「不倫を会社にばらす」と言われたらどうする?言いなりは避けたい|脅迫等が問題となる可能性と弁護士による対応
最終更新日: 2025年12月17日
「慰謝料を払わないなら、会社に全部話す」
「離婚しないなら、職場に行く」
不倫トラブルがこじれると、相手からこのような言葉を投げかけられることがあります。
自分に不貞の事実がある場合、「会社にだけは知られたくない」「要求を受け入れるしかない」と感じてしまい、不安が強くなる方も少なくありません。
しかし、「ばらす」ことを材料に金銭や行為を要求する言動は、状況によっては刑事上の問題(恐喝・強要・脅迫など)に該当する可能性があります。
たとえ不倫の事実があったとしても、相手の不当な要求に応じ続ける必要はありません。
この記事では、脅しの連絡をやめさせ、生活への影響を最小限に抑えるための緊急対応について解説します。
「会社にばらす」と言って要求する行為は刑事上問題となる可能性がある
相手が「不倫をした側が悪い」と主張することはあり得ますが、だからといって相手の行為が正当化されるわけではありません。
状況や言動の内容によって、以下の犯罪が成立する可能性があります。
恐喝罪(きょうかつざい)
「会社に知られたくなければ100万円払え」など、脅して金銭を要求する行為が問題となり得ます。(10年以下の懲役)
強要罪(きょうようざい)
「土下座しろ」「退職しろ」「離婚届を書け」など、脅迫等によって義務のない行為をさせることが問題となり得ます。(3年以下の懲役)
脅迫罪(きょうはくざい)
金銭の要求がなくても、「会社にいられないようにする」など害悪を告知して不安を与える言動は、状況によって脅迫罪が問題になる可能性があります。(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)
名誉毀損罪(めいよきそんざい)
実際に勤務先へ連絡したり、周囲に広めたりした場合、事実であっても名誉毀損が成立する可能性があります。(3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金)
脅されたときに避けたい3つの対応
恐怖から相手の要求を受け入れたくなることもありますが、対応を誤ると相手の要求が続きやすくなることがあります。次の行動は慎重に考える必要があります。
要求されたお金をすぐに支払う
「支払えば終わる」と期待してしまう方もいますが、一度支払うと、同様の要求が繰り返されるリスクがあります。
「ばらさないで」と繰り返し懇願する・過度に謝罪する
LINE等で「会社には言わないでください」と送ると、相手が「優位に立てる」と受け取り、交渉が難しくなる場合があります。
何もせず放置する
言いなりになる必要はありませんが、対策を取らずに放置すると、相手が感情的になり実際に行動に出るリスクが高まることがあります。
重要なのは、「本人同士での連絡を断ち、第三者(弁護士)を窓口にする」ことです。
すぐにできる対処:証拠の確保と弁護士の介入
脅しを止めるためには、次の手順が有効です。
証拠を残す(削除しない)
LINE、メール、DM、着信履歴などは保存しておきましょう。
「会社にばらす」「金を払え」などの文言は、後の対応において重要な資料になります。
電話の場合は、可能であれば録音も検討します。
弁護士から受任通知を送付する
弁護士に依頼すると、相手に対して受任通知を送付し、以後の連絡窓口を弁護士に一本化します。
これにより、本人への直接連絡を控えるよう強く求めることができ、必要に応じて法的措置(警察相談・損害賠償請求等)を視野に入れた警告も可能です。
相手が「これ以上続けると自分が不利になる」と理解し、連絡が止まるケースは少なくありません。
もし実際に会社に連絡されてしまった場合
万が一、相手が勤務先へ連絡してしまった場合でも、対応次第で影響を抑えられることがあります。
相手への法的対応
名誉毀損やプライバシー侵害等に基づく損害賠償請求を検討します。
具体的な請求内容は、会社での影響(精神的苦痛や就労上の不利益など)を踏まえて整理します。
会社側への説明・フォロー
会社が問題視するのは「業務への支障」「職場秩序への影響」等であることが多いため、
弁護士を通じて、一方的な接触・嫌がらせであることや、当事者間での解決状況を整理して説明することで、過度な処分が避けられる可能性もあります。
まとめ:不当な要求には応じ続けず、適切に止める
「会社にばらす」と言って要求する行為は、状況によって刑事・民事の問題となる可能性があります。
一人で抱え込むほど不安が増し、対応が遅れるほどリスクが高まることもあります。
早い段階で弁護士に相談し、
証拠を確保し、窓口を弁護士に切り替えて直接連絡を遮断することが、現実的で安全な対応になりやすいです。
よくある質問(FAQ)
Q. 警察と弁護士、どちらに相談すべきですか?
状況によります。緊急性が高い場合は警察相談も選択肢ですが、「今まさに連絡を止めたい」「今後の交渉も含めて整理したい」という場合は、弁護士が窓口となって対応を進める方法が有効なことがあります。
Q. 弁護士が入ると、相手が逆上して本当に会社に連絡しませんか?
可能性がゼロとは言えませんが、弁護士が入ることで相手が冷静になり、連絡が止まるケースも多くあります。リスクを下げる進め方を一緒に検討します。
Q. 脅してくる相手が「不倫相手の配偶者」の場合も対応できますか?
可能です。慰謝料請求自体は正当な権利行使ですが、脅迫や強要など法的限度を超える言動は別問題として整理し、適切に対応します。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。




