不倫の話し合いの方法や場所などのポイントを専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月23日
不倫相手との話し合いはどうすればいい?
不倫相手の配偶者とも話し合うべき?
不倫した配偶者とやり直すにはどのように話し合いをするべき?
配偶者の不倫が発覚したときは、不倫相手や配偶者との話し合いが行われることがよくありますが、初めてのことでどのように対処すれば良いのかわからないという方も多いと思います。
今回は、不倫問題を数百件解決してきた専門弁護士が話し合いの方法や気を付けるべき点について解説します。
不倫相手との話し合いの準備や場所などのポイント
配偶者の不倫が発覚したら、最初から弁護士に依頼をして対応していくケースもあれば、まずは自分で不倫相手と会って話し合いをするケースもあります。
ここでは自分で不倫相手と話し合いをする場合のベストな方法について説明します。
話し合いの前に準備すること
不倫相手との話し合いの前に、以下のことを準備しておきましょう。
証拠の整理
丸腰で不倫相手と面談をすると不倫を否定されてしまった場合に、そこで行き詰ってしまいます。そのため、話し合いの前には不倫の証拠を整理しておき、必要があれば不倫相手に突き付けられるようにしておきましょう。
配偶者からの事情聴取
配偶者が不倫について認めているときは、不倫の始まり、いつ、どこで性交渉、デートをしたのか、既婚者と不倫相手は知っていたのかについて聴取し、手書きでもパソコンでも結構ですから書面を作成し、配偶者のサインをもらっておきましょう。
こうして作成した書面を持参し、不倫相手がそれと異なる発言をしたときには相違点を質します。
録音できる物の用意
話し合いの際の会話内容も証拠にするためにICレコーダーや携帯電話の録音アプリを用意しておきましょう。なお、会話の録音については相手の承諾を得なくても違法ではありません。
示談書の作成
その場で示談が成立する可能性もありますので、予め示談書を作成しておきましょう。
インターネット上のひな型を用いても良いのですが、自分のケースに合っていないものとなっていたり、法的な抜けがあったりしますので、弁護士にチェックしてもらいます。
話し合いの場所
最後に話し合いの場所ですが、不測のトラブルに発展する可能性を否定できませんので、自分の家や不倫相手の家などの密室は避け、人目のある喫茶店やファミレスなどを選びましょう。
話し合いを打診する
以上の準備を終えましたら、いよいよ不倫相手に話し合いを求める連絡をします。あまり圧迫しますと怖がって面会に応じないかもしれません。
「大事にはしたくない、穏便に解決したいから一度話し合いをしよう」という打診の仕方をすれば不倫相手が面会に応じる可能性は高まるでしょう。
話し合いでやるべきこと
いよいよ不倫相手との話し合いです。話し合いの際にやるべきことについて見ていきましょう。
不倫の認否
面会当日ですが、まずは不倫を認めるのか認めないのかを問い質しましょう。最初は不倫を否定する人も多いですが、証拠を突き付けると観念して不倫を認めることがほとんどです。
事実確認
不倫を認めた後は、不倫の始まり、いつ、どこで性交渉、デートをしたのか、既婚者と知っていたのかについて質問します。配偶者から聴取した内容を記載した書面があるときは、それと突き合わせて事実を確定していきます。
事実の確定作業を終えましたら、その内容を不倫相手に直筆で書面に記載させ、末尾に署名をもらいます。ここまですれば、裁判においても不倫の証明に問題はありません。
示談書の提示
次に、持参した示談書を提示します。300万円や500万円など高額な慰謝料を支払わせる場合には、その場ではサインをさせずに一旦持ち帰って検討させましょう。
その場でサインをさせますと後日、示談書の効力を否定する主張をされ、長い裁判に突入することが多くあるからです。
一方、200万円以下の示談金であれば、法的効力を争う余地は乏しいため、その場でサインをしてもらっても結構です。
連絡先や勤務先の確認
連絡がつかなくなったり、示談金の支払が滞る可能性もありますので、不倫相手の住所と連絡先は確認しておきましょう。
また、支払いを拒否した場合に給与を差し押さえることを可能とするためにも、勤務先も確認しておきましょう。
話し合いに弁護士も立ち会わせるべき?
