盗撮の量刑・罰金の相場│初犯の刑罰・前科・執行猶予の可能性を弁護士が解説
最終更新日: 2026年08月06日

盗撮で捜査の対象になったとき、「罰金はいくらか」「前科はつくのか」「実刑になるのか、執行猶予はつくのか」は、多くの方が最も不安に感じる点です。
本記事では、盗撮の刑罰の全体像(撮影罪・迷惑防止条例などの法定刑)、罰金の相場、初犯・再犯での処分の違い、罰金でも前科は残るのか、実刑と執行猶予の分かれ目、そして量刑・処分を軽くするためにできることを、弁護士が解説します。
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盗撮の刑罰の全体像|撮影罪・迷惑防止条例などの法定刑
「盗撮罪」という単独の罪名はなく、盗撮は行為や場所に応じて複数の法律で処罰されます。
中心となるのは2023年7月に施行された撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)で、これに迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反などが加わります。
法律・罪名 | 主な対象 | 法定刑(目安) |
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法) | 性的な部位・下着等の盗撮(盗撮の中心) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
迷惑防止条例違反 | 公共の場所・乗物等での盗撮 | 都道府県により異なる(常習でより重い規定も) |
軽犯罪法違反 | 条例で規制されない場面の補完(のぞき等) | 拘留または科料 |
建造物侵入罪 | 盗撮目的でトイレ・更衣室等に侵入した場合 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
どの罪に問われるかによって、罰金で済むのか、懲役(拘禁刑)が見込まれるのかが変わります。
盗撮が何罪に当たるかの詳細は、次の記事で解説しています。
盗撮の罰金の相場は30万〜50万円が一つの目安
盗撮で罰金となる場合、金額はおおむね30万〜50万円程度が一つの目安とされることが多いです。ただし、撮影の態様・被害者の数・常習性などによって変動し、これより高くなることもあります。
罰金はどのように決まるか(略式起訴・微罪処分)
比較的軽微な事案では、正式な裁判を経ずに書面で罰金が科される「略式起訴(略式命令)」となることがあります。
さらに軽微で被害が回復しているようなケースでは、検察官の判断で「微罪処分」として事件が処理され、前科がつかない形で終わることもあります。
もっとも、これらは自動的に決まるものではなく、被害弁償・示談などの事情が影響します。
【ポイント】
罰金で済むか、それとも正式起訴されて懲役(拘禁刑)を求められるかは、態様の悪質性・常習性・被害者との示談の有無で大きく変わります。
示談による被害回復は、処分を軽くする方向に働きます。
初犯の場合の処分|不起訴・罰金・執行猶予の分かれ目
初犯で、態様が悪質でなく、被害者との示談が成立している場合には、次のような比較的軽い処分に向かいやすくなります。
- 不起訴(起訴猶予):
示談が成立し被害が回復されている等の場合。前科はつかない - 略式起訴による罰金:
正式裁判を経ずに罰金。前科は残る - 正式起訴でも執行猶予:
懲役(拘禁刑)でも、初犯・反省・示談などの事情で執行猶予が付く可能性
逆に、常習性がある、被害者が多い、撮影内容が悪質、示談が整わないといった事情があると、初犯でも正式起訴され、実刑が視野に入ることがあります。
再犯・常習・余罪がある場合は重くなりやすい
過去に同種の前科・前歴がある場合や、常習性・余罪が認められる場合は、罰金では済まず正式起訴されたり、実刑となるリスクが高まります。
再犯では、前回が罰金・執行猶予であっても、今回はより重い処分が想定されます。
余罪がある場合の捜査や見通しについては、別の記事もご覧ください。
実刑と執行猶予の分かれ目
正式起訴され、裁判で懲役(拘禁刑)が言い渡される場合でも、その刑期が3年以下で、情状が考慮されれば、執行猶予が付くことがあります。
執行猶予が付けば、直ちに刑務所に収監されることはありません。
執行猶予が付きやすい方向に働く事情
- 初犯である/前科がない
- 被害者との示談が成立し、宥恕(処罰を望まない意思)が得られている
- 深く反省し、再発防止に向けた環境(通院・家族の監督等)が整っている
実刑リスクが高まる事情
- 常習性・余罪が多い、同種前科がある
- 撮影内容が悪質、被害者が多数、被害回復がされていない
盗撮の多くは罰金・略式で処理されますが、悪質・常習の事案では懲役が求められ、実刑か執行猶予かが争点になります。
この見通しは事案ごとに大きく異なります。
盗撮で前科はつくのか
「罰金なら前科はつかない」と思われがちですが、罰金も刑罰であり、罰金刑を受ければ前科は残ります。
前科がつかないのは、不起訴(起訴猶予・微罪処分など)で終わった場合です。
前科による主な影響
- 一定の資格・職業で欠格事由となる場合がある
- 再犯時に量刑が重くなりやすい
- 前科情報が捜査機関に記録される
前科を避けるために最も重要になるのが、被害者との示談による不起訴です。
示談金の相場や進め方は、次の記事で詳しく解説しています。
量刑・処分を軽くするためにできること
盗撮の処分を軽くするために有効なのは、次のような対応です。
いずれも、起訴・不起訴の判断までの限られた時間の中で進める必要があります。
- 被害者との示談を成立させ、宥恕を得る(不起訴・執行猶予に向けて最重要)
- 撮影データの削除など、被害拡大の防止と誠実な対応を示す
- 再発防止に向けた環境調整(通院・家族の監督など)
逮捕されている場合も、在宅で捜査が進んでいる場合も、早期の弁護活動が結果を左右します。
逮捕の流れや会社に知られないための対応は、次の記事もご覧ください。
【本人・家族からの直接交渉は避ける】
加害者本人やご家族が被害者へ直接連絡すると、かえって状況を悪化させ、量刑上の不利益につながるおそれがあります。
示談交渉は弁護士を通じて行ってください。
弁護士に相談するメリットと費用
量刑・処分の見通しは事案ごとに大きく異なり、罰金で済むのか、不起訴を狙えるのか、執行猶予を目指すべきなのかは、専門的な判断を要します。
弁護士に依頼することで、示談交渉を適切に進め、限られた時間の中で最善の対応を取ることができます。
弁護士費用は、着手金・報酬金・示談交渉に関する費用などで構成されるのが一般的です。費用の内訳や相場の詳細は、次の記事をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 盗撮の罰金はいくらくらいですか?
事案によりますが、罰金となる場合はおおむね30万〜50万円程度が一つの目安とされることが多いです。
撮影罪では法定刑として300万円以下の罰金が定められており、態様や常習性によって金額は変わります。
Q2. 罰金を払えば前科はつきませんか?
罰金も刑罰であり、罰金刑を受ければ前科は残ります。前科がつかないのは、不起訴(起訴猶予・微罪処分など)で終わった場合です。
前科を避けたい場合は、示談による不起訴を目指すことが重要です。
Q3. 初犯なら必ず罰金や執行猶予で済みますか?
初犯は軽い処分に向かいやすい事情ですが、必ず罰金・執行猶予で済むとは限りません。
常習性・余罪・撮影内容の悪質性・示談の有無などが総合的に考慮されます。
Q4. 執行猶予はどのような場合に付きますか?
言い渡される懲役(拘禁刑)が3年以下で、初犯・反省・示談などの事情が考慮された場合に、執行猶予が付くことがあります。
示談の成立は、執行猶予の獲得にも有利に働きます。
Q5. 会社に知られたくないのですが、処分に影響しますか?
会社への発覚と刑事処分は直接連動しませんが、弁護士が窓口となって手続きを進めることで、周囲に知られるリスクを抑えながら対応できる場合があります。
状況によって取りうる方法が異なるため、早めにご相談ください。
Q6:押収されたスマホから、過去の盗撮(余罪)が見つかったらどうなりますか?
余罪として立件され、処分が重くなる可能性があります。
警察は押収したスマートフォンに対し、データ解析(いわゆるフォレンジック調査)を行います。
削除した画像や動画であっても、復元される可能性はあります。
もし過去の盗撮画像が多数見つかった場合、余罪についても立件され、その被害者とも示談が成立しなければ、罰金刑となってしまう可能性があります。心当たりがある場合には、取り調べで不利な供述をしてしまわないよう、早い段階で弁護士に正直に相談することが重要です。
Q7:罰金はいつ払うのですか?分割払いはできますか?
原則として一括払いで、分割は認められていません。
略式起訴の場合、裁判所から「略式命令」とともに納付書が届きます。
支払期限は、命令が出てから数日〜数週間以内とされるのが一般的です。
罰金は原則として現金一括納付であり、分割払いは認められていませんが、検察庁に相談して、延納や分納が認められることもあります。
期限内に納付できない場合、最終的には労役場留置(刑務所内で作業を行い、その作業料を罰金に充てる)となることがあります。
換算額は1日5,000円程度とされるケースが多く見られます。
Q8:警察署で「微罪処分」と言われましたが、これは何ですか?
警察限りで事件を終了させる手続きで、罰金や前科は付きません。
微罪処分とは、極めて軽微な事案で、被害者が処罰を望んでいない場合などに、警察の判断で検察官へ送致せず、警察限りで事件を終わらせる制度です。
これに該当すれば、罰金も前科も付きません。
ただし、盗撮事件については近年処分が厳しくなっており、微罪処分となるケースは少なくなっています。
過度な期待はせず、今後の対応について弁護士に相談することが望ましいでしょう。
まとめ
盗撮の罰金相場は30万〜50万円程度が一つの目安ですが、実際に罰金で済むのか、不起訴を狙えるのか、あるいは正式起訴されて実刑・執行猶予が争点になるのかは、態様・常習性・示談の有無によって大きく変わります。
罰金でも前科は残り、前科を避けるには示談による不起訴が重要です。見通しと最善の対応は事案ごとに異なるため、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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