痴漢の示談金相場は?交渉の流れも解説
最終更新日: 2025年10月10日

「痴漢をしてしまった」「逮捕されてしまったが、前科を避けたい」「できれば早く釈放されたい」――このような状況でまず検討すべき解決手段が示談です。
痴漢事件では、示談が成立すれば不起訴処分となる可能性が高まり、前科を回避できるケースも少なくありません。また、示談が早期に成立することで勾留が解かれ、社会生活への影響を最小限に抑えられることもあります。
ここでは、痴漢事件における示談の仕組み、交渉の流れ、示談金の相場、弁護士に依頼するメリット、実際の事例、よくある質問までを整理して解説します。
示談とは?
示談とは、加害者(被疑者・被告人)と被害者の間で行う民事上の和解手続きのことです。
加害者が被害者に謝罪し、慰謝料などを支払うことで合意に至れば「示談成立」となります。
刑事事件において示談が成立し、被害者の処罰感情を和らげた場合、検察は「被害者が処罰を望んでいない」という事情を前提とするので、不起訴処分を選択する可能性が高まります。
つまり、示談は前科回避のための大きなカギとなるのです。
ただし、被害者は強いショックを受けていることが多く、加害者本人や家族が直接連絡を取ろうとすると「脅迫」「証拠隠滅」と受け取られるリスクがあります。
そのため、示談は弁護士を通じて進めることが望ましいです。
また、警察も加害者本人には被害者の連絡先を教えてくれないので、弁護士をつけなければ、そもそも示談交渉を行うことができません。
痴漢事件における示談交渉の流れ
痴漢事件の示談は、次のような段階を踏んで進められます。
弁護士が捜査機関に連絡
弁護士は警察や検察に「示談を希望しているので被害者と連絡を取らせてほしい」と依頼します。
捜査機関は被害者に確認を取り、了承があれば弁護士に連絡先を伝えます。
被害者へのコンタクト
弁護士が被害者に連絡し、示談の意思を確認します。
被害者が交渉に応じる姿勢を示した場合にのみ、話し合いが始まります。
条件の提示と調整
示談金額や支払い方法を提案し、被害者の意見を踏まえながら調整します。
金額に明確な基準はなく、事件の態様などを考慮し、被害者との協議で決定します。
示談書の作成
双方が合意に至ったら、内容を文書化した「示談書」を作成し、署名・押印を行います。
示談書がなければ、後から「約束と違う」と争われるおそれがあるため、必ず書面化することが重要です。
示談金の支払い
示談書に基づき、通常は弁護士事務所の預り金口座を通して振込が行われます。
捜査機関への提出と処分への反映
弁護士は示談書の写しを警察や検察に提出し、不起訴処分や軽い量刑を求めます。
示談は早ければ1週間程度でまとまることもありますが、長引けば数週間かかる場合もあります。
重要なのは、検察が起訴の判断を下す前に示談を成立させることです。
痴漢事件における示談金の相場
痴漢事件の示談金には「決まった金額」があるわけではありません。被害の程度や被害者の感情などによって変動します。
一般的な相場は以下の通りです。
- 痴漢行為(衣服の上から触った程度): 20万〜40万円前後
- 不同意わいせつ罪にあたる悪質な痴漢(わいせつ)行為(下着の中に手を入れる、強引な接触など):50万〜100万円以上
ただし、これはあくまで平均であり、個別の事情によっては200万円以上に達するケースも存在します。
特に被害者が未成年の場合は、親が交渉の窓口となり、強い処罰感情から高額な示談金を求められる傾向があります。
弁護士に依頼するメリット
痴漢事件で示談を目指すなら、弁護士の関与は不可欠です。
本人や家族が独自に動くと事態を悪化させかねません。弁護士に依頼することで得られるメリットを整理すると次の通りです。
被害者の連絡先を知ることができる
警察や検察を通じて弁護士が正式に打診することで、被害者と連絡を取れる可能性が生まれます。
被害者が交渉に応じやすくなる
