自首したら取り調べは長時間続く?よくある質問と必要な準備・対策を解説
2025年02月23日
- 罪を犯してしまい後悔している。警察に自首したいが不安だ。
- 自首したら取り調べが長時間続くのだろうか?深夜まで尋問が続くのは嫌だ。
- 自首した後に取り調べを受けるとき、注意点があれば知りたい。
自分の犯した罪を後悔し、自首する犯人もいます。自首したとしても、「自首=逮捕・勾留」となるわけではありません。
一方で、自首すれば不起訴処分や減刑につながる可能性があります。ただし、いきなり警察署に自首するよりも、まずは弁護士と相談した方がよいでしょう。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、自首後の取り調べ時間やよくある質問、自首後の取り調べを受けるときのポイント等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 自首した後の取り調べは、およそ1~2時間となる場合が多い
- 自首した後の取り調べでは、自首を決意したきっかけや犯行の内容等が聞かれる
- 自首を決意したときはまず弁護士と相談し、アドバイスを受けた方がよい
自首後の取り調べ時間はどれくらい?
警察に自首をした後、すぐ長時間に及ぶ本格的な取り調べが行われるわけではありません。
自首後の本格的な取り調べは、ある程度期間をおいて実施される可能性が高いです。
呼び出しまでの期間
警察に自首をした後、すぐに取り調べが行われる場合もあります。ただし、簡単な取り調べで終わる場合がほとんどです。
自首は犯罪事実や犯人が発覚していない段階で申告する方法のため、警察側はまだ捜査がほとんど進んでいない状況といえます。
そのまま逮捕されるのか、それとも在宅捜査となるか、わからない状態でしょう。
在宅捜査になった場合、本格的な取り調べはやや時間をおき、1か月以内に行われる場合がほとんどです。
ただし、ケースによっては、警察署に呼び出しを受ける時期が1〜3か月くらい先になることもあるでしょう。
警察からの呼び出しをいつ受けてもよいように、弁護士と今後の対応を話し合っておきましょう。
取り調べ時間
自首後すぐの取り調べは、警察側が多くの情報や証拠を掴んでいないことが多く、1〜2時間程度で終わる可能性があります。
一方、1か月くらい後に呼び出される場合は、本格的な取り調べとなるでしょう。本格的な取り調べは、長時間に及ぶ事情聴取が想定されます。
ただし、取り調べは特別な許可がない限り、1日8時間以内で基本的に午前5時〜午後10時までという制限が設けられています。
何日も徹夜で取り調べを受けるわけではありません。
自首後の取り調べでよくある質問
警察が自首を受理すると、取調官による任意の取り調べが始まるでしょう。
ただし、自首後すぐの取り調べの場合、取調官は踏み込んだ事情聴取をしない可能性があります。
自首した理由
取調官は、まず自首した理由を聴くでしょう。たとえば、次のような理由を述べることになるでしょう。
- 犯行は誰にも気づかれなかったようだが、激しく後悔して自首した。
- 防犯カメラに映っている可能性があり、逃げ切れないと思って自首した。
- いつ警察に逮捕されるか不安で、思い切って自首した。
ただし、「自首すれば減刑されるから自首した」などと発言すれば、取調官の心証は悪くなるので避けた方がよいです。
犯行の手口・動機・経緯
取調官は「なぜ、犯行に及んだのか」と犯行の動機などを聴くでしょう。
たとえば、他人の住宅に窃盗目的で侵入した場合、次のような内容を説明します。
- 犯行の手口:裕福そうな一軒家を見つけ、家族が不在のようだったのでピッキングでドアを開錠した
- 動機:リストラされ無職となり、生活に困窮していた
- 経緯:宝石や貴金属類を盗み当初は興奮したが、次第に冷静になったら、良心の呵責にさいなまれ自首した
取調官の質問には、簡潔かつ冷静に答えましょう。
本人の身上
事件に関する取り調べの他、事件とあまり関係がなさそうな話題も質問される可能性があります。
たとえば、自首した本人の生い立ちや職歴、家族関係、趣味等の質問もあるかもしれません。
取調官は、緊張状態をリラックスさせる目的で質問している場合もあれば、事件との接点を探るために質問していることもあり得ます。
自首の前に必要な弁護士への相談・同行依頼
自首するのは初めての人は、「自分1人で自首をするのは心細い」と感じる場合もあるでしょう。
そのような場合、あらかじめ弁護士に相談しアドバイスやサポートを受けるとよいです。
弁護士への相談
自首の前に相談する弁護士は刑事事件の実績が豊富で、連絡も取りやす法律事務所から選びましょう。
相談先を決める方法として、まず法律事務所のホームページやサイトを確認します。
- ホームページに刑事事件の相談実績が明記されている
- 刑事事件に関しての話題、相談事例が豊富に掲載されている
- 弁護士への相談は24時間365日受付可能である
- 法律事務所への連絡方法として、電話やメールをはじめLINE等数多く用意されている
上記の内容がホームページ内で確認できれば、相談予約を行い弁護士と相談するとよいでしょう。
弁護士から自首のための段取りや注意点を聞いてから、自首する日を決めましょう。
弁護士の同行
弁護士に依頼すれば、弁護士の自首同行も可能です。
十分な打ち合わせをし、自首の準備を整えたうえで、弁護士の方から警察に連絡します。
連絡時に自首する日時を調整したうえで、時間通りに依頼者と弁護士が警察署へ向かいましょう。自首するときは、弁護士が依頼者に代わり自首の経緯等を説明します。
