介護施設でSNSが原因でトラブルが発生!?その種類と防止する方法を解説
最終更新日: 2023年11月29日
昨今、TwitterやLINEなどのSNS(Social Networking Service)が急速に普及しています。
一度に多くの人とつながって気軽に情報のやりとりができることから、介護施設の利用者や職員だけでなく、介護施設がSNSアカウントを開設してPR活動などに用いることも増えてきました。
しかし、SNSの使い方を間違えてトラブルが発生し、介護施設の運営に支障が出る事例も出ています。
そこで今回は、介護業界において多くのトラブルを解決に導いてきた実績のある専門弁護士が、介護施設でSNSが原因で発生するトラブルの種類と防止する方法を解説します。
介護施設でSNSが原因で発生しうるトラブルの種類
ここでは、介護施設でSNSが原因で発生しうるトラブルの種類を2つ紹介します。
- 職員の投稿で仕事に支障
- SNSの投稿により不祥事が発覚
- 個人情報の流出
それでは、1つずつ解説します。
職員の投稿で仕事に支障
トラブルの種類の1つ目は、職員の投稿で仕事に支障が出ることです。
介護業界だけに限りませんが、SNSで仕事の愚痴を投稿したことが職場の同僚にバレると、職場での対人関係に悪影響が出る恐れがあります。最悪の場合、解雇に発展することもあります。
SNS上では、自分が思っている以上に職場や個人名などの情報をが特定できてしまうものです。SNSでの投稿は職場の誰かに知られてしまうものと考え、不満や愚痴などの不用意な投稿は慎みましょう。
SNSの投稿により不祥事が発覚
トラブルの種類の2つ目は、SNSの投稿により不祥事が発覚することです。
SNSの普及により、介護の現場の声が誰でも簡単に発信できるようになりました。その影響で、介護の現場で発生している不祥事がSNS経由で発覚する事例も見られるようになってきました。以下に、不祥事がSNSを通じて発覚した事例を紹介します。
- 不祥事を行っている職員自らがその様子をSNSに公開
- 職員や利用者が介護施設における不祥事をSNSで告発
- 介護施設職員が外出先で利用者を虐待しているところに遭遇した第三者がSNSにその様子を投稿
SNSは情報の拡散性が高く、一度不祥事が発覚してしまうとまたたくまに広まってしまう点にも注意が必要です。
個人情報の流出
トラブルの種類の3つ目は、個人情報の流出です。
利用者の様子を勝手に投稿することは、プライバシーの侵害に当たります。利用者個人や介護施設が特定されると、社会的評価の低下につながる恐れがあります。
また、SNSではありませんが、私的なブログの投稿によりプライバシーを侵害された事例もあります。一度個人情報が流出・拡散すると、その情報をインターネット上から完全に消すことは事実上難しいため、十分に気を付けなければいけません。
介護施設でSNSトラブルが起こる原因
介護施設でSNSトラブルが発生する大きな要因は、SNS利用者の認識不足や不平不満です。
SNSには、不特定多数の目に触れる即時性・拡散性があります。その特徴を効果的に使えば施設のPRなどに活用できますが、プライバシーの侵害や個人情報の漏洩などのリスクもあります。その認識が薄いSNS利用者が投稿することで、トラブルが発生する恐れがあるのです。
また、不平不満の憂さ晴らしや、会社にダメージを与えることを目的として投稿を行うSNS利用者もいます。そのような投稿もトラブルの原因になるでしょう。
介護施設でSNSが原因で発生しうるトラブルを防止する方法
ここでは、介護施設でSNSが原因で発生しうるトラブルを防止する方法を3つ紹介します。
- SNS利用ルールの作成と徹底
- 職員への教育を徹底
- 職場環境の向上
それでは、1つずつ解説します。
SNS利用ルールの作成と徹底
トラブルを防止する方法の1つ目は、SNS利用ルールの作成と徹底です。
SNS利用ルールは、就業規則にSNS利用に関するルールを追加したり、SNS利用に関するガイドラインを作成したりして明文化すると運用しやすくなります。
また、SNSが原因のトラブルは、介護施設のSNSアカウントだけでなく、職員個人のアカウントでも起こり得ます。そのため、SNS利用ルールは職員個人のアカウントにおいても適用するとよいでしょう。
ただし、SNS利用ルールで過剰な規制を掛けると、職員にとってはストレスの原因になる恐れがあるため、注意の上運用しましょう。
職員への教育を徹底
トラブルを防止する方法の2つ目は、職員への教育を徹底することです。
SNS利用ルールを作成しても、そのルールを守らなければ意味がありません。それには、職員への教育徹底が欠かせません。具体的には、以下のような内容を徹底的に職員に教育する必要があります。
- SNSの特性
- SNSが原因のトラブル事例
- SNSが原因でトラブルが起きたときのリスク
- 施設が定めているSNS利用ルール
- SNS利用ルールを破ったときの罰則
多くの職員が、日常的にSNSに触れています。職員が理解しやすいよう、努めて分かりやすく教育を行うことが必要でしょう。
職場環境の向上
トラブルを防止する方法の3つ目は、職場環境の向上です。
SNS利用者が職場環境に不平不満を感じており、その憂さ晴らしで行った投稿が原因でトラブルが発生することもあります。
そのため、SNS利用者が職場環境に不平不満を感じないよう、職場環境の向上に取り組むことも、効果的なトラブルを防止する方法の1つです。職場環境の向上には、以下の対策が有効と考えられます。
- 健康経営の導入
- 研修制度の充実
- 給与規定の見直し
- 人事評価制度の導入
- 休暇制度の充実
職場の現状を十分に理解して課題を抽出し、特に効果が大きいと思われる方策を試してみましょう。
介護施設でSNSに関するトラブルが発生したときには弁護士に相談
今回は、介護施設でSNSが原因で発生するトラブルの種類と防止する方法を解説しました。
SNSは、うまく使えば介護施設のPRや職員採用に大いに役立つツールです。しかし、不用意な投稿が原因で、大きなトラブルに発展して介護施設の評判を大きく落とすリスクもあります。
また、SNSは拡散性が大きい分、一度拡散するとその投稿を完全に消去することは事実上不可能です。
SNS利用に関するルールを明確に定めることと、SNS利用に関して職員に教育していくことで、SNSが原因のトラブルを防ぎましょう。
ただ、それでもSNSが原因のトラブルが発生することがあるため、当事務所の弁護士に相談してください。早く確実に問題解決ができる可能性が高まります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。