離婚したいのに別れてくれない!よくある理由や5つの対処方法を弁護士が解説
最終更新日: 2023年02月21日
- 離婚したいのに相手が別れてくれないのはなぜ?
- 離婚したい相手が別れてくれないときにはどう対処すればいい?
- 離婚したいのに別れてくれない相手に対し調停や裁判を起こす流れを整理したい
自分は離婚したいと考えているのに、相手が離婚してくれないケースは、決して珍しくありません。
その場合、相手が別れてくれない理由や、自分がどう対処すればいいか整理してみれば、解決の糸口が見えてくるのではないでしょうか。もしも話し合いで解決できなければ、調停離婚や裁判離婚も視野に入れなければなりません。
そこで今回は、離婚に関する問題を数多く解決してきた専門弁護士が、自分では離婚したいと思っているのに相手が別れてくれない場合について、よくある理由・対処方法・調停や裁判の流れについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚したいのに別れてくれないよくある理由は、「面倒ごとが多い」「経済的な問題」「財産分与をしたくない」「慰謝料を払いたくない」「子どもの教育上」「新たなパートナーに取られたくない」などがある
- 離婚したいのに別れてくれないときの対処法は、「冷静に話し合う」「離婚後の具体的生活プランを提示」「別居期間を設ける」「客観的な証拠を用意」「第三者のプロに相談」などがある
- 離婚したいのに別れてくれない場合は、「事前に弁護士に相談」「離婚調停」「調停でだめなら裁判を起こす」といったことを検討
離婚したいのに別れてくれないよくある理由
ここでは、別れてくれない理由について、以下の6つを解説します。
- 離婚には面倒ごとが多い
- 経済的な問題
- 財産分与をしたくない
- 慰謝料を払いたくない
- 子どもの教育上
- 新たなパートナーに取られたくない
それでは、1つずつ解説します。
離婚には面倒ごとが多い
理由の1つ目は、離婚には面倒ごとが多いことです。
離婚するときには、離婚届の提出だけでなく、両親・親族・職場などへの説明が必要になるでしょう。また、世間体が悪いと思われることや戸籍に離婚歴が残ることも、離婚にちゅうちょする原因になりうるでしょう。
経済的な問題
理由の2つ目は、経済的な問題です。
たとえば、夫婦の片方の収入が明らかに多い場合は、経済的な理由もあって別れてくれない原因になりうるでしょう。
たとえ夫婦関係が悪くて別居中であったとしても、離婚さえしなければ収入の多い相手方から生活費を確保できる可能性が高いからです。逆に離婚すると金銭面などの経済的なメリットが途絶える恐れがあるのです。
それでも離婚を進めたいのであれば、解決金の支払いや財産分与の増額により、解決できる可能性はあります。
財産分与をしたくない
理由の3つ目は、財産分与をしたくないことです。
財産分与の基本的な考え方は、「夫婦共有財産は離婚時に折半」というものです。しかし、夫婦の片方の収入がもう片方の収入より明らかに多い場合は、そのような財産分与の考え方に不満や不平等感を抱く人もいるでしょう。
その結果、財産分与をしたくないとの思いから、別れたくないと考えることもありうるのです。
そのような場合は、どの財産が財産分与の対象になるか・財産分与の額はどの程度かを見積もって、相手に明示してみましょう。
慰謝料を払いたくない
理由の4つ目は、慰謝料を払いたくないことです。
不貞行為やモラハラなどが認められ、それが原因で離婚する場合は、有責者は相手に慰謝料を支払う必要があります。それを嫌って、離婚しないケースもあるでしょう。
ただ、離婚訴訟まで進むと、離婚した上で慰謝料も認められる可能性も高いので、調停や裁判も視野に入れて協議しておいた方がよいです。
子供の教育上
理由の5つ目は、子供の教育上の問題です。
離婚してシングルマザー(シングルファザー)になって子育てすることは、子どもの教育上よくないと考えて、別れてくれないケースもあるでしょう。ただ、夫婦の仲が非常に悪い場合などは、かえって別れた方が子どもの教育上もよいこともあるのです。
新たなパートナーに取られたくない
理由の6つ目は、新たなパートナーに取られたくないことです。
子どもがいなくて、かつ金銭的な問題もなく、夫婦ともに離婚に支障がないように見えても、新たなパートナーにとられたくないとの思いで離婚したくないと考える方もいるでしょう。
人間は多かれ少なかれ感情に左右されるので、これも別れてくれない理由になりうるのです。
離婚したいのに別れてくれないときに試すべき5つの対処法
ここでは、別れてくれないときに試すべき対処法について、以下の5つを解説します。
- 冷静に話し合う
- 離婚後の具体的生活プランを提示
- 別居期間を設ける
- 客観的な証拠を用意
- 第三者のプロに相談
それでは、1つずつ解説します。
冷静に話し合い
対処法の1つ目は、冷静に話し合うことです。
離婚に向けた話し合いは、感情的になるとすぐにストップしかねません。また、自分が感情的になると、相手もつられて感情的になり、勢いだけで離婚することにもなりかねません。
相手の主張もあくまでも冷静に聞き、お互いなるべくよい形で決着するようにしましょう。
離婚後の具体的生活プランを提示
対処法の2つ目は、離婚後の具体的生活プランを提示することです。
別れてくれない相手には、あなたが本気で離婚したいと思っていることを示す必要があります。そのためには、離婚後の具体的生活プランを提示することが有効です。
たとえば、以下の3つのポイントを明示した、離婚後の生活プランを作成しましょう。
生活費や資産の分配 |
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住居 |
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子どもの親権や養育 |
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別居期間を設ける
対処法の3つ目は、別居期間を設けることです。
別居期間が長いことも、夫婦関係が破綻しており、離婚すべきであることの証拠になります。相手が離婚に反対していても、別居期間が長引くと離婚に気持ちが傾くケースもあるでしょう。
客観的な証拠を用意
対処法の4つ目は、客観的な証拠を用意することです。
不倫やDVが理由で離婚したい場合は、その証拠をしっかり残しましょう。客観的な証拠を示せれば、離婚に向けた交渉がスムーズになります。さらに、有利な離婚条件も提示しやすくなるでしょう。
たとえば、不倫であれば不倫相手とラブホテルに入っている様子、DVであれば病院の診断書などが証拠になります。
第三者のプロに相談
対処法の5つ目は、第三者のプロに相談することです。
夫婦間の話し合いが進まなければ、弁護士や離婚カウンセラーなど、第三者のプロに相談しましょう。夫婦間の話し合いに同席してもらうことで、相手が離婚への本気さを感じることもあります。
ただ、友人や親族の場合夫婦のどちらかに肩入れして、かえって話がこじれる 恐れもあるので注意が必要です。
離婚したいのに別れてくれない場合の調停と裁判
ここでは、別れてくれないことを理由にした調停・裁判について、以下の3つを解説します。
- 事前に弁護士に相談
- 離婚調停
- 調停でだめなら裁判を起こす
それでは、1つずつ解説します。
事前に弁護士に相談
1つ目は、事前に弁護士に相談することです。
事前に弁護士に相談することで、自分のケースについて離婚が認められるか相談できます。また、今後どう行動すればいいか・離婚に向けてどのような証拠を集めればいいか、などについても、具体的なアドバイスをもらえるでしょう。
さらに、協議が不調に終わり調停や裁判などに至る場合は、弁護士に代理人を依頼することもできます。ただ、弁護士にはそれぞれ専門分野があるので、過去の実績などを考慮して離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
離婚調停
2つ目は、離婚調停を行うことです。
離婚に向けた話し合いを重ねても話がまとまらなければ、離婚調停を申し立てましょう。離婚調停は、家庭裁判所の調停委員2名が双方の主張を聞きながら調停を進めるものです。
場合によっては、家庭裁判所の調査員が調査も行います。それらの結果を踏まえて、調停委員が離婚の可否と条件を提案するのです。
離婚調停では、調停委員が夫婦から個別に話を聞くので、夫婦が直接顔を合わせて話す必要はありません。ただ、離婚調停は片方が離婚に応じなければ不調となるため、離婚できないこともあることに注意しましょう。
調停でだめなら裁判を起こす
3つ目は、調停でだめなら裁判を起こすことです。
離婚裁判の結果には拘束力があります。相手が別れたくないと思っていても自分が勝訴すれば離婚できるのです。
ただ、法律で決められている離婚事由に該当することを示せなければ離婚訴訟を提起できません。また、離婚が認められる場合でも、その離婚条件も最終的には家庭裁判所の判決に委ねられるので注意しなければなりません。
そのため、離婚を正当化するに足る十分な資料を整えておかなければ、自分にとって不利な条件での離婚になることや、そもそも離婚が叶わないケースもあり得るのです。
まとめ
今回は、離婚に関する問題を数多く解決してきた専門弁護士が、自分では離婚したいと思っているのに相手が別れてくれない理由や対処方法・調停や裁判の流れについて解説しました。
別れようとしない理由には、金銭的な理由や子どもの存在だけでなく、別のパートナーに取られたくないという自身の感情的な理由もありえます。それでも離婚したい場合は、離婚後の生活プランを示すことや、別居期間を設けることなどが有効です。
また、話し合いで解決できそうもないときは、調停離婚や裁判離婚も視野に入れましょう。ただ、早く確実に解決するためには、法的な専門知識や裁判経験が欠かせません。そのため、離婚問題に詳しい弁護士にアドバイスをもらいましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。