宗教法人に弁護士は必要?名古屋の専門弁護士が解説
最終更新日: 2022年05月13日
- 宗教法人が弁護士にどのようなことを相談するの?
- 宗教法人が実際に法的トラブルに巻き込まれることはあるの?
- 宗教法人に強い弁護士かどのように判断すればいいの?
宗教法人の関係者の方で弁護士に相談をしたことがある方は多くは無いかと思いますので、上記のような疑問をもたれるかもしれません。
しかし、宗教法人も一般企業と同じく、多くの関係者がいます。そのため、そのような関係者との間で法的トラブルに遭遇することもあります。
とりわけ檀信徒との関係は年々変わってきており、かつては無かったトラブルが頻発しています。
今回は、宗教法人の法律相談や実際のトラブル事例などについて宗教法人の専門弁護士が解説します。
宗教法人から弁護士に名古屋でよくあるご相談
宗教法人からのご相談は組織に関するものや、お墓に関するもの、労務に関するものなど様々です。以下、具体的にどのようなご相談があるのか、一例をご紹介します。
名古屋の宗教法人統計
まずは、名古屋の宗教法人事情について確認したいと思います。
政府による令和3年度の宗教統計調査によれば、宗教法人は全国で18万147法人存在します。そのうち愛知県には9032法人が存在し、その数は全国1位です。神社は3351法人で全国4位、寺院は4520法人で全国1位です。
このように名古屋、愛知県には多数の宗教法人が存在し、特に寺院の数は多く、お墓や納骨堂に関するご相談が多くみられます。
被包括関係の廃止について
包括・被包括関係を廃止して、もっと自由に寺院を経営していきたいという、単立化のご相談は近年増えています。
単立化のためには、その手続きに誤りが生じないよう慎重に進める必要があります。また、包括宗教法人が単立化の障害となることもありますので、入念な準備が必要です。
責任役員について
寺院運営の支障となっている責任役員を解任したい、役員の地位を解任されてしまったのでその地位を取り戻したい。このようなご相談はしばしばあります。
法的に有効な解任が可能であるかの確認やその戦略立案、解任された地位確認の訴訟などが必要となります。
檀信徒について
檀信徒がSNSで宗教法人に対する名誉毀損行為をしている、お布施護持会費を滞納する檀家がいる、宗教法人の会計帳簿を閲覧させるよう求められた。このような檀信徒との間のトラブルは増えています。
宗教法人が対応を誤りますと、かえって檀信徒から訴えられる恐れがありますので、法的観点を踏まえた慎重な対応が必要となります。
お墓について
代替わりした檀家が突然、墓じまいをしたいと言ってきた、長年参拝のないお墓を処分したい、墓地管理費を支払ってくれない。このようなお墓に関するご相談もよくあります。
お墓に関する法的問題については判例でも確定していない論点が多数あります。十分な事実関係と法的リサーチの上で判断をくださなければ、後々に檀家との間で訴訟問題に発展するおそれがあります。
収益事業について
収入源を増やすために賃貸経営をしたい、余っている境内地を駐車場にしたい。収益事業をしたいが、行政から認証を得られるか心配だ。収益事業に関するご相談はよくあります。
宗教法人の収益事業には制限がありますし、会計処理の変更が必要となりますし、備置書類が増えることもあります。法律を確認して適正に行うことが重要です。
職員について
僧侶を辞めさせたら不当解雇だといって訴えられた、弁護士を通じて残業代を請求された。近年、宗教法人においても労務トラブルが増えています。
特に僧侶については雇用契約書を作成している宗教法人は少ないですし、法的には雇用契約と判断される場合にも雇用とは意識していないことが多いです。
法的に雇用契約の場合には上記のように法的トラブルとなり、多額の金銭を支払うことになることがありますので、慎重な対応が必要となります。
宗教法人が訴訟になった事例を名古屋の専門弁護士が紹介
次に、宗教法人が訴訟に巻き込まれた事例を3つご紹介します。いずれの事例も事前に弁護士から助言を受けていれば防ぐことができたものと思われます。
不当解雇と訴えられた事例
僧侶として雇用していた婿が娘と離婚することになったので退職させたところ、雇用契約上の地位確認と未払い給与や賞与の支払いを求められた事例です(東京地裁R3.4.27)。
寺院は退職の合意があったと主張しましたが認められず、数百万円の給与等の支払いを裁判所は命じました。
雇用契約であることは明らかな事例でしたが、家族関係であることもあってか、強引に退職させたようです。
予め弁護士に相談をして、適切な助言を受けていれば、退職の合意を得ることができ、訴訟は避けられた可能性があります。
無縁改葬をしたら訴えられた事例
参拝の形跡があったのに調査を尽くさず無縁墓として行った改葬は不法行為にあたるとして、200万円の慰謝料、原状回復費用、弁護士費用、総額374万円6500円の支払いを裁判所が寺院に命じた事例です(高松高裁H26.2.27)。
無縁改葬をする場合には十分な調査を実施し、そのことを証拠にしておくこと、後日、遺族が現れたときには遺骨を引き渡せるよう、ある程度の年数は分離して保管しておくことが大切です。
納骨堂の経営が許可されなかった事例
インターネットで宗派を問わず、全国から無制限に募集して郵送で焼骨を受け取る方法、安価さを殊更にアピールする商業主義的な印象などから、国民の宗教感情に反するとして不許可処分としたことは行政の裁量の範囲内と裁判所が判断した事例です(高松高裁H26.3.20)。
宗旨宗派を不問とする納骨堂は多数存在しますが、運営方法次第ではこのように経営不許可処分とされる恐れがあります。
経営不許可となれば、多額の建設費を回収できなくなり倒産の可能性がありますし、何より依頼者に多大な迷惑となりますので、納骨堂を経営するときには、その計画段階から経営許可が間違いなく得られるのか慎重に検討することが大切です。
宗教法人に強い弁護士を名古屋で選ぶ方法
以上見てきましたような法的トラブルを避けるために、あるいは既に法的トラブルになってしまった場合に、どのような弁護士に法律相談をするべきかについて最後にご説明します。
宗教法人を専門としていること
まずは、宗教法人を専門としている弁護士に相談しましょう。宗教法人を専門としている弁護士は全国的にも数は少ないです。宗教法人については詳しくないということで相談を断られるケースが多いようです。
インターネットで検索をすればいくつかの法律事務所を見つけることができますので、そのような法律事務所に相談しましょう。
宗教法人法務について熟知していること
宗教法人を専門としている弁護士であれば大抵のことは対応可能です。もっとも、専門性の深さには違いがありますので、実際に法律相談をしてみて、しっかりとした道筋を示してくれるかどうか確認をしましょう。
多くの実績があること
3点目として、宗教法人の法的トラブルについて多くの実績があることです。単に知識があるだけでは良い結果は得られません。多くの助言や紛争案件の経験を通じた蓄積があってこそ最善の結果が得られます。
まとめ
以上、宗教法人の法律相談や実際のトラブル事例などについて解説しました。
法的トラブルに巻き込まれた場合にはできる限り早く弁護士にご相談ください。また、法的トラブルを避けるためにはいつでも相談できる顧問弁護士を用意しておくと良いでしょう。
宗教法人に強い弁護士を名古屋でお探しの場合は、お気軽に当事務所にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。