能性のある具体的な罪名とその罰則についても詳しく説明します。
さらに、逮捕が引き起こす「前科」「会社からの解雇」「実名報道」といった深刻な社会的・法的リスクについても具体的に掘り下げます。そして、これらのリスクを回避または最小限に抑えるために、逮捕後すぐに弁護士へ相談することの重要性と、弁護士ができる具体的なサポートについてもご紹介します。
この記事を通じて、逮捕後の状況を冷静に理解し、自身の未来を守るための最善の一手を見つける一助となれば幸いです。
盗撮で逮捕された後の流れ|刑事手続きの全体像
盗撮で逮捕されてしまった場合、その後の刑事手続きは時間との闘いとなります。警察による逮捕から始まり、検察への送致、勾留による身柄拘束、そして最終的な起訴・不起訴の判断、さらには刑事裁判へと進む可能性もあります。
これらの各段階には厳格な時間制限が設けられており、それぞれの段階で適切な対応をとることが、その後の人生に大きな影響を及ぼします。このセクションでは、刑事手続き全体の流れを概説し、その後の詳細な解説の導入といたします。
逮捕:警察による身柄拘束(最大48時間)
盗撮行為が発覚し逮捕されると、まず警察署の留置場へと連行され、身柄が拘束されます。この段階では、最大48時間という時間制限の中で、警察官による集中的な取調べが行われます。警察は被疑者が盗撮を行った経緯や状況、意図などを詳細に確認し、供述調書を作成します。
取調べと並行して、盗撮行為に使用されたスマートフォンや、関連するデータが保存されている可能性のあるパソコンなどが証拠品として押収されることがほとんどです。これらの機器は、犯行の事実を裏付ける重要な証拠となるため、捜査機関によって徹底的に調べられます。逮捕直後の48時間以内は、原則として家族との面会も制限され、弁護士以外は誰も接見できない非常に厳しい状況に置かれることになります。
この限られた時間の中で、被疑者は警察からの厳しい取調べに一人で対応しなければなりません。精神的に追い詰められやすい状況ですが、ここで不用意な供述をしてしまうと、後の勾留や起訴・不起訴の判断に決定的な影響を与えてしまう可能性があります。そのため、この段階での適切な対応が非常に重要となります。
送致:検察官への事件引き継ぎ(最大24時間)
警察による捜査が48時間以内に終了すると、事件は検察官へと引き継がれます。この手続きを「送致(送検)」と呼びます。送致を受けた検察官は、さらに24時間以内に被疑者の身柄を引き続き拘束する必要があるかどうかを判断します。もし、引き続き身柄を拘束する必要があると判断すれば、裁判官に対して「勾留請求」を行います。
検察官の元でも、被疑者に対する取調べが行われます。警察での取調べ内容を踏まえ、検察官は独自の視点から事件の真相を探り、被疑者の供述や反省の態度、証拠関係などを精査します。この段階での検察官の判断は、その後の勾留の可否や、最終的な起訴・不起訴の決定に直結するため、非常に重要な局面となります。
勾留:さらなる身柄拘束(最大20日間)
検察官が勾留の必要性があると判断し、裁判官もそれを認めた場合、被疑者の身柄は「勾留」されます。勾留は、原則として10日間ですが、捜査の状況によってはさらに最大10日間の延長が認められ、合計で最長20日間にわたって身柄拘束が続くことになります。勾留のは、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があると裁判官が判断した場合に認められます。
長期に及ぶ身柄拘束は、被疑者の社会生活に極めて深刻な影響を与えます。会社員であれば長期の無断欠勤となり、その結果として解雇されるリスクが現実のものとなります。家族がいる場合も、音信不通の状態が続き、経済的な問題や精神的な負担も大きくなります。勾留期間中も、警察や検察による取調べは継続して行われ、被疑者は精神的にも肉体的にも疲弊しやすい状況に置かれます。
このような長期間の身柄拘束は、その後の社会復帰を困難にさせるだけでなく、自暴自棄な気持ちに陥らせてしまう可能性もあります。弁護士による早期の働きかけがなければ、長期の身柄拘束を避けることは極めて困難になるため、迅速な対応が求められます。
起訴・不起訴の決定:検察官による最終判断
勾留期間が満了するまでに、検察官は収集した証拠と被疑者の供述などを総合的に判断し、「起訴」または「不起訴」のいずれかを決定します。不起訴処分となれば、事件はここで終了となり、被疑者は前科がつくことなく社会生活に戻ることができます。これは、被疑者にとって最も望ましい結果と言えるでしょう。
一方で、検察官が「起訴」を決定した場合、事件は刑事裁判へと移行することがあります。日本の刑事裁判は、起訴された場合の有罪率が極めて高く、統計上99%以上と言われています。
起訴には、公開の法廷で審理が行われる「公判請求」と、書面審理のみで罰金刑が科される「略式起訴」の2種類があります。いずれの場合も、「前科」がつくことには変わりありません。そのため、検察官に不起訴処分を決定してもらうには、不起訴処分を獲得するしかないのです。
裁判:起訴された場合の刑事裁判
検察官によって起訴されてしまった場合、事件は刑事裁判へと移行します。公判請求の場合は、公開の法廷で裁判官、検察官、弁護人が揃い、証拠調べや被告人質問などを経て判決が下されます。
裁判では、検察官は被告人の有罪を立証しようとし、弁護人は無罪を主張したり、刑の軽減を求めたりして弁護活動を行います。最終的に裁判官が有罪か無罪か、そして有罪であればどのような刑罰を科すかを決定します。
盗撮で問われる可能性のある罪とは?
