【強要罪】逮捕される可能性は?弁護士が教える警察対応と流れ

最終更新日: 2026年04月08日

強要で逮捕されたらどうなる?問われる罪・流れ・すべきことを徹底解説!

強要の疑いで逮捕されると、最大で23日間もの身柄拘束を受ける可能性があり、社会生活に甚大な影響を及ぼします。事件を早期に解決し、起訴を免れる(前科をつけない)ためには、正確な法律知識と迅速な対応が欠かせません。

本記事では、強要罪の定義逮捕される条件を整理するとともに、早期釈放や示談交渉における弁護士の役割を徹底解説します。

今の状況を打破し、平穏な生活を取り戻すための指針としてお役立てください。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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強要罪とは?脅迫罪・恐喝罪との違い

強要罪の成立要件(刑法第223条)

強要罪は、刑法第223条に定められている犯罪です。成立するためには、以下の2つの要素を満たす必要があります。

  • 脅迫または暴行を用いること
    相手やその親族の「生命、身体、自由、名誉、財産」に対して害を加えることを伝え(害悪の告知)、相手を怖がらせる「脅迫」行為、または直接的な有形力を行使する「暴行」行為が手段となります。
    例えば、「言うことを聞かないと会社にバラすぞ」と告げることは名誉に対する害悪の告知(脅迫)にあたります。

  • 義務のないことを行わせる、または権利の行使を妨害すること
    上記の脅迫や暴行によって、相手に法律上行う義務のないことを無理やりさせたり、正当な権利を使うことを邪魔したりした場合に成立します。
    例えば、謝罪文を書かせたり、土下座をさせたりする行為は「義務のないこと」を行わせる典型例です。
    また、「退職届を出せ」と迫り、働き続ける権利を妨害することもこれに該当します。

これらの要素が揃うと、法定刑は「3年以下の懲役」となり、決して軽い罪ではありません。

脅迫罪との違い:「義務のない行為」をさせたか

強要罪と脅迫罪は、どちらも「脅迫」を手段とする点で似ていますが、決定的な違いは「相手に何らかの行動をさせたか」という点にあります。

  • 脅迫罪:
    「殴るぞ」と告げるなど、害悪の告知をした時点で成立します。
    相手が怖がっただけで、何らかの行動をしなくても罪に問われます。

  • 強要罪:
    「土下座しないと殴るぞ」と告げ、相手が実際に土下座をした場合に成立します。
    脅迫に加えて「義務のない行為」という結果が発生していることが要件です。

つまり、脅迫罪は「言うだけ」で成立するのに対し、強要罪は「言った上で、何かをさせる」ことで成立する、より重い犯罪と位置づけられています。

恐喝罪との違い:「財物」を交付させたか

強要罪と恐喝罪も混同されやすい犯罪ですが、違いは「要求したものが何か」という点にあります。

  • 恐喝罪:
    脅迫や暴行を用いて、相手から金銭や品物などの「財物」や、借金の免除といった「財産上の利益」を得た場合に成立します。
    いわゆる「カツアゲ」や「タカリ」が典型例です。

  • 強要罪:
    脅迫や暴行を用いて、土下座や謝罪、契約の締結といった「財物以外の行為」をさせた場合に成立します。

例えば、「誠意を見せろ」と言って土下座をさせれば強要罪ですが、「誠意(=金)を見せろ」と言ってお金を出させれば恐喝罪となります。

要求の対象が財産か、それ以外の行為かで区別されます。

こんな行為も強要罪に?具体的な事例

「強要」は特別な犯罪ではなく、日常のトラブルがエスカレートした結果、意図せず成立してしまうケースも少なくありません。

ここでは、強要罪に問われる可能性のある具体的な事例を紹介します。

職場でのパワハラ(土下座の強要など)

職場における優位な立場を利用したパワハラ行為は、強要罪にあたる可能性があります。

  • 部下のミスに対し、他の社員の前で「土下座して謝れ」と命令し、実行させる。
  • 「この仕事ができないなら、自主的に退職届を書け」と執拗に迫り、退職を強いる。
  • 到底達成不可能なノルマを課し、「達成できなければ自腹で商品を買え」と要求する。

これらは、上司としての指導の範囲を逸脱しており、刑事事件として逮捕されるリスクを伴います。

男女間のトラブル(性的な行為の強要など)

恋愛関係のもつれや夫婦間の問題も、強要罪に発展することがあります。

  • 「別れるなら、昔撮ったプライベートな写真をネットにばらまく」と脅し、交際の継続を強要する。
  • 相手が拒否しているにもかかわらず、「言うことを聞かないと家族に全て話す」などと脅して、性的な行為を無理やりさせる。
  • DV(ドメスティック・バイオレンス)の一環として、配偶者に「二度と実家には連絡しない」という念書を書かせる。

親しい間柄であっても、相手の意思に反した行為を脅迫や暴行によって強いることは、許されない犯罪行為です。

飲食店などでの度を越したクレーム

店舗へのクレームも、その態様や要求内容によっては強要罪となります。正当な要求と犯罪行為の境界線は明確に意識する必要があります。

  • 料理に異物が入っていたことに対し、「店長を呼んで土下座させろ」と要求し、長時間居座る。
  • 接客態度に腹を立て、「誠意を見せろ。謝罪文を書くまで帰らない」と店員を拘束する。
  • 「慰謝料を払え。払わなければSNSで悪評を拡散して潰してやる」と金銭以外の形で謝罪を強要する。

SNSやネット上での要求

近年、SNSやインターネット掲示板など、オンライン上でのトラブルから強要罪に発展するケースが増加しています。

  • ネット上で口論になった相手の個人情報を特定し、「謝罪動画をアップしないと、お前の個人情報を全て晒す」とダイレクトメッセージで要求する。
  • いわゆる「炎上」状態になった相手に対し、「炎上を止めてほしければ、指定の団体に寄付しろ」と迫る。
  • オンラインゲーム内で、他のプレイヤーに「言うことを聞かないなら、アカウントをハッキングして使えなくしてやる」と脅し、アイテムを渡す以外の特定の行動を強要する。

非対面であっても、相手を畏怖させ、義務のない行為をさせれば強要罪は成立します。

強要罪で逮捕される可能性は?

強要罪の疑いをかけられた場合、必ずしも全員が逮捕されるわけではありません。

逮捕は、あくまで「逃亡や証拠隠滅を防ぐ」ための強制的な手続きです。

どのような場合に逮捕の可能性が高まるのか解説します。

被害届が提出されると捜査が開始される

多くの場合、警察は被害者からの被害届や告訴状の提出を受けて、初めて事件を認知し、捜査を開始します。

被害者が警察に相談し、強要された際の状況を具体的に説明し、処罰を求める意思を示すことで、加害者に対する取り調べなどの捜査が本格化します。

逆に言えば、被害届が提出されなければ、事件として立件されず、逮捕に至らないケースも多いのが実情です。

証拠が明確な場合は逮捕の可能性が高まる

逮捕には「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が必要です。

そのため、客観的な証拠の存在が逮捕の判断を大きく左右します。

  • 強要する様子の録音・録画データ
  • 脅迫的な内容のメール、LINE、SNSのメッセージ履歴
  • 土下座などを強要されている現場の目撃証言
  • 無理やり書かされた謝罪文や念書

こうした明確な証拠があり、警察が「罪を犯したことが確からしい」と判断した場合、逮捕の可能性は格段に高まります。

逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合

証拠があるだけでは、逮捕の要件を満たしません。「逃亡のおそれ」または「証拠隠滅のおそれ」があると判断される必要があります。

  • 逃亡のおそれ:
    定職に就いていない、住所が不定、家族と疎遠であるなど、身元が不安定な場合に高まります。
  • 証拠隠滅のおそれ:
    被害者や目撃者に接触して脅したり、口裏合わせを頼んだりする可能性があると判断された場合です。
    また、共犯者がいる場合も、互いに連絡を取り合って証拠を隠す可能性があると見なされやすいです。

これらの要素が認められると、警察は裁判所に逮捕状を請求し、通常逮捕に踏み切る可能性が高くなります。

強要罪で逮捕された後の流れと警察対応

万が一、強要罪で逮捕されてしまった場合、刑事手続きは以下のような流れで進みます。時間との勝負になるため、各段階を正確に理解しておくことが重要です。

①逮捕・取り調べ(最大72時間)

逮捕されると、まず警察署の留置施設に身柄を拘束され、警察官による取り調べを受けます。警察は逮捕から48時間以内に、事件の書類や証拠と共に、被疑者の身柄を検察官に送致(送検)するか、釈放するかを決定します。
この間、家族であっても面会はできず、面会できるのは弁護士だけです。

②検察官送致・勾留(最大20日間)

送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を取り調べ、引き続き身柄を拘束して捜査する必要がある(勾留)と判断した場合、裁判官に勾留請求を行います。

つまり、逮捕から最大72時間は弁護士以外と会えないまま拘束が続く可能性があります。

裁判官が勾留を決定すると、原則として10日間、身柄拘束が続きます。

さらに捜査が必要な場合は、検察官の請求により最大10日間延長されることがあります。

つまり、勾留だけで最大20日間、逮捕から起算すると最大23日間も社会から隔離されるリスクがあるのです。

③起訴・不起訴の決定

検察官は、この最大20日間の勾留期間中に、被疑者を刑事裁判にかける(起訴)か、かけない(不起訴)かを最終的に決定します。

  • 起訴:
    正式な裁判(公判請求)または簡易な手続き(略式請求)で罪を問われることになります。
    日本の刑事裁判の有罪率は99%以上であり、起訴されるとほぼ確実に有罪判決が下されます。

  • 不起訴:嫌疑不十分や、示談成立などを理由に「起訴猶予」となれば、刑事裁判は開かれず、前科もつきません。
    この時点で身柄は解放され、事件は終了します。

④刑事裁判と判決

起訴されると、刑事裁判で有罪か無罪か、有罪の場合はどの程度の刑罰を科すかが審理されます。

強要罪の法定刑は「3年以下の懲役」であり、執行猶念が付かずに実刑判決(刑務所に収監される)となる可能性も十分にあります。判決が確定すれば、前科がつくことになります。

強要罪の疑いをかけられたら速やかに弁護士へ相談すべき理由

強要罪の疑いをかけられた、あるいは被害者から「警察に言う」と言われているなど、不安な状況に置かれた場合、一刻も早く弁護士に相談することが、その後の人生を大きく左右します。

逮捕を回避するための弁護活動が期待できる

弁護士は、警察から連絡が来る前に、あるいは事情聴取の段階で介入することで、逮捕を回避するための活動を行います。

具体的には、弁護士が警察に連絡を取り、被疑者が逃亡や証拠隠滅をするおそれがないこと、捜査には誠実に応じることを主張します。

これにより、身柄を拘束しない「在宅事件」として扱ってもらえる可能性が高まります。

早期の身柄解放(釈放)を目指せる

もし逮捕されてしまっても、弁護士は勾留決定が出される前や、出された後でも、早期の身柄解放を目指して活動します。

検察官や裁判官に対し、勾留の必要性がないことを示す意見書を提出したり、勾留決定に対する不服申し立て(準抗告)を行ったりすることで、勾留期間が満了する前に釈放される可能性が生まれます。

被害者との示談交渉を任せられる

強要罪のような被害者がいる犯罪では、被害者との示談が成立しているかどうかが、検察官の起訴・不起訴の判断や、裁判での量刑に極めて大きな影響を与えます。

しかし、加害者本人が被害者に接触しようとすると、感情を逆なでして交渉が決裂したり、「証拠隠滅を図っている」と見なされたりするリスクがあります。

法律の専門家である弁護士が間に入ることで、冷静かつ適切な内容で示談交渉を進め、不起訴処分(前科がつかない)の獲得を目指すことができます。

会社や家族への影響を最小限に抑えられる

逮捕・勾留による長期間の身柄拘束は、会社からの解雇や、学校からの退学処分につながる直接的なリスクです。

また、事件が報道されれば、社会的信用を失い、家族も苦しい立場に置かれます。

弁護士に依頼し、逮捕の回避や早期の身柄解放、そして事件の早期解決を実現することは、こうした社会生活上の不利益を最小限に食い止めるために不可欠です。

強要罪に関するよくある質問

強要が未遂に終わった場合でも罪になりますか?

はい、罪になります。刑法第223条3項には強要未遂罪が定められています。

例えば、「土下座しろ」と脅迫したものの、相手が恐怖を感じながらも拒否して土下座をしなかった場合でも、強要未遂罪として処罰の対象となります。

結果が発生しなかったからといって、安心はできません。

弁護士に相談する費用はどれくらいかかりますか?

弁護士費用は、法律事務所や事案の難易度によって異なりますが、一般的には「相談料」「着手金」「成功報酬」などで構成されます。

相談料は無料の事務所もあれば、30分5,000円〜1万円程度が相場です。

正式に依頼する場合の着手金は数十万円〜、示談成立や不起訴獲得などの成果に応じた成功報酬が別途発生します。

費用は安くありませんが、逮捕・勾留による失職や前科がつくリスクを考えれば、将来への投資と捉えるべきです。

家族や会社に知られずに解決することは可能ですか?

可能性はあります。弁護士に早期に依頼し、逮捕されずに在宅事件として捜査が進み、最終的に不起訴処分で終われば、警察から家族や会社に連絡がいくことは基本的にありません。

したがって、秘密のまま事件を解決できる可能性は十分にあります。

しかし、逮捕・勾留されてしまえば、無断欠勤が続くため、会社に知られることは避けられません。

秘密を守るためにも、迅速な弁護士への相談が鍵となります。

まとめ

強要罪は、職場や男女間、クレームといった身近なトラブルの中に潜んでおり、誰でも加害者になりうる犯罪です。

「これくらい大丈夫だろう」という安易な考えが、逮捕という最悪の事態を招きかねません。

もし逮捕・勾留されれば、最大で23日間も身柄を拘束され、仕事や家庭など社会生活に計り知れないダメージを受けます。

さらに起訴されれば、ほぼ確実に前科がつくことになります。

このような深刻な事態を避けるためには、被害者との「示談交渉」と、弁護士による「早期の弁護活動」が不可欠です。

強要罪の疑いをかけられたり、トラブルに発展しそうになったりした場合は、決して一人で抱え込まず、弁護士に相談してください。

それが、あなたとあなたの大切な人の未来を守るための、最も賢明な選択です。

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