家賃滞納で追い出したい!専門家がステップ・注意点・スムーズな方法を解説!
2024年11月13日
- 賃借人の家賃滞納が長期間継続している。賃貸物件から追い出す方法はないのか?
- 賃借人の強制退去を検討している。退去させる条件を知りたい。
- 賃借人へ立ち退きを求めるには、事前に弁護士と相談した方がよいのだろうか?
賃借人の家賃滞納で損失を被っている賃借人は多いかもしれません。
家賃滞納による強制退去の実現を図る場合、いろいろな条件を満たしておく必要があります。
そこで今回は、家賃滞納問題の解決に携わってきた専門弁護士が、家賃滞納で追い出しができるケース、追い出しするときの手順等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 家賃滞納による強制退去は、3か月以上の滞納、賃借人との信頼関係の破綻で認められる傾向がある
- 強制退去が認められるまでは、賃借人への通知や催告を行い、自主的な支払いを促す働きかけが必要
- 賃借人は専門弁護士と相談しながら、強制退去に関する手続きを進めた方がよい
家賃滞納による追い出しとは
賃借人の家賃滞納は賃貸借契約違反です。そのため、家賃滞納を理由として、賃借人に賃貸物件から退去するよう要求ができます。
賃借人が立ち退き要求をしても、賃借人は契約違反をしているので、基本的に立退料を支払う必要はありません。
また、一定の条件を満たせば、賃借人は裁判所に強制執行を申し立て、強制退去を図る方法も可能です。
裁判所が賃借人に強制退去を行う場合、執行官と専門業者が賃借人宅に向かい、室内に居座る賃借人本人・同居人の退去と、家財道具の強制撤去を行います。
家賃滞納で追い出しできるケース
賃借人は家賃滞納が確認できるからといって、いきなり賃借人を追い出す方法は認められません。
まずは家賃の支払いを説得する等、賃借人への働きかけが必要です。一定の条件を満たしたうえで強制退去が可能となります。
3か月以上の滞納
3か月以上にわたり家賃滞納が継続している場合、裁判所は賃貸物件の明け渡しに関する法的措置を認める傾向があります。
ただし、家賃滞納期間が3か月未満だと、裁判所から「賃借人と賃借人が話し合いで解決する余地はある。」と判断されてしまう可能性もあるでしょう。
そこで、家賃滞納期間が3か月未満であれば、賃借人との交渉を試みて、滞納分を支払うか自主的に退去するよう説得します。
その後、3か月以上経過しても賃借人が支払いを拒否し、賃貸物件に居座っているなら、訴えを提起する手続きに移行します。
賃貸人と賃借人の信頼関係破綻
3か月以上の滞納期間の他、裁判所から「相互の信頼関係がすでに失われている。」と判断された場合、賃借人は賃貸物件の明け渡しを命じられます。
信頼関係破綻が認められるのは、次のようなケースです。
- 3か月以上の家賃滞納が継続し、賃借人が「家賃なんて支払えない」等と明確に支払いを拒否している
- 3か月以上の家賃滞納が継続し、賃借人が督促や催告を通知しても、賃借人が全く反応しない
- 賃借人の滞納期間は3か月に満たないが、無断で賃貸物件を増築・改築したり、騒音・悪臭を発生させたりして、賃借人や周辺住民に迷惑をかけている 等
ただし、3か月以上滞納はしているが、近々まとまった収入が入り、滞納家賃全額を支払える特段の事情があれば、信頼関係はまだ破綻していないと判断される場合もあります。
家賃滞納で追い出しが違法となるケース
賃借人が家賃滞納をしているからといって、裁判手続きも行わず、賃借人が実力を行使し、強制的に追い出す方法は認められません。
次のような方法をとると、逆に賃借人がペナルティを受ける可能性があります。
- 賃借人へ1日に何回も電話やメール、直接自宅に訪問する等して、家賃の支払いや退去を要求する行為
- 賃借人の連帯保証人以外の家族に、「あなたは賃借人の家族なんだから家賃を支払え!」と要求する行為
- 賃借人宅のドアや外壁に「家賃を払え。」と書かれたビラを貼り付ける。
- 賃借人宅のドアの鍵を交換し、賃借人の出入りを封じる行為
- 賃借人宅に押し入り、家財道具を没収し撤去する行為 等
賃借人の強引な行動で賃借人が精神的苦痛を受けた場合、不法行為責任を理由に、賃借人から損害賠償を請求されるおそれがあります。
また、賃借人に暴言や脅迫を行えば脅迫罪、つかみ合いになり賃借人を殴って負傷させた場合は傷害罪に問われ、刑事告訴されるケースもあるので注意しましょう。
家賃滞納で追い出しするときのステップ
賃借人の家賃滞納を理由に追い出すまでは、賃借人は焦らず冷静に対応し、然るべき手続きを進めておく必要があります。
最終的には裁判所へ訴えて明け渡し請求訴訟や、強制執行による解決を図ります。ただし、賃借人との交渉による問題解決も、諦めずに継続していきましょう。
通知
賃借人に家賃を滞納していると気付かせるため、メールや電話、SNSで連絡をとりましょう。
賃借人がうっかり忘れているだけなら、賃借人の指定した口座に家賃を支払うかもしれません。
メールや電話、SNSで家賃滞納を通知する段階では、「賃貸借契約を解除する」「法的措置をとる」といった発言や文言は避けましょう。
通知する内容としては、「家賃の振込の確認(または口座の引落)ができなかったので、ご対応をお願いします。」という簡単な指示にとどめた方がよいです。
