離婚調停期間はどれぐらい?長引く要因と注意点・成功ポイントを徹底解説
2024年12月27日
- パートナーと離婚の話し合いがうまくいかなかった。離婚調停を検討している。
- 離婚調停は裁判所が関与して進めていくが、和解までにどのくらいの期間がかかるのだろう?
- 離婚調停を行う場合、弁護士を代理人にした方が短期間で和解できるのだろうか?
夫婦間での協議離婚がうまくいかない場合、家庭裁判所の調停により和解を図れます。しかし、ケースによっては和解まで長期間を要する可能性もあるでしょう。
なるべく短期間で和解まで漕ぎつけたいのであれば、互いに離婚条件の妥協や譲歩をし、歩み寄る姿勢が求められます。また、冷静に裁判官や調停委員と話し合い、説得力のある主張を行うことも必要です。
そこで今回は、離婚調停に携わってきた専門弁護士が、調停成立までの平均的な期間・離婚調停が長引く要因等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚調停の申立てから調停成立までの平均的な期間は約3~6か月
- 調停時に財産分与や慰謝料、子の親権に関する対立で、調停期間が長引く可能性もある
- 離婚調停で解決する場合も、専門弁護士と相談し対応方法について検討しよう
離婚調停期間はどれくらい?
離婚調停は、家庭裁判所への申立てにより始まります。提出しなければならない書類は多く、準備に時間がかかる場合もあるでしょう。
申立てが受理された後は、調停期日に出席し、夫婦それぞれが言い分を述べて調整を図ります。離婚条件について互いの歩み寄りがなければ、調停は長期化するかもしれません。
申立てから初回調停までの期間
離婚調停の申立てが受理された後、初回調停期日が開かれるまでの期間は、一般的に1か月程度です。ただし、裁判所が忙しい状況の場合は、調停期日がさらに遅れる可能性もあります。
申立て後、約2週間で、裁判所から初回調停期日を知らせる通知書が自宅に届くでしょう。調停の相手方には、調停の呼び出し状の他、申立人が提出した調停申立書も送付されます。
初回調停期日には、夫婦双方の出席が基本です。ただし初回期日は、家庭裁判所と申立人だけで決定するので、相手が出頭できない場合もあるでしょう。
調停の開催回数
初回調停期日で和解が成立するケースは非常に少なく、2回目の調停期日を必要とする場合がほとんどです。
調停期日は一般的に1か月くらい期間をおいて開催されます。調停期日は2〜3回となるケースが多いです。
ただし、夫婦間の離婚条件をめぐる対立が埋まらない場合は、調停期日は4回・5回と続き、長期化する可能性もあります。
調停成立までの平均的な期間
調停申立て後、調停期日に話し合いを行い、和解が成立までの平均的な期間は約3〜6か月といわれています。
ただし、必ず調停が和解にまで至るとは限りません。
調停をしても和解が難しい場合、今度は離婚訴訟で解決を図っていきます。
離婚調停期間が長引く要因
調停期間が長引く原因として、離婚給付(慰謝料や財産分与等)の金額について夫婦間で大きな開きがあることや、子に関する条件で激しい対立となることがあります。
また、仕事が忙しい等の理由で日程が合わないという要因もあるでしょう。
慰謝料で争う
慰謝料は、夫婦の一方が原因で離婚に至った場合、原因をつくった側が支払う賠償金です。
離婚するときの慰謝料は200〜300万円が相場とされています。支払う側からすれば、財産分与や養育費の支払いだけで手一杯で、慰謝料を支払う余裕はないと主張したくなるでしょう。
慰謝料を請求する側に、離婚の原因(不倫やDV等)をつくった証拠が揃っていなければ、請求された側から支払いを拒否される可能性もあります。
慰謝料の要否や金額等で揉めないよう、慰謝料を請求する側は証拠をきちんと揃えておくことが大事です。
たとえば、DVが原因で離婚する場合、確実な証拠となるものは次の通りです。
- パートナーがDVを行った動画や音声の記録
- DVで負った傷の写真
- 医師の診断書
- DVの治療で医療機関を受診したときの領収書 等
証拠があれば、離婚訴訟に進んだとき、裁判所が重い慰謝料を言い渡す可能性が高いでしょう。
したがって、訴訟で不利となる事態をおそれ、調停の場で慰謝料の支払いに応じる可能性があります。
子どもに関する条件で争う
子どもの親権をどちらにするか・子の養育費の支払い・面会交流の件で、お互いが譲らない場合もあります。
子の養育費については、裁判所が公表している養育費算定表をもとに、金額や支払期間を話し合いましょう。
面会交流で揉めた場合は、非親権者が子と触れ合える日や時間を多く持てるように、子の意見もとりいれながら、親権者が譲歩した方がよいです。
子の親権をどちらにするかは、離婚時に必ず決定しなければなりません。現時点では単独親権しか認められておらず、親権者となるのは父母のどちらかです。
どちらが親権者となるかは基本夫婦で決定することですが、子どもの意見も尊重しましょう。
2026年までに施行される予定の改正民法では、「共同親権」を選択できます。共同親権を選択した場合、離婚後も子に関する事柄は父母で共同して決めることになります。
改正民法が施行され共同親権が認められれば、調停のときに親権で揉めるリスクは軽減されるでしょう。
財産分与で揉める
財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築き上げた「共有財産」を分ける取り決めです。
夫婦で共有財産の50%ずつ分けるのが一般的です。ただし、夫婦の収入の差があまりに大きいと、等分にするのは納得いかないというケースもあるでしょう。
また、財産分与を決めるとき、婚姻前から配偶者が有した財産等は「特有財産」として分与対象外です。次のような財産が該当します。
- 婚姻前から所有する預貯金や有価証券、不動産や動産、自動車
- 相続財産
- 受取人が特定されている贈与物 等