よく話し合いに立ち会って欲しいというご相談があります。確かに、弁護士がいれば事前に用意した示談書の内容に修正を加える場合や法的助言を受けるのには便利でしょう。
しかし、一方で、弁護士がいたから示談書にサインをせざるを得ないと思ったとか、弁護士が言うことだから反論の余地はないのだと思ったとか、後日、無用な反論や争点を生むおそれがあります。
このようなデメリットを考えますと上記のメリットは大きなものではありませんし、拘束時間に応じて弁護士費用も発生しますので、話し合いに弁護士を立ち会わせるべきとはいえません。
なお、示談交渉の場に同席するサービスを提供するカウンセラーや探偵がいるようですが、違法な非弁行為や強迫による示談として示談書の効力が裁判で否定されるケースがありますのでそのようなサービスの利用はお勧めしません。
慰謝料無しの和解はお勧めしません
慰謝料を取ることが目的ではない、謝罪をして二度と配偶者に連絡しないことを約束してくれればそれでいいという寛大な方もおられます。
しかし、その場では反省をしていた不倫相手もこのように終わりますと、罪の意識が薄まるのは早いようで、不倫を再開してしまうケースがよくあります。
慰謝料は欲しくなくとも、再発防止のために金銭的な痛手を負わせることは意味があります。
不倫をした旦那や妻と話し合いでやり直すには?
ここまで不倫相手との話し合いについて説明しましたが、ここでは不倫をした配偶者とやり直すための話し合いについて説明します。
両親も交えて話し合いをすべき?
不倫をされた配偶者の両親、さらに不倫をした配偶者の両親も交えて話し合いの場をもつことはよくあります。
不倫をした配偶者は針のむしろとなりますが、改めて、自身の犯した過ちを反省、後悔する場となりますし、不倫をされた配偶者としても留飲を下げる契機となりえます。
「大人なんだから両親が関わる必要はないだろ」と反発する配偶者もいるようですが、夫婦関係をやり直すことを望むのであれば協力するよう説得しましょう。
ケジメとしての夫婦間契約を交わす
夫婦、家族の話し合いが終わった後は、夫婦間契約を交わすことをお勧めします。夫婦間契約とは夫婦で交わす契約ですが、夫婦関係をやり直すための条件や再び不倫をしたときの制裁などを定めます。
具体的には、例えば、以下のような内容を定めます。
- 夫が求めたときは携帯を直ぐに見せる
- 再び不倫したときは離婚する
- 離婚するときは親権者を父親にする
- 離婚の慰謝料は○○万円とする
- 財産分与は夫へ8割とする
夫婦間契約は法的効力が否定されることがありますので、作成する際には必ず弁護士に相談しましょう。
ダブル不倫の4者間での話し合い
ところで、ダブル不倫の場合、双方の配偶者が不倫の事実を知り、4者で話し合いの場をもつことがよくあります。
4者間での話し合いでは、まず不倫当事者から相手の配偶者に対して謝罪がなされます。その上で、二度とお互いに連絡、接触をとらないことを約束させます。口頭で終わることもあれば、きちんと誓約書を作成することもあります。この場合、慰謝料の支払いはありません。
このように穏便に終わるケースは多いのですが、自身の配偶者よりも不倫相手の方が悪いと責め立てて、こちらは払わないがそちらは慰謝料を払えと求めることがあります。当然、他方の不倫をされた配偶者としてはそのような話は受け入れられません。
この場合、当事者間では収まらず、弁護士を立てた争いに発展することがあります。
話し合いを求められた不倫相手がとるべき対応
最後に、話し合いを求められた不倫相手としてとるべき対応について説明します。
話し合いに応じるメリットは、謝罪をすることで慰謝料請求がなされないかもしれないという点です。このように解決することを期待したいお気持ちはわかりますが、そのように終わるケースは稀です。
話し合いに応じるデメリットは、証拠が不十分だった事実についても認めてしまい、相手の証拠が固められてしまうことがあります。また、強く拒否できずに高額な慰謝料を支払う示談書にサインをしてしまう恐れもあります。
したがって、メリットを得られる可能性に比してデメリットが発生する可能性の方が高いため、結論としては話し合いに応じるべきではありません。最初から代理人として弁護士を立てて対応していくべきです。
話し合いを拒否して弁護士を立てれば相手は怒るでしょうが、怒ったからといって慰謝料が増えるわけではありませんので、その点はさほど気にする必要はありません。最終的には落ち着くところに落ち着き解決します。
まとめ
以上、不倫における話し合いの対処法について解説しました。
不倫における話し合いについてお悩みの場合は、不倫問題を専門とする弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。