督促状の送付
メールや電話、SNSで家賃の支払いを要求しても賃借人が対応しない場合、「督促状」を送付します。
督促状は賃借人の対応をみながら、2回程度送付した方がよいでしょう。
- 1回目の督促状:滞納分の家賃の支払いを要求、賃借人と連絡をとりたい旨も明記する
- 2回目の督促状:滞納分の家賃の支払いを要求、指定期日に支払わなければ、連帯保証人または家賃保証会社に滞納を連絡すると報告
連帯保証人や家賃保証会社へ滞納について連絡すると伝えれば、賃借人は信頼関係の悪化をおそれ、滞納分の家賃を支払う可能性があります。
催促状の送付
督促状を何度か送っても、賃借人が依然として家賃を滞納しているならば、今度は催促状(催告書)を「内容証明郵便」で送付します。
2回目以降の督促状の送付から、おおよそ1か月以上家賃滞納が続いたタイミングで、内容証明郵便を送付した方がよいでしょう。
催促状(催告書)には、指定期日までに滞納家賃を支払う旨、支払わなければ賃貸借契約を解除し、法的措置をとると明記します。
内容証明郵便に法的な強制力はないものの、賃借人に心理的なプレッシャーを与え、滞納家賃の催促を証明する効果があります。
送付後、賃借人が賃借人から契約解除される事態や法的措置をおそれ、滞納分の家賃を支払う可能性もあるでしょう。
なお、連帯保証人に内容証明郵便を郵送しても構いません。なぜなら連帯保証人には賃借人(主債務者)の債務を保証する義務があるからです。
連帯保証人が滞納分の家賃を支払ったなら、契約解除も法的措置も不要です。
契約解除
内容証明郵便で催促状(催告書)を送っても、賃借人が滞納分の家賃を支払わないなら、賃借人は賃貸借契約を解除します。
賃借人はいよいよ、賃借人を追い出す法的措置が可能となります。
なお、最初から賃借人が内容証明郵便を送付しても、支払いに応じないという事態を想定し、前もって訴訟に必要な書類を準備しておくとよいでしょう。
賃貸借契約解除後、迅速に賃貸物件の明け渡し請求訴訟の手続きが進められます。
法的措置
賃貸物件の所在地を管轄する裁判所に、明け渡し請求訴訟を提起します。
地方裁判所への訴訟提起が一般的であるものの、賃貸物件の財産上価額が140万円以下ならば簡易裁判所でも提起は可能です。
訴訟を提起するとき、賃借人は訴状の他、賃貸借契約書や固定資産税評価証明書、内容証明郵便控え、内容証明郵便の配達証明書等を添付し裁判所へ提出しましょう。
賃借人であるあなたは原告、賃借人は被告となり、裁判官による審理が開始されます。原告が勝訴すれば、被告に賃貸物件の明け渡しを命じる判決が言い渡されます。
追い出し
賃借人が明け渡し請求訴訟の判決日翌日から2週間以内に控訴せず、依然として賃貸物件に居座り続けているならば、強制執行の申し立てが可能です。
申し立てのときは申立書の他、債務名義(裁判所の和解調書または判決書)、送達証明書、執行文を添付し、裁判所へ提出する必要があります。
強制執行の申し立てが認められたら、裁判所は賃借人に催告書を送付し、それでも立ち退きを拒否する場合、執行官による強制執行が開始されます。
家賃滞納で追い出しをスムーズに進める方法
賃借人だけで家賃滞納者の追い出しを目指しても、スムーズに手続きは進まない可能性があります。
法律のプロである弁護士のアドバイスやサポートを受けながら、対応を協議した方がよいでしょう。
通知内容の記録
賃借人に通知したメールや手紙等は全て記録しておきましょう。賃借人との電話のやりとりも録音対象です。
送付した内容証明郵便の控えや配達証明書は、証拠として裁判所に提出しますが、それ以外の通知内容の記録も重要な証拠となる可能性が高いです。
これまでの賃借人とのやりとりを記録していれば、裁判所は「賃借人がこれだけ説得しても、賃借人は支払いに応じなかった。」と判断し、原告(賃借人)側の主張を認める可能性があります。
専門家への相談
家賃滞納問題の解決を円滑に進めていきたいなら、賃貸借トラブルに詳しい弁護士へ相談してみましょう。
弁護士は賃借人の事情を聴いたうえで、次のようなアドバイスを行います。
- 賃借人との交渉を穏便に進めるコツ
- 強制退去までの流れ
- 現在の家賃滞納の状態で、勝訴判決が得られるのか
- 実力を行使して追い出した場合のリスク
- 弁護士に代理人を依頼する有効性
弁護士を賃借人との交渉役にすれば、理性的に滞納家賃の支払いや自主的な退去の交渉が可能です。
賃借人は賃借人が弁護士をたてた事実に驚き、法的措置を進められてしまうと考え、家賃の支払いに応じる可能性もあります。
家賃滞納による追い出しなら春田法律事務所へ相談を
今回は家賃滞納問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、支障なく賃借人を退去させるポイント等について詳しく解説しました。
賃借人が家賃を滞納している状況に苛立ち、賃借人だけの力で強制的に退去させる方法は、「自力救済」に該当し認められません。法的な手続きを経たうえで、強制退去の実現が可能となります。
春田法律事務所は立ち退き交渉に実績豊富な事務所です。賃借人の家賃滞納に悩んだら、気軽に弁護士と相談し、有益なアドバイスを受けてみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。