万引きで検察から呼び出し!微罪処分も?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月05日
・万引きで釈放されたがいつ頃呼び出しがあるの?
・検察から呼び出しがあったら逮捕されるの?刑事罰を受けるの?
・万引きをしても呼び出しなく微罪処分で終わることもあるの?
万引きをして警察官や警備員に捕まった場合も当日のうちに釈放されたり、数日内に釈放されて在宅事件となるケースはよくあります。この場合、後日の呼び出しはどうなるのでしょうか。
今回は万引き事件における検察からの呼び出しについて専門弁護士が解説します。
万引き事件の微罪処分と検察の呼び出しまで
まず、検察から呼び出しがある事件とは逮捕、勾留されておらず釈放されて在宅捜査になっている事件です。在宅事件となるまでの流れとしては、概ね以下のようなケースがあります。
- 当初から逮捕されずに在宅事件となっているケース
- 逮捕後48時間以内に釈放されて在宅事件となっているケース
- 逮捕後48時間以内に検察庁へ事件送致されたが、勾留請求はされず釈放されたケース
- 検察官が勾留請求はしたが、裁判官が勾留請求を却下し釈放されたケース
- 裁判官が勾留を決定したが、その後準抗告などによって勾留決定が取り消され、釈放されたケース
このような在宅事件では後日、検察から呼び出しを受け、出頭することになります。
ただし、初犯で、犯行を認めており、被害金額が少額の万引き事件の場合には、微罪処分となり検察からの呼び出しは無いことが多いでしょう。微罪処分は刑事罰ではありませんので前科はつきません。
万引き事件での検察からの呼び出し
検察への事件送致前に釈放されているケースでは、警察での最後の呼び出しが終わると、「後日検察から連絡が行くと思いますから呼び出しには応じてください」と言われるのが通常です。
書類送検される検察と事件処理する検察が異なるケース
捜査をした警察署は、同じ管轄区域の検察庁へ事件を送致します。そして、通常は、その検察が事件を処理します。
もっとも、例えば、事件送致を受けた検察は東京で、被疑者の住所が大阪というように被疑者が遠方に居住している場合には、東京の検察から大阪の検察に事件が移送されることが多いでしょう。
この場合、被疑者は、大阪の検察から呼び出しを受け、事件処理されることとなります。
検察からの呼び出しの方法
警察から検察へ事件が送致されると後日、担当の検察官から検察庁に出頭するよう連絡が来ます。
通常は事件送致から1か月、2か月で連絡が来ますが、補充的に捜査をしていたり、担当検察官が多忙な場合には呼び出しまでに半年ほどかかることもあります。
呼び出しの方法は、検察から自宅に封書が届くことが通常ですが、携帯電話に電話がかかってくることもあります。出頭日時については、指定された日時が絶対ではなくある程度調整が可能です。
また、家族が事件のことを知らない場合には、事件送致の直後に担当検察官に電話をして、呼び出しは封書ではなく携帯電話に連絡をすることをお願いしすると大抵は、それに応じてもらえます。
呼び出し当日
検察庁に出頭すると、検察官の取り調べを受けます。初犯で示談が成立しているケースなど起訴猶予が見込まれる事件では、30分ほど簡単に警察で話した供述内容の確認や、再犯防止のためにどうしていくのかなどの話を聞かれ、今回は不起訴とすると告げられるか、今月中に何も連絡がなければ不起訴ですと告げられます。
他方、万引きで検挙されたのが2,3回目で罰金刑が見込まれる事件では、その場で罰金刑とすることを告げられ、略式起訴の同意書面にサインすることになります。
起訴処分とするか不起訴処分とするか悩ましい事案や、略式罰金とするか正式な裁判とするか微妙な事案の場合には、その場では処分は決まらず、再度呼び出すかもしれないと言われて帰されることもあります。
不起訴処分の場合には連絡はありませんし、正式な裁判になる場合は裁判所から起訴状と裁判手続についての説明書類が届きます。略式起訴となる場合は、再度検察から呼び出しを受け、略式手続の同意書面を作成することになります。
万引き事件で検察から呼び出された後の処分
検察からの呼び出しを受けた後、起訴処分となった場合、略式起訴か公判請求かによって手続きが異なります。
略式罰金
初犯であっても被害額が数万円と大きい場合や、犯行の動機や態様が悪質なケースでは略式罰金となることがあります。
この場合、後日、簡易裁判所から略式命令が自宅に届き、その後、検察庁で罰金を納付することになります。罰金の金額は10万円から30万円ほどが通常です。原則として分割払いはできません。
正式な裁判(公判)
公判となった場合、被告人として法廷で審理を受けます。犯行内容に争いがないケースでは通常、第1回の裁判期日で審理が終わり、その1,2週間後に判決の言い渡し期日が指定されます。
刑事罰として罰金が相当の事案の場合には略式手続になるのが通常ですから、公判になった場合には懲役刑の判決が下る可能性が高いです。
初犯の場合には余罪が多かったり、被害額が非常に大きいなどの事情がない限りは執行猶予は付くでしょう。他方、前科が複数あったり、執行猶予中の場合には実刑判決となる可能性が高いでしょう。
最後に
以上、万引き事件での検察からの呼び出しやその後の裁判についてご説明しました。
最後に警察から呼び出しがあってから、かなりの日数が経っているけど未だに検察からの呼び出しがない、検察から呼び出されたがその後の手続きはどうなるのか、示談交渉は未だ間に合うのかといった弁護士への相談は非常によくあります。
個々の事案ごとに手続きの流れや処分内容には違いがありますので、疑問、不安がおありの方は刑事事件の経験が豊富な弁護士へ相談することをお勧めします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。