医療・介護の分野でも弁護士は頼れる!患者側と法人側で解説
最終更新日: 2023年11月29日
医療・介護の分野では多くのトラブルが起こるリスクがあり、ケースによっては患者が後遺症に苦しんだり、最悪の場合死亡することもあります。
一方、医療・介護を提供する法人の立場においては、対処に不備がないにもかかわらず患者からクレームを入れられることだけでなく、労務管理上のトラブルもあり得ます。そのようなトラブルでも、弁護士は頼れる存在です。
そこで今回は、医療・介護の分野に精通した専門弁護士が、医療・介護の分野のトラブルにおいて弁護士にどういうことができるのか、患者側と法人側それぞれの立場から解説します。
医療事故・介護事故に対応できる弁護士は多くない!?その理由とは【患者側】
医療事故・介護事故に対応できる弁護士が多くない理由は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、高い専門性が必要なことです。事故の内容を理解して真相を究明するには、医療・介護の専門知識を理解していなければなりません。
2つ目は、証拠集めの難しさです。特に医療事故では、有力な証拠となるカルテなどは、基本的に全て医療機関が保有しています。そのため、弁護士であっても証拠集めには困難が伴うのです。
医療事故・介護事故を解決するまでの流れを弁護士が解説【患者側】
ここでは、医療事故・介護事故を解決するまでの流れを解説します。
- 相談
- 調査
- 交渉など
- 訴訟
それでは、1つずつ解説します。
相談
解決するまでの流れの1つ目は相談です。
医療事故・介護事故に対する依頼者の要望は、損害賠償・真相究明・反省・謝罪など様々なため、相談によって、その要望を明確にすることが大切です。
また、依頼者から医療事故・介護事故の事情を聞き取った上で、弁護士から今後の方針や報酬などを提示します。依頼者と弁護士の間で合意を得られれば、弁護活動を開始します。
調査
解決するまでの流れの2つ目は調査です。調査については、2つの内容を解説します。
- 診療経過などの調査
- 制度の活用
それでは、1つずつ解説します。
診療経過などの調査
調査の1つ目は、診療経過などの調査です。
カルテや介護日誌などで事実経過を検討し、専門書などで医学的知見を確認します。カルテの開示を求めるときには、カルテ開示と証拠保全の2つの方法があります。それぞれの特徴は下記のとおりです。
カルテ開示 | 証拠保全 | |
改ざんリスク | 相対的に高 | 相対的に低 |
拒絶される可能性 | 相対的に低 | 相対的に低 |
責任の疎明 | 不要 | 必要 |
費用 | 相対的に低 | 相対的に高 |
開示の範囲 | 限定的になる可能性 | 全て |
入手期間 | 数日~1か月 | 早くて2~3か月 |
簡単さ | 簡単 | 比較的難 |
調査の2つ目は、制度の活用です。
ここでは、医療事故・介護事故の調査に使える制度として、医療版事故調査制度・医薬品被害者救済制度・産科医療補償制度の3つをご紹介します。
医療版事故調査制度 | 医療事故の原因を究明して再発防止することを目的とした制度 |
医薬品被害者救済制度 | 医薬品を適正に使用したときに、当該医薬品の副作用に対し被害給付を行う制度 |
産科医療補償制度 | 基準を満たせば、新生児に身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺が残ったときに補償金を支払うなどの対応を取る制度 |
表内に詳しい解説が載った参考URLを掲載しておりますので、参考にしてください。
交渉など
解決するまでの流れの3つ目は交渉などです。
調査の結果、医療機関や介護施設などに問題があると判断されたときには、相手と交渉などを行うことになります。それには、大きく分けて以下の3つの方法が考えられます。
当事者間での話合い |
|
医療ADR |
|
民事調停 |
|
訴訟
解決するまでの流れの4つ目は訴訟です。
交渉などを経ても相手と和解できなければ、訴訟によって公的な判断を下してもらうことになります。
注意点としては、患者側が問題にしている部分と訴訟との論点がずれていると、的外れな判決が下される恐れがあることです。そのため、調査段階から訴訟の進め方を明確にする必要性があるでしょう。
医療・介護の現場で発生しうるリスクを弁護士が解説【法人側】
ここでは、医療・介護の現場で発生しうるリスクを4つ紹介します。
- 事故・クレーム
- 職員の労務トラブル
- 未払診療費の発生
- 取引先との契約トラブル
それでは、1つずつ解説します。
事故・クレーム
リスクの1つ目は、事故・クレームです。
医療・介護に不備がなくても、患者側に疑念を抱かれ、紛争が起こることがあります。
紛争が起こると、患者からカルテ開示や医療事故調査委員会の開催・結果の報告などが必要になりますので、それらに対し誠実に対応しなければなりません。
このとき、書類などに不備があるとトラブルの元になるので、インフォームドコンセントがいっそう重要になります。紛争の恐れがあるときは、迷わずに弁護士に相談しましょう。
職員の労務トラブル
リスクの2つ目は、職員の労務トラブルです。
近年の労働環境意識の高まりもあり、多くの団体では労務管理に苦労しています。
特に医療・介護の現場では、人手不足や転職のしやすさが理由で労務トラブルが多く発生しています。
職員との労務トラブルが発生して職員の士気が下がると、サービスの品質低下にもつながる恐れがあるため、十分な注意が必要です。
未払診療費の発生
リスクの3つ目は、未払診療費の発生です。
医療・介護サービスをビジネスとして捉えると、患者による自己負担分の回収を確実に行うことが、キャッシュフローを健全にするには重要なことです。
診療費などの請求権の時効期間は3年(2020年4月1日以降に診察を受けたものは5年)と短いので、当初から適切かつ迅速に自己負担分の回収を行わなければなりません。回収が遅れるほど回収は困難となるため、場合によっては裁判や強制執行が必要となるでしょう。
取引先との契約トラブル
リスクの4つ目は、取引先との契約トラブルです。
医療・介護の現場では、調剤薬局や医療機器メーカーなど多くの取引先と関わることになります。それらの取引先と交わした契約書が妥当か判断することは、難しいことが少なくありません。
また、一度契約した内容をよく確認しないまま放置して、トラブルが発生したときに初めて妥当でない契約内容が判明することもあります。
医療・介護の現場で弁護士がサポートできること【法人側】
ここでは、医療・介護の現場で弁護士がサポートできることを2つ紹介します。
- 法規制への対応
- 内部体制の整備
それでは、1つずつ解説します。
法規制への対応
弁護士がサポートできることの1つ目は、法規制への対応です。
医療・介護報酬や、関連法律などは次々に改定されていくもので、医療・介護業界はそれに逐一対応していかなければなりません。
しかし、日々の業務で忙しい中で、それらの情報収集を行って対応していくことは簡単ではありません。弁護士は、医療・介護法人がそれらの変化に対応するサポートを行います。
内部体制の整備
弁護士がサポートできることの2つ目は、内部体制の整備です。
医療・介護の現場では様々なトラブルが起こるリスクがあります。その中には、患者との関わりや取引先とのトラブル・職員の労務管理など「人」が関わる問題も少なくありません。
そのような問題を防ぎ、問題が発生したら速やかに解決するには、内部体制の整備が必要です。具体的には、弁護士がリスク回避のための体制・事故への迅速な対応・クレーム対応について、法的な立場からアドバイスしてくれます。
医療・介護の分野に強い法律事務所の弁護プランと費用
ここでは、当法律事務所の弁護プランと費用を解説します。
- 当事務所での解決までの流れ
- 弁護士費用
それでは、1つずつ解説します。
当事務所での解決までの流れ
当法律事務所に依頼してから解決するまでの流れは、以下のとおりです。
- 電話相談
- 来所相談
- 依頼
- 交渉
- 訴訟
- 和解・判決
弁護士費用
当法律事務所の弁護士費用は、以下のとおりです。
電話相談 | 無料 |
来所相談 | 無料 |
まとめ
今回は、患者側と法人側の立場で、医療・介護の分野のトラブルにおいて弁護士にどういうことができるのか、患者側と法人側それぞれの立場から解説しました。
患者側・法人側いずれの立場においても、トラブル時には法的知識と医療・介護分野の知識を兼ね備えた弁護士は強い味方になります。
万が一医療・介護の分野でトラブルが発生したときには、当法律事務所に相談してください。医療・介護の分野に精通した専門弁護士がサポートすることで、早く確実に問題解決できる可能性を高められるでしょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。