職場で起こした窃盗事件の解決方法と依頼する弁護士の見極めポイントを徹底解説
2022年01月17日
- 職場でお金を盗んでしまった
- 職場で窃盗事件を起こしたらクビになるのか
- 職場での窃盗事件に強い弁護士の見極め方を知りたい
職場で同僚の財布からお金を抜き取る・机の上に置いてあるものを持ち去る、などをした場合、その場で、もしくはあとで発覚すると窃盗事件に発展することが考えられます。軽い気持ちで起こした行動であっても逮捕されてしまう可能性があるため、迅速な対応が必要になります。
そこで今回は、職場で窃盗事件を起こしたときにまず知っておくべき基本事項・弁護士に依頼をするタイミング・弁護士を選ぶポイントを解説します。
弁護士が教える職場での窃盗とは
ここでは、職場での窃盗について以下の2つの観点から弁護士が解説します。
- 職場における窃盗
- 窃盗罪と横領罪どちらに該当するのか
1つずつ解説します。
職場における窃盗
1つ目は、職場における窃盗についてです。
会社やお店などの職場で窃盗事件を起こしてしまったときは、刑法235条の窃盗罪が適用されます。
窃盗罪について刑法235条では、
「他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」
と定めています。このため、たとえば職場で同僚のお金を盗んだ・置き引きをしたなどは、逮捕・起訴、最悪の場合は有罪判決がくだる可能性を否定できません。
魔がさして起こしたときは「罪にはならないだろう」「どうせバレないだろう」と思っていても、警察に被害届が出されると窃盗事件に発展し、想定していたよりも大ごとになってしまうことも考えられます。
窃盗罪と横領罪どちらに該当するのか
2つ目に、職場での窃盗が窃盗罪と横領罪どちらに該当するかを解説します。
職場で起こしてしまった「窃盗」では、以下のような事例が考えられます。
- 職場の人の財布からお金を抜き取る
- 金庫に入っていた売上金を持ち出す
- 社内にある備品を盗む
- 倉庫に保管してある商品の在庫を盗む
- 社内・店舗内などで置き引きをする
このようなことをした場合、窃盗罪・横領罪のどちらかに該当します。
窃盗罪と横領罪の違いは、犯行時、対象となる財物の「占有」が誰にあったのかという点に由来します。
横領罪の場合は、「自己の占有する他者のものを自分のものにしてしまうこと」をいい、一方で窃盗罪の場合は、「他者が占有するものを自分のものにしてしまうこと」をいいます。
たとえば会社で売上金を扱う業務を担当していたとすれば、そのとき職場のお金は「自分が占有している」ことになります。それを持ち出すようなことがあれば、「占有している他者のものを自分のものにしようとしている」ため、横領罪が適用されます。
これに対して同僚の財布からのお金の抜き取り・置き引きはもともと他者が所有するもを自分のものにしているため、窃盗罪が適用されます。
職場で起こした窃盗の処分と弁護士の介入時期
職場で起こした窃盗の処分と弁護士の介入時期について解説します。
- 【刑事処分】刑法に触れたことによる逮捕・起訴
- 【懲戒処分】会社からの処分
- 弁護士が介入するタイミングは?
1つずつ解説します。
【刑事処分】刑法に触れたことによる逮捕・起訴
1つ目は、刑事処分です。
逮捕から72時間までは警察・検察が、捜査・勾留を行うため行動が大きく制限されます。当然ながら、勾留中は外出することができず職場・学校へ行くことはおろか、家に帰ることもできません。そして、逮捕から72時間以内に最大で20日間となる勾留を行うかどうかが決まります。
そしてこの間に窃盗罪での起訴・不起訴になるのかが決まります。不起訴処分になれば事件は終了しますが、起訴されると裁判によって有罪・無罪いずれかの判決がくだされます。
裁判によって有罪判決を受けると刑事罰が確定し、窃盗罪の前科がつくことになります。
【懲戒処分】会社からの処分
2つ目は、懲戒処分です。
職場で起こした窃盗事件に対する処分は、刑事処分だけでなく職場からの懲戒処分も考えられます。
懲戒処分は必ずあるものと断言できるわけではありませんが、職場で従業員が窃盗事件を起こした場合、会社は就業規則に基づき、当該の従業員に厳しい措置を取ることが予想されます。
処分のパターンは次のとおりです。
戒告 | 口頭での厳重注意 |
譴責 | 始末書を提出させたうえで𠮟責する |
減給 | 給料を減らす |
出勤停止 | 一定期間出勤させない |
降格 | ランクや役職を下げる |
諭旨解雇 | 自発的な解雇を促す |
懲戒解雇 | 本人の意思に関係なく強制的に解雇する |
事件の内容や被害額、そして職場の就業規則に基づいて処分内容が判断されます。事件の悪質性が高い場合、諭旨解雇や懲戒解雇処分がくだることも否定できません。
弁護士が介入するタイミングは?
3つ目は、弁護士が介入するタイミングです。
弁護士が介入するタイミングとして以下の2つのパターンがあります。
- 逮捕されている・後日逮捕の場合
- 釈放された後の場合
1つずつ見ていきましょう。
逮捕されている・後日逮捕の場合
逮捕されている・後日逮捕の場合、どちらも事件発覚直後に弁護士に相談・依頼することがおすすめです。
逮捕から72時間は家族と言えども本人と会って話をすることが禁じられています。しかし、この72時間がその後の勾留・起訴・不起訴に大きく影響を与える時間になると言えます。そのため、事件が発覚した直後にすみやかに弁護士に相談し、介入を依頼することがおすすめです。
弁護士に依頼することで、本人だけではなく警察や検察とも連絡が可能となり、現在の状況を教えてもらうことも可能になります。また被害者と連絡を取り、示談交渉が進めば逮捕・長期勾留の回避や不起訴処分も視野に入ってきます。適切なタイミングで介入してもらい、早期の事件解決を目指すことを目標とするとよいでしょう。
釈放された後の場合
すでに釈放された後の場合は、釈放直後に弁護士に相談・依頼をすることがおすすめです。
まずは起訴・不起訴にかかわらず被害者との示談交渉において反省・謝罪の意を示し示談金の支払いについて話を進めることが重要です。被害者は弁護士を介して示談交渉を行うことで安心感を持つことができます。また、被疑者が誠意を持って対応するという被害者へのメッセージにもなります。
起訴・不起訴が決まるまでには、1か月~3か月の時間がかかります。基本的にはこの間に示談交渉に向けて行動を起こすことが、起訴・不起訴決定に対して有利に働くことになります。
職場で起こしてしまった窃盗事件での弁護士選びのポイント
職場で起こしてしまった窃盗事件で弁護士への依頼を考えるときに、まずはその弁護士がこれまでに窃盗事件を数十件件は担当していることが絶対条件と言えます。その上で、さらにポイントがあるとすれば以下の3つです。
- 24時間対応の弁護士
- 携帯電話の番号を教えてくれる弁護士
- 粘り強い誠意ある交渉をしてくれる
1つずつ見ていきましょう。
24時間対応の弁護士
弁護士選びのポイントの1つ目は、24時間対応の弁護士であることです。
早期の釈放や示談交渉を目指すためには、初動の迅速さが重要です。そのため24時間対応が可能で、いつでも柔軟に動いてくれる弁護士を探し、迅速に動いてもらうことが理想的です。
警察の動きによっては深夜に逮捕されるケースもあり、24時間体制で対応を行っている弁護士が最適といえます。24時間受付をうたっている事務所もありますが、電話やメールで問い合わせ可能というだけで、返信や相談受付は翌日営業時間内だという事務所は少なくありません。
多くの弁護士事務所は営業時間以降は電話やメールでの対応になるため、24時間体制で深夜も動いてくれる弁護士の存在は非常に貴重と言えます。
携帯電話の番号を教えてくれる弁護士
弁護士選びのポイントの2つ目は、携帯電話の番号を教えてくれる弁護士であることです。
弁護活動を行ってもらっている間は、その後の処分はどうなるのかなどが非常に気がかりになります。また、依頼後にわからないことが出てきた場合、急に不安になることもあります。依頼時に携帯番号を教えてくれる弁護士であれば、すぐに相談・質問に答えてもらうことができ、非常に心強い存在となります。
粘り強い誠意ある交渉をしてくれる
弁護士選びのポイントの3つ目は、粘り強い誠意ある交渉をしてくれることです。
示談成立にあたっては、弁護士の交渉力がキーポイントになります。
交渉に長けていて、最後まで誠意ある対応をしてくれる弁護士なら、示談交渉においてできるだけ負担の少ないかたちで交渉を行ってくれるでしょう。例えば、明らかに多い示談金を求められた場合でも、交渉のノウハウをしっかり持っている弁護士は、粘り強くかつ誠意ある対応で説得を続けてくれます。
このような交渉ができるかどうかは、弁護士の経験と知見にかかっていると言っても過言ではありません。経験豊富な交渉力のある弁護士に依頼することで、安心して対応を任せることができ、望む方向での解決が期待できます。
まとめ
今回は、職場で窃盗事件を起こしたときにまず知っておくべき基本事項・弁護士に依頼をするタイミング・弁護士を選ぶポイントを解説しました。
職場で窃盗事件を起こしてしまったときは、事件の内容次第では逮捕・起訴される可能性も十分あります。実際に会社や店舗では、売上金の窃盗や置き引き、財布からの抜き取りなど、さまざまな窃盗事件がよく起こっています。
そんな窃盗事件の被疑者になったときには、弁護士を頼ることが重要です。早期の釈放や不起訴処分、刑事裁判になった場合の執行猶予などを獲得するには、できる限りスピーディーな対応が必要といえます。職場での窃盗事件に強い弁護士を依頼し、早い段階での事件解決を目指していきましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。