万引きで逮捕や処分を避けるには?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月07日

万引きで逮捕や処分を避けるには?専門弁護士が解説

万引きをしたら弁護士に依頼した方がいいの?
万引きに強い弁護士は何をしてくれるの?
万引きに強い弁護士はどのように選べばいいの?

初犯の方も、過去に何度か万引きで捕まったことがある方も、万引き事件で警察の捜査を受けることになった場合、このような疑問を持つ方もおられるでしょう。

今回は、刑事事件を数百件解決してきた専門弁護士が万引き事件に強い弁護士について解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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まずは万引き事件について弁護士が解説

万引き事件に強い弁護士について解説する前に、万引き事件の基本知識について確認しておきましょう。以下、逮捕や勾留される確率、万引き事件の処分について解説します。

逮捕率と勾留率

以下の統計は万引きに限りませんが、窃盗罪が検挙された場合の逮捕率と勾留率を示しています。逮捕されるケースは3割ほどですが、一旦逮捕されると8割以上が勾留されていることがわかります。

 検挙数  83,035件
 逮捕された件数  26,804件
 逮捕されていない件数  56,231件
 逮捕率  約32%

 

 逮捕された件数  26,804件
 勾留を認めなかった件数  779件
 勾留率  約85%

 

逮捕されやすいケース

逮捕の主な目的は、逃亡を防止することと罪証隠滅を防止することにあります。そのため、以下のようなケースでは逮捕されやすくなります。

逃走した場合

まず、万引きの現場から逃走しようとした場合です。この場合、逮捕しなければ出頭に応じないかもしれないと警察は判断しますので、逮捕される可能性が高まります。

否認した場合

次に、万引きの犯行を否認している場合です。

万引きを認めている場合には逃走をしたり、罪証隠滅する可能性は低いと警察は考えますが、否認している場合にはこれらの可能性が高いと判断しますので、逮捕される可能性が高まります。

前科がある場合

過去に前科がある場合も逮捕される可能性が高まります。

前科がある場合、刑事罰が重くなりますので、それを免れるために逃走を図るかもしれません。特に執行猶予中だった場合には、原則として実刑判決となりますので、刑務所に入ることを免れるために逃走するかもしれないと判断されやすくなります。

転売目的の場合

万引きした商品を転売して利益をあげているケースがあります。このようなケースでは転売に関わる証拠を押さえる必要がありますので、証拠隠滅を防ぐために逮捕される可能性が高まります。

後日逮捕されるケース

万引きの逮捕は現行犯逮捕が圧倒的に多いです。万引きについて起訴するためには、万引きをした商品を特定する必要がありますので、その場で押さえなければこの点を明らかにすることが困難になるからです。

もっとも、万引きで後日逮捕されるケースもしばしばあります。店員が万引きを現認したものの、その場では逮捕しなかった、あるいは逮捕できなかったケースです。防犯カメラに万引きの様子が記録されていることもあります。

この場合、車のナンバーや他の商品を購入した際に使用した電子マネー、クレジットカードの情報から犯人を特定したり、防犯カメラの映像から犯人を特定して、警察が後日逮捕することがあります。

万引き事件の処分は段階的

万引き事件は軽微な犯罪ですから、初犯や2回目までは微罪処分といって刑事罰を受けずに簡易に処理されることが多くあります。

そして、3回目くらいになると書類送検されて不起訴処分(起訴猶予)となり、その次は略式起訴で罰金刑、その次は公判請求をされ執行猶予付きの懲役刑、最後には実刑判決と段階的に処分は重くなっていきます。

もっとも、被害金額が数万円であったり、転売目的で反復して万引きをしていた場合などは初犯であっても公判請求をされ執行猶予付きの懲役刑となる可能性が高くなります。

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万引き事件を弁護士に依頼すべき?

以上、万引き事件の基礎知識について見てきました。ここからは、万引き事件の弁護士について解説していきます。以下、そもそも弁護士に依頼すべきかどうかについて解説します。

逮捕勾留されている場合

先ほどの統計のとおり、窃盗罪で逮捕されますと約85%の事件で勾留されています。勾留されますと10日間身柄拘束され、その後、さらに最大で10日間勾留が延長されます。

このように20日以上もの期間身柄拘束されますと仕事など日常生活に多大な不利益が発生します。しかし、弁護士に依頼をすれば勾留を回避する、勾留を認めた決定に対して不服申し立てをしてその結果、釈放されるケースは多くあります。

したがって、逮捕された場合、勾留された場合には、一刻も早く弁護士に依頼すべきです。

執行猶予中の場合

執行猶予中に万引きをした場合、原則は実刑判決を受け、刑務所に服役することになります。

万引きを繰り返しているケースでは、窃盗症(クレプトマニア)などの精神疾患が影響している可能性があります。

このような場合、治療など再犯防止策にしっかり取り組み、その点を検察官に示すことで不起訴処分(起訴猶予)になることがありますし、裁判でもその点を示すことで再度の執行猶予を得られることがあります。