ただし、婚姻期間が長くなるうちに、共有財産なのか特有財産なのか、判断のつかない財産が出てくるケースもあるでしょう。
たとえば、婚姻前から預金していた銀行口座があるものの、婚姻後に当該口座から夫婦が自由に引き出しできる状態となっていると、共有財産とみなされる可能性が高いです。
日ごろから、夫婦の共有財産かそれとも特有財産かを分けておいた方が、離婚調停で揉めるリスクを回避できます。
相手側が離婚に応じない
夫婦の双方が和解に合意しない限り、調停は成立しません。夫婦の一方が離婚に同意しなければ、いくら調停期日に話し合いをしても、解決には至りません。
離婚に応じない場合は、裁判所が離婚するかしないかを判決で言い渡す「離婚訴訟」を提起しましょう。
ただし、離婚訴訟を提起できるのは、法定されている次のケースに該当する場合だけです(民法770条)。
- 配偶者に不貞な行為があった
- 配偶者から悪意で遺棄された
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由がある
裁判所から離婚を認める判決が言い渡された場合、夫婦の一方が離婚に反対しても、判決に従う必要があります。
ただし、判決にどうしても不服があるときは、判決文を受け取った翌日から14日以内に控訴が可能です。
出席者の日程が合わない
夫婦の一方が日程の問題で調停に出席しない場合、調停終了までの期間が本来より伸びる可能性があります。
夫婦の一方が家庭裁判所に連絡したうえで欠席し、次回の期日には出席する旨を伝えている場合、調停は次回以降に持ち越しとなります。
ただし、2〜3回続けて無断欠席すると、ほとんどの場合調停不成立となるため注意しましょう。
離婚調停期間に関する注意点
離婚調停が成立しても、調停後の対応を忘れずに行う必要があります。
また、離婚調停を行っても必ず調停成立となるわけではありません。調停不成立となった場合の対応も検討しておきましょう。
調停成立後の離婚届提出期限
調停成立日から10日以内に、市区町村役場へ離婚届と調停調書の謄本を提出しなければなりません。
調停調書の謄本を取得するため、家庭裁判所に交付申請書を提出しましょう。申請には申請書の他、手数料(1ページ150円分の収入印紙)と本人確認書類が必要です。
調停調書の交付までに2〜3日かかるので、調停成立後すぐに申請した方がよいです。
インターネットで謄本の交付申請書を取得後、必要事項を記載して家庭裁判所に送付する方法もあります。ただし、こちらの場合は交付までに約1週間かかるので注意しましょう。
調停不成立時の対策
調停不成立の場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、解決を図ります。
ただし、訴訟を提起するには、訴状や証拠書類の写し・財産に関する証明書等、様々な書類を収集しなければなりません。
準備に手間取り、裁判所への訴訟提起が行えない可能性もあるでしょう。その場合は、弁護士を代理人に立て、裁判手続きを任せた方がスムーズに進められます。
離婚調停を短い期間にするための成功ポイント
離婚調停を短い期間で成立させるため、夫婦で対立している離婚条件があれば、互いに歩み寄る姿勢が求められます。
夫婦ともに調停へ積極的に出席し、それぞれの主張を述べ、証拠を提示する必要があります。
調停委員の印象をよくする
調停委員に与える印象が大切です。調停委員とは家庭裁判所で調整役を担っている人です。
好印象を与えられれば、主張したい和解案を調停委員が相手に伝え、説得を行う場合もあります。調停委員を味方に付ければ、話し合いが有利に進み、短期間で調停が成立する可能性もあります。
そのため、証拠や資料で裏付けられた、説得力のある主張を行う準備が必要です。
陳述書に客観的事実を記載する
離婚調停を申し立てる場合、申立書に加え、申立人の主張をまとめた「陳述書」も提出しましょう。
陳述書には、主に離婚を決意した理由・経緯・相手の問題行動等を、わかりやすく客観的に記載します。
調停委員が陳述書を確認した際、主張が伝わりやすくなり好印象をもたれるでしょう。
感情的にならない
調停を行うときは感情的にならず、冷静に話し合いを進める姿勢が求められます。
まず申込書や陳述書に、相手に対する文句を記載してはいけません。調停期日に出席し、裁判官や調停委員に言い分を伝える場合も同様です。
夫婦の一方に対し、「あいつがすべて悪い」「二度と会いたくない」と感情的な主張を行うと、裁判官や調停委員の心証は非常に悪くなります。
冷静に説得力のある主張を行えば、調停手続きもスムーズに進むことでしょう。
日程調整を円滑に進める
夫婦双方が、家庭裁判所の都合に合わせて日程の調整を図りましょう。
家庭裁判所では複数の調停を抱えている可能性があります。なるべく家庭裁判所が指定した調停期日で話し合いを進めましょう。
家庭裁判所の都合に合わせれば、調停期日の調整で難航するような事態を避けられます。
弁護士へ相談する
離婚調停を申し立てる前に、法律の専門家である弁護士に相談しておきましょう。
弁護士は夫婦間での協議の進展や、相談者の悩みをヒアリングし、次のようなアドバイスを行います。
- 離婚調停に必要な証拠の収集方法
- 離婚調停で説得力のある主張を行うポイント
- 有利に交渉を進めるコツ
- 陳述書作成の有効性
- 調停不成立の場合の対応方法
弁護士と相談するうちに「この弁護士なら代理人を任せられる」と感じたときは、そのまま委任契約を締結してもよいでしょう。
弁護士が代理人となれば、調停期日に依頼者と同席し、依頼者の立場に立った主張や証拠の提示を行います。調停を有利に進められる可能性も高くなるでしょう。
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※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。