盗撮行為は、単なる迷惑行為では済まされず、日本の法律において複数の罪に問われる可能性があります。特に2023年7月には、盗撮行為を直接取り締まる「撮影罪」が施行され、従来の法律よりも厳しく処罰されるようになりました。この新しい撮影罪を主軸に、各都道府県が定める「迷惑防止条例違反」や、状況によっては「軽犯罪法違反」、さらには「建造物侵入罪」などが適用されることもあります。これらの罪は、個人のプライバシーや尊厳を著しく侵害する行為として、厳しく取り締まられています。
このセクションでは、盗撮行為によって具体的にどのような罪に問われる可能性があるのか、それぞれの罪状について詳しく解説していきます。自身の行為がどの法律に抵触する可能性があるのかを理解することは、今後の対応を考える上で非常に重要です。
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)
2023年7月に施行された「性的姿態撮影等処罰法」、通称「撮影罪」は、盗撮行為を直接的に処罰するために制定された法律であり、盗撮事件における最も中心的な罪状となります。この法律ができた背景には、SNSの普及などにより盗撮被害が深刻化し、従来の迷惑防止条例だけでは十分に対応できない状況があったため、より強力な法的措置が求められたことがあります。
撮影罪の対象となる行為は多岐にわたります。具体的には、性的姿態(下着姿や裸など)や下着を撮影する行為、あるいはそうした姿態を要求して撮影する行為などが該当します。また、撮影の対象が16歳未満の者である場合は、さらに重く処罰されます。法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」と定められており、従来の迷惑防止条例よりも罰則が強化されています。この法律の施行により、盗撮に対する社会の目が一層厳しくなり、厳罰化の流れが明確になったと言えるでしょう。
都道府県の迷惑防止条例違反
撮影罪が制定される以前から、盗撮行為の取り締まりの中心となっていたのが、各都道府県が定める「迷惑防止条例」です。この条例は、公共の場所や公共の乗り物などにおける盗撮行為を禁止しており、撮影罪と並んで今も盗撮事件に適用されることがあります。
迷惑防止条例による罰則は、都道府県によって異なりますが、多くの場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。撮影罪が施行された現在でも、例えば、撮影罪の要件を満たさない特定の状況下での盗撮行為や、条例が定める「卑わいな言動」に該当するような盗撮未遂行為などに対して、迷惑防止条例が適用されるケースは少なくありません。そのため、盗撮行為を行った場合は、撮影罪と合わせてこの迷惑防止条例違反にも問われる可能性があることを理解しておく必要があります。
軽犯罪法違反や建造物侵入罪に問われるケースも
盗撮行為は、その状況に応じて、撮影罪や迷惑防止条例違反だけでなく、さらに別の法律に抵触する可能性もあります。例えば、トイレや更衣室、シャワールームなど、一般的に立ち入りが許されない場所に侵入して盗撮を行った場合、「建造物侵入罪」が成立します。この場合、盗撮行為と合わせて建造物侵入罪でも処罰されることになり、刑罰が加重される可能性があります。
盗撮による逮捕で生じる3つの重大なリスク
盗撮行為によって逮捕された場合、刑事罰を受けることだけでなく、その後の人生に長期的な影響を及ぼす重大なリスクに直面します。
具体的には「前科がつくこと」「会社からの解雇や懲戒処分」「実名報道による社会的信用の失墜」の3つが挙げられます。これらのリスクは、個人のキャリアや社会的な信用を著しく損ねる可能性があり、一度失った信頼を取り戻すことは容易ではありません。ここでは、それぞれのリスクがどのような影響をもたらすのかを詳しく解説していきます。
前科がつく可能性
盗撮事件で有罪判決を受け、罰金刑以上の刑が確定すると「前科」がついてしまいます。前科とは、過去に有罪判決を受けた事実を指し、戸籍や住民票に記載されることはありませんが、検察庁のデータベースに半永久的に記録されます。この記録は、将来的に別の事件を起こした際に不利に働く可能性があります。
