痴漢で捕まる?後日逮捕の可能性・NG行動・対策を弁護士が解説

2025年02月23日

痴漢で捕まる?後日逮捕の可能性・NG行動・対策を弁護士が解説

  • 自分の欲望に負け痴漢をしたが、逮捕されていない。今後逮捕されるおそれはあるのだろうか?
  • 痴漢で逮捕された場合、自分はどうなってしまうのだろう?不安だ。
  • 痴漢などしていないのに逮捕された。今後の対応の仕方を教えてほしい。

電車やバスの車内で痴漢をすれば、その場で周囲の人や警察官に取り押さえられることもあるでしょう(現行犯逮捕)。

現行犯逮捕を免れても、目撃者の証言や監視カメラの映像が決め手となり、後日逮捕されるケースもあります。

たとえ痴漢で逮捕されたとしても、冷静に対応する必要があります。

そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、痴漢で捕まるケース、痴漢で捕まった後の流れ等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 痴漢行為が発覚しても逃走や、車内で暴れるような行動をとってはいけない
  • 痴漢で捕まった後は送致→勾留→起訴・不起訴という手順で刑事手続が進む
  • 痴漢で逮捕されたら速やかに弁護士と相談し、対応の仕方を協議しよう

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

痴漢で捕まるケース

「痴漢する相手にさえ注意すれば、逮捕されずに自分の欲望を満たせる」という考え方は、甘い考えです。

周囲の人や監視カメラによって犯行が確認できるため、痴漢行為中だけでなく、後日逮捕される可能性もあります。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、痴漢行為中や痴漢の直後に犯人を逮捕することです。

現行犯逮捕は、警察官だけでなく痴漢行為をされた被害者、周囲の第三者でも可能です(私人逮捕)。私人逮捕後は、速やかに警察官へ犯人の身柄を引き渡す必要があります。

現行犯は犯人を間違える可能性が低いうえ、犯罪の嫌疑が明白なため、例外的に逮捕状なしでの逮捕が認められています。

逮捕後は警察署へ連行され取調べを受けます。取調べ後に、家族等が身元引受人として呼ばれ、自宅に帰されるというケースがほとんどです。

帰宅を許されても捜査は継続するため(在宅事件)、警察・検察からの呼び出しには応じなければなりません。

後日逮捕

後日逮捕とは、警察官が裁判官が発付した逮捕状を持参し、犯人を逮捕することです。

後日逮捕は次のような流れとなります。

1.警察官が犯人を特定する
2.逮捕の必要性があると判断した場合、裁判官に逮捕状の発付を請求
3.裁判官が審理し、逮捕の必要性を認めた場合、逮捕状を発付
4.逮捕状を持った警察官が犯人の身柄を拘束

後日逮捕には次の2種類があります。

  • 通常逮捕:逮捕状を持った警察官が、加害者の身柄を拘束する一般的な逮捕。
  • 緊急逮捕:指名手配犯を見つけたとき等逮捕状をとる時間的な余裕がない場合に逮捕後に逮捕状をとる方法。悪質性が高いケース(不同意わいせつ罪など)で緊急逮捕の可能性がある