取調官から取り調べを受けるときにどう返答すべきかもアドバイスするので、依頼者自身が答えるときも、慌てずに対応できるでしょう。
自首後の取り調べへの準備と対策
自首後の取り調べにスムーズに対応できるよう、弁護士の指示のもとで書類や証拠を準備し、再発防止策も検討しておきましょう。
自首した場合、逮捕される可能性もあるので、現金・着替え等の最低限必要なものも揃えてから警察署に出向きましょう。
上申書の作成
「上申書」とは、警察等に対し意見を申し立てるとき使用する文書です。
自首する場合、上申書に反省の意思はもちろん、事件の日時や場所、内容、被害者の特徴等を明記して提出しましょう。
上申書の提出により、真摯に反省し罪を償う姿勢や、逃走・証拠隠滅は行わない旨をアピールできます。
証拠の準備
自首する本人の犯行の証拠を準備しましょう。
犯行の種類によって持参する証拠は様々ですが、次のようなものを準備します。
- 防犯カメラに写っている場合、犯行時と同じ服や靴・所持品(カバン等)を身に付け自首
- 証拠物を持参する:傷害行為は凶器、盗撮は被害者の全裸や下着等の画像・動画
- 証拠物を持参すれば、家宅捜索を回避できる可能性があります。
- 再発防止策の検討
自首する前に再発防止策を検討しておきましょう。
特に違法薬物使用の場合、薬物依存から脱却しなければ再犯のおそれがあります。
そこで、家族の協力のもとその監督に従う、薬物依存の治療専門の病院・クリニックで治療する、回復支援施設での指導・カウンセリングを受ける等の対策を取調官に提示しましょう。
社会復帰を目指す決意を示せれば、警察側は「更生の余地があ。」と判断し、在宅捜査にとどめる可能性もあるでしょう。
自首後の取り調べ対応を弁護士に相談するメリット
事前に自首した場合の対応を弁護士へ相談すれば、法的なアドバイスや様々なサポートを受けられます。
弁護士の尽力で不起訴処分や減刑を得られる場合もあるでしょう。
法的なアドバイス
弁護士は自首に関して、主に次のようなアドバイスを行います。
- 自首しようとしている内容・行為は本当に犯罪にあたるか
- 自首の流れや、取り調べ時間の目安等
- 上申書の作成ポイント
- 持参するもの
- 取り調べを受けるときの注意点
- 自首後に逮捕された場合の対応
相談した弁護士と委任契約を締結すれば、自首同行はもちろん、上申書の作成等も委任が可能です。
精神的なサポート
弁護士は法的なアドバイスのみならず、自首した本人の精神的な支えになります。
たとえ自首したとしても、本人が逮捕・勾留されることもあるでしょう。
検察官が勾留請求を行い、裁判所がそれを認めた場合、留置施設に最長20日間拘束されます。
家族や知人が面会へ行こうにも、留置施設の面会は1日1組が原則です。本人は家族や知人に会えず心細い思いをするかもしれません。
しかし、弁護士はいつでも自由に面会できます。「自分には頼もしい弁護士がついている」と、精神的なストレスを軽減できるでしょう。
自首や取り調べの同行
弁護士は自首に同行し、取り調べ時も相談が可能です。
弁護士は本人が自首する当日の持ち物、服装を指示する他、自首する日時の調整も行います。自首の手続きはスムーズに進むでしょう。
また、自首後の取り調べの間も弁護士は署内に待機しているので、取調官の質問の返答に迷う場合があれば相談も可能です。
自首すべきかの判断
弁護士は犯罪の内容を考慮し、自首した方がよいか否かを判断します。
たとえば、親告罪は、被害者が警察署に被害届や告訴状を提出した後、警察の捜査が開始される罪です。
親告罪にあたる場合、自首するよりは被害者に示談を申し出て、謝罪と示談金を支払ったうえで、告訴しないという約束を取り付ければ事件にはなりません。
弁護士は本人の犯した罪が親告罪にあたると判断すれば、自首よりも示談で問題の解決を目指すように進言するでしょう。
示談交渉
弁護士は自首のアドバイスや同行だけでなく、被害者と示談交渉を迅速に開始します。
法律の知識に精通し交渉経験も豊かな弁護士に示談交渉を任せれば、円滑に話し合いが進むでしょう。
示談の主な内容は次の通りです。
- 加害者は被害者に謝罪し、二度と罪を犯さないと誓う
- 示談金額や支払方法、支払期日の決定
- 被害者は告訴をしない
- 非親告罪の場合は、被害者が検察官に寛大な処置を希望する:「嘆願書」の提出
- 加害者・被害者は今回の事件を蒸し返さない 等
示談内容に双方が合意すれば、互いが示談書に署名押印し示談成立です。
示談書を作成するのは、双方が条件内容を忘れない目的の他、捜査機関や裁判所に、示談が成立した証拠として提出する目的があります。
ただし、犯した罪が非親告罪の場合は、被害者と示談を行っても、検察官が必ず不起訴にするとは限りません。
それでも、加害者が自首し初犯である、示談も成立している、重大な犯罪ではない、と判断し不起訴処分を行う場合はあるでしょう。
たとえ起訴されても、刑事裁判で裁判官は被害者との示談が成立している点に注目し、減刑や執行猶予付き判決を言い渡す可能性もあります。
自首後の取り調べが不安なときは春田法律事務所にご相談を
今回は数多くの刑事事件を担当してきた専門弁護士が、自首後の取り調べの内容や時間等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は刑事事件の交渉や裁判に実績豊富な法律事務所です。自首するか否かを悩むときは、まずは弁護士とよく相談しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。