前科がつくことによるデメリットは多岐にわたります。例えば、公務員や警備員、医師、弁護士といった特定の職業では資格制限があり、前科があることでこれらの職に就くことができなくなる場合があります。また、海外渡航時にビザ(査証)の発給が拒否されるなど、国際的な活動にも支障をきたす可能性も否定できません。たった一度の過ちが、人生設計に大きな影を落とすことになりかねないのです。
会社からの解雇・懲戒処分
盗撮による逮捕は、職業生活に深刻なダメージを与える可能性があります。まず、逮捕されて勾留されると、長期間にわたって身柄を拘束されるため、会社を無断で欠勤せざるを得なくなります。会社の就業規則には、正当な理由のない長期間の欠勤を解雇事由とする規定が設けられていることがほとんどであり、これにより普通解雇される可能性があります。
また、盗撮事件が会社に知られてしまえば、会社の社会的信用を著しく損ねたとして、懲戒処分の対象となるリスクが高いです。具体的には、最も重い処分である懲戒解雇や諭旨解雇のほか、降格や減給、出勤停止などの処分を受ける可能性があります。特に、企業コンプライアンスが重視される現代において、従業員による犯罪行為は厳しく対処される傾向にあります。
実名報道による社会的信用の失墜
盗撮で逮捕された場合、テレビや新聞、インターネットニュースなどで実名や顔写真が報道される「実名報道」のリスクがあります。特に、公務員や教員、医師などの社会的地位が高い職業に就いている場合や、犯行態様が悪質であると判断された場合には、実名報道される可能性が高まります。一度実名報道されてしまうと、その情報はインターネット上に半永久的に残り続け、「デジタルタトゥー」として消すことが非常に困難になります。
実名報道による社会的信用の失墜は計り知れません。近隣住民や友人、知人に事件の事実が知れ渡るだけでなく、就職や転職活動にも悪影響を及ぼし、再出発が困難になることがあります。さらに、本人だけでなく、ご家族も世間の好奇の目に晒され、生活に深刻な影響を及ぼすことも珍しくありません。社会的信用の回復は非常に困難であり、事件が人生全体に暗い影を落とすことになります。
逮捕後の人生を守るために|すぐに弁護士へ相談するメリット
盗撮で逮捕された場合、刑事手続きの進行に伴い、前科や解雇、実名報道といった深刻なリスクに直面する可能性があります。これらのリスクは、一度発生するとその後の人生に長期的な影響を及ぼし、取り返しがつかない事態に陥ることも少なくありません。
しかし、逮捕直後の早い段階で弁護士に相談し、適切な対応をとることで、これらのリスクを回避したり、最小限に抑えたりすることが可能になります。弁護士は、警察や検察といった捜査機関に対し、被疑者の権利を守りながら、法的な観点から有利な状況を作り出すための専門的な活動を行います。
具体的には、弁護士は被害者との示談交渉を通じて事件の解決を図り、早期の身柄解放を働きかけ、最終的には不起訴処分を獲得して前科がつくことを防ぐための弁護活動を展開します。さらに、逮捕の事実が会社に知られてしまった場合の対応や、社会生活への影響を最小限に抑えるためのアドバイスも提供します。次からは、これらの弁護士に相談する具体的なメリットについて詳しく解説していきます。
被害者との示談交渉を任せられる
盗撮事件において、被害者との示談交渉は、その後の刑事手続きの流れを大きく左右する極めて重要な要素です。示談が成立し、被害者からの許し(宥恕)が得られれば、検察官が起訴・不起訴を判断する際に、被疑者に有利な事情として大きく考慮されます。これにより、不起訴処分となる可能性が高まり、早期の身柄解放にもつながりやすくなります。
しかし、加害者本人が直接被害者に連絡を取り、示談交渉を進めることほとんど不可能です。被害者が加害者に連絡先を教えることはまずあり得ないからです。このような状況で示談交渉を成功させるためには、第三者である弁護士が間に入ることが不可欠です。弁護士は、被害者の感情に配慮しつつ、適切な示談金の提示や、再発防止策の提示などを通じて、冷静かつ円滑に交渉を進めます。
弁護士は、過去の事例や裁判所の判断基準に基づき、適切な示談金の相場を提示し、被害者にとって納得のいく解決を目指します。示談が成立すれば、不起訴処分、あるいは裁判になった場合でも減刑につながる可能性が高まります。弁護士に示談交渉を任せることは、被疑者の未来を守る上で非常に有効な手段と言えるでしょう。
早期の身柄解放(釈放)が期待できる