痴漢の後日逮捕で捕まるケース

痴漢行為で現行犯逮捕されなくても、いろいろなきっかけで後日逮捕される可能性があります。

特に被害者・目撃者の証言や防犯カメラの映像等は、犯人逮捕の決め手となるでしょう。

被害届提出

被害者が痴漢行為の被害届を提出し、後日に逮捕されるケースです。

痴漢行為中や痴漢の直後は、被害者が犯人の報復をおそれ、何らの対応もとらない可能性があります。

ただし、しばらく経ってから冷静になり、被害届を提出する場合もあるでしょう。

被害者の証言の他、痴漢されている映像等をスマートフォンなどで撮影していれば、動かし難い証拠になります。

目撃者の証言や目撃者による痴漢行為の撮影も、有力な証拠になるでしょう。

防犯カメラの映像から特定

電車内の防犯カメラの映像によって痴漢行為や犯人が特定され、後日逮捕されるケースです。

犯人の顔や特徴から痴漢の常習犯であるとわかれば、すぐに逮捕状が請求されるでしょう。

常習犯でなくても、防犯カメラの映像に残された手がかりから、地道な捜査で犯人に行き着く可能性もあります。

乗車記録

SuicaやPASMOのようなICカードの乗車記録が、犯人の特定に役立つ場合もあります。

たとえば、痴漢行為の同日・同時刻に、駅や電車を利用していた事実がわかるかもしれません。

ただし、乗車記録だけでは痴漢行為の有力な証拠にはならないでしょう。「たまたま被害者と電車に乗り合わせただけだ」などと反論される可能性があるからです。

捜査機関は、被害者・目撃者の証言や痴漢行為の撮影動画、防犯カメラの映像などと合わせて、犯人逮捕につなげていくでしょう。

痴漢で捕まる場合のNG行動

痴漢行為で被害者や目撃者に逮捕されそうなときに、激高して暴れたり、逃走したりする行為はNGです。

取り押さえようとする被害者や周囲の人を殴ってしまうと、痴漢だけではなく暴行罪に問われる等、罪がどんどん重くなります。

一方、痴漢行為をしていない場合は、軽々しく謝罪や自白をしてはいけません。

逃走

痴漢で捕まるのが嫌だからといって、逃走はNGです。

犯行現場から逃走することで、本人が痴漢を認めたと判断されてしまい、不利な立場となるおそれがあります。

責任から逃れようとして逃走する行為は、捜査機関や裁判所の心証を悪くし、起訴されたり、重く処罰されたりするおそれが強まるかもしれません。

痴漢を行っていない場合に逃走してしまうと、捜査機関に痴漢の疑いを一層強く持たれかねません。

やっていないのに謝罪

被害者や周囲の勘違いにもかかわらず痴漢と見なされ、周囲の威圧的な言動に耐え切れなくなったとしても、謝罪するような対応は絶対に避けましょう。

被害者の前で自白したと扱われ、不利な立場になってしまうかもしれません。

やっていなければ「痴漢はしていない」と、被害者や周囲にはっきりと主張しましょう。同時に、すぐ弁護士と連絡をとり、今後の対応の仕方を相談した方がよいです。

供述調書へのサイン

警察署で取り調べを受けたときに安易に供述調書へ署名押印をしてはいけません。

供述調書とは、警察等が犯人を取り調べたとき作成する書類です。

供述調書を作成したときは、本人に閲覧または読み聞かせ、調書に誤りがないかどうかを確認する必要があります。

調書に事実と異なる内容が記載されている場合があるかもしれません。内容をよく確認してから署名押印しなければ、以後の刑事手続で自分が不利になるおそれもあります。

痴漢で捕まった後の流れ

痴漢行為で現行犯逮捕または後日逮捕された場合、警察署で取り調べを受けた後、検察官への送致や勾留という流れとなります。

ただし、捜査機関が逃走や証拠隠滅のおそれはないと判断した場合、犯人(被疑者)を早期に釈放する可能性もあるでしょう。

逮捕

痴漢で逮捕された後、被疑者は警察署に連行され取り調べを受けます。

取調官は被疑者に対して、次のような事情聴取を行うでしょう。

  • 痴漢に至った動機・経緯や具体的な行為の内容
  • 被疑者の職業や家族構成・生い立ち等
  • 事情聴取を終えると供述調書が作成されます。その後の刑事手続は次のいずれかになるでしょう。
  • 家族等が身元引受人として呼ばれ、帰宅を許される→検察官へ書類送致
  • 警察の留置施設に拘束される→逮捕から48時間以内に検察官へ身柄送致

