万引きの被害届取り下げは可能? 示談金の相場と店側が拒否する理由

最終更新日: 2025年12月04日

万引きをしてしまい、後悔と恐怖の中にいる方へ。 「お店にお詫びをして、許してもらいたい」 「被害届を取り下げてもらって、警察沙汰や前科を避けたい」

そう考えて、直接お店に行こうとしていませんか? あるいは、すでにお店側から「警察に被害届を出す」と言われて焦っているかもしれません。

結論から言うと、万引き事件において、お店側が示談や被害届の取り下げに応じてくれるハードルは非常に高いのが現実です。

しかし、諦めるのはまだ早いです。正しい手順で謝罪と被害弁償を行い、弁護士を通じて交渉することで、被害届の提出を回避したり、取り下げてもらい「不起訴(お咎めなし)」となるケースは多々あります。

この記事では、万引きにおける示談交渉のリアルな相場と、被害届を取り下げてもらうためのポイントについて解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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万引き事件で「被害届取り下げ」をしてもらうメリット

被害届とは、お店側が「犯罪被害に遭ったので、捜査・処罰してください」と警察に申告する書類です。これを取り下げてもらう(あるいは出させない)ことには、あなたの人生を守るための決定的なメリットがあります。

警察介入前なら「刑事事件化しない」

もし、お店がまだ警察に被害届を出していない段階(現行犯で捕まった直後の事務所での話し合いなど)であれば、示談によって「被害届を出さない」という約束を取り付けることが可能です。 被害届が出なければ、警察による捜査は始まらず、逮捕もされず、前科がつくことは100%ありません 完全に解決です。

送検後でも「不起訴処分」の可能性が高まる

すでに警察が介入し、捜査が進んでいる場合でも、被害届を取り下げてもらう意義は絶大です。 検察官は、起訴(裁判にかける)か不起訴(罪に問わない)かを決める際、「被害者と示談が成立しているか」「被害者が処罰を望んでいるか」を最も重視します。

被害届が取り下げられれば、「当事者間で解決済み」とみなされ、不起訴処分(前科がつかない)となる可能性が極めて高くなります。

万引きの示談金・被害弁償の相場は?

では、お店にいくら支払えば許してもらえるのでしょうか? 万引きの示談金の内訳は、大きく分けて2つあります。

被害品の商品代金(実費)

盗んでしまった商品の定価です。商品が手元にあり、未開封で再販売できる状態なら返還で済むこともありますが、開封済みや食品などの場合は、全額を買い取る形になります。

迷惑料(慰謝料):数万円〜30万円程度

商品代金だけ払えばいいというわけではありません。お店側は、防犯カメラの確認、警察対応、在庫管理の修正など、万引き処理のために多大な労力(人件費)を割いています。 その精神的苦痛や業務妨害に対するお詫びとして、数万円〜30万円程度の「迷惑料」を上乗せして支払うのが一般的です。

注意: 稀に、万引き被害額が数百円であるにもかかわらず、お店側や警備員から「100万円払え」などと法外な請求をされるケースがあります。これは脅迫に近い行為ですので、その場でサインせず、すぐに弁護士へ相談してください。

なぜ店側は示談を拒否するのか? 個人交渉のリスク

「お金を用意して謝りに行けば許してもらえる」と考えるのは危険です。多くの大手スーパー、ドラッグストア、書店チェーンなどは、「示談一切お断り」「見つけ次第、全件通報」という厳しいマニュアルを定めています。

「特別扱いはできない」という公平性

一度示談に応じてしまうと、「あの人はお金で許したのに、なぜ私は通報されるのか」という不公平が生じます。企業コンプライアンスとして、例外を認めない店舗が増えています。

加害者と直接関わりたくない

店長や従業員にとって、加害者と直接連絡を取ったり会ったりするのは恐怖であり、ストレスです。そのため、「話は警察を通してください」と門前払いにされることがほとんどです。

 無理に迫ると「強要罪」や「恐喝未遂」のリスクも

ここが最も恐ろしい点です。 許してほしい一心で、店長にしつこく電話をかけたり、店内で「金を受け取ってくれ」と大声で迫ったりすると、新たに「強要罪」や「業務妨害罪」などに問われるリスクがあります。 ご自身やご家族だけで交渉しようとして事態を悪化させてしまうのは、このケースが後を絶ちません。

弁護士なら交渉成立の可能性が上がる理由

ご自身で交渉して断られた場合でも、弁護士が介入することで道が開けるケースがあります。

  1. 「第三者」としての安心感 弁護士が代理人となることで、お店側は加害者本人と接触せずに済みます。感情的な対立を避け、冷静なビジネスライクな話し合いが可能になります。

  2. 法的に妥当な示談書の作成 「今後二度と来店しない」「被害届を取り下げる」といった条件を、法的に効力のある書面(示談書)として作成します。お店側にとっても「再犯防止の確約」が得られることはメリットになります。

  3. 本部(法務部)との交渉 現場の店長では判断できない場合でも、弁護士であれば企業の法務部や本社と直接交渉し、示談の承認を取り付けられることがあります。

まとめ:前科を避けるために、まずは弁護士にご相談を

万引き事件で前科を回避するためのカギは、「一刻も早い被害者対応」です。

しかし、焦って自分だけで動くとかえって状況を悪化させかねません。「お店に謝りたいが、どうすればいいか分からない」「高額な請求をされて困っている」という方は、すぐにご相談ください。

当事務所では、万引き事件の示談交渉経験が豊富な弁護士が、あなたに代わって迅速かつ適切にお店側と交渉を行います。あなたの未来を守るために、私たちが全力でサポートします。

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