盗撮で逮捕された場合、最大で23日間もの間、警察署や拘置所に身柄を拘束される可能性があります。これほどの長期間にわたり身柄を拘束されることは、仕事や家庭生活に深刻な影響を与え、場合によっては職を失うことにもつながりかねません。そのため、一刻も早く身柄を解放されることは、被疑者にとって非常に重要な課題となります。
弁護士は、この早期の身柄解放を実現するために、逮捕直後から積極的に活動を開始します。具体的には、検察官や裁判官に対し、被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりするおそれがないことを示す証拠を提示し、勾留の必要性がないことを主張する意見書を提出します。
また、仮に勾留が決定されてしまった場合でも、裁判所に対して勾留決定に対する不服申し立て(準抗告)を行うなど、あらゆる法的手段を尽くして身柄解放を求めます。被害者との示談交渉が進み、解決の見込みが立つことも、身柄解放に向けた有利な要素として裁判官に働きかけることができます。弁護士によるこうした迅速な弁護活動が、被疑者の社会生活への早期復帰を大きく後押しします。
不起訴処分を獲得し、前科を回避できる可能性が高まる
盗撮事件における最終的な目標の一つは、検察官による「不起訴処分」の獲得です。不起訴処分となれば、刑事裁判が開かれることなく事件は終了し、被疑者に前科がつくことはありません。前科は、特定の職業への就職制限や海外渡航時のビザ取得への影響など、その後の人生に多大な不利益をもたらすため、何としても回避したいものです。
弁護士は、不起訴処分獲得に向けて、様々な弁護活動を行います。最も効果的なのは、被害者との示談を成立させることです。加えて、被疑者本人が自身の行為を深く反省していること、再犯防止のための具体的な対策を講じていること(例:精神科医の診察を受ける、家族による監督体制を構築する)などを、具体的な証拠とともに検察官に示します。これらの有利な事情を効果的に主張することで、検察官が起訴猶予による不起訴処分を下す可能性を最大限に高めることができます。
被疑者自身がこうした有利な事情をまとめることは難しく、また、検察官に適切に伝えることも容易ではありません。専門家である弁護士が、法的な知識と経験に基づいて戦略的に弁護活動を行うことで、不起訴処分を獲得し、前科がつくという最悪の事態を回避できる可能性が飛躍的に高まるのです。
会社への対応についてアドバイスがもらえる
盗撮で逮捕されたという事実が会社に知られた場合、解雇や懲戒処分といった重いペナルティが科される可能性があります。しかし、逮捕の事実を会社にいつ、どのように報告すべきか、あるいは報告せずに済むのかといった判断は非常に難しく、誤った対応はさらなる不利益につながりかねません。このようなデリケートな問題に対し、弁護士は具体的なアドバイスを提供し、被疑者が最も不利にならないようサポートします。
弁護士は、被疑者の状況や会社の就業規則などを総合的に考慮し、会社への報告の要否、報告する場合の適切なタイミングや内容について助言します。例えば、逮捕の事実が会社にまだ知られていない段階であれば、弁護士が迅速に活動し、不起訴処分や示談を成立させることで、会社に知られることなく事件を解決できる可能性もあります。
また、会社から事情聴取を求められた際の対応や、弁護士が代理人として会社と交渉することも可能です。弁護士の専門的な知見と経験に基づいたアドバイスは、会社からの不利益処分を最小限に抑え、被疑者のキャリアと社会生活を守る上で不可欠なものとなります。
盗撮事件に関するよくある質問
盗撮事件で逮捕されてしまった方や、そのご家族が抱える疑問は多岐にわたります。このセクションでは、盗撮事件に関してよく聞かれる質問について、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。
Q. 盗撮の示談金の相場はいくらですか?
盗撮事件における示談金の金額は、事件の内容によって大きく変動します。被害者が受けた精神的苦痛の度合い、盗撮行為の悪質性(例えば、撮影された部位、回数、場所など)、盗撮した画像の拡散の有無、そして何より被害者の処罰感情が金額に影響を与えます。
一般的な相場としては、30万円から100万円程度が目安となることが多いです。被害者が複数いる場合、あるいは巧妙な手口で長期間にわたって盗撮を行っていた場合など、事案によってはこの範囲を大きく超えることもあります。弁護士が被害者の意向や事件の詳細を丁寧にヒアリングし、適切な金額を交渉することで、円滑な示談成立を目指します。
Q. 初犯でも実刑判決(刑務所行き)の可能性はありますか?
盗撮事件が初犯である場合、すぐに実刑判決(刑務所に収監されること)が言い渡される可能性は、多くの場合、低いといえます。特に、早期に弁護士が介入し、被害者との間で示談が成立しているケースでは、不起訴処分となったり、たとえ起訴されても執行猶予付き判決となったりする可能性が高いです。執行猶予とは、一定期間問題を起こさなければ刑務所に入らなくて済む制度です。
しかし、初犯であっても実刑判決となるリスクがゼロというわけではありません。例えば、犯行態様が極めて悪質である場合(住居侵入を伴う、多数の被害者がいる、巧妙な手口で長期間にわたって犯行を繰り返していたなど)、あるいは被害者との示談が一切成立せず、被害者の処罰感情が非常に強い場合などには、実刑判決が下される可能性も十分にあります。ご自身の状況を正確に把握し、適切な弁護活動を行うことが極めて重要です。
Q. 逮捕されたら家族は面会できますか?
盗撮事件で逮捕された直後の最大72時間は、原則としてご家族であっても面会することはできません。この間は、弁護士のみが被疑者と面会(接見)することが許されています。弁護士は時間や回数の制限なく接見できるため、この期間は被疑者にとって唯一の外部との接点となります。
勾留が決定された後も、裁判所から「接見禁止命令」が出された場合には、引き続きご家族は面会することができません。この命令は、被疑者が証拠を隠滅したり、関係者と口裏合わせをしたりするのを防ぐ目的で出されます。弁護士は接見禁止命令の有無にかかわらずいつでも面会できるため、ご家族に代わって被疑者の状況を伝えたり、必要な差し入れを行ったりと、重要な連絡役を担うことになります。早期に弁護士に依頼することで、ご家族との連絡もスムーズになり、精神的な支えとなるでしょう。
Q. 携帯電話やパソコンは没収されますか?
盗撮事件で逮捕された場合、犯行に使用されたスマートフォンや、関連するデータが保存されている可能性のあるパソコン、SDカードなどの電子機器は、証拠品として警察に押収されるのが通常です。押収された機器は、警察や検察の専門部署によって詳細な解析が行われ、盗撮された画像や動画の有無、他の余罪の有無などが捜査されます。
たとえ事件が不起訴処分となり、刑事手続きが終了したとしても、押収された機器やデータの返還(還付)には時間がかかる場合があります。また、解析によって違法なデータが多数見つかった場合や、機器自体が犯罪の重要な証拠として扱われる場合には、返還されないケースも存在します。デジタル機器は、捜査機関にとって非常に重要な証拠となるため、押収されることは十分に覚悟しておく必要があります。
まとめ:盗撮で逮捕されたら、一人で悩まず弁護士に相談を
盗撮で逮捕された場合、その後の刑事手続きは迅速に進み、逮捕直後から厳しい時間制限の中で捜査が展開されます。警察による取調べから検察への送致、そして勾留の有無の判断、さらには起訴・不起訴の決定に至るまで、各段階での適切な対応が、あなたの将来を大きく左右します。特に、最長20日間に及ぶ勾留は、社会生活や職務に深刻な影響を及ぼし、会社からの解雇につながる可能性も否定できません。
何よりも深刻なのは、「前科」がつくリスクです。前科がつけば、特定の職業への就職が制限されたり、海外渡航に支障が出たりするなど、人生のあらゆる局面に長期的な影響を及ぼします。また、事件が悪質であったり、社会的影響が大きい場合には、実名報道されることで社会的信用を失墜させ、インターネット上に情報が半永久的に残る「デジタルタトゥー」として、あなただけでなく家族の人生にも重くのしかかることになります。
このような取り返しのつかない事態を避けるためには、逮捕直後の、一刻も早い段階で刑事事件に詳しい弁護士に相談することが不可欠です。弁護士は、被害者との示談交渉を代理し、早期の身柄解放に向けて尽力するだけでなく、不起訴処分の獲得という最終目標に向けて、あなたの状況に合わせた最善の弁護活動を行います。会社への対応についても具体的なアドバイスを提供し、不利益処分を最小限に抑えるための戦略を立てることも可能です。
盗撮事件で逮捕されてしまった場合、強い不安と孤独を感じているかもしれません。しかし、一人で悩みを抱え込み、不適切な行動をとることは、事態をさらに悪化させることにつながります。ご自身の未来を守るために、勇気を出して専門家である弁護士の助けを求めることが、問題解決への第一歩となります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。






