職場の窃盗がバレたら?弁護士が教える初動対応と解雇回避の全知識
最終更新日: 2026年04月10日
「出来心で職場の備品を持ち帰ってしまった」
「会社の売上金に手をつけてしまった」
それが誰かに見つかり、発覚してしまったとき、あなたの頭の中は「クビになるかもしれない」「警察に捕まるのではないか」という恐怖でいっぱいになっていることでしょう。
職場で窃盗に及んでしまった場合、それがたとえ少額であったり、軽い気持ちであったとしても、「逮捕」と「懲戒解雇」という、あなたの今後の人生を完全に破壊しかねない2つの重いリスクが待ち受けています。
会社側は、従業員による不正行為に対して極めて厳格な対応をとるのが通常です。
しかし、パニックになって自暴自棄になったり、間違った行動をとったりしてはいけません。発覚直後の「初動対応」を誤らなければ、最悪の事態(逮捕や懲戒解雇)を回避し、被害を最小限に食い止められる可能性はまだ残されています。
この記事では、職場の窃盗がバレてしまった方が直面するリスクと、あなたの未来を守るために取るべき正しい対応策について、弁護士が徹底的に解説します。
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職場の窃盗がバレたらどうなる?待ち受ける2つの重いリスク
職場で出来心から窃盗に及んでしまった場合、それが発覚したときには、想像以上に深刻な事態が待ち受けています。
軽い気持ちだったとしても、失うものはあまりにも大きいかもしれません。
具体的には、刑事と民事の両面から、以下のような2つの重いリスクを負うことになります。
リスク1:刑事事件化と逮捕の可能性
職場の窃盗は、刑法第235条に定められた「窃盗罪」に該当する犯罪行為です。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされており、決して軽い罪ではありません。
会社が被害届を警察に提出すれば、刑事事件として捜査が開始されます。
捜査の結果、容疑が固まれば逮捕・勾留される可能性があります。
逮捕されると、最大23日間、身柄を拘束され、その間は会社に行くことも、家族と自由に連絡を取ることもできなくなります。
最終的に起訴され有罪判決が下れば、たとえ罰金刑であったとしても「前科」が付きます。前科が付くと、特定の職業に就けなくなる、海外渡航に制限がかかるなど、その後の人生に長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。
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リスク2:会社からの懲戒処分(解雇)
刑事事件とは別に、会社との労働契約上の問題として、厳しい懲戒処分が下されることになります。
多くの会社の就業規則では、窃盗は懲戒事由として明記されています。
処分の重さは、被害額の大小、行為の悪質性、常習性、本人の反省の度合いなどによって総合的に判断されますが、最も重い「懲戒解雇」となる可能性が非常に高いです。
懲戒解雇は重い処分です。多くの場合、退職金は支払われず、自己都合退職ではないため失業保険の給付が遅れるなどの不利益も生じます。
さらに、再就職の際に、前の会社が懲戒解雇であったことを知られると、採用で著しく不利になることは避けられません。
職場の窃盗がバレた直後に絶対やってはいけない3つのこと
窃盗が発覚し、パニックに陥ると、事態をさらに悪化させる誤った行動を取ってしまいがちです。
以下の3つの行動は、あなたの立場をより一層不利にするため、絶対に避けてください。
証拠隠滅や嘘の言い訳をする
「やっていない」「知らない」と嘘をついたり、盗んだものをこっそり戻したり、防犯カメラのデータを消そうとしたりする行為は最悪の選択です。
現代の職場では、防犯カメラや入退室記録など、客観的な証拠が残っているケースがほとんどです。
嘘や証拠隠滅が発覚すれば、「反省していない」「悪質性が高い」と判断され、会社側の態度は硬化します。
示談の余地がなくなり、即座に被害届を提出されたり、最も重い懲戒解雇処分を下されたりする可能性が格段に高まります。
無断欠勤やバックレで逃げる
バレたことへの恐怖心から、会社に行けなくなり、無断欠勤やそのまま退職(バックレ)を考える人もいるかもしれません。
しかし、逃げる行為は、自ら罪を認めたことと同義です。
会社側は、あなたと連絡が取れなくなれば、話し合いによる解決を諦め、粛々と被害届の提出や懲戒解雇の手続きを進めるでしょう。
また、身元保証人や緊急連絡先である家族に連絡がいくことで、事態が周囲に知れ渡り、さらに複雑化する恐れもあります。
独断で会社や被害者と交渉しようとする
「自分で謝罪して、お金を返せば許してもらえるだろう」と安易に考えるのは危険です。冷静さを失った当事者同士の話し合いは、感情的な対立を生みやすく、かえって事態をこじらせる原因になります。
法的に不当な内容の念書(例:法外な賠償金の支払い、退職の強要など)にサインを求められたり、言質を取られて後々不利な状況に陥ったりするリスクがあります。
交渉は、必ず法律の専門家である弁護士を介して行うべきです。
解雇と逮捕を回避するための正しい初動対応
では、窃盗がバレてしまった後、具体的に何をすべきなのでしょうか。
最悪の事態を回避するためには、冷静かつ迅速な初動対応が何よりも重要です。
まずは落ち着いて事実関係を整理する
パニック状態では正しい判断はできません。一度深呼吸をして、自分が犯してしまった行為と向き合いましょう。
- いつ、どこで、何を盗んだのか
- 被害額はいくらか
- これまでに何回くらい繰り返してしまったのか
これらの事実を、正直に、そして具体的に整理してください。
記憶が曖昧な部分も、正直に「はっきりと覚えていない」と認識しておくことが重要です。この整理は、後述する弁護士への相談をスムーズにし、的確なアドバイスを受けるための基礎となります。
誠実な謝罪と弁済の意思を示す
言い訳や自己弁護は一切せず、まずは自身の行為を認め、心から謝罪する姿勢が不可欠です。
「魔が差してしまった」「本当に申し訳ないことをした」という真摯な反省の気持ちが伝わらなければ、会社や被害者の許しを得ることはできません。
そして、盗んだものや金銭的な損害を全額弁償する意思があることを明確に示しましょう。被害の回復は、和解に向けた第一歩です。
【最重要】速やかに弁護士へ相談する
上記の2つの行動(事実整理と謝罪の準備)と並行して、あるいはそれよりも先に、弁護士へ相談してください。これが、解雇や逮捕を回避するための最も重要かつ効果的な一手です。
会社への謝罪や交渉を自分で行う前に弁護士に相談することで、今後の取るべき最適な対応策、会社側への伝え方、交渉の進め方について、専門的な視点から具体的なアドバイスを得られます。
無料相談を実施している法律事務所も多いため、まずは電話やメールでコンタクトを取ることを強く推奨します。
なぜ弁護士への相談が不可欠?穏便な解決につながる5つのメリット
「弁護士に頼むなんて、おおごとではないか」「費用が高そう」とためらう気持ちも分かります。
しかし、職場の窃盗問題において、弁護士はあなたの未来を守るための強力な味方となります。弁護士に依頼することで、以下のような大きなメリットが得られます。
メリット1:会社との示談交渉を代理してくれる
加害者本人が会社と直接交渉するのは、精神的に大きな負担がかかります。
弁護士があなたの代理人として間に入ることで、冷静かつ法的な根拠に基づいて交渉を進めることができます。
感情的な対立を避け、被害弁償額や解決金の妥当な金額での合意、示談書の作成などをスムーズに進めてくれます。
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メリット2:懲戒解雇を回避・軽減するための交渉ができる
職場の窃盗は原則として懲戒解雇に該当しますが、被害額が僅少である、深く反省し弁済している、これまでの勤務態度が良好であるなどの事情があれば、懲戒解雇処分は重すぎると主張できる場合があります。
弁護士は、これらの有利な事情を法的に構成し、懲戒解雇ではなく諭旨解雇や普通解雇、あるいは自主退職といった、より軽い処分で済むよう会社と粘り強く交渉します。
メリット3:刑事事件化(被害届の提出)を防げる可能性が高まる
弁護士が迅速に介入し、会社側へ謝罪と被害弁償の申し入れを行い、誠実な対応を示すことで、「警察沙汰にするまでもない」と会社側が判断し、被害届の提出を見送ってくれる可能性が高まります。
一度提出された被害届を取り下げてもらうのは困難ですが、提出そのものを防ぐことができれば、逮捕や前科のリスクを根本から回避できます。
メリット4:逮捕されても早期釈放を目指せる
万が一、被害届が提出されて逮捕されてしまった場合でも、弁護士はすぐに接見(面会)に行き、取り調べへのアドバイスをすることができます。
そして、検察官や裁判官に対して、示談交渉が進んでいること、本人が深く反省していること、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことなどを主張し、勾留されずに済むよう、あるいは早期に釈放されるよう弁護活動を行います。
メリット5:取り調べへの適切な対応をアドバイスしてくれる
逮捕後の警察や検察による取り調べは、非常に厳しい精神状態で受けることになります。
弁護士は、どのような供述が有利・不利になるのか、黙秘権をどう使うべきかなど、具体的なアドバイスを提供します。
不当な内容の供述調書に署名してしまうといった最悪の事態を防ぎ、あなたの権利を守ります。
弁護士に依頼した場合の解決までの流れ
弁護士に相談してから、問題が解決するまでの一般的な流れを解説します。
事案によって多少異なりますが、大まかなプロセスを知っておくことで、少しでも不安を和らげることができるでしょう。
ステップ1:無料相談・依頼
まずは、窃盗などの刑事事件に対応している弁護士事務所を探し、電話やウェブサイトから無料相談を申し込みます。
相談時には、整理した事実関係を正直に話してください。弁護士から今後の見通しや弁護方針、費用の説明を受け、納得できれば正式に依頼(委任契約)します。
ステップ2:会社との示談交渉開始
依頼を受けた弁護士は、速やかに「受任通知」という書面を会社に送付します。
これにより、今後の交渉窓口は全て弁護士となり、会社からあなたへの直接の連絡は止まります。
その後、弁護士が会社側の担当者(人事部長や顧問弁護士など)と、被害弁償や処分の内容について交渉を開始します。
ステップ3:示談書の作成と被害弁償
交渉がまとまると、「示談書」を作成します。
示談書には、被害弁償の金額と支払い方法、会社が加害者を許し刑事処罰を求めないという「宥恕(ゆうじょ)文言」、守秘義務、清算条項(これ以上の請求はしないという約束)などを盛り込みます。
特に、この「宥恕文言」を得られるかどうかが、その後の刑事処分や懲戒処分の重さを決める上で極めて重要になります。示談書に基づき、被害弁償金等を支払います。
ステップ4:刑事事件の不起訴処分・懲戒処分の軽減へ
示談が成立したことを証明する示談書を、捜査機関(警察・検察)や会社に提出します。
被害が回復され、被害者(会社)が許しているのであれば、検察官は「不起訴処分」とする可能性が非常に高くなります。
また、会社に対しても、示談成立を理由に、懲戒解雇ではなく、より軽い処分にしてもらうよう働きかけます。
職場の窃盗に関するよくある質問
職場の窃盗に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q. 弁護士費用はいくらくらいかかりますか?分割払いは可能?
弁護士費用は、依頼する事務所や事案の難易度によって異なりますが、一般的には「着手金」と「成功報酬」で構成されます。
示談交渉のみであれば総額で50万円~80万円程度、刑事弁護まで含む場合は50万円~100万円程度がひとつの目安となるでしょう。
多くの事務所では費用の分割払いに対応しています。経済的な不安があっても諦めずに、まずは相談時に率直に尋ねてみてください。
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Q. 家族や他の同僚に知られずに解決できますか?
弁護士に早期に依頼し、会社との間で迅速に示談を成立させ、刑事事件化を防ぐことができれば、家族や同僚に知られずに解決できる可能性は高まります。
弁護士は守秘義務を負っており、依頼者のプライバシーを最大限に尊重します。
ただし、逮捕・勾留されてしまうと、完全に秘密にしておくことは難しくなります。
Q. 盗んだものが少額でも解雇されますか?
はい、たとえ100円のパン1個であっても、懲戒解雇される可能性は十分にあります。
職場の窃盗で問題になるのは、被害額の大小だけではありません。従業員と会社の間の「信頼関係を根底から破壊する行為」と見なされるためです。
常習性があったり、立場を悪用したりした場合は、少額でも解雇は免れないと考えるべきです。
Q. すでに警察から連絡が来ていますが、どうすればいいですか?
速やかに弁護士に連絡してください。
警察から連絡が来たということは、すでに被害届が提出され、あなたが被疑者として捜査対象になっていることを意味します。
この段階で一人で対応するのは非常に危険です。すぐに弁護士に依頼し、今後の取り調べへの出頭に同行してもらう、会社との示談交渉を急ぐなど、専門家として最善の対応を取ってもらう必要があります。
まとめ:職場の窃盗は早期の弁護士相談が解雇回避の鍵
職場の窃盗は、発覚すれば「逮捕」と「解雇」という、人生を左右するほどの深刻な事態に直面するリスクをはらんでいます。
しかし、犯してしまった過ちから目を背けず、誠実に向き合い、正しい初動対応を取ることで、最悪の結末を回避できる可能性は十分にあります。
そのために最も重要なことは、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で法律の専門家である弁護士に相談することです。
弁護士は、あなたの代理人として会社と交渉し、あなたの未来を守るために尽力してくれます。
もし今、あなたが職場の窃盗で悩み、将来に絶望しているのであれば、どうか諦めないでください。
勇気を出して弁護士への相談という一歩を踏み出すことが、解雇や逮捕を回避し、再出発するための唯一にして最善の道です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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