勾留

送致を受けた検察官は24時間以内に、被疑者の勾留請求の要否を判断しなければなりません。

想定される手続きは次のいずれかです。

  • 被疑者が痴漢を認めていて身元も明確、逃走や証拠隠滅のおそれもないと判断→釈放、在宅事件に移行
  • 被疑者を警察の留置施設に引き続き拘束した方がよいと判断→裁判所に勾留請求

裁判所が勾留請求を認めた場合、被疑者は最長20日間にわたり、留置施設で身柄を拘束されます。

留置中、警察・検察の取り調べは継続的に行われ、証拠の収集も進められていきます。

起訴・不起訴

被疑者・被害者への取り調べや証拠の収集が終われば、検察官は起訴するか不起訴にするかを決めなければなりません。

  • 被疑者を起訴(公判請求)→刑事裁判に移行し、公開の法廷で痴漢事件が審理される
  • 被疑者を不起訴→被疑者は釈放され、罪に問われない

被疑者が初犯で、痴漢行為を反省し、すでに被害者と示談交渉が成立している場合は、不起訴処分となる可能性もあるでしょう。

刑事裁判

被疑者が起訴(公判請求)された場合、刑事裁判で有罪か無罪かが判断されます。被疑者は刑事裁判では「被告人」と呼ばれます。

裁判所は、検察官や被告人、弁護人の主張や提出された証拠を調査・審理し、被告人へ刑罰を科すか否かについて判断しなければなりません。

刑罰を科すだけの証拠がなければ、被告人は無罪判決を受けるでしょう。一方、有罪となった場合は、次のいずれかの判決が言い渡されます。

  • 実刑判決:刑罰を言い渡し、かつ刑を執行する判決
  • 執行猶予付き判決:刑罰は言い渡すが、刑の執行自体を猶予する判決

なお、検察側や弁護側が判決に不服の場合、上級裁判所に控訴も可能です。

痴漢で捕まるとわかった場合の対処法

痴漢事件を自分の力だけで解決するのは困難です。

早く弁護士と相談し今後の対応の仕方を決めましょう。

弁護士への相談

痴漢で現行犯逮捕または後日逮捕されたときは、すぐに弁護士に連絡し、逮捕の事実を告げましょう。

弁護士は警察署等に駆けつけ、次のようなアドバイスやサポートを行います。

  • 逮捕後の刑事手続の手順を説明
  • 取り調べを受けるときの注意点
  • 逮捕後の弁護活動の説明
  • 警察や検察に早期釈放を働きかける
  • 被害者と示談交渉を進める

逮捕後に弁護士と相談したいと思ったときは、警察官に家族と連絡を取りたい旨を申し出て、家族から弁護士へ依頼してもらうこともできます。

痴漢行為で逮捕されていない場合でも、後日逮捕が不安なときは、前もって本人が弁護士と相談し、委任契約を締結しておいた方がよいです。
そうすれば、逮捕されても、早い段階で弁護士が弁護活動を行えます。

示談交渉

被害者と示談が成立すれば、検察官が不起訴処分を行う可能性もあります。

弁護士を交渉役として、被害者に示談交渉を申し込みましょう。示談交渉では被害者との間で、次のような内容を取り決めます。

  • 被害者に誠心誠意謝罪し、加害者は二度と被害者に近づかない
  • 示談金の内容の取り決め(金額、支払方法・期限等)
  • 被害者は被害届や告訴状を取り下げる
  • 被害者は検察官に寛大な処分を求める(嘆願書の提出)
  • 示談当事者は以後、今回の問題を蒸し返さない

双方が合意すれば示談書を2通作成し、それぞれ1通ずつ大切に保管します。

痴漢で捕まるおそれがあるなら春田法律事務所にご相談を

今回は数多くの刑事事件を担当してきた専門弁護士が、痴漢行為で逮捕された場合の対処法等について詳しく解説しました。

春田法律事務所は、痴漢事件の示談交渉や裁判に実績豊富な法律事務所です。まずは今後どのように対応したらよいか、弁護士とよく相談しましょう。

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