弁護士が代理人となれば「直接相手と顔を合わせなくてよい」という安心感から、被害者が話し合いに応じやすくなります。
早期解決の可能性が高まる
経験豊富な弁護士が適切な条件を提示するため、示談成立までの期間が短縮されやすいです。
適正な示談金額を設定できる
相場に照らし、過不足のない金額を提示できるため、成立の可能性が高まります。
トラブルを防げる
不備のない示談書を作成することで、後日の争いを避けられます。
刑事処分の軽減につながる
示談成立を検察に提出することで、不起訴処分や執行猶予など有利な結果を得やすくなります。
再発防止や冤罪対応も相談できる
痴漢弁護の経験が豊富な弁護士なら、今後の再犯防止策や冤罪主張についても助言してくれます。
痴漢事件はスピードが命です。起訴される前に示談を成立させるためには、弁護士へできるだけ早く相談することが欠かせません。
よくある状況と対応例
早期依頼で30万円の示談成立・不起訴に
30代の会社員男性が、通勤電車内で隣に立っていた女性の腰や太ももを衣服の上から触ってしまい、被害者の通報でその場で警察に連行されました。
逮捕直後に家族が弁護士へ依頼し、迅速に示談交渉が始まりました。被害者が「謝罪と一定の金銭的補償があれば処罰を望まない」との意思を示したため、示談金30万円で合意に至りました。
その結果、不起訴処分となり、勤務先に事件が伝わることもなく社会復帰できました。
悪質行為で100万円の高額示談・不起訴に
40代の会社員男性が、帰宅ラッシュ時の電車内で前に立っていた女性の下着の中に手を入れてしまい、現行犯逮捕されました。
行為の悪質性が高く、被害者も強く処罰を望んでいましたが、本人の深い反省と誠意ある謝罪が功を奏しました。
結果として、示談金100万円を支払うことで示談が成立し、不起訴処分となり、社会生活への影響を最小限に抑えることができました。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問(FAQ)
Q:示談が成立すれば必ず不起訴になりますか?
必ず不起訴になるわけではありませんが、痴漢事件では示談成立が不起訴処分の判断に強く影響します。
示談を成立させた上で、被害者が処罰を望んでいないことを検察に伝えれば、不起訴の可能性は大幅に高まります。
Q:示談金はいくらくらい用意すればよいですか?
軽度な痴漢であれば30万〜50万円前後、悪質な痴漢であれば100万円を超えることもあります。
相場はありますが、最終的には被害者の納得が最優先となるため、弁護士の助言を受けながら準備するのが安心です。
Q:被害者が未成年の場合でも示談できますか?
可能ですが、交渉の相手は多くの場合、親権者(保護者)となります。
親権者(保護者)の子どもへの被害は特に処罰感情が強く、示談金が高額になる傾向があります。
Q:示談ができなかった場合はどうなりますか?
被害者が示談を拒否した場合、不起訴の可能性は下がり、起訴される可能性が高まります。
その場合も、謝罪の意思を示すために贖罪寄付などを行えば、量刑に考慮されるケースはあります。
Q:会社や学校に事件が知られてしまうのでしょうか?
示談が成立し、不起訴になれば公にされるリスクは大幅に減ります。しかし起訴されると裁判記録として公開されることもあり、報道や職場・学校への影響が避けられない可能性があります。
早期の示談成立は社会的影響を防ぐ上でも重要です。
まとめ
痴漢事件における示談は、前科を避けたり、早期に釈放されるために極めて重要な手続きです。
示談金の相場は20万〜100万円以上と幅があり、事件内容や被害者の状況によって変動します。
示談を成立させるには、被害者への適切なアプローチと条件提示が必要であり、それは弁護士のサポートなしには難しいといえます。
もし痴漢事件で不安を抱えているなら、できる限り早く弁護士へ相談することを強くおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