したがって、執行猶予中の万引きの場合には、実刑を回避するために、早期に弁護士に依頼し、対策を練っていくべきです。

万引きを繰り返している場合

執行猶予中の再犯ではない場合も、万引きを繰り返しており2回、3回と警察に捕まっている場合があります。このような場合、今回は罰金刑や執行猶予付きの判決で終わるかもしれませんが、いずれ再び万引きをしてしまい刑務所に入る可能性が高いです。

したがって、万引きを繰り返している場合には弁護士に依頼をして、適切な医療機関の紹介を受けたり、家族による監督方法について助言を得るなどして、二度と万引きをしないための環境を調整することをお勧めします。

家族に知られたくない場合

逮捕、勾留されますと自宅に帰ってこないため、家族が捜索願を出して、その結果、万引きで逮捕、勾留されていることを家族に知られる可能性があります。

また、逮捕されない場合、つまり在宅捜査となる場合には、警察署から帰るにあたり、家族による身柄引受を求められますので、その段階で家族に万引きの事実を知られてしまいます。

このように万引きを家族に知られないためには、弁護士に依頼をして逮捕、勾留を避ける必要があります。また、在宅捜査になる場合、弁護士に依頼をしておけば、弁護士が家族に代わって身柄引受をすることもできますので、家族に万引きを知られずに済みます。

弁護士に依頼しなくていいケース

一方、万引き事件では弁護士に依頼しなくてもいいケースがあります。

初犯で、被害金額が大きくなく、転売目的もないケースでは微罪処分になる可能性が高いため、弁護士に依頼をしなくても逮捕、勾留はされず、前科がつくこともありません。 したがって、このようなケースでは弁護士を依頼しなくても良いでしょう。

もっとも、家族に知られたくないという場合や再犯防止に取り組みたいという場合には弁護士に依頼すべきです。

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万引き事件に強い弁護士ができること

次に、万引き事件に強い弁護士に依頼すると何をしてくれるのか、万引き事件に強い弁護士は何ができるのかについて解説します。

後日逮捕の回避

万引き事件の逮捕は現行犯逮捕が圧倒的に多いですが、後日逮捕されるケースもしばしばあります。現行犯逮捕はされなかったものの店員や警備員に気づかれた、気づかれたかもしれないという場合には、後日逮捕の可能性があります。

このような場合には、弁護士に依頼をして、弁護士と一緒に自首をすることで後日逮捕を回避できる可能性が高まります。

逮捕勾留からの釈放

逮捕された場合、その後検察官が裁判官に10日間の勾留を請求し、裁判官が勾留を決定すると10日間、その後延長されると最大20日間、身柄拘束されます。

弁護士は、まず検察官に勾留請求をしないよう働きかけます。検察官が勾留を請求した場合には裁判官に対して勾留を決定しないよう働きかけます。これらの弁護活動によって勾留を回避できるケースも多くあります。

また既に勾留を決定されている場合には、裁判所に対して準抗告という不服申し立てをして、それが認められると釈放されます。

被害店との示談交渉

万引き事件では、万引きの当事者やその家族が被害店に謝罪に伺い、商品代金を支払うということがよくあります。もちろん、商品代金を支払うことで被害弁償をすれば、それだけで微罪処分や不起訴処分(起訴猶予)となることもあります。

しかし、初回でも被害金額が大きい場合や、過去に複数回警察に捕まったことがある場合には、単に被害弁償をするだけでは起訴されてしまう可能性があります。

弁護士は被害弁償にとどまらず、事件について許してもらう、被害届の取り下げをしてもらうという内容で示談を成立させるために交渉をします。

大型店やチェーン店は示談に応じないことも多いですが、一切示談に応じないということでもなく、交渉次第で示談が成立することがあります。

なお、示談金は被害金額に加えて、数万円の迷惑料を支払うことが多く、被害金額が数百円や数千円であれば、5万円から10万円が相場です。

執行猶予を得る

初めて略式起訴ではなく公判請求を受けた場合、大抵は執行猶予が付きます。

しかし、執行猶予中の再犯の場合や、過去に執行猶予判決、実刑判決を受けたことがある場合には、執行猶予は付かず実刑判決となる可能性が高まります。

このような場合に弁護士は、万引きを繰り返してしまっている原因を突き止め、再犯防止の対策を立てて、そのことを裁判所に示していくことによって、執行猶予を得るための弁護活動をします。

万引き事件に強い弁護士の選び方

万引き事件に強い弁護士が何をしてくれるのかについて見てきました。では、そのような弁護士はどのように選べばよいのでしょうか。以下解説します。

国選でいい?私選がいい?

