クレプトマニアに強い弁護士を選ぶには?解決事例と実施内容も解説

最終更新日: 2023年07月08日

クレプトマニアに強い弁護士がしてくれることやその選び方を解説

  • クレプトマニアって何?
  • クレプトマニアに強い弁護士の判断方法は?
  • クレプトマニアで実刑を回避するにはどうすれば?

ご自身やご家族が万引きを繰り返している場合、クレプトマニアではないかと疑ってみるべきでしょう。クレプトマニアの場合、他の窃盗や万引き事件とは異なる弁護、対応が必要となってきます。

今回は、刑事事件を数百件解決してきた専門弁護士がクレプトマニア、クレプトマニアに強い弁護士などについて解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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クレプトマニアとは?その特徴や基準を弁護士が解説

クレプトマニアとは?その特徴や基準を弁護士が解説クレプトマニアという言葉を使ってきましたが、まずは、そもそもクレプトマニアとは何かについてご説明します。

  • クレプトマニアとは?
  • クレプトマニアの特徴
  • クレプトマニアの診断基準

クレプトマニアとは?

クレプトマニアとは、日本語では窃盗症、窃盗癖、病的窃盗といいます。盗むという衝動を抑えられない精神障害の一つです。

クレプトマニアはそのほとんどが万引きですから、万引き依存症ともいえるものです。
「止めたいのに止められない」、アルコール依存症、薬物依存症と同様、クレプトマニアは万引きを止めたいのに止められない精神障害です。

クレプトマニアは普通の窃盗とは異なります。他人の財物を盗む窃盗は、その物自体が欲しい、盗んで転売して利益をあげたいなど何等かの経済的理由がその動機にあります。
しかし、クレプトマニアの場合、加害者がお金に困っていないことが多く、万引きの主たる動機は経済的理由にありません。

経済的理由が動機であれば、自分の意思、理性で窃盗を止めることができます。しかし、クレプトマニアの場合、本人が万引きを止めたいと思っていても、その衝動を自ら抑えることができないため、止めたいのに止められないのです。

クレプトマニアの特徴

クレプトマニアの特徴の一つとして男性よりも女性が圧倒的に多いということがありあります。なぜ女性の方がクレプトマニアになりやすいのかについては明らかではありませんが、統計上はそのような結果となっています。

またもう一つの特徴として、摂食障害と併発することが非常に多いことが挙げられます。この点もなぜ、摂食障害とクレプトマニアが併発するのか、そのメカニズムについては未だ明らかにされていませんが、両者の併発が多いことから何等かの関連性があるといえます。

クレプトマニアの診断基準

DSM-5というアメリカの精神疾患の診断基準によれば、下記AからEの全てに該当する場合にクレプトマニアと診断できるとされています。

もっとも、この基準に該当しなければ万引きに精神障害が影響していないというものではなく、また診断する医師によって各基準の解釈、当てはめは異なります。特にAの基準については議論があります。

弁護側がクレプトマニアの主張をすると、検察官は、例えば、「食べようと思って万引きした」と被告人が供述しているのでAの基準には該当しないなどと反論してきます。

クレプトマニアの場合も万引きする商品から何等かの効用を得る動機は少なからずあることがほとんどです。

ですから、Aの基準については、主たる動機が経済的効用を得ることにあるのではなく、衝動制御の問題にあるというように許容範囲を広く解釈すべきであるといわれています。

  基準の内容
 A 個人的に用いるものでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
 B 窃盗におよぶ直前の緊張の高まり。
 C 窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感。
 D 盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または幻覚に反応したものでもない。
 E 盗みは、行為障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

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クレプトマニアに強い弁護士がしてくれること

クレプトマニアに強い弁護士がしてくれること万引きを繰り返している方の弁護を引き受けた場合に、弁護士がすることは3つです。

弁護を引き受けた場合、弁護士がすること
  1. 万引きの原因となっている精神障害を特定
  2. 万引きをさせないための家族の協力など環境調整を行うこと
  3. 検察官や裁判所に対して刑事罰よりも治療が必要であることを説得すること

1つ目は、医師の協力を得て、万引きの原因となっている精神障害を特定すること、2つ目は、万引きをさせないための家族の協力など環境調整を行うこと、そして3つ目はそれらを踏まえ、検察官や裁判所に対して刑事罰よりも治療が必要であることを説得することです。

クレプトマニアの方が再犯をしないためにはその治療が必要です。しかし、刑務所には、クレプトマニアの治療環境はありません。そのため、服役したとしても出所すれば再び万引きをするようになりますので服役は更生には役に立ちません。

クレプトマニアに強い弁護士は、止めたいのに止められない依頼者を治療に繋げ、その環境を調整し、服役させるのではなく治療を続けさせることをしてくれるのです。

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クレプトマニアに強い弁護士の弁護内容

クレプトマニアに強い弁護士の弁護内容ではクレプトマニアに強い弁護士は具体的にどのような弁護をするのでしょうか。以下見て行きましょう。

  • 逮捕勾留からの釈放
  • 取り調べ対応
  • 示談交渉
  • 不起訴獲得
  • 実刑判決の回避

逮捕勾留からの釈放

クレプトマニアの方には専門の医療機関に早期に通っていただく必要があります。そのためには、逮捕、勾留された状態からの釈放が必要です。

そこで、弁護士は、検察官、裁判所(裁判官)に対して、勾留の理由も必要性もないことを訴え、釈放を求める弁護を行います。

これによって勾留決定を回避して釈放させ、または勾留決定に対する準抗告によって釈放させます。

取り調べ対応

警察や検察は、クレプトマニアという疾病について未だ理解が乏しいため、正直に当時のことを覚えていない、頭が真っ白だったなどと供述をしても、そのとおりには供述調書を作成してくれません。

そうではなく、お金を節約したかったというわかりやすい動機を供述させるよう誘導し、プレッシャーをかけて供述調書を作成します。このような供述調書が作成されますと、裁判では非常に不利になります。

このような不当な取り調べがなされないよう、そして記憶、認識のとおりに供述調書が作成されるよう弁護士がサポートします。

示談交渉

初犯や2回目くらいまでは万引き事件は、被害店と示談が成立していれば起訴される可能性は低いです。

しかし、繰り返し検挙されている場合には、たとえ被害店と示談が成立していたとしても、それだけで不起訴処分となったり、執行猶予がつくものではありません。

とはいえ、財産的被害を与えた被害店に対してはその損害を賠償し、さらに刑事処分を求めない旨の表明を得ることができれば、不起訴処分や執行猶予を得るにあたり有利になることは間違いありません。

したがって、弁護士は被害店と示談が成立するよう尽力します。よく大型店やチェーン店は示談ができないということがありますが、必ずしもそうではなく、弁護士による示談交渉次第で示談が成立する可能性があります。

不起訴獲得

在宅捜査となっており、起訴されるまでに数か月の猶予がある場合には、その間にクレプトマニアの治療を専門とする医師の診断を受け、治療実績を積み上げます。

また、クレプトマニアの再犯防止、更生のためには家族の協力が不可欠です。これまで万引きを防ぐことができなかった家族の意識を変革し、更生と再犯防止への協力をする環境、体制を整えます。

これらの経過、結果をもとに弁護士は検察官に対して刑罰、服役よりも治療を継続していくことが必要であることを訴え、不起訴処分を求めて行きます。

そのような事情があっても起訴の判断をする検察官は多いですが、理解を示し、不起訴処分とする検察官もいます。

実刑判決の回避

検察官が起訴の判断をした場合には、次は、裁判所に実刑よりも治療継続が必要であることを理解してもらう弁護を行います。

公判では、それまでの治療経過、結果を書面で示すとともに、必要があれば医師の証人尋問を実施するなどして、裁判所に理解を求めます。

単にクレプトマニアであるとの診断書を提出するだけでは足りず、それを踏まえ、被告人が更生のためにどのような活動をしてきたのか、被告人やその家族は再犯防止のために具体的にどのような実効的な対策をとっているのかを示すことが重要です。

こうして執行猶予判決を得ることで、治療の継続を可能とすることが弁護士の重要な任務となります。

クレプトマニアに強い弁護士の選び方

以上、クレプトマニアの弁護内容について見てきました。それでは、そのような弁護をしてくれるクレプトマニアに強い弁護士はどのように選べば良いのでしょうか。

  • クレプトマニアの弁護経験が豊富
  • 専門医療機関との連携
  • 充実した弁護が可能な弁護士費用

クレプトマニアの弁護経験が豊富

クレプトマニアの弁護は、その他の窃盗罪の弁護や万引きの弁護とは異なります。単に被害者と示談をすれば良いという弁護ではないのです。

特に執行猶予中の犯行の場合には、原則、実刑判決となりますので、弁護の難易度は高くなります。

クレプトマニアに強い弁護士か否かは、過去に、執行猶予中の再犯のケースで、不起訴処分や再度の執行猶予を得た経験があるかという点が一つの指標となるでしょう。

専門医療機関との連携

クレプトマニアの弁護をするためには、専門の医療機関との協力関係は必須です。クレプトマニアの弁護を何件も担当したことがあれば、全国のどこに専門の医療機関があり、どのようにして紹介をすればよいかを知っています。

クレプトマニアに強い弁護士か否かの指標として、そのような医療機関の紹介が可能かどうかという点もあげることができます。

治療方法には、認知行動療法という従来からある治療方法のほかに、条件反射制御法という新しい治療方法もあります。依頼者によって向き不向きもありますし、最近は後者の治療の後に前者の治療をする複合的な治療方法が取られていることもあります。

また、医療機関のほかにKA(クレプトマニアス アノニマス)という自助グループに参加をして、同じ問題を抱える仲間と問題、経験を共有することで、更生の意欲を持続させることも有効です。

充実した弁護が可能な弁護士費用

弁護士費用の相場は、着手金や成功報酬金を合わせて60万円から80万円ほどです。

しかし、執行猶予中に万引きをしてしまったなど実刑となる可能性が高いケースでは、それ以上の弁護士費用となります。

このような場合、弁護内容の業務負担は大きくなりますので、不起訴処分や執行猶予を獲得したときの成功報酬が50万円以上に設定されることは多くあります。この場合には、弁護士費用の総額は100万円から150万円ほどとなります。

難易度の高いケースで充実した弁護を依頼するためには、弁護士費用が高くなることもやむを得ません。

クレプトマニアに強い弁護士による解決事例

クレプトマニアに強い弁護士による解決事例最後にクレプトマニアに強い弁護士による実際の解決事例をいくつか見てみましょう。

  • 高齢者の執行猶予中の再犯の事例
  • 発達障害が万引きに影響した事例
  • 主婦による執行猶予中の再犯

高齢者の執行猶予中の再犯の事例

90歳近い女性の依頼者は、近所のドラッグストアで夫のオムツなどを万引きして店外に出たところ、店員に声をかけられ現行犯逮捕されました。依頼者は半年前に万引きで執行猶予付きの判決を受けたばかりで、執行猶予中の犯行でした。

過去の万引き歴を伺う限り、クレプトマニアなど何等かの疾病が万引きに影響している可能性が高いと考えられました。専門の医師に病院で診てもらったところ、クレプトマニアの診断がなされ、また認知機能の低下も犯行に影響していることがわかりました。

公判では医師の診断内容や治療経過について示し、また今回の犯行前と犯行後の家族による監督状況の劇的な変化を示しました。

検察官はもちろん実刑判決を求めましたが、裁判所は再度の執行猶予を認め、依頼者は刑務所に行かずに済みました。

発達障害が万引きに影響した事例

20代前半の男性の依頼者は、近所のコンビニで何度も万引きしており、お店からマークされていました。そして、ついに店員に犯行を現認され、現行犯逮捕されました。今回は万引きによる執行猶予中の再犯でした。

勾留中に依頼者と話をするなかで、発達障害が犯行に影響しているのではないかと考えられました。そこで、保釈された後、専門の医師に診てもらったところ、やはり発達障害の影響で万引きを繰り返している可能性を指摘されました。

そこで、知的障害者を支えるNPO法人の協力を得て、今後の更生支援計画を策定しました。

公判では同NPO法人の職員に証人として、服役よりも策定した更生支援計画を履行することが重要であることを訴えていただきました。

検察官はもちろん実刑判決を求めましたが、裁判所は再度の執行猶予を認め、依頼者は、刑務所に行かずに済みました。

主婦による執行猶予中の再犯

30代前半の女性の依頼者は、スーパーで万引きをしてしまいそれを店員に見られたような気がしました。依頼者は万引きによる執行猶予中の立場でした。

依頼者は弁護士と一緒に警察署に自首をしたところ、やはりその店舗から被害届が出ていました。自首をしたことも考慮して逮捕はせず、在宅捜査となりました。

依頼者は摂食障害を抱えており、その治療をしたこともありませんでした。クレプトマニアの専門の医師に診てもらったところ、摂食障害が万引きに影響している可能性を指摘され、まずは摂食障害の治療を進めることとなりました。

書類送検までに約半年が経ち、その間に、依頼者の摂食障害の症状は改善していきました。それに伴い、依頼者の中で万引きへの欲求も出てこなくなりました。

書類送検の後、主治医の意見書とともに、弁護士から服役させるのではなく、効果の出ている今の治療を継続させることが更生には必要であることを訴えたところ、検察官は不起訴処分(起訴猶予)としました。こうして依頼者は服役を免れることができました。

まとめ

以上、クレプトマニアの弁護、クレプトマニアに強い弁護士などについて解説しました。

また万引きで検挙された、家族が万引きを繰り返している、このようなケースでは医師や弁護士の協力が必要です。万引きや窃盗事件は犯罪ですが、刑務所に服役するのでなく、治療をして万引きを止めたい、止めさせたいという方は、早期にクレプトマニアに強い弁護士にご相談ください。

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