嫁・旦那に浮気を否定された!?対処法を弁護士が解説
最終更新日: 2022年09月14日
浮気を否定されたら慰謝料請求はできない?
浮気を否定されたときの対処法は?
浮気を否定したら慰謝料は増額されるの?
浮気を問い詰めた場合、必ずしも相手が浮気を認めるとは限りません。浮気を否定されたらどのように対処すればいいのか、そもそも否定されないためにはどうすればいいのか、悩んでしまう方もおられるでしょう。
そこで、今回は不倫問題を数百件解決してきた専門弁護士が浮気を否定された場合の対処法などについて解説します。
浮気を否定する理由5選
明らかに浮気をしているのに、配偶者や浮気相手が浮気を否定するはなぜなのでしょうか。ここでは、相手が浮気を否定する代表的な理由について5つ見てみましょう。
- 証拠はないと思っているから
- 慰謝料は払いたくないから
- 浮気相手を守りたいから
- 離婚を避けたいから
- 否定するのが優しさと思っているから
証拠はないと思っているから
まずは、証拠はないと思っている場合です。
メッセージは毎回消していた、探偵を頼むお金があるはずがない、対策は完璧だったから証拠をもっているはずがない。このように相手が考えることは多いようです。
この場合、証拠がないなら否定しないと損だと考えて浮気を否定します。
慰謝料は払いたくないから
二つ目は、慰謝料を払いたくないので浮気を否定する場合です。
浮気を認めたら高い慰謝料を払う羽目になる、浮気を否定していれば慰謝料を払わずに済むのではないか。このように考えて浮気を否定します。
浮気相手を守りたいから
三つ目は、浮気相手を守るために浮気を否定する場合です。
浮気を認めれば浮気相手に迷惑がかかる、浮気相手が責められる事態は何としても避けたい。このように考えて浮気を否定します。
浮気相手を守りたいとはいっても、必ずしも配偶者よりも浮気相手を大切にしているというわけではありません。配偶者のことは一番大切で、浮気はあくまで遊びだったので、大事にならないようにしたいと考えていることもあります。
離婚を避けたいから
四つ目は、離婚を避けたいから浮気を否定する場合です。
浮気を認めてしまっては離婚されてしまう、配偶者のことは大切に思っており、一度の過ちで離婚はしたくない。このように考えて浮気を否定します。
遊びだった浮気が大事になるとは思いもせず、浮気を認めたときには、離婚されてしまうのではないかと恐れて浮気を否定するのです。
否定するのが優しさと思っているから
最後は、浮気を否定するのが優しさと思って浮気を否定する場合です。
本当は浮気をしていないかもしれないという配偶者の最後の期待に応えることによって、配偶者を傷つけないようにと考えて浮気を否定します。
自分の立場を守るためという考えもあるでしょうが、大切な配偶者を傷つけないためには、浮気を否定することが誠意だと考えて浮気を否定するのです。
浮気を否定するパターンとその対処法
浮気を否定するパターンにはいくつかあります。ここではパターンごとに対処法も含めてご説明します。
- 浮気は認めたのに肉体関係は否定
- 一度は認めたのにその後に否定
- 一方は認めているのに他方は否定
- 二人とも否定
浮気は認めたのに肉体関係は否定
浮気という言葉には幅があり、その定義は人によって異なります。例えば、異性と二人で食事に行くだけでも浮気と考える人もいます。「浮気をした」と認めたとしても、それが慰謝料の発生する法的な意味での浮気を認めたとは限らないのです。
そのため、浮気は認めたのに肉体関係は否定しているという事態が生じることがあります。この場合、肉体関係の証拠をつかまなければ慰謝料請求をすることはできません。
もっとも、ホテルや浮気相手の自宅に泊まったことは認めつつ、肉体関係を否定している場合、裁判所は、泊まった事実から肉体関係を認定する場合があります。
一度は認めたのにその後に否定
一度は浮気を認めたのに、その後に浮気はしていないと否定される場合があります。一度は浮気を認めたこと自体は認める場合もあれば、浮気を認めたこと自体を否定する場合もあります。
前者の場合、例えば、好意はあったから浮気を認めたけれども肉体関係という意味での浮気を認めた趣旨ではないなどと説明されますと、裁判所に浮気を認定してもらうことは難しくなります。
後者の、浮気を認めたこと自体を否定する場合、浮気を認めたことの証明ができなければ、裁判でも負けてしまうことになります。
このように一度は認めたのにその後に否定されると、その後の対応は相当難しくなります。ですから、浮気を認めた際には、録音する、書面に残すなどして証拠にしておくことが重要です。
一方は認めているのに他方は否定
一方は浮気を認めているのに、他方は浮気を否定しているという場合があります。この場合、浮気を認めている方の自白内容を証拠にします。
具体的には、いつ、どこで性交渉などをしたのか、既婚者とは知っていたのかについて聴取し、それを紙に記載して、末尾に相手の署名をもらいます。
後日、脅されて書かされたなどと言われる可能性もありますので、聴取から書面作成までの一部始終を録音または動画撮影しておくとそのような場合にも対処できます。
二人とも否定
配偶者に浮気がばれた場合、口裏合せをして二人とも浮気を否定することがあります。
この場合には、確たる証拠をつかむか、確たる証拠があるように思わせていずれかから自白を引き出すことが必要となります。自白を引き出した後はその自白内容を書面にして、それを他方に突き付けて、他方からも自白を引き出すようにします。
もっとも、一方の自白内容が信用できるものであれば、他方は浮気を否定しても裁判で勝てる見込みは十分にあります。
浮気を否定すると慰謝料は増額される
事実としては浮気があるにもかかわらず、浮気を否定した場合、浮気をされた配偶者としてはそのような態度に触れ、一層の精神的苦痛を被ることになります。そのため、浮気を否定する態度は慰謝料を増額させる事情となります。
例えば、浮気を否定されたので訴訟を提起し、訴訟において明確な浮気の証拠を提出して浮気が証明された場合、相手は嘘をついていたことが明らかになります。そうすると、相手の不誠実な態度によって精神的苦痛が増したと評価され、慰謝料は通常よりも増額されます。
もっとも増額されるとはいっても、そのことだけで200万円も300万円も増額されるということはなく、100万円以下の増額にとどまるでしょう。
浮気は否定すべき?認めるべき?
最後に、浮気をされた配偶者から浮気について問い詰められた場合に、認めるべきなのか、どのような態度をとるべきなのかについてご説明します。
浮気を認める
まずは、正直に浮気を認める対応です。
確たる浮気の証拠をつかまれているときには、浮気を否定しても良いことは何一つありませんので、正直に浮気を認めるという対応一択となります。
浮気をした配偶者としては、誠心誠意謝罪をすれば、今回については許しを得られて離婚を回避できるかもしれませんし、浮気相手としても、裁判にはならずに早期に穏便に和解してもらえる可能性が高まります。
浮気を否定する
次に、浮気を否定する対応です。
真実として浮気がない場合には、もちろん浮気を否定するべきです。この場合に浮気を認めるメリットはありません。また、相手が証拠をもっていないことが明らかな場合も、嘘をつくことにはなりますが、浮気を否定する選択はありえます。
一方、真実として肉体関係はないものの、例えば、ラブホテルに行ったなど、裁判では肉体関係を認定されてしまう可能性が高い場合には、浮気を否定せず、然るべき責任をとることも合理的な対応と言えます。
浮気を否定も肯定もしない
黙秘するなど、浮気を認めることも否定することもしないという対応はどうでしょうか。
肯定も否定もしないという態度は、法的には否定している態度と同様とみなされます。
また、浮気をされた配偶者との関係でも、浮気がないのであれば否定するのが自然ですから、肯定も否定もしない態度は、浮気は事実としてあるのに認めようとしないという不誠実な態度に思われてしまうでしょう。
敢えて浮気を肯定も否定もしないという中途半端な態度をとるメリットはありません。
まとめ
以上、浮気を否定された場合の対処法などについて解説しました。
浮気の証拠はつかんでいるのに相手が浮気を否定している、一方は浮気を認めているのに他方は浮気を否定している、このような場合に慰謝料請求をお考えの方は、不倫問題を専門とする弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。