国選弁護人とは国の費用負担で付けてくれる弁護士です。

国選弁護人のメリットは弁護士費用を自分で負担する必要がない点にあり、デメリットはランダムに選ばれた弁護士が就くため、刑事事件は専門外という弁護士が就くこともよくありますし、あまり熱心ではない弁護士が就くこともある点を挙げられます。

万引き事件に強い弁護士が就いても釈放ができない案件や処分内容が変わらないケースもあります。そのような場合には、弁護士費用を支払って私選の弁護士に依頼をするメリットはあまりありません。

一方、それ以外のケースでは万引き事件に強い私選の弁護士に依頼することで、早期釈放、不起訴処分(起訴猶予)、執行猶予といった良い結果を得られる可能性が高まりますので、弁護士費用を捻出可能であれば私選で依頼をした方が良いでしょう。

解決実績は多いか

釈放活動、示談交渉、処分を軽くするための弁護、いずれも多数の万引き事件を経験することで知識やノウハウが蓄積されます。

したがって、万引き事件に強い弁護士に依頼するための重要な指標となるのは、これまでに何件の万引き事件を解決してきたかです。

最低でも10件や20件の万引き事件を解決していることは必要ですし、初犯など簡単な万引き事件だけでなく、執行猶予中の再犯で再度の執行猶予を得た経験がある弁護士であれば万引き事件に強い弁護士といってよいでしょう。

専門医療機関を紹介できるか

万引き事件は精神疾患が影響して繰り返してしまうことの多い犯罪です。そのため、再犯防止のための取り組みには専門の医師の協力が必要となります。

万引き事件の弁護を経験しているとそのような専門の医師がどこにいるのか把握するようになります。ですから、専門の医療機関を紹介できるかどうかは、万引き事件に強い弁護士か否かを判断する指標となります。

弁護士費用の相場

弁護士費用は着手金と成功報酬金によって構成されるのが通常です。着手金の相場は30万円ですが、難易度の高い案件の場合には50万円以上を設定する法律事務所もあります。

成功報酬金については、その内訳は釈放の報酬や示談成立の報酬、不起訴の報酬、執行猶予中の報酬など様々で、その金額も法律事務所によって異なります。

通常の事件であれば、弁護士費用の総額は60万円ほどが相場で、執行猶予中の犯行など難易度が高い場合には総額100万円ほどが相場といえます。

万引きに強い弁護士による解決事例

最後に万引きに強い弁護士が担当した具体的な解決事例について見ておきましょう。

再度の執行猶予を得た事例

90歳近いAさんは、ドラッグストアで万引きをして店外に出たところで、警備員に声をかけられ警察に引き渡されました。当日のうちに家族が警察署へ迎えに行き、在宅捜査となりました。

Aさんはこれまでに5回ほど万引きで警察に捕まっており、半年前に万引きで執行猶予付きの判決を受けたばかりでした。そのため、今回は原則として実刑判決となります。

これまでの万引き歴からして窃盗症などの精神疾患を疑われましたし、高齢のため認知機能の低下が犯行に影響している可能性も考えられました。

医師に診察をしてもらったところ、やはり窃盗症と診断され、かつ画像所見から認知機能の低下も犯行に影響していることが判りました。

裁判ではこれらの犯行の原因を示すとともに、被害店と示談が成立していること、家族による再犯防止策を示したところ、裁判所は再度の執行猶予を認め、Aさんは服役を免れることができました。

後日検挙されるも不起訴となった事例

半年前のショッピングセンターでの万引き事件について話を聞きたいと、Aさんのもとに警察から電話がありました。

不安になったAさんは弁護士と一緒に警察署に出向き、弁護士において身柄引受をして在宅捜査となりました。Aさんは防犯カメラの写真を見せられ、ヘルメットを万引きしたことについて追及され、正直に犯行を認めました。

弁護士から被害店に示談の申し入れをしましたが、被害者は既に会計処理が終わっているので、被害弁償は受けられないということでした。

弁護士が担当検察官と協議したところ、贖罪寄付をすることで起訴猶予にしてもらえる可能性があることがわかりました。そこで、Aさんには10万円の贖罪寄付をしてもらったところ、起訴猶予となり本件は解決しました。

自首をして不起訴となった事例

Aさんはスーパーで万引きをして、車に乗って帰ろうとしたところ、店員が車のナンバーをメモしていたように思い、不安になって弁護士に依頼をしました。Aさんは1年前に万引きで執行猶予判決を受けており、前歴がある執行猶予中の身でした。

弁護士がAさんと一緒に自首をしたところ、やはり被害届が出ていました。自首をしたことや夫が身柄を引き受けたことで在宅捜査となりました。

執行猶予中のため起訴されれば、高い可能性で実刑判決となり刑務所に服役します。そこで、起訴猶予(不起訴処分)を目指すこととしました。 被害店に示談交渉を申し入れましたが、商品代金の弁償を受けるにとどまり、示談は成立しませんでした。Aさんは、窃盗症が疑われましたので、再犯防止のため、専門の医療機関への通院をお願いしました。

その後、書類送検され、担当検察官に弁護士から主治医の意見書と起訴猶予を求める弁護士の意見書を提出しました。すると担当検察官は、今回に限って起訴猶予とするということで、Aさんは実刑を免れました。

まとめ

以上、万引き事件に強い弁護士について解説しました。

万引きをしてしまい逮捕、勾留されている、被害店と示談をしたい、不起訴処分にしたい、実刑判決を回避したいなどのご要望があるときは、万引き事件に強い弁護士にご